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「冬になるとお湯が足りなくなるんです」と言われた方へ|エコキュートの霜取り運転で沸き上げが止まる仕組みと、東北で沸き上げ時間を長めに取る設定の考え方【2026年版】

エコキュートの霜取り運転|冬に沸き上げが止まる仕組みと東北の設定

先に結論
冬にお湯が足りなくなる原因のひとつは、ヒートポンプの「霜取り運転」です。沸き上げを一時的に止めて、熱交換器についた霜を溶かします。
ヒートポンプから出る風は外気温よりおおむね10℃低く(パナソニックFAQ)、東北の冬は運転中にフィンが氷点下になります。
三菱電機は「冬場でも1時間に約40〜60L、7〜8時間で満タン」と公表しています。夜間時間帯(東北電力は10〜12時間)を、霜取りのぶんも含めて使い切る設定にしてください。
湯気・水・音は霜取りの証拠で、故障ではありません。ただし寒冷地ではドレンホースをつながないのが各社の指示です。

「夏は何ともないのに、冬になるとお湯が足りなくなるんです」というご相談を、毎年11月から2月にかけてよくいただきます。

家族の人数は変わっていない。設定も触っていない。それなのに、冬だけ湯切れの表示が出る。原因はいくつかありますが、東北で見落とされやすいのが「霜取り運転」です。

エコキュートは、外の空気から熱を集めてお湯を沸かす機械です。集めるときに熱交換器が冷え、冬は霜がつきます。霜がつくと熱を集められなくなるので、いったん沸き上げを止めて霜を溶かす——これが霜取り運転です。沸かしている時間が、冬は目減りする。この記事は、その仕組みと、東北の家で設定をどう考えるかを、パナソニック・三菱電機・コロナ・ダイキンの公式資料だけで整理します。凍結の話はエコキュートの凍結対策の記事、寒冷地仕様の選び方は寒冷地でどう選ぶかの記事に分けています。

ヒートポンプから出る風は、外気温マイナス10℃

まず、なぜ霜がつくのかです。パナソニックのFAQに、答えがそのまま書かれています。

【エコキュート】ヒートポンプユニットから冷たい風が出ていますが、何度くらいの風ですか?
●おおむねその時の外気温マイナス10℃の風がでます。(パナソニック よくあるご質問)

ヒートポンプは、外の空気から熱を奪ってお湯に移す機械です。熱を奪われた空気は冷たくなって出ていきます。その温度差が約10℃。つまり、外気温が10℃を下回ると、熱交換器の表面は氷点下になります。

空気には水分があります。氷点下の面に触れた水分は、水滴ではなく霜になります。三菱電機の冬期の案内には、こう書かれています。

ヒートポンプユニットのフィンに霜が付き、白くなることがあります。また、付着した霜がファンにあたり、音が出ることがあります。
湿度が高いときは、自動で除霜がはたらくため、ヒートポンプユニットの運転音が大きくなる場合があります。(三菱電機「三菱エコキュート 冬期に多いお問い合わせ」)

外気温 熱交換器のおおよその温度(外気温−10℃) 起きること
15℃ 5℃ 結露して水が出る
10℃ 0℃ 霜がつきはじめる
0℃ −10℃ 霜がつく。霜取りが入る
−10℃ −20℃ 霜がつく。空気が乾いていれば霜は少ない

出典:パナソニックFAQの「外気温マイナス10℃」を当てはめた目安。実際の温度は機種・運転状態で変わります

気象庁の平年値(1991〜2020年)で、1月の平均気温は仙台2.0℃・山形−0.1℃・盛岡−1.6℃、日最低気温の平均は仙台−1.3℃・山形−3.1℃・盛岡−5.2℃です。東北の冬は、沸き上げのほぼ全時間で熱交換器が氷点下にあると考えてください。

建物のすき間に設置した薄型エコキュートの貯湯タンクとヒートポンプ

▲ 当社施工事例:建物のすき間に設置したエコキュート


霜取り運転は「沸き上げを止めて」霜を溶かします

霜がついた熱交換器は、空気が通らなくなり、熱を集められません。そこでエコキュートは自動で霜取り運転に入ります。三菱電機のFAQは、このときヒートポンプから何が出るかを具体的に書いています。

●運転中は空気が熱交換器のフィンにより冷やされることで、空気中の水分が結露し、ヒートポンプユニットから水が出ます。最大毎分0.5L程度の水が継続して出ますが故障ではありません。
●外気温度が低い場合は、運転中に熱交換器のフィンについた霜を溶かすために霜取りを実施しています。霜が溶けるとヒートポンプユニットから一時的に大量の水が出ますが故障ではありません。(三菱電機 よくあるご質問「ヒートポンプユニット(室外機)から水が漏れる。または下が濡れている。」)

コロナのFAQも同じことを書いています。

冬季はヒートポンプユニット背面に霜が付く場合があります。霜取り運転時に融けた霜がドレン水となって排水されます。(コロナ「ヒートポンプユニット よくあるご質問」)

パナソニックのFAQは短く、「異常ではありません。結露した水や霜取りをしたため、水や蒸気が出ます」「冬季は運転中に霜がつくことがあります」です。

ここで大事なのは、霜取りのあいだ、お湯は沸いていないという点です。霜を溶かすあいだ、集めた熱はお湯ではなく霜に使われます。霜が溶けて水になり、蒸気が上がり、音が変わる。その時間ぶん、沸き上げは後ろにずれます。

冬の夜、ヒートポンプの上から白い湯気が立っているのを見て「壊れた」と思う方がいますが、湯気・水・音の3つは霜取りの証拠です。故障ではありません。

故障を疑うのはこちら
三菱電機のFAQは、「ヒートポンプユニットの運転が停止しているにも関わらず、常にヒートポンプユニット周辺だけが乾くことなく水漏れしている場合」は据付工事店へ点検を相談するよう書いています。動いていないのに濡れているのが、故障の側です。


冬は「沸く量」も減ります——1時間に40〜60L

霜取りで沸き上げが止まる時間が増えるだけでなく、動いているあいだの沸き上げの速さも冬は落ちます。三菱電機のFAQに、冬の目安が数字で書かれています。

水温や外気温などによっても異なりますが、冬場でも1時間に約40~60Lの熱いお湯が沸きますので、7~8時間でタンク全体が湯で満タンになります。(三菱電機 よくあるご質問「わき上げ中を表示しています。お湯はどの位の時間で沸きますか」)

370Lや460Lのタンクで、冬は満タンまで7〜8時間。ここに霜取りの時間が乗ります。

もうひとつ、冬に効いてくるのがタンクからの放熱です。三菱電機の冬期の案内は「タンクからの放熱で、お湯を使っていないのに残湯量が減ることがあります。また、タンク内の温度が上がらないこともあります」と書いています。屋外に置いたタンクは、夜のあいだに外気で冷やされます。沸かすのに時間がかかり、沸いたお湯は冷めやすい。冬の湯切れは、この2つが重なって起きます。


東北電力の夜間は10〜12時間。ここを使い切る

では、どう設定するか。考え方は1つです。夜間時間帯を、霜取りのぶんも含めて使い切る。

東北電力の時間帯別プランの夜間は、次のとおりです(蓄電池の冬の設定の記事で東北電力の公式ページから確認した時間帯です)。

プラン 夜間の時間帯 長さ
よりそう+スマートタイム 22時〜8時 10時間
よりそう+ナイト&ホリデー 22時〜8時 10時間
よりそう+ナイト12(新規受付終了) 21時〜9時 12時間

出典:東北電力 各プランの公式ページ(2026年9月17日確認)。時間帯の詳細と単価は公式ページでご確認ください

三菱の目安どおり満タンに7〜8時間かかるなら、10時間の夜間から霜取りを引いて、ぎりぎり収まるかどうか、という計算です。ここから、東北の家で見ておきたい設定が3つ出てきます。

1. 沸き上げモードを「控えめ」にしない

コロナのFAQは、湯切れの原因の1番目に運転モードを挙げています。

運転モード/沸上げモードが「湯控えめ」「深夜のみ控えめ」「おまかせ省エネ」は、沸き上げ温度を低く抑えています。運転モード/沸上げモードの設定を「おまかせ」に変更してみてください。(コロナ よくあるご質問「お湯が足りない日や湯切れする日があります」)

秋に電気代を抑えようと「控えめ」にしたまま冬を迎えると、霜取りで目減りした沸き上げに、低めの沸き上げ温度が重なります。冬の入り口で「おまかせ」に戻すのが最初の1手です。冬の電気代の記事で書いたとおり、「多め」に固定するのは効率が落ちるので、基本は「おまかせ」です。

2. 使う量が変わった週は、学習が追いつかない

コロナのFAQの2番目は、使用量の変化です。

いつもの使用量に合わせて、お湯を沸き上げていますので、いつもと違う使用量の日は足りなくなる場合があります。(同上)

冬は入浴時間が長くなり、追いだきや保温も増えます。「おまかせ」は過去の使用量から翌日の沸き上げ量を決めるので、寒くなった最初の週は、学習が追いつかずに足りない日が出ます。その週だけは「沸き増し」で補い、学習が追いついたら手を放す、という運用です。

3. 「昼間に沸いている」のは、夜で足りなかった合図

コロナのFAQには、昼間の沸き上げについてもこう書かれています。

エコキュートは主に、電気代が昼間よりも割安な夜間にお湯を沸かして貯めますが、使い方によっては湯切れしないように、昼間も運転する場合があります。(同上)

昼間にヒートポンプが動いているのを見かけたら、夜間だけでは足りなかったということです。故障ではありませんが、昼間の単価で沸かしている状態です。冬にこれが続くなら、夜間の沸き上げ量が足りていないので、1と2を見直します。

レンガ調外壁の前に設置したエコキュートの貯湯タンクとヒートポンプユニット

▲ 当社施工事例:エコキュートの貯湯タンクとヒートポンプユニット


「あらかじめ霜取り」——沸き上げ後に霜を残さない機種があります

メーカー側も、霜取りで沸き増しが遅れることを問題として見ています。ダイキンの機能一覧には、こう書かれています。

あらかじめ霜取り 沸き上げ運転後、室外機に霜がついていたらすぐ霜取り運転を開始。急な沸き増しが必要な場合に備えます。(ダイキン「エコキュート 安心機能」)

夜間の沸き上げが終わったあと、熱交換器に霜がついたままだと、昼に沸き増しが必要になったとき、まず霜取りから始まります。それを避けるために、沸き上げ後すぐ霜を溶かしておく機能です。「霜取りは沸き上げを遅らせる」という前提が、メーカーの機能設計にも入っているということです。

同じページには「降雪対応ファン設定」もあります。

降雪対応ファン設定 降雪で室外機の送風ファンが動かなくなることを防ぎます。寒冷地仕様機種は入切設定はありません。(同上)

寒冷地仕様は、この設定を切れないようにしてあります。霜と雪は別の話ですが、どちらも「熱交換器の空気の通り道をふさぐ」点で同じです。寒冷地仕様の記事で書いた「東北では寒冷地仕様を選ぶ」は、ここにもつながります。


寒冷地では、ドレンホースをつながない

霜取りで溶けた水は、ヒートポンプの下から出ます。一般地では、この水をドレンホースで排水口へ流す工事をすることがあります。ところが寒冷地では、各社が「つながない」と指示しています。

●お住いの地域が、寒冷地の場合には排水工事はできません。(ドレンホース内部でドレン水が凍りつく恐れがあり、故障の要因となるため)(三菱電機 よくあるご質問)

※寒冷地ではドレンニップル、ドレンホースは接続しないでください。(コロナ よくあるご質問)

理由は単純で、ホースの中で水が凍ると、次の霜取りの水が行き場をなくすからです。ヒートポンプの下に氷が育ち、最悪はファンや熱交換器にまで届きます。

東北でエコキュートを設置するときに、当社が現地で見るのはここです。ヒートポンプの下に水が落ちて、凍っても機器に触らず、通路にも張り出さない場所か。砂利敷きにする、勝手口の動線から外す、といった判断は、この「冬に毎晩、水が出る」前提から決めています。「ドレンホースがついていない」のは手抜きではなく、寒冷地の正しい施工です。

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蓄電池のある家は、充電時間帯との重なりも見る

エコキュートと蓄電池を両方お持ちの家で、冬に増える相談がもうひとつあります。ニチコンの蓄電池のQ&Aに、次の記載があります。

通常使用時にエコキュートが稼働する深夜帯などで、蓄電池の充電時間帯と重なって、充電に時間がかかったり、または満充電にならない場合もあります。(ニチコン「蓄電システム Q&A」)

エコキュートの沸き上げは、冬は7〜8時間+霜取り。蓄電池の充電は、オムロンの取扱説明書で「8時間以上を推奨」。どちらも夜間10〜12時間の中に置くので、重なります。契約アンペアの範囲で両方が同時に動けるかは、契約アンペアと分電盤の記事で書いた計算が要ります。冬に「蓄電池が満充電にならない」「お湯が足りない」の両方が出る家は、この重なりを疑ってください。

補助金を使ってエコキュートを入れ替える予定の方は、当社が運営するソラカルテ補助金検索で、お住まいの市町村の制度を確認できます。寒冷地仕様のエコキュートも国の給湯省エネ2026事業の対象です(撤去加算の記事)。


よくあるご質問

Q1. 冬の夜、ヒートポンプから白い湯気が出て、大きな音がします。故障ですか。

A. 霜取り運転の可能性が高く、故障ではありません。パナソニック・三菱電機・コロナとも、冬季に霜がつくこと、霜取りで水や蒸気が出ること、音が大きくなることをFAQに書いています。故障を疑うのは、三菱電機のFAQにあるとおり「運転が停止しているのに、周辺だけが乾くことなく濡れ続けている」ときです。

Q2. 霜取りは1晩に何回、何分くらい入りますか。

A. 各社とも回数や時間は公表していません。外気温・湿度・機種で変わるためです。目安として持てるのは、三菱電機の「冬場でも1時間に約40〜60L、7〜8時間で満タン」と、パナソニックの「風は外気温マイナス10℃」の2つです。夜間10時間の中で満タンに7〜8時間かかるなら、霜取りの余裕は多くて2〜3時間、と逆算してください。

Q3. 霜がつかないように、ヒートポンプにカバーをかけてもいいですか。

A. やめてください。ヒートポンプは空気を吸って熱を集める機械なので、吸込口・吹出口をふさぐと熱を集められず、霜取り以前に沸き上げができなくなります。雪よけは「上に屋根をかける」「吸込口の前を空ける」の2点で、機器を包む形にはしないでください。積雪地の据付条件は工事説明書に従います。


まとめ

  • 冬にお湯が足りなくなる原因のひとつは霜取り運転。ヒートポンプから出る風は外気温マイナス10℃(パナソニック)で、東北の冬は運転中ずっと熱交換器が氷点下
  • 霜取りのあいだは沸き上げが止まる。湯気・水・音は霜取りの証拠で故障ではない。故障は「止まっているのに濡れ続ける」(三菱電機)
  • 冬の沸き上げは1時間に約40〜60L、満タンまで7〜8時間(三菱電機)。東北電力の夜間は10〜12時間で、霜取りの余裕は多くて2〜3時間
  • 設定は①「控えめ」を「おまかせ」に戻す ②寒くなった週は沸き増しで補う ③昼に沸いていたら夜が足りない合図(コロナFAQ)
  • 「あらかじめ霜取り」のように、霜取りが沸き増しを遅らせる前提で作られた機能がある(ダイキン)
  • 寒冷地ではドレンホースをつながない(三菱電機・コロナ)。ホースの中で凍るため。ついていないのは正しい施工
  • 蓄電池と併用する家は、深夜の充電時間帯とエコキュートの沸き上げが重なる(ニチコン)

「冬になるとお湯が足りない」は、機械が弱っているのではなく、冬の空気がそういう空気だから起きます。仕組みが分かれば、設定で先回りできます。

※本記事は2026年9月19日時点で各社が公開している資料にもとづいています。引用した数値・文言はパナソニック、三菱電機、コロナ、ダイキン、ニチコン、オムロン、東北電力、気象庁の公式ページ・PDFから引用しました。霜取りの頻度・時間・沸き上げ速度は機種・外気温・湿度・使い方で変わります。お手元の取扱説明書と施工店で必ずご確認ください。

出典

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監修・執筆:株式会社ファナス 代表取締役 不藤政次|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら

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