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施工する側から言うと、蓄電池とエコキュートの基礎は「凍結深度」を見てから決めてほしいんです|仙台市の早見表では標高0mで約18cm、標高500mの山あいで約61cm——地面が凍って持ち上がる「凍上」と、東北の屋外機器の足元の話【2026年版】

蓄電池・エコキュートの基礎と凍結深度|東北の凍上対策

先に結論
東北で蓄電池・エコキュートを屋外に置くとき、基礎の深さは「凍結深度」で決めます。地面が凍る深さより根入れが浅いと、冬に持ち上がり、春に沈みます。
仙台市の早見表では、標高0mの仙台で17.66cm、標高500mの大衡で61.43cm。同じ市内でも3倍以上ちがいます。
建物の基礎は建設省告示1347号で「凍結深度より深く」と決まっていますが、蓄電池・エコキュートの工事説明書に凍結深度の記載はありません。判断は施工店に委ねられています。
見積りのときに「基礎の根入れは何cmですか。凍結深度はいくつで見ましたか」と聞いてください。

施工する側から言うと、蓄電池とエコキュートの基礎は「凍結深度」を見てから決めてほしいんです。

蓄電池もエコキュートの貯湯タンクも、屋外に置くときはコンクリートの基礎の上に据えてアンカーで固定します。カタログには「屋外設置」としか書かれていないので、基礎は「置ければよい」と思われがちです。ただ東北では、冬のあいだに地面そのものが凍って持ち上がることがあります。「凍上(とうじょう)」と言います。

基礎の根入れが、その凍る深さ——凍結深度——より浅いと、冬に機器ごと持ち上がり、春に融けて沈みます。年に1回、数ミリから数センチのことですが、繰り返せば基礎が傾き、配管の継ぎ目に力がかかります。この記事では、仙台市・福島県・岩手県・北海道の公式資料と、ニチコン・三菱電機・パナソニックの工事説明書を読んで、東北の屋外機器の「足元」をどう決めるかを書きます。

凍上とは何か——地面の水が氷になって、体積が増える

土の中には水があります。気温が氷点下の日が続くと、地表から順に土が凍り、土の中の水が氷になります。氷になると体積が増え、さらに凍っていない下の層から水を吸い上げて氷の層(アイスレンズ)が育ちます。この膨らみが、上に載っているものを押し上げます。これが凍上です。

福島県の「土木設計マニュアル(道路編)」は、道路の話としてこう書いています。

寒冷地域における舗装は、路床土の凍結融解の影響により破損することがあるので、その対策が必要である。すなわち、凍結融解の影響が大きければ、冬期は凍上により路面のひび割れや平たん性の悪化を招く一方、春先には融解により路床土の支持力が低下し、舗装の破損を招くことになる。

道路の下で起きていることは、住宅の外構でも同じです。冬に持ち上がり、春に支持力が落ちて沈む。この上下動が、基礎とその上の機器に1年1回かかります。

対策の考え方も、同じマニュアルにあります。凍る深さまでを「凍上の生じにくい材料、たとえば砂利や砂のような均一な粒状材料で置き換える」。住宅の基礎でいえば、根入れを凍結深度より深く取り、下に割栗石や砕石を入れる、ということです。


建物の基礎には「凍結深度より深く」という決まりがあります

住宅そのものの基礎には、国の基準があります。福島県建築指導課のページはこう説明しています。

建築物の基礎の構造や構造計算の基準は、平成12年建設省告示1347号に定められており、根入れ深さは、布基礎で24cm以上、べた基礎で12cm以上等とするとともに、凍結深度より深くするよう規定されています。

つまり「布基礎は24cm以上」は最低限で、それより凍結深度が深い土地では、凍結深度のほうが基準になります。仙台市・いわき市・岩手県も、同じ告示を引いて同じ説明をしています。

ここで大事なのは、この決まりは「建築物」の基礎の話だということです。蓄電池やエコキュートの据付基礎は建築物ではないので、この告示の対象ではありません。だからといって、地面が凍らないわけではありません。土は建築物と機器の基礎を区別しません。


凍結深度は、県も市も「決めていない」——仙台市の早見表だけが数字を出しています

では、その凍結深度はいくつなのか。東北の公式資料を読むと、意外なことに、県も市も「数値を定めていない」と書いています。

自治体 公式ページの説明(要旨)
仙台市 法により深度計測方法が規定されておらず、気温・地形・地質・地下水位・標高・積雪量など様々な要因で変わり、市に実測値のデータがない。設計者が敷地の実況を調査し、自らの判断により凍結深度を設定する
福島県・いわき市 一律に地域ごとの数値や計算式を定めていない。道路舗装の分野で県内各地域の凍結深度を定めているので、各地域の最大凍結深度や算出の考え方を参考にする
岩手県 県が定めている数値はない。設計者が様々な資料やデータを参考にし、敷地の実況を調査し、自らの判断により設定する

出典:仙台市「構造計算で必要となる数値について」、福島県「凍結深度と建築物の基礎の設計」、いわき市「建築物の基礎の設計に係る凍結深度について」、岩手県「積雪荷重・凍結深度・風圧力についての説明資料」(2026年9月20日確認)

つまり、東北では凍結深度を「決める責任」が設計者・施工者の側にあります。ここが、施工店の腕と誠実さが出るところです。

そのなかで仙台市は、参考として「以前に道路舗装工事で設計する際に行われていた方法」の早見表を公開しています。市内を区域番号で分け、標高ごとに凍結深度を読む表です。抜粋します。

計画地の標高 (13) 大衡 (14) 新川 (15) 川崎 (16) 仙台 (18) 仙台空港
0m 32.33cm 31.43cm 30.33cm 17.66cm 25.88cm
100m 39.00cm 38.57cm 37.00cm 20.78cm 31.76cm
200m 45.00cm 45.33cm 43.24cm 23.91cm 35.00cm
300m 50.83cm 51.76cm 49.12cm
400m 56.32cm 57.50cm 54.72cm
500m 61.43cm 62.89cm 60.00cm

出典:仙台市「構造計算で必要となる数値について」凍結深度早見表(2026年9月20日確認)。区域番号は市の「設計凍結深図」による

同じ仙台市でも、標高0mの市街地で約18cm、大衡・新川方面の標高500mで約61cm。3倍以上の差があります。市街地の平地なら、後で見る工事説明書の施工例(コンクリート厚さ300mm)で凍結深度を下回りますが、泉区や青葉区の山あい、標高300mを超える住宅地では、同じ施工例では足りません。

比較のために北海道を見ると、北海道庁は市町村ごとの標準値を公表していて、千歳市・恵庭市・北広島市が60cm、上川の当麻町は100cmです。東北の内陸・山沿いは、この北海道の値に近づいていくと考えるのが安全です。

基礎ブロックで高さを確保して屋外に設置した蓄電池2台とパワーコンディショナ

▲ 当社施工事例:基礎で高さを確保した屋外の蓄電池


工事説明書は「凍結深度」に触れていません——3社を読んだ結果

では、蓄電池・エコキュートのメーカーは基礎の深さをどう指示しているのか。当社が実際に施工している機種の工事説明書を3つ読みました。

メーカー・機種 基礎についての記載 凍結深度の記載
ニチコン ESS-U2L1(蓄電池)工事説明書 「アンカー仕様、コンクリート強度などについて、『本体質量226kg、寸法1060×300×1250mm』に耐える基礎になるよう専門の工事事業者と十分ご相談のうえ、実施してください」。積雪地では基礎高さを地盤面より40cm以上を推奨、融雪水が流れ込まないようかさ上げ なし
三菱電機 エコキュート(寒冷地向け)据付工事説明書 ヒートポンプユニットは必ず防雪架台を使用。砂利や土の上に置くときはコンクリート基礎(施工例 1200×600×100mm)と割栗石。貯湯ユニットは満水時の質量に耐える基礎、コンクリート圧縮強度18MPa以上、アンカーボルト引き抜き力12kN以上 なし
パナソニック エコキュート HE-K37BQES ほか 工事説明書 貯湯ユニットは「タンクが満水になると重くなるため、床面の強度が十分か確認する。またはコンクリート床の基礎工事を行う」。施工例はコンクリート300mm以上の下に割栗石、圧縮強度18.3MPa以上。積雪地帯はヒートポンプユニットを高脚置台に据え、室外機屋根を設ける なし

出典:各社の工事説明書(公開PDF・2026年9月20日確認。URLは記事末尾)

3社とも、基礎の「強さ」(重さに耐える・アンカーが抜けない)と、雪の「高さ」(埋まらない・融雪水が入らない)は書いてあります。ただ、地面が「凍る深さ」については、どこにも書かれていません。ニチコンははっきり「専門の工事事業者と十分ご相談のうえ」としています。

これはメーカーが不親切なのではなく、前の章のとおり凍結深度は土地ごとに違い、国も県も数字を決めていないからです。全国向けの説明書に書けないのは当然で、その代わりに現地を見る施工店に委ねている、と読むべきです。


施工例の「300mm」を、凍結深度と並べてみます

パナソニックの施工例はコンクリート300mm以上、三菱電機のヒートポンプ用の施工例は厚さ100mmのコンクリートの下に割栗石です。これを仙台市の早見表と並べると、次のようになります。

  • 仙台の市街地(標高0〜100m・17.66〜20.78cm):施工例どおりの300mmのコンクリートに割栗石を入れれば、凍結深度は下回ります
  • 仙台空港・名取方面(標高0m・25.88cm):同じく下回ります
  • 大衡・新川・川崎方面の標高200m(43〜45cm):300mmでは足りません。根入れを深くするか、凍上しにくい砕石層を厚くします
  • 標高400〜500m(55〜63cm):北海道の標準値と同じ水準です。建物の基礎と同じ考え方で、凍結深度より深い根入れが要ります

もちろん、施工例の300mmは「凍結深度を想定した数字」ではなく、重さとアンカーのための例です。ここで言いたいのは、同じ施工例を、平地と山あいに同じように当ててはいけないということです。当社が見てきた範囲でも、山沿いの家で「基礎が浮いた」「配管の継ぎ目からにじんだ」というご相談は、ほとんどが冬明けの春に来ます。

基礎で確かめる3つ
根入れ:地面の下に何cm入れるか。凍結深度より深いか。
下地:コンクリートの下に割栗石・砕石を何cm入れるか(凍上しにくい材料に置き換える層)。
高さ:地面の上に何cm出すか。ニチコンの積雪地の推奨は40cm以上。
「深さ」と「高さ」は別の話です。どちらも聞いてください。


東北で「足元」を決める順番——凍結深度・積雪・排水の3つを一緒に見る

凍結深度だけを見ればよいわけではありません。東北の屋外機器の足元は、次の3つを同時に満たす必要があります。

  1. 凍結深度より深く根入れする(この記事の主題)。土地の標高・日当たり・地下水位で変わるので、施工店が現地で決めます
  2. 雪に埋もれない高さにする。ニチコンは積雪地で地盤面から40cm以上の基礎高さを推奨し、背面の吸排気口が塞がれると異常停止の可能性が高くなると書いています。エコキュートのヒートポンプは各社とも防雪架台・高脚置台と屋根が前提です。吸排気口と雪囲いの話は蓄電池・パワコンの吸排気口の記事(記事110)に書きました
  3. 水を溜めない。融雪水が基礎まわりに溜まると、それが凍って凍上を大きくします。ニチコンが「融雪水が蓄電システムに流れ込まない様にかさ上げ」と書くのはこのためです。エコキュートはヒートポンプのドレン水(霜取りのたびに出ます)が足元に落ちるので、寒冷地ではドレンホースをつながず、砂利など水が抜ける地面に置くのが各社の指示です。霜取りの仕組みはエコキュートの霜取り運転の記事(記事117)にあります

この3つは互いに関係しています。深く根入れしても、まわりに水が溜まれば凍上は起きます。高く上げても、根入れが浅ければ持ち上がります。現地で「どこに雪が積もり、どこに水が流れ、地面は何でできているか」を見て、3つを一度に決めるのが施工店の仕事です。

砂利敷きの通路に設置したエコキュートの貯湯タンクとヒートポンプ

▲ 当社施工事例:砂利敷きに設置したエコキュート

なお、屋内に置けば凍上は関係ありませんが、当社は蓄電池の屋内設置をおすすめしていません。万一の出火のときに建物・家財・避難経路へ燃え広がる危険があるからで、東北でも蓄電池からの出火は実際に起きています。屋内が候補になるのは、重塩害地域・−20℃以下の寒冷地・豪雪地域で屋外に置く手立てがどうしても無いときだけです。詳しくは屋内設置と結露の記事(記事98)をご覧ください。


見積りのときに聞くこと——「凍結深度はいくつで見ましたか」

蓄電池やエコキュートの見積書に、基礎の根入れ深さが書いてあることはまずありません。「基礎工事 一式」です。ですから、契約の前に口頭で聞いてください。

  • 「基礎の根入れは何cmですか」
  • 「凍結深度はいくつで見ましたか。根拠はありますか」(仙台市なら早見表、他の市町村なら道路の設計値や施工店の実績)
  • 「コンクリートの下に砕石・割栗石は入れますか。何cmですか」
  • 「地面からの高さは何cmですか。雪と融雪水はどう逃がしますか」

「凍結深度」という言葉を聞いて、標高や敷地の地面の話が返ってくる施工店なら、東北の冬を分かっています。「メーカーの標準どおりです」で終わる場合は、その標準が凍結深度を含んでいないことを、この記事の3社の表を見せて伝えてください。

基礎は、機器を替えるときにも残ります。10年後に蓄電池を入れ替えるとき、傾いた基礎はやり直しになります。最初に凍結深度を見ておくことは、機器の値段に比べれば小さな差で、10年分の安心を買う話です。

見積書の中身が妥当かどうかは、当社が運営するソラカルテ見積書AI診断で確かめられます。基礎工事の項目が「一式」でも、機器と工事費の配分は読めます。

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よくあるご質問

Q1. 仙台市以外に住んでいます。自分の土地の凍結深度はどこで分かりますか。

A. 県や市が数値を公表していない地域がほとんどです(福島県・岩手県は「設計者が判断する」と明記)。福島県は道路の設計マニュアルに各地域の凍結指数と凍結深さの求め方を載せているので、施工店はそれを参考にできます。実務では、その土地で住宅の基礎を施工している工務店や、水道管の埋設深さ(水道局は凍結深度より深く埋めます)から見当をつけます。「うちの地域はいくつで見ていますか」と施工店に聞いてください。

Q2. すでに設置済みの蓄電池の基礎が、冬に少し浮いた気がします。どうすればよいですか。

A. まず春に、基礎とコンクリートの間、基礎と地面の間に隙間ができていないか、機器が傾いていないかを見てください。配管の継ぎ目に水のにじみ跡があれば、施工店に連絡してください。1〜2mmの上下は土のある場所ならどこでも起きますが、年ごとに傾きが増えるなら、基礎まわりの排水を直す・凍上しにくい砕石に置き換えるといった対処があります。自分で持ち上げたり、隙間にモルタルを詰めたりはしないでください。

Q3. ブロックを置いてその上に据える工事を提案されました。問題ありますか。

A. ニチコン・三菱電機・パナソニックの工事説明書は、いずれもコンクリート基礎にアンカーで固定する前提です(ニチコンは「専門の工事事業者と相談」、三菱電機はアンカーボルト引き抜き力12kN以上)。ブロックを置いただけでは、重さには耐えても、地震や凍上で動いたときにアンカーが効きません。東北では凍上と地震の両方があるので、当社はコンクリート基礎とアンカー固定を標準にしています。提案の理由(既存の土間があるなど)を確かめてください。


まとめ

  • 凍上=地面の水が凍って体積が増え、上のものを持ち上げる現象。冬に上がり、春に沈む。基礎の根入れが凍結深度より浅いと起きる
  • 建物の基礎は建設省告示1347号で「布基礎24cm以上・べた基礎12cm以上、かつ凍結深度より深く」。蓄電池・エコキュートの基礎はこの告示の対象外だが、土は区別しない
  • 凍結深度は仙台市・福島県・岩手県とも「数値を定めていない」。設計者・施工者が現地で判断する
  • 仙台市の早見表では標高0mの仙台で17.66cm、標高500mの大衡で61.43cm。同じ市内で3倍以上。北海道は市町村ごとに60〜100cmが標準
  • ニチコン・三菱電機・パナソニックの工事説明書に凍結深度の記載はない。重さ・アンカー・雪の高さは書いてあるが、凍る深さは施工店に委ねられている
  • 施工例のコンクリート300mmは仙台の平地なら凍結深度を下回るが、標高200m以上の山あいでは足りない
  • 足元は根入れの深さ・雪に埋もれない高さ・水を溜めない排水の3つを一度に決める
  • 見積りで聞くのは「根入れは何cm」「凍結深度はいくつで見たか」「砕石は入れるか」「地面からの高さは」

基礎は、機器より長く残ります。東北で屋外に置くなら、足元の深さから話を始めてください。

※本記事は2026年9月20日時点で各自治体・各メーカーが公開している資料にもとづいています。凍結深度は敷地の標高・地質・地下水位・積雪で変わり、仙台市の早見表も「参考」として公開されているものです。実際の基礎の仕様は、現地を確認した施工店の判断で決まります。

出典

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監修・執筆:株式会社ファナス 代表取締役 不藤政次|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら

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