蓄電池14分で読めます

施工する側から言うと、容量より先にラベルの3行を見てほしいんです|メーカー6社の性能表示ラベルを、同じ読み方で並べる【東北・2026年版】

蓄電池の性能表示ラベル6社を同じ読み方で並べる

先に結論
蓄電池の低温性能は、3つの物差しで読めます。
−10℃の数字そのもの、25℃からの落ち幅、25℃を100としたときの残り方の3つです。
どれを使うかで製品の並び順が入れ替わるので、順位づけは成り立ちません。
見積書に書かれた型番の3行を、自分で読めるようにするための記事です。

施工する側から言うと、カタログの容量より先に見てほしい行があります。性能表示ラベルの「システム容量利用率」の3行です。

当社はこれまで、メーカーごとの記事の中でこのラベルを読んできました。ただ、記事ごとに切り口が違っていて、読み方がそろっていませんでした。 ある記事では「落ち幅は何ポイントか」、別の記事では「25℃を100としたら何%残るか」という書き方をしていました。

今回は、同じ読み方で並べ直します。 対象は、公開されているラベルを当社が実際に確認できた 6社です。

この記事は、機種選びの答えではありません
容量も構成も電池の種類も設置条件も違う製品です。
数字の大小で順位を付けることに意味はありません。
目的は「自分が受け取った見積書の型番を、自分で読めるようにする」ことだけです。

・ ・ ・

そもそもラベルの「3行」とは何か

性能表示ラベルは、蓄電システムの性能を決められた11項目・決められた様式で表示するものです。測定は JIS C 4413、様式は JIS C 4414 で決まっています。法律上の義務ではなく、メーカーが参加して表示する仕組みです。

その11項目のうち、東北で効くのが システム容量利用率です。この項目だけは、1つの数字ではなく周囲温度ごとに3つ並びます。

  • −10℃ … 東北の冬の朝に近い条件
  • 25℃ … カタログの数値が測られている条件
  • 40℃ … 真夏の屋外に近い条件

さらに、この3行が「系統連系時(ふだん使い)」と「停電時(自立運転)」の2組あります。合計6つの数字です。

なぜここを見るのかというと、カタログの容量が25℃・新品時の値だからです。動作温度範囲が「−20℃まで」と書かれていても、それは壊れずに動く範囲であって、性能が保たれる範囲ではありません。この考え方は「−20℃対応」は「−20℃でカタログどおり」ではありませんで詳しく書きました。

ラベルの各項目の意味と、保証との関係は蓄電池は何年もつ?「10年保証」と寿命にまとめています。


物差しは3つあります。そして、どれを使うかで順番が変わります

ここがこの記事の中心です。

同じ「−10℃の欄」を見ても、読み方は3通りあります。

  1. −10℃の数字そのもの(絶対値)… 実際に使える量に直せる数字
  2. 25℃からの落ち幅(ポイント差)… 温度でどれだけ持っていかれるか
  3. 25℃を100としたときに残る割合(比)… 製品ごとの水準の違いを取り除いた見方

そして重要なのは、この3つで順番が入れ替わるということです。

性能表示ラベルの−10℃を読む3つの物差し。どれを使うかで順番が入れ替わることを示す図

図のとおりです。例1(パナソニックの屋側6.3kWh)は−10℃の数字そのものは小さいのに、落ち幅は6.5ポイントしかありません。 例2(エネテラスのEIBS 7・1台)は−10℃の数字は例1より大きいのに、落ち幅は20.5ポイントあります。

「−10℃の数字が低い」ことと「低温で大きく落ちる」ことは、別のことです。

これが分かると、営業トークの読み方が変わります。「うちの機種は−10℃でも90%です」と言われたとき、それがもともと高い水準の製品なのか、低温に強いのかは、25℃の欄を見ないと区別できません。


系統連系時を、同じ読み方で並べます

当社が公開ラベルを実際に確認できた6社ぶんを、同じ形に直しました。すべて系統連系時(ふだん使い)の数字です。

メーカー 型番 −10℃ 25℃ 落ち幅 25℃を100とした−10℃
ハンファ HWJ-BT1-H5B10(9.9kWh) 90.9% 90.9% 0.0pt 100.0
ニチコン ESS-T5M1(7.4kWh) 85.6% 87.7% 2.1pt 97.6
ハンファ HWJ-BT1-H5B20(19.8kWh) 83.8% 87.9% 4.1pt 95.3
ファーウェイ LUNA2000-4.95-21-N(21.5kWh) 89.3% 93.4% 4.1pt 95.6
ファーウェイ LUNA2000-4.95-7-N(7.1kWh) 90.1% 94.3% 4.2pt 95.5
ファーウェイ LUNA2000-4.95-5-N(5.1kWh) 88.2% 94.1% 5.9pt 93.7
パナソニック PLJ-PB32D097(創蓄連携T) 82.7% 88.7% 6.0pt 93.2
パナソニック PLJ-RC41063AK(屋側6.3kWh) 67.5% 74.0% 6.5pt 91.2
住友電工 PDR-5900S01A-X(13.0kWh) 79.1% 94.4% 15.3pt 83.8
エネテラス EKH4D(EIBS V) 75.8% 91.3% 15.5pt 83.0
エネテラス EKH3A(EIBS 7・1台) 69.3% 89.8% 20.5pt 77.2
住友電工 PDS-1600S03E(3.3kWh) 64.3% 86.0% 21.7pt 74.8

ファーウェイは6型番のうち3つを載せました。S0シリーズ(5.1/10.2/15.3kWh)は3型番とも数値が完全に同じなので代表で1行、S1シリーズ(7.1/14.3/21.5kWh)は容量で数字がわずかに動くので上下の2行です。

落ち幅の小さい順に並べています。並べ方を「−10℃の数字が大きい順」に変えると、順番はまったく違うものになります。 そのことを確かめていただくために、あえて片方の順で載せました。

読み取っていただきたいのは、この表の中の順位ではありません。 次の3つです。

1. 25℃の欄からして、水準がまったく違います。 74.0%から94.4%まで、20ポイント以上の幅があります。蓄電池容量のうち実際に出し入れできる割合は、そもそも製品ごとに違うということです。

2. 落ち幅は 0.0ポイントから21.7ポイントまで開きます。 「氷点下でどうなるか」を一般論で語れないことが、この幅を見れば分かります。同じ4.1ポイントでも、−10℃の実数は83.8%と89.3%で5ポイント以上ちがいます(ハンファの19.8kWhとファーウェイの21.5kWh)。落ち幅だけを見ても足りない、というのはこういう意味です。

3. 容量が大きいほど落ちる、という関係はありません。 ハンファの9.9kWhは落ち幅0.0ポイント、住友電工の3.3kWhは21.7ポイントです。小さいほうが有利とも、大きいほうが有利とも言えません。ファーウェイのS0シリーズにいたっては、5.1kWhでも15.3kWhでも数値が1つも変わりません


停電時は、別の表になります

同じ製品でも、停電時(自立運転)の数字は系統連系時とは別です。ここが見落とされやすいところです。

メーカー 型番 −10℃ 25℃ 落ち幅 25℃を100とした−10℃
ニチコン ESS-T5M1 83.7% 85.7% 2.0pt 97.7
ハンファ HWJ-BT1-H5B10 83.8% 87.9% 4.1pt 95.3
ファーウェイ LUNA2000-4.95-21-N 89.3% 93.4% 4.1pt 95.6
ファーウェイ LUNA2000-4.95-7-N 90.1% 94.3% 4.2pt 95.5
ファーウェイ LUNA2000-4.95-5-N 88.2% 94.1% 5.9pt 93.7
ハンファ HWJ-BT1-H5B20 78.8% 85.4% 6.6pt 92.3
パナソニック PLJ-PB32D097 83.5% 95.6% 12.1pt 87.3
住友電工 PDR-5900S01A-X 80.1% 94.5% 14.4pt 84.8
エネテラス EKH4D(EIBS V) 78.0% 92.3% 14.3pt 84.5
住友電工 PDS-1600S03E 64.2% 82.9% 18.7pt 77.4
エネテラス EKH3A(EIBS 7・1台) 72.3% 97.9% 25.6pt 73.9

まず目につくのは、ファーウェイの3行が系統連系時とまったく同じ数字だということです。6型番とも−10℃・25℃・40℃の3点すべてが一致していて、系統につながっているときと停電しているときで割合が変わりません。 こういう出方をする製品もあります。

そのうえで、系統連系時と停電時で落ち幅の大小が逆転する製品があります。 住友電工の PDR-5900S01A-X は、系統連系時が15.3ポイントに対し停電時が14.4ポイントで、停電時のほうが小さくなっています。一方、パナソニックの創蓄連携Tは系統連系時6.0ポイントに対し停電時12.1ポイントで、停電時のほうが倍です。

停電への備えを主な目的にするなら、見るのは停電時の行です。 太陽光の自家消費を主な目的にするなら系統連系時です。目的によって、見る行が変わります。

屋外の基礎ブロックの上に設置された蓄電池2台とパワーコンディショナ

▲ 当社施工事例:屋外に設置した蓄電池とパワーコンディショナ

数字の使い方
システム容量利用率は、蓄電池容量に掛け算する数字です。
7.4kWhの機種で−10℃が85.6%なら、およそ6.3kWhが使える計算になります。
停電時の行を使うときは、初期停電時放電容量のほうに掛けてください。
ラベルの値は参考値であって、保証値ではありません。


読み違えやすいことが、3つあります

1つ目。ラベルの低温側は、必ずしも−10℃ではありません。

パナソニックの創蓄連携システムS+では、一般仕様53型番のうち−10℃の欄があるのは6型番だけで、残る47型番は0℃止まりでした。理由は「屋内電池と屋側電池の組み合わせでは、温度下限値は屋内電池に合わせる」というメーカーの注記どおりです。0℃止まり=寒さに弱い、ではありません。屋内設置が前提だから0℃までしか表示していないということです。詳しくは置き場所を決めてから機種を決めてほしいに書きました。

この記事の表に−10℃で並べられたのは、−10℃の欄がある型番だけです。 手元の見積書の型番に−10℃の欄が無ければ、その機種は「屋内に置く前提の製品」かもしれません。まずそこを確認してください。

2つ目。同じシリーズでも、構成が変わると数字が動くことも、動かないこともあります。

エネテラスのEIBS 7では、蓄電池ユニットを1台から2台に増やしてもシステム容量利用率は6つの数字すべてが完全に一致しました(増えるのは容量だけです)。一方、住友電工のPOWER DEPO Rでは、7.7kWhと13.0kWhで数字が違います。

「容量を増やせば寒さに強くなる」も「容量を増やすと弱くなる」も、どちらも一般化できません。

3つ目。出力(kW)の温度別の値は、ラベルに項目そのものがありません。

充放電効率も、温度別ではなく1つの値です。ですから「氷点下の朝、自立運転で何kW出せますか」は、ラベルを見ても分かりません。 これは販売施工店に聞く項目です。推測の数字を出す会社には、根拠を尋ねてください。

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自分の見積書でやるなら、3ステップです

難しい話にする必要はありません。順番はこうです。

ステップ1:見積書から「パッケージ型番」を書き出す。

メーカー名とシリーズ名ではなく、型番です。同じシリーズでも型番が違えば数字が違います。見積書に型番が書かれていなければ、それ自体が確認すべきことです。

ステップ2:その型番のラベルを探す。

まずメーカーの製品ページを最後まで見てください。JEMAの「見てみよう」のページには2026年9月7日時点で7社が並んでいますが、一覧に無いメーカーが自社サイトでラベルを公開している例があります。 実際、この記事で扱った住友電工・ハンファ・ファーウェイは、3社とも一覧に載っていません。ファーウェイにいたっては、製品ページでも仕様ページでもなく「資料ダウンロード」のページにPDFで置かれていました。一覧に載っていないメーカーは、ラベルも無いんですか

ステップ3:3行を、目的に合わせて読む。

  • 自家消費が主目的 → 系統連系時の−10℃
  • 停電への備えが主目的 → 停電時の−10℃
  • 営業の説明が正しいか確かめたい → 25℃の欄と並べて読む

ラベルが見つからない機種は、この記事の表と同じ形で数字を出してもらってください。 「−10℃と25℃で、系統連系時と停電時のシステム容量利用率を教えてください」と型番つきで聞けば、それで済みます。

当社が運営するサイト「ソラカルテ」では、お手元の見積書をそのまま無料で診断できます。型番と設置場所が書かれているかを確かめるところから使ってみてください。

容量そのものの決め方は蓄電池は何kWhが正解?、全負荷か特定負荷かは全負荷型と特定負荷型、どっちの蓄電池、寒冷地での考え方全体は蓄電池は冬に弱い?東北・寒冷地での選び方をご覧ください。


よくあるご質問

Q1. 表のいちばん上にある機種を選べばいいのでしょうか。

A. いいえ。表は落ち幅の小さい順に並べただけで、並べ方を変えれば順番も変わります。 容量も構成も設置条件も違う製品なので、この順番に選定上の意味はありません。使っていただきたいのは読み方のほうで、順位ではありません。

Q2. 落ち幅が20ポイントもある機種は、東北では避けたほうがいいですか。

A. そうとも言えません。落ち幅が大きくても25℃の水準が高ければ、−10℃の実数では落ち幅の小さい機種を上回ることがあります。 表の中でも実際に起きています。判断するなら−10℃の実数に容量を掛けて、使えるkWhに直してから比べてください。そのうえで、置き場所・全負荷か特定負荷か・保証条件を合わせて見ます。

Q3. うちの機種はラベルが見つかりません。性能が悪いということですか。

A. 違います。ラベルの表示は法律上の義務ではなく、メーカーが参加して表示する仕組みです。ラベルがある機種は自分で確認できる、無い機種は聞いて確認する。やることが違うだけです。上のステップ3の聞き方をそのまま使ってください。


まとめ

  • ラベルの3行(−10℃・25℃・40℃)が、東北でいちばん効く項目です。 カタログの容量は25℃・新品時の値です
  • 物差しは3つあります。 −10℃の絶対値/25℃からの落ち幅/25℃を100とした比。どれを使うかで順番が入れ替わります
  • 「−10℃の数字が低い」と「低温で大きく落ちる」は別のことです。 25℃の欄と並べないと区別できません
  • 落ち幅は0.0ポイントから21.7ポイントまで開きます。 「氷点下でどうなるか」を一般論では語れません
  • 容量の大小と落ち幅に、決まった関係はありません
  • 系統連系時と停電時は別の表です。 目的によって見る行が変わります。★ただし両方がまったく同じ数字の製品もあります(ファーウェイの6型番)
  • 出力(kW)の温度別の値は、ラベルにありません。 そこは型番を伝えて聞いてください

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※本記事は2026年9月7日時点の情報です。掲載型番・数値は各社の公開資料にもとづきます。仕様は変更されることがあるため、ご検討の際は必ずメーカー公式ページと販売施工店で最新の内容をご確認ください。

出典

その見積書、本当に妥当ですか?(ソラカルテ)

当社が運営する「ソラカルテ」では、太陽光・蓄電池の見積書をその場で無料AI診断できます。電話番号の登録は不要です。

監修・執筆:株式会社ファナス 代表取締役 不藤政次|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら

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