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灯油の暖房なら停電でも大丈夫、ではありません|FF式ストーブと石油給湯機(灯油ボイラー)は電気で動く。点火時と燃焼時の消費電力と、蓄電池の回路で動かす前に見ること【東北・2026年版】

停電でFF式ストーブ・灯油ボイラーは止まる|蓄電池で動かす前に

先に結論

  • FF式ストーブも石油給湯機も、コンセントの電気がないと動きません。
  • 停電すると止まり、電気が戻っても自動では点火しません。
  • 消費電力は点火のときが大きく、FF式で250〜650W、燃焼中は数十Wです。
  • 蓄電池の回路で動かせるかは、蓄電池の取扱説明書が先です。灯油の暖房機器をつながないよう書いているメーカーがあります。

「灯油で暖まる家だから、停電しても寒くはならない」——東北では、こう考えている方が少なくありません。

FF式のストーブでは、これは正しくありません。

FF式は、外から空気を取り込み、燃えたあとのガスを外へ出す暖房機です。そのためのファンや点火、温度の制御に、コンセントの電気を使っています。灯油ボイラー(石油給湯機)も同じで、100Vの電気がないとお湯は出ません。

この記事では、メーカーの取扱説明書・製品ページに書かれていることだけで、①停電で何が止まるか、②どれくらいの電気を使うか、③蓄電池で動かす前に何を見るか、を整理します。

停電で止まる灯油の機器と、止まらない機器

まず、灯油を使う機器を「電気が要るか」で分けます。

機器 停電したら 根拠
FF式ストーブ 止まる。復電しても自動では点火しない トヨトミ・コロナの取扱説明書
石油ファンヒーター 止まる 点火・送風に電気を使う
石油給湯機(灯油ボイラー) 止まる。凍結予防も止まる ノーリツ・長府の公式案内
電源のいらない石油ストーブ(反射式・対流式など) 使える コロナの防災製品ページ「電源不要 停電時 使用可能」

停電の夜、灯油を使う機器のうち何が止まるかの図。FF式ストーブ・石油ファンヒーター・石油給湯機は電気で動くので止まる。電源のいらない石油ストーブは使えるが、換気が必要。FF式ストーブは点火のときに大きな電気を使い、燃えている間は小さい

▲図解:灯油を使っていても、電気で動く機器は停電で止まる。止まらないのは電源のいらない石油ストーブだけ

石油ファンヒーターの消費電力と停電時の使い方は、夜9時、停電。暖房を何でしのぐかとカタログの6.5kWhは、実際には5.5kWhですで書きました。この記事では、FF式ストーブと石油給湯機を扱います。


FF式ストーブは、停電で止まり、復電しても自動ではつかない

取扱説明書の「停電安全装置」

FF式ストーブには、停電安全装置という安全装置が付いています。トヨトミのFF式ストーブ(FF-S36BT・FF-S45BT・FF-S55BT)の取扱説明書には、次のように書かれています。

運転中に停電や電源プラグを抜くなどして電源が切れたときは、自動的に運転を停止します
再び通電されても運転しません
処置:停電復帰後点火し直してください

コロナのFF式(FF-AG6822H)の取扱説明書でも、停電安全装置が働く条件に「停電したとき」が挙げられ、「通電後点火操作をしてください」とあります。

つまり、夜中に停電して朝に電気が戻っても、FF式ストーブは止まったままです。部屋はその間ずっと冷えていきます。

復電した直後に気をつけること

コロナの取扱説明書には、再通電の直後にエラーが出ることがあり、理由は「停電によりストーブの温度が一時的に上昇するため」と説明されています。また、30秒以上の停電があるとタイマー運転が解除されます。

停電が終わったら

  • ① 電気が戻ったのを確かめてから、取扱説明書の手順で点火し直す
  • ② エラー表示が出たら、表示の意味を取扱説明書で確かめる
  • ③ タイマー運転を使っていた方は、タイマーを設定し直す

停電から復電までの全体の手順は、停電したら、まず「うちだけか、地域全体か」にまとめています。


消費電力は「点火のとき」と「燃えている間」で10倍以上違う

FF式ストーブと石油給湯機の消費電力は、点火するときに大きく、燃えている間は小さいのが特徴です。メーカーの取扱説明書・ニュースリリースの数字を並べます(50Hz/60Hz)。

FF式ストーブ

型番 点火時 燃焼時 出典
コロナ FF-WG40SE 650W 最大17W・最小6W コロナ ニュースリリース(2021年)
コロナ FF-WG65SE 650W 最大30W・最小7W 同上
トヨトミ FF-S36BT 250W 27/24W トヨトミ 取扱説明書
トヨトミ FF-S55BT 250W 52/47W 同上

コロナのニュースリリースには「秒速点火ONの状態では、平均約100W(最大650W)の電力を消費します」という注記があります。すぐ点火できるように予熱しておく機能で、ONにしていると燃えていない間も電気を使います。

トヨトミの取扱説明書には、定格消費電力の欄に「最大680/680W(点火初期時に短時間発生)」とも書かれています。

見ていただきたいのは2つです

  • 燃えている間は数十W。電気毛布と同じくらいです
  • ただし点火の一瞬は250〜680W。ここが蓄電池の出力の上限にかかります

石油給湯機(灯油ボイラー)

型番 使い方 点火時 燃焼時 出典
長府 KIB-3867(屋内FE) 給湯 105/100W 75W 長府 取扱説明書
同上 給湯・ふろ同時 160/155W 135W 同上
長府 KIB-3867(屋外) 給湯・ふろ同時 155W 145W 同上

長府の取扱説明書には「この機器の電源はAC100Vです。AC200Vに接続すると機器が破損します」とあります。石油給湯機は、ふつうの100Vのコンセントで動く機器です。

なお、ここに挙げたのは年式・型番の決まった一例です。ご自宅の機器の数字は、本体の銘板か取扱説明書の「定格消費電力」の欄で確かめてください。


蓄電池の回路で動かす前に、蓄電池の取扱説明書を見る

「燃焼中は数十Wなら、蓄電池で動かせるのでは」と考える方は多いと思います。ここで、先に見てほしいのは蓄電池側の取扱説明書です。

灯油の暖房機器を「つながない」と書いているメーカーがある

オムロンの蓄電システム(KPAC-B ほか)の停電時の取扱説明書には、特定負荷につながない機器として、次のものが挙げられています。

灯油やガスを用いる冷暖房機器やヒータを持つ機器

同じ記載は、オムロンのKPAC・KP55S・KP48S2の資料にもあります。KP30K2・40K2・55K2の資料では「灯油やガスを用いる冷暖房機器」を停電用コンセントにつながない、とされています。

この記載がある蓄電池では、FF式ストーブや石油給湯機を停電時の回路で使う前提にしてはいけません。理由までは書かれていませんが、メーカーが「つながない」と書いている以上、それに従ってください。

出力の上限と「急に電気が流れる機器」

同じ取扱説明書には、次の記載もあります。

特定負荷の合計消費電力は2000VA以下(AC100Vで最大20A以下)
長く使うために、つなぐ機器の合計は500W程度に抑えることをお勧め
掃除機や冷蔵庫など、電流が急激に流れる機器を使うと、保護機能が働いて運転が停止することがある

ニチコンのトライブリッド(ESS-T1/T2)のQ&Aにも、「突入電流が大きな機器等100V対応でも接続できない機器があります」とあります。

FF式ストーブの点火のときの250〜680Wは、蓄電池の上限の中に収まる数字でも、冷蔵庫や照明と同時に重なると、上限や保護機能にかかることがあります。

お手持ちの蓄電池で確かめる3つ

蓄電池の取扱説明書で見るところ

  • ① 「つながないでください」の一覧に、灯油・ガスの暖房機器が入っていないか
  • ② 停電時の出力の上限(kVA・W)と、100Vか200Vか
  • ③ FF式・石油給湯機のコンセントが、停電時に電気が来る回路(特定負荷)か

③は、図面だけでは分からないことが多い部分です。施工した会社に「このコンセントは停電時に電気が来ますか」と聞くのがいちばん確実です。蓄電池の回路の考え方は、全負荷型と特定負荷型、どっちの蓄電池?で書いています。

給湯機側が「ポータブル電源に対応」と書いている例

逆に、給湯機のメーカーが、停電時の電源を指定している例もあります。

コロナの石油給湯機 SA・EFシリーズは「ポータブル電源に対応」とされ、使える電源の条件が書かれています。

純正弦波または正弦波の100V、定格出力400W以上(瞬間最大出力800W以上)
修正正弦波・擬似正弦波・矩形波・110V以上のものは、異常燃焼や誤動作の原因になるため使えない
ポータブル電源で使うときは、凍結予防運転のヒーター通電(最大約160W)などに制限を設けて電力を抑える

ほかの機器でも、停電時の電源について書かれているのは、給湯機・暖房機の取扱説明書のほうです。蓄電池側と機器側の両方の取扱説明書で、「使ってよい」と読めるときだけ使ってください。


石油給湯機が止まると、凍結予防も止まる

石油給湯機には、冬に本体や配管が凍らないための凍結予防ヒーターが入っています。ノーリツの停電時の案内には、こう書かれています。

停電時は100V(家庭用コンセント)電源を使用しているガス・石油給湯機器は使用できません
停電時にはこの機能(凍結予防)が作動しないため、機器や配管内の水が凍結し、破損に至ることがあります

ノーリツの案内には、石油給湯機を使っている最中に停電すると「排気口から煙が出ることがありますが、機器の故障ではありません」という一文もあります。停電の夜に煙を見ても、あわてないでください。

長府の取扱説明書でも、「停電すると運転が停止します」「停電すると予約が解除されます」とされています。復電したら、リモコンの運転スイッチを入れ直します。

冷え込む夜の停電が長くなりそうなときは、取扱説明書の手順で水抜きをするのが、メーカーが案内している予防方法です。水道管の凍結防止ヒーターも含めた全体の手順は、停電の夜、水道管の凍結防止ヒーターも止まっていますで書きました。


停電の夜の暖房は、電源のいらない石油ストーブと換気

電源のいらない石油ストーブ

コロナの防災製品のページでは、電源(100V)を使わない石油ストーブが「電源不要 停電時 使用可能」と紹介されています。停電の夜に灯油で暖を取れるのは、この種類のストーブです。

換気は必ず

ただし、電源のいらない石油ストーブは、部屋の空気を使って燃え、燃えたあとのガスを部屋に出します。NITE(製品評価技術基盤機構)は「石油ストーブを使用するときは、定期的に換気をしてください」と注意を呼びかけています。

ノーリツの停電時の案内でも、停電中は換気扇が止まるので、ガス・石油ストーブを使うときは窓を開けるなどして十分に換気するよう書かれています。

停電の夜に石油ストーブを使うとき

  • 換気扇は止まっている。窓を少し開けて、定期的に換気する
  • 寝るときはつけたままにしない
  • 携帯発電機は屋内で使わない(経済産業省・消費者庁・NITE)

一酸化炭素の危なさと、雪で家が埋まったときの注意は、雪で家が埋まった日に、暖を取る道具を屋内で使う前にで詳しく書いています。電気で人を温める方法(電気毛布など)は、夜9時、停電。暖房を何でしのぐかを見てください。


冬が来る前に、確かめておく4つ

雪の前にやっておくこと

  • ① FF式ストーブと石油給湯機の銘板で「点火時」「燃焼時」の消費電力を控える
  • ② 蓄電池の取扱説明書の「つながない機器」の一覧を読む
  • ③ 両方のコンセントが、停電時に電気が来る回路かを施工した会社に聞く
  • ④ 電源のいらない暖房を1つ用意し、換気のしかたを家族で決めておく

蓄電池がある家は、冬の設定(停電に備えて残しておく量など)も一緒に見直しておくと安心です。この冬、はじめて蓄電池と過ごす方へで、設定の見直し方を書いています。

これから蓄電池を入れる方で、見積書の容量や停電時の出力が家の暖房・給湯に合っているか気になるときは、当社が運営するサイト「ソラカルテ」の見積書AI診断で、相談前に確認することもできます。


よくあるご質問

FF式ストーブは、停電が終われば自動でつきますか。

つきません。トヨトミの取扱説明書では、停電すると自動的に運転を停止し「再び通電されても運転しません」とされています。電気が戻ったら、取扱説明書の手順で点火し直してください。

燃焼中は数十Wなら、蓄電池で一晩動かせますか。

まず蓄電池の取扱説明書を確かめてください。オムロンの蓄電システムの取扱説明書では、「灯油やガスを用いる冷暖房機器」を特定負荷や停電用コンセントにつながない機器として挙げています。つないでよいと読める場合も、点火のときに250〜680Wの電気を使うので、ほかの機器との合計で出力の上限にかからないかを確かめる必要があります。

石油給湯機は、停電中に水抜きをしたほうがいいですか。

停電中は凍結予防ヒーターが動かないため、ノーリツは「機器や配管内の水が凍結し、破損に至ることがあります」と案内しています。冷え込む夜に停電が長引きそうなときは、取扱説明書の手順で水抜きをしてください。


まとめ

  • FF式ストーブ・石油ファンヒーター・石油給湯機は、灯油を使っても電気で動く。停電すると止まる
  • FF式ストーブは復電しても自動では点火しない。点火し直す
  • 消費電力は点火時が大きく(FF式250〜680W)、燃焼中は数十W
  • 蓄電池で動かす前に、蓄電池の取扱説明書の「つながない機器」を確かめる。灯油の暖房機器をつながないよう書いているメーカーがある
  • 石油給湯機が止まると凍結予防も止まる。冷え込む夜は水抜き
  • 停電の夜に使えるのは電源のいらない石油ストーブ。換気は必ず

※本記事は2026年10月14日時点の情報です。機器の消費電力や停電時の扱いは、お使いの機器と蓄電池の取扱説明書でご確認ください。

出典

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監修・執筆:株式会社ファナス 代表取締役 不藤政次|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら

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