全負荷型と特定負荷型、どっちの蓄電池?東北の冬の停電で暖房を止めないための選び方【2026年版】

蓄電池を選ぶとき、容量(何kWh)と並んで必ず出てくるのが「全負荷型」か「特定負荷型」かという選択です。カタログにさらっと書かれていることが多いのですが、ここを取り違えると、いざ停電したときに「使いたかった家電が動かない」という事態になりかねません。
特に東北・寒冷地では、冬の停電で暖房と給湯が止まることが暮らしと健康に直結します。「冷蔵庫と照明さえ動けばいい」のか、「エアコン暖房もエコキュートも止めたくない」のか——その答えによって、選ぶべきタイプが変わります。
この記事では、全負荷型と特定負荷型の違いを整理し、見落とされがちな「自立出力」と「200V対応」という2つの落とし穴を含めて、東北の冬に後悔しない選び方を解説します。停電対策全体の考え方は冬の停電にどう備える?東北・寒冷地の停電対策もあわせてご覧ください。

▲ 当社施工事例:壁面のパワーコンディショナと蓄電池
特定負荷型とは——「要所だけ」を守るタイプ
特定負荷型は、停電時にあらかじめ決めておいた一部の回路(コンセント・部屋)だけに電気を送るタイプです。分電盤の中から「停電時に生かす回路」を選んでつないでおき、その回路に対して蓄電池から給電します。
- メリット:機器がシンプルで工事が比較的かんたん・費用が抑えめ。停電時、選んだ回路に電気を集中できるので、限られた容量を無駄なく使える
- デメリット:事前に決めた場所しか使えない。「その部屋のコンセントは生きているが、隣の部屋は真っ暗」ということが起こる。200Vの大型家電(エアコン・IH・エコキュート)は基本的に対象にしにくい
「停電はめったに起きないが、起きたときに冷蔵庫・照明・スマホ充電・情報(Wi-Fi/テレビ)が確保できれば十分」という考え方なら、特定負荷型で必要十分なことが多いです。予算を抑えたい方にも向きます。
全負荷型とは——「家まるごと」を守るタイプ
全負荷型は、停電時に家全体(分電盤の全回路)へ電気を送れるタイプです。普段どおり、どの部屋のどのコンセントも使える感覚に近くなります。
- メリット:家中のコンセントが使える。機種によっては200Vのエアコン・IH・エコキュートも動かせるため、冬でも暖房・給湯・調理を続けやすい
- デメリット:自動切替盤などの機器が増え、工事が大がかり・費用が高めになりやすい。容量が十分でも、後述する「同時に使える出力」には上限がある
全負荷型は、停電時の使い勝手では有利です。ただし「家中どこでも使える=何でも無制限に同時に使える」ではない点に注意が必要です。ここが最大の誤解ポイントなので、次で詳しく説明します。
見落とし①:容量とは別物の「自立出力」——同時に使える量に上限がある
全負荷型を選べば「家中の家電を同時に全部使える」と思われがちですが、そうではありません。停電時に蓄電池から取り出せる電気の大きさには「自立出力」という上限があります。単位はkVA(またはkW)で、容量(kWh)とはまったく別の指標です。
たとえば、特定負荷型の自立出力が2kVA前後、全負荷型でも4kVA前後という機種が一般的です。ところが、冬の夕方に暖房・照明・給湯・調理が重なると、家電の合計はあっという間に数kWに達します。
- エアコン暖房(立ち上がり):数百〜1,000W超
- IHクッキングヒーター:1,000〜3,000W
- 電子レンジ:1,000W前後
- 電気ケトル:1,000W超
これらを同時に使えば、全負荷型でも出力の上限を超えてしまい、ブレーカーが落ちることがあります。つまり全負荷型でも、停電時は「大きな家電は一つずつ」といった使い方の工夫が要ります。容量(長さ)と出力(同時の大きさ)は別——この理解が、タイプ選び以上に大切です。
見落とし②:「200V対応」かどうか——暖房・IH・エコキュートを止めないなら必須
もう一つの落とし穴が200V対応です。日本の家庭用コンセントには100Vと200Vがあり、エアコン(特に暖房能力の高い機種)・IH・エコキュートの多くは200Vで動いています。
蓄電池が全負荷型でも、「停電時に200Vを出せるか」は機種によって異なります。ここが100Vまでしか対応していないと、いくら全負荷型でも停電時にエアコン暖房やIH、エコキュートが動かない——東北の冬にはもっとも避けたい事態です。
したがって、「冬の停電でも暖房と給湯を止めたくない」という目的がはっきりしているなら、選ぶ条件は次のようになります。
- 全負荷型であること(家全体に給電できる)
- 停電時に200Vを出力できること(大型家電に対応)
- 使いたい家電に見合う自立出力(kVA)があること
- 冬を乗り切る容量(kWh)があること
この4点が揃って初めて、「停電時も普段に近い暮らし」が現実になります。カタログの「全負荷対応」の一言だけで判断せず、200V出力の可否と自立出力の数字まで確認してください。
東北の冬、どう選ぶ?——目的から決める判断フロー
タイプ選びは、機能の優劣ではなく「停電時に何を守りたいか」で決めます。東北の戸建てでの考え方を整理します。
特定負荷型が向くケース
- 停電はまれで、起きても数時間〜半日程度を想定
- 守りたいのは冷蔵庫・照明・通信・スマホ充電など最低限
- 暖房は石油ストーブなど非電気の手段も併用できる
- 初期費用をできるだけ抑えたい
全負荷型(+200V対応)が向くケース
- オール電化で、停電時もエアコン暖房・エコキュート・IHを使いたい
- 長時間・複数回の停電(雪害・災害)に備えたい
- 家中どこでも普段に近い生活を維持したい
- 太陽光と組み合わせて、停電が続いても昼に充電しながら使いたい
東北の場合、オール電化のご家庭ほど「暖房と給湯が電気に集約されている」ため、停電の影響が大きく、全負荷型+200V対応が候補になりやすい傾向があります。一方、暖房に灯油など別手段があるご家庭は、特定負荷型で費用を抑える選択も十分に合理的です。太陽光と組み合わせれば、停電が長引いても日中に充電しながら使えるため、停電対策としての安心感が大きく変わります。
工事・費用・分電盤——契約前に確認したいこと
全負荷型は、家全体に給電するために自動切替盤などの機器と、それをつなぐ配線工事が必要です。家の分電盤の位置や構造によって工事の内容・費用が変わるため、現地調査なしの概算だけで決めないことが大切です。近年は機器を本体に内蔵して設置をすっきりさせた製品も出ていますが、いずれにしても「我が家の分電盤にどうつなぐか」は現場ごとに設計が必要です。
契約前に、次を確認しておくと安心です。
- 全負荷/特定負荷のどちらか、停電時に200Vを出せるか
- 自立出力(kVA)はいくつか、冬に使いたい家電が同時に動くか
- 停電時にどの回路・どの部屋が生きるのか(特定負荷型の場合)
- 自動切替盤の設置場所と工事範囲・追加費用
- 太陽光と連携して停電中も充電できる構成か
「安いから特定負荷」「安心だから全負荷」と単純化せず、停電時に守りたい暮らしから逆算して、必要な機能に見合ったタイプを選ぶ——これが、東北の冬に後悔しない考え方です。容量そのものの決め方は蓄電池は何kWhが正解?東北の冬から逆算する容量の選び方で、寒冷地での機種選びは蓄電池は冬に弱い?東北・寒冷地での失敗しない選び方で解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 全負荷型なら、停電時に家中の家電をすべて同時に使えますか?
A. いいえ。全負荷型は「家中のコンセントに給電できる」タイプですが、同時に取り出せる電気の大きさ(自立出力)には上限があります。冬の夕方に暖房・IH・電子レンジなどを一度に使うと上限を超え、ブレーカーが落ちることがあります。停電時は大きな家電を一つずつ使うなどの工夫が必要です。容量(使える長さ)と出力(同時の大きさ)は別物とお考えください。
Q2. オール電化ですが、特定負荷型では停電時に困りますか?
A. 用途によります。特定負荷型は選んだ回路だけに給電し、200Vの大型家電(エアコン暖房・IH・エコキュート)は対象にしにくいため、オール電化で「停電時も暖房・給湯を続けたい」なら不向きです。逆に、暖房に灯油ストーブなど別手段があり、冷蔵庫・照明・通信を守れれば十分という場合は、特定負荷型で費用を抑える選択も合理的です。
Q3. あとから特定負荷型を全負荷型に変えられますか?
A. 基本的には、タイプは設置時の機器構成で決まるため、あとからの変更は容易ではありません(機器の入れ替えや追加工事が必要になることが多い)。だからこそ、導入前に「停電時に何を守りたいか」を明確にし、それに合うタイプ・200V対応・自立出力を選んでおくことが重要です。将来の使い方の変化も見込んで相談しておくと安心です。
まとめ:タイプは「停電時に何を守りたいか」で決める
- 特定負荷型=要所だけを守る。工事がかんたんで費用は抑えめ。最低限を守れれば十分な方向け
- 全負荷型=家まるごと守る。200V対応なら暖房・給湯・IHも使える。オール電化・長時間停電に強い
- 見落としがちな「自立出力(kVA)」に上限あり。全負荷でも同時に使える量には限りがある
- 「200V対応か」が最重要。ここを外すと全負荷でも暖房・エコキュートが動かない
- 東北のオール電化は全負荷型+200V対応が候補になりやすいが、暖房に別手段があれば特定負荷型も合理的
「全負荷か特定負荷か」は、値段や安心感のイメージではなく、停電時に守りたい暮らしから逆算して決めるものです。当社は、ご家庭の設備(オール電化かどうか、暖房の手段、分電盤の構造)を確認したうえで、必要な機能に見合ったタイプをご提案しています。「うちの停電対策には、どっちが合う?」——まずはお気軽にご相談ください。
出典(2026年7月27日確認)
- 経済産業省 資源エネルギー庁「蓄電池・蓄電システムに関する情報」:https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/energy_efficiency/battery.html
- 内閣府 防災情報のページ「災害への備え(停電への備え)」:https://www.bousai.go.jp/
※本記事は2026年7月27日時点の一般的な情報と当社の施工実績にもとづく目安です。自立出力・200V対応の可否・停電時に使える回路は機種により異なります。実際の選定は、ご家庭の設備と分電盤の状況をふまえ施工店へご相談ください。
当社が運営する「ソラカルテ」では、太陽光・蓄電池の見積書をその場で無料AI診断できます。電話番号の登録は不要です。
監修:株式会社ファナス|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら
他社のお見積りでも、ご相談をお受けしています
宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県で自社施工。設計・申請・施工・アフターまで自社で対応します。
しつこい営業はしません。お電話(022-796-7018/9:00〜20:00)・フォーム・LINEからどうぞ。





