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家に人工呼吸器・在宅酸素・CPAPがある方へ|蓄電池は医療機器の「直接の電源」にはなりません——取扱説明書の「接続禁止」の意味と、専用バッテリーを充電して家を保つという東北の冬の備え方【2026年版】

在宅医療機器と停電|蓄電池は直接つながない東北の備え

先に結論
家庭用蓄電池は、人工呼吸器や酸素濃縮器を「直接つなぐ電源」として設計されていません。メーカーの取扱説明書に「医療機器は接続禁止」と書かれています。
蓄電池の役割は2つです。機器の専用バッテリーを充電すること、そして暖房・照明・冷蔵庫を保って家に居続けられるようにすることです。
厚労省の資料では、在宅人工呼吸器のバッテリーは約30分〜11時間。東北の冬の停電は2022年12月の新潟で9日間続きました。
仙台市には非常用外部電源の購入補助(基準額75,000円・自己負担1割)があります。交付決定の前に買うと対象外です。

家に、人工呼吸器や在宅酸素、CPAP(睡眠時無呼吸の治療器)がある方へ。

停電の話をするとき、蓄電池の営業は「停電でも安心」と言います。当社も蓄電池を施工販売する会社です。ですが、医療機器のある家に対しては、その言い方はしません。家庭用蓄電池は、命にかかわる機器を直接つなぐ電源として作られていないからです。これは当社の意見ではなく、メーカーが取扱説明書に書いていることです。

では蓄電池は役に立たないのか。そうではありません。役割がちがうだけです。この記事では、メーカーの取扱説明書・厚生労働省の資料・東北電力ネットワークの記録・仙台市の補助金要項という公式の資料だけを使って、医療機器のある家で蓄電池に何を任せ、何を任せないかを整理します。

なお、この記事は医療の助言ではありません。機器の使い方・停電時の対応は、主治医と、機器を納入している事業者の担当者に必ず確認してください。

公式の資料が言う「機器のバッテリーは約30分〜11時間」

まず、停電で何が起きるかを公式の資料で確認します。

厚生労働省の「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」(2019年3月18日・第8回)の資料に、次の一文があります。

特に、在宅人工呼吸器に関しては、使用機器による差異はあるものの、内部・外部バッテリーの稼働時間は約30分〜11時間という状況であり、患者の病態によっては、長期停電が生命に関わる事態となる可能性がある。

つまり、停電で問題になるのは「機器が止まるかどうか」ではなく、「何時間で止まるか」です。機器には内部バッテリーがあり、多くは外部バッテリーも用意されています。停電の瞬間に止まるわけではなく、バッテリーが尽きたときに止まります。

同じワーキンググループには、2018年9月の北海道胆振東部地震(北海道全域の停電)で在宅患者196名を診ていた医療法人の報告も出ています。停電の間、24時間人工呼吸器を使う患者の多くは病院へ避難入院し、自宅待機のまま日中に病院や学校・公共施設で医療機器だけを充電した人が38名(24%)自宅にあった発電機を使った人が8名(ガソリン・ボンベ式3名、ソーラー5名)でした。

この報告から読み取れるのは、停電のときの選択肢が「病院へ行く」「どこかで充電する」「自宅で電源を確保する」の3つに分かれる、ということです。蓄電池が関わるのは3つ目だけです。

屋外の土間に脚付き架台で据えた蓄電池ユニット

▲ 当社施工事例:屋外に据えた蓄電池ユニット


取扱説明書は、非常用コンセントに医療機器を「接続禁止」と書いています

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。

ニチコンの家庭用蓄電システム ESS-U2X1 の取扱説明書には、非常時兼用コンセント(停電時に電気が出るコンセント)について、次のように書かれています。

夜間や曇りなどで発電電力または蓄電池の電力が不足すると装置は停止し、家電製品の電源が切れます。パソコンなどのデータが破損するおそれがあります。また、不安定な電源なので生命にかかわる機器(医療機器など)には絶対に使用しないでください。

同じ取扱説明書の「停電時の家電製品の利用について」の表では、「途中で電源が切れると困る家電製品:接続禁止——医療機器、デスクトップ型パソコン等」と明記されています。非常時兼用コンセントの定格出力は2,000VA、太陽光発電と連携しているときは1,500VAで、これを超えると内部の安全装置が働いて給電が止まります。

オムロンは公式サイトの「停電時の使い方」で、蓄電システムは「停電発生後、約5秒後に自動で非常時の自立運転に切り替わり、電気が使えるようになります」と説明しています。裏返せば、停電の瞬間から約5秒間は電気が来ないということです。家庭用蓄電池は、無停電電源装置(UPS)のように途切れなく電気を出し続ける機器ではありません。

この2社の書き方は、家庭用蓄電池の性格をよく表しています。

  • 切り替わるまでに数秒の空白がある
  • 使い過ぎ・残量不足・日射不足で予告なく止まることがある
  • だから「途中で切れると困る機器」は直接つながない

「蓄電池があれば人工呼吸器も安心」という言い方は、この取扱説明書と合いません。当社は、医療機器のある家に対しては、蓄電池を「機器の直接の電源」として提案しません。

機器の側も「バッテリーから取る」前提で設計されています

医療機器の側の資料も見ておきます。

フィリップスのCPAP「ドリームステーション」の取扱説明書には、電磁両立性の表の中に「装置の患者が電源停電時に使用継続を必要とする場合は、装置の電源を無停電電源またはバッテリーから取得することを推奨します」と書かれています。同じ装置は、専用のDC電源コードで12Vの独立バッテリーから動かせます。ただし「DC電源を自動車のバッテリーから得る場合、自動車のエンジンが稼働している間はこの装置を使用しないでください」という注記もあります。

人工呼吸器では、フィリップスの「トリロジー Evo」が公式サイトで最大15時間のバッテリ駆動(内部バッテリと着脱式バッテリ)をうたっています。機種ごとに数字はちがいますが、「機器は自分のバッテリーで動く。外の電源はそのバッテリーを充電するもの」という考え方が共通しています。

仙台市の非常用外部電源の補助金要項にも、同じ趣旨の注意があります。

医療機器に直接つなげて使用すると故障する可能性があるため、必ず外付けの専用バッテリーに充電してから使用する等対策を講じてください。市販の製品のほとんどが、精密医療機器に使用した場合の動作保証までは行っていないため、注意が必要です。

メーカー・機器の説明書・自治体の3者が同じことを言っています。電源は機器に直接つながず、専用バッテリーに充電する。蓄電池の使い方も、この線で考えます。


蓄電池の役割は「専用バッテリーを充電する」と「家を保つ」の2つ

では、医療機器のある家で蓄電池は何の役に立つのか。2つです。

1つ目は、機器の専用バッテリー・外部バッテリーを充電する電源になること。停電のあいだ、機器は自分のバッテリーで動きます。そのバッテリーを充電する先が、蓄電池の非常用コンセント(または全負荷型なら家のコンセント)です。充電器は「途中で切れても壊れない機器」なので、取扱説明書の接続禁止には当たりません。北海道の報告で「日中に病院や公共施設へ充電に行った人が24%」いたように、充電の場所を家の中に持てることが、蓄電池のいちばんの価値です。

2つ目は、家に居続けられる状態を保つこと。東北の冬の停電で、医療機器が動いていても家が冷えきれば、在宅を続けられません。冷蔵庫・照明・電気毛布・スマートフォン・停電情報を見る手段。これらを保つのが蓄電池のもう一つの役割です。暖房を何でしのぐかは停電の夜の暖房の記事(記事115)に書きました。

逆に言えば、蓄電池が無い家でも、この2つは「ポータブル電源」と「発電機」で代わりが利きます。仙台市の補助金が対象にしているのも、まさにその2つ(と、車のバッテリーから正弦波を作るインバーター)です。蓄電池を入れるかどうかは、医療機器の有無だけでなく、太陽光の有無・電気代・置き場所を含めて判断する話で、当社が運営するサイト「ソラカルテ」の概算シミュレーターで先に数字を見ておくことをおすすめします。


機器の消費電力を、公式の数字で並べます

持ち時間を計算するために、各機器の消費電力をメーカーの公式資料から拾います。

機器 消費電力(公式の数値) 出典
酸素濃縮装置 Dr.酸素 5L(流量2.0L/分) 平均約110Wh(1時間あたり) フィリップス・ジャパン「日常のお手入れ・使い方」
同 5L(3.0L/分) 平均約150Wh 同上
同 5L(4.0L/分) 平均約210Wh 同上
同 5L(5.0L/分) 平均約250Wh 同上
酸素濃縮装置 Dr.酸素 7L(3.0L/分以下) 約160Wh 同上
同 7L(7.0L/分) 約370Wh 同上
CPAP ドリームステーション 80Wの電源アダプタ(AC 100〜240V・2.0〜1.0A/DC 12V・6.67A) フィリップス・レスピロニクス 取扱説明書
人工呼吸器 トリロジー Evo バッテリ駆動 最大15時間(内部+着脱式) フィリップス公式製品ページ

酸素濃縮装置の消費電力は処方された流量で決まります。2L/分と5L/分では2倍以上ちがいます。ご自宅の機器の流量は処方箋どおりに固定されているはずなので、その流量の行を見てください。CPAPの80Wは電源アダプタの上限で、実際の平均消費電力はもっと小さいはずですが、公式の平均値が資料に無いので、この記事では上限の80Wで計算します(安全側の見積もりになります)。

同じフィリップスの資料には「停電に備え携帯用の酸素ボンベを用意しておきましょう」「たこ足配線(ほかの機器との併用)はやめましょう」という注意もあります。酸素濃縮装置を使っている方は、蓄電池の前にまず携帯用酸素ボンベの本数と残量が停電対策の一丁目一番地です。

砂利敷きの屋外に基礎ブロックで設置した蓄電池

▲ 当社施工事例:屋外の基礎ブロックに設置した蓄電池


5.5kWhの蓄電池で、何時間もつか

当社の停電時の持ち時間の記事(記事68)と同じ前提で計算します。カタログ6.5kWhの機種の初期実効容量5.5kWh、冷蔵庫は約33W、照明・スマートフォン・情報機器を合わせて約100W(合計133W)、電気毛布は定格47W。変換ロスは含みません。

計算の対象は「専用バッテリーを充電する電力」ではなく、仮に機器を蓄電池からの電気で動かし続けたときの電力です。充電の効率は機器ごとにちがい公表されていないので、ここでは「機器の消費電力ぶんを蓄電池が肩代わりする」という見方で持ち時間の目安を出します。

組み合わせ 合計の消費電力 5.5kWhでの目安
酸素濃縮装置(5L器・3L/分)だけ 約150W 約36時間
酸素濃縮装置+冷蔵庫+照明ほか 約283W 約19時間
上に電気毛布2枚を足す 約377W 約14時間
CPAP(上限80W)+冷蔵庫+照明ほか 約213W 約25時間
CPAPだけ(上限80W・夜間8時間使用) 約80W 1晩で約0.64kWh=8晩分以上

読み取っていただきたいことは2つです。

ひとつは、医療機器そのものの消費電力は、暖房と比べれば小さいということ。酸素濃縮装置で150W、CPAPは上限でも80W。セラミックファンヒーターの1,150〜1,250Wとは桁がちがいます。持ち時間を縮めるのは医療機器ではなく暖房です。

もうひとつは、それでも「日単位」にはならないということ。酸素濃縮装置と家の基本的な電気で約19時間、暖房を足せば約14時間です。2022年12月の新潟のように停電が何日も続いたとき、蓄電池だけで乗り切る計算は成り立ちません。太陽光があれば日中に充電できますが、雪が屋根に載っていれば発電はゼロです。「蓄電池で時間を稼ぎ、そのあいだに避難入院や充電先の判断をする」という位置づけが現実的です。

東北の−10℃では、この数字がさらに減ります

蓄電池は周囲温度が下がると取り出せる容量が減ります。当社が6社の性能表示ラベルを並べた記事(記事92)で確認した範囲では、−10℃のシステム容量利用率は25℃を100として74.8〜100.0でした。4分の1減る型番なら、上の表の持ち時間も4分の3です。約19時間は約14時間に、約14時間は約11時間になります。

気象庁の平年値(1991〜2020年)で、1月の日最低気温の平均は仙台−1.3℃・山形−3.1℃・盛岡−5.2℃です。屋外に置いた蓄電池の周囲温度は外気にほぼ従います。東北で持ち時間を見積もるときは、カタログの25℃の数字をそのまま使わないでください。


東北の冬の停電は「長い」——2022年12月の新潟で9日間

停電が何時間で終わるかは、誰にも約束できません。東北電力ネットワークは公式サイトの「災害時の対応の仕方」で、「被害が大きい場合や道路事情が悪く現場での作業が困難な場合などは長時間の停電になることがあります」と書いています。

実例があります。東北電力ネットワークの2022年12月27日のお知らせによると、2022年12月18日以降の大雪と23日からの暴風雪で、新潟県内で延べ84,950戸が停電し、すべて復旧したのは12月27日0時55分でした。主な原因は積雪に起因する倒木・倒竹(4,000か所超)による配電線の断線や接触で、他県からの応援約950名を含む約1,800名で復旧に当たったものの、「新たな積雪や暴風雪により、道路の除雪が難航し、設備被害箇所まで到着することが困難であった」とあります。

夏の台風の停電と、冬の大雪の停電はここがちがいます。復旧する人が現場にたどり着けない。しかも復旧した直後に別の倒木で再び停電する。9日間というのは、その積み重ねです。

医療機器のある家にとって、この9日間は「蓄電池で乗り切る期間」ではなく、「避難入院や充電先を確保する期間」です。停電の初日に蓄電池で時間を稼ぎ、そのあいだに主治医・訪問看護・機器の事業者と連絡を取る。蓄電池の役割はそこまでです。

濃茶の外壁に横並びで設置したパワーコンディショナ3台

▲ 当社施工事例:外壁に設置したパワーコンディショナ


仙台市には非常用外部電源の購入補助があります

自治体の側の備えも見ておきます。当社が2026年9月21日に公式ページで確認できた例として、仙台市の制度を挙げます。

仙台市「在宅人工呼吸器等使用者非常用外部電源購入費補助金」は、人工呼吸器・酸素濃縮器・電気式たん吸引器のいずれかを使い在宅で療養する方が対象で、令和8年度の受付が始まっています(ページ更新日 2026年7月29日)。

項目 内容(仙台市の公式ページより)
対象の機器 ①ポータブル電源(蓄電池):正弦波交流出力・定格出力300W以上、または人工呼吸器専用バッテリーで6時間以上使えるもの ②正弦波インバーター発電機:定格出力850VA以上 ③DC/ACインバーター(カーインバーター):正弦波・300W以上
補助基準額 75,000円(税込)。おひとり1点のみ
自己負担 購入費用の1割(市町村民税非課税世帯・生活保護世帯は基準額内なら0円)。基準額を超える分は全額自己負担
順番 販売店の見積書を取ってから申請 → 交付決定 → 購入。交付決定前に購入したものは対象外
期限 申請期限は1月31日。交付決定から30日以内に購入と実績報告
要件 仙台市の住民基本台帳に記録があり、災害時個別計画(パーソナルプラン等)を作成していること。指定難病等の受給者証や在宅酸素療法の助成決定通知などで証明
対象外 疑似正弦波(矩形波・補正正弦波)の製品、PSEマークの無い製品、インターネットでの購入、付属品・ガソリン等の維持費

補助金の中身から、自治体が何を「非常用電源」と考えているかが分かります。家庭用の据置型蓄電池ではなく、機器の近くに置けるポータブル電源・発電機・カーインバーターです。しかも「正弦波」と「300W以上」を条件にしています。安価なポータブル電源の中には疑似正弦波のものがあり、精密機器に向きません。ここは家庭用蓄電池の自立運転(正弦波の100V)が有利な点でもあります。

同じ仙台市には、在宅酸素療法や常時人工呼吸器を必要とする身体障害のある方に、酸素濃縮器・人工呼吸器の電気料金として月額3,000円を助成する制度もあります(2026年6月4日更新のページで確認)。

他の自治体にも同様の制度がある可能性があります。当社は今回、仙台市以外の東北の市で同じ形の制度を公式ページで確認できませんでしたが、「無い」とは書きません。お住まいの市町村の福祉・難病支援の窓口で「非常用電源の購入補助はありますか」と聞いてみてください。


停電の前に決めておく5つのこと

医療機器のある家で、当社が蓄電池のご相談を受けたときに必ずお伝えしていることです。

1. 主治医と機器の事業者に「停電のときの手順」を聞く。バッテリーの持ち時間、外部バッテリーの本数、避難入院の連絡先。これは施工店には決められません。仙台市の要項も「どの物品が適しているかは医療機器メーカーの担当者へ相談」としています。

2. 蓄電池は「全負荷型」か「特定負荷型」かを決める。特定負荷型は、あらかじめ配線したコンセントにしか電気が出ません。オムロンの説明にも「停電時に使える電気製品は、特定負荷用分電盤にあらかじめ配線しておいた機器です」とあります。医療機器の部屋のコンセントと、充電する場所を最初から設計に入れてください。詳しくは全負荷型と特定負荷型の記事(記事19)をご覧ください。

3. 停電に備えて残す残量(放電下限)を高めに設定する。多くの機種に「停電時に備えて◯%を残す」設定があります。蓄電池の冬の設定の記事(記事113)で確認したところ、オムロンの安心モードは初期値50%、ニチコンの非常時安心設定は30〜70%で選べます。医療機器のある家は、電気代より残量を優先する設定が向きます。

4. 停電の情報を見る手段を決める。東北電力ネットワークは公式サイトの「停電情報」と、東北6県と新潟県の停電・復旧の情報をスマートフォンに通知するアプリを提供しています。復旧の見込みが分かれば、避難入院に切り替える判断が早くできます。

5. 蓄電池を入れる前に、ポータブル電源と携帯用酸素ボンベを先に整える。順番はこちらが先です。フィリップスの資料が「停電に備え携帯用の酸素ボンベを」と書き、仙台市の補助がポータブル電源を対象にしているのは、そのためです。蓄電池は、そのうえで「家に居続ける」ための設備です。

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よくあるご質問

Q1. 蓄電池の自立運転のコンセントに、人工呼吸器を直接つないではいけないのですか?

A. ニチコンの取扱説明書は、非常時兼用コンセントについて「不安定な電源なので生命にかかわる機器(医療機器など)には絶対に使用しないでください」「途中で電源が切れると困る家電製品は接続禁止」と書いています。オムロンも停電から自立運転への切り替えに約5秒かかると公表しています。機器の内部・外部バッテリーを介して使う(蓄電池は充電の電源にする)のが、メーカーと仙台市の要項が示す使い方です。お使いの機種の取扱説明書と、機器の事業者の指示を優先してください。

Q2. 太陽光があれば、停電が何日続いても大丈夫ですか?

A. 日中に発電があれば充電できますが、東北の冬は雪が屋根に載ると発電が止まり、曇天では発電量が落ちます。2022年12月の新潟の停電は大雪の中で9日間続きました。太陽光と蓄電池は「時間を稼ぐ」設備であって、避難入院や充電先の確保に代わるものではありません。

Q3. 仙台市の補助金で家庭用蓄電池を買えますか?

A. 仙台市の要項は「ポータブル電源(蓄電池)」「正弦波インバーター発電機」「DC/ACインバーター」の3種類を対象にし、補助基準額は75,000円です。据置型の家庭用蓄電池を想定した制度ではありません。家庭用蓄電池の補助金は別の制度(宮城県・仙台市の住宅向け補助など)になります。制度は年度で変わるので、当社が運営するサイト「ソラカルテ」の補助金検索と、市の公式ページで確認してください。


まとめ

  • 厚労省の資料では、在宅人工呼吸器の内部・外部バッテリーは約30分〜11時間。停電で問題になるのは「止まるか」ではなく「何時間で止まるか」
  • ニチコンの取扱説明書は、蓄電池の非常用コンセントに医療機器を「接続禁止」と明記。オムロンは切替に約5秒。家庭用蓄電池は無停電電源装置ではない
  • 蓄電池の役割は「専用バッテリーを充電する」「家を保つ」の2つ。機器に直接つながない
  • 酸素濃縮装置は流量で110〜370W、CPAPはアダプタ上限80W。5.5kWhで酸素濃縮装置+家の基本の電気で約19時間、暖房を足すと約14時間。−10℃ではさらに4分の3
  • 東北の冬の停電は長い。2022年12月の新潟は9日間。蓄電池で稼いだ時間で、避難入院と充電先を決める
  • 仙台市の非常用外部電源補助は基準額75,000円・自己負担1割・交付決定前の購入は対象外。対象はポータブル電源・発電機・カーインバーター

医療機器のある家の停電対策は、蓄電池から始まりません。主治医と機器の事業者への確認、携帯用酸素ボンベ、ポータブル電源。そのうえで、家に居続けるための蓄電池です。順番を間違えないでください。

※本記事は2026年9月21日時点で各機関・各社が公開している資料にもとづいています。引用した数値・文言は、厚生労働省、東北電力ネットワーク、仙台市、ニチコン、オムロン ソーシアルソリューションズ、フィリップス・ジャパンの公式ページ・PDFから引用しました。医療機器の停電時の扱いは、必ず主治医と機器を納入している事業者にご確認ください。蓄電池の持ち時間の計算は初期実効容量5.5kWh・変換ロスなしの目安であり、機種・温度・使い方で変わります。

出典

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監修・執筆:株式会社ファナス 代表取締役 不藤政次|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら

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