太陽光パネルの排出量は、2030年代後半から年間最大50万トンになると国は見込んでいます|2026年に成立したリサイクル法が住宅の屋根を対象にしていない理由と、それでも外す日に効く4つのこと【東北・2026年版】

先に結論
2026年6月5日に公布されたリサイクルの法律は、対象が「多量の事業用パネル」で、住宅の屋根は届出の義務の外にあります。
廃棄費用の積立制度も10kW以上のFIT・FIP事業だけなので、住宅用は外す費用を自分で用意する側です。
屋根から外したパネルは、ほとんどの場合「産業廃棄物」として処理されます。所有者の役割は、有害物質などの情報を撤去する業者へ渡すことです。
東北では、外す工事も載せる工事と同じで雪の前後が本番になります。
国は、太陽光パネルの排出量が2030年代後半以降に顕著に増加し、年間最大50万トン程度になると見込んでいます。経済産業省が2026年4月3日に公表した法律案の背景にある数字です。
50万トンは、どこかの発電所だけの話ではありません。2012年前後に載せた住宅の屋根も、2030年代前半には20年目に入ります。
その前段として、2026年にリサイクルの法律が成立しました。ただ、この法律を「これで家のパネルも国が引き取ってくれる」と読むと、後で困ります。住宅の屋根は、いまの法律の義務の対象に入っていません。
この記事では、成立した法律が何を対象にしているのか、住宅の場合は誰が何をすることになるのか、そして東北で「いつ外すか」を考えるときの注意を、公式資料だけで整理します。

▲ 当社施工事例:瓦屋根に設置した太陽光パネル
2026年に成立した法律は、「事業用」のパネルを対象にしています
太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律(令和8年法律第33号)は、2026年5月29日に成立し、6月5日に公布されました。施行は「公布の日から1年6か月以内で政令で定める日」と決まっています。つまり、条文があるだけで、まだ動き出していません。
対象になるのは、事業用太陽電池です。法律はこれを「太陽電池であって、収益事業において使用されているもの又は使用されていたもの」と定義しています。
そのうえで、義務の中身が2段になっています。
| 誰に | 何が課されるか |
|---|---|
| すべての事業用太陽電池の廃棄をしようとする者 | 国が定める判断基準にもとづく取組。国は指導・助言ができる |
| 多量事業用太陽電池廃棄者(廃棄する重量が政令の要件に該当する者) | 廃棄実施計画の事前届出義務。届出が受理された日から原則30日を経過した後でなければ排出できない |
「多量」の線は、まだ引かれていません。法律は「政令で定める要件に該当するもの」としており、その政令はこれから出ます。ここが決まらないと、どの規模から届出が必要かは言えません。
あわせて、リサイクル側の仕組みも作られました。費用効率的なリサイクル事業の計画を国が認定すると、都道府県ごとの廃棄物処理法の許可が不要になる特例です。全国を動かす処理体制を組みやすくするための措置で、パネルを出す側にとっては「持っていける先が増える方向の話」になります。
製造・輸入業者と販売業者には、環境配慮設計と含有物質に関する情報提供の措置が入りました。ここは後で効いてきます。
住宅の屋根が対象外なのは、「段階的に強化する」設計だからです
法律の概要には、進め方がはっきり書かれています。まずは費用効率的にリサイクルが可能な、多量に廃棄をしようとする太陽光発電事業者等からリサイクルの規制を段階的に強化するという順番です。
理由も2つ明記されています。
① 現時点では埋立処分費用とリサイクル費用との差額が大きいこと
② 全国的な処理体制が構築途上であること
つまり、いま全部のパネルに義務をかけても、受け入れる側が足りない。だから多い所から始める、という設計です。
そして、附則に制度の見直しに向けた検討規定が置かれました。国は「最終処分場の残余年数、リサイクル費用の状況等を勘案して、太陽光パネルの幅広い廃棄に関係する者を対象とした義務付けを検討し、制度を見直す」としています。
読み方
住宅の屋根は「対象から外された」のではなく、「次の検討対象」です。
いま家を建てる方・載せる方は、20年後にルールが変わっている前提で考えたほうが実際に近いです。
住宅用は、廃棄費用の積立制度の外にあります
もうひとつ、住宅の所有者が知っておいたほうがよい線があります。廃棄等費用積立制度です。
法律の概要資料には、次の注記が入っています。
再エネ特措法に基づくFIT/FIP制度における事業用太陽光発電設備(10kW以上)には、廃棄等費用の積立制度を措置
制度を運用している電力広域的運営推進機関(OCCTO)も、対象を「10kW以上のすべての太陽光発電のFIT・FIP認定事業」と書いています。方法は「原則として、源泉徴収的な外部積立て」で、売電収入からあらかじめ引かれる形です。
住宅用の多くは10kW未満なので、この積立の対象になりません。引かれていないかわりに、外すときの費用は所有者が自分で用意する側になります。
費用の相場は設備の大きさ・屋根の形・足場の要否で変わるので、この記事では金額を書きません。撤去や交換の見積もりを受け取ったときに妥当かどうかを確かめたい方は、当社が運営する「ソラカルテ」の見積書AI診断で、内訳の書き方から見ることができます。パワコンの交換と撤去のどちらが先かという判断は、パワコン交換の判断基準をまとめた記事(記事111)にも書きました。
屋根から外したパネルは、ほとんどの場合「産業廃棄物」になります
ここは、法律ではなく廃棄物処理法の話です。環境省の「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第三版)」に、区分が表で示されています。
| 場面 | 区分 |
|---|---|
| 所有者(発電事業者・住宅所有者)が、解体・撤去業者に依頼して廃棄物として処理する場合 | 産業廃棄物 |
| 独立型のモジュールなど、解体・撤去工事等の事業活動を伴わず、一般家庭から排出される場合 | 一般廃棄物に該当する場合がある(市町村に確認) |
住宅の屋根に載っているパネルを業者に外してもらうと、産業廃棄物になります。そして、廃棄物処理法上の排出事業者は解体・撤去業者です。所有者が自分で処理先を探して契約するのではなく、工事を請けた業者が処理責任を負う形になります。
品目にも決まりがあります。使用済みの太陽電池モジュールは、一般的に「金属くず」「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」「廃プラスチック類」の混合物として扱われるため、それらの許可品目を持つ収集運搬業者・埋立処分業者に委託しなければならないとされています。さらに、太陽電池モジュールは電気機械器具に該当するため、埋立処分する場合は管理型最終処分場への埋め立てが必要です。
見積書と書類で確かめられること
ガイドラインは、委託契約書と産業廃棄物管理票(マニフェスト)に「太陽電池モジュールであること」を明記するよう求めています。メーカー名・型式も記載することが望ましいとされています。
撤去の見積もりに「処分費」とだけ書いてあるときは、どこへ、何として出すのかを聞いてよい場面です。
所有者の役割は「情報を渡すこと」です。順番も決まっています
環境省が所有者向けに出しているリーフレット「太陽光発電設備をリユース、リサイクル、処分する際の留意点について(所有者用)」は、優先順位をはっきり書いています。
まず第一にリユースを、その次にリサイクルを検討する必要があります
そして、所有者がすることとして2つが挙げられています。
- 使用済太陽電池モジュール(太陽光パネル)の処理方法等について伝達する
- 有害物質に関する情報を伝達する
渡す先は、解体・撤去業者です。所有者が処理そのものを手配するわけではなく、「このパネルは何か」を伝える役になります。
ここで効いてくるのが、含有物質の情報です。太陽光発電協会(JPEA)の「使用済太陽電池モジュールの適正処理に資する情報提供のガイドライン(第1版・2017年12月)」では、鉛・カドミウム・ヒ素・セレンの4物質について、0.1wt%を超える場合に表示するという基準が示されています。JPEAは、このガイドラインにもとづいて自社ウェブサイトで情報提供していると連絡があった企業の一覧も公開しています。自分の家のパネルのメーカーがそこに載っていれば、型式から含有物質を調べられます。
20年先のために、いま家に残しておくもの
・保証書と仕様書(型式が分かるもの)
・設置図面・屋根伏図
・FITの認定情報(認定を受けている場合)これは施工店が廃業したときに何が残るかを書いた記事(記事103)と同じ理屈です。機器はカタログで後から調べられますが、「どの型式が載っているか」は書類がないと分からなくなります。
外す作業は「まだ発電している」前提で行われます
外す日の話でいちばん誤解が多いのはここです。系統から切り離しても、光が当たっているパネルは発電します。
環境省のリーフレットは、撤去・解体・収集運搬時の留意点として次を挙げています。
| 目的 | 中身 |
|---|---|
| 感電の防止 | 太陽光パネルの受光面を下にし、受光面をブルーシート等の遮光用シートで覆うことで発電を防止。パネルを触る際は厚手の絶縁ゴム手袋等を着用。ケーブルの端末はビニールテープなどで絶縁 |
| 怪我の防止 | ガラスで怪我をしないよう保護帽・厚手のゴム手袋・保護メガネ・作業着を着用 |
| 水漏れの防止 | ガラスが破損している場合、水濡れによって含有物質が流出するおそれがあるため、ブルーシート等で覆う |
| 立入の防止 | みだりに人が触れるのを防ぐ囲いを設け、貼り紙等で注意喚起 |
遮光の効き方については、消防庁の資料に実測があります。ブルーシート1枚で出力電圧が約87%、2枚で約94%低減という数字で、逆に言えば1枚では止まりきらないということです。詳しくは太陽光の家で火が出たときに何を伝えるかを書いた記事(記事123)にまとめました。
東北で気をつける場面
雪や強風でガラスが割れたパネルを、割れたまま屋根やカーポートに置いておくと、水濡れで含有物質が流出するおそれがあります。
リーフレットは、災害後に被災した設備の処分を進める場合は、自治体・解体撤去業者・廃棄物処理業者へ破損状況や破損モジュールの枚数を連絡し、対処について相談するようにと書いています。「春になったら考える」で置いておくものではありません。
東北で「いつ外すか」は、雪の前後で決まります
外す工事も、載せる工事と条件は同じです。屋根に人が上がり、足場を組み、パネルを下ろして運び出します。積雪期は屋根に上がれません。
気象庁の平年値(1991〜2020年)で、12月の降雪の深さの合計を並べると、東北の中でも差が大きいことが分かります。
| 地点 | 11月の降雪合計 | 12月の降雪合計 | 12月の雪日数 |
|---|---|---|---|
| 仙台 | ―(雪日数0日) | 9cm | 6日 |
| 盛岡 | 6cm | 44cm | 19日 |
| 山形 | 4cm | 66cm | 26日 |
| 青森 | 23cm | 143cm | 51日 |
仙台の9cmと青森の143cmでは、同じ「12月」という言葉の中身が違います。屋根の工事を年内に納めたいなら、逆算の起点は県ごとに変わります。
もうひとつ、東北特有の事情があります。パネルを外したあとの屋根です。長く載っていた屋根は、パネルの下と外の部分で色も劣化の進み方も違います。屋根の塗装や葺き替えと合わせるのかどうかで、足場の回数が変わります。この判断は屋根塗装とパネル脱着の順番を書いた記事(記事71)に整理しました。

▲ 当社施工事例:スレート屋根の片面への設置
空き家になった家の屋根に載っている場合は、手続きの主体から確かめることになります。相続した家・空き家の太陽光の記事(記事88)に、名義とFITの扱いを書いています。
よくあるご質問
Q1. 2026年の法律が施行されたら、家のパネルも無料で回収してもらえるようになりますか。
A. なりません。今回の法律は、多量の事業用パネルを廃棄する事業者への規制と、リサイクル事業者への特例措置が中心です。住宅の所有者に回収や費用負担の仕組みを作る条文は入っていません。ただし附則に見直しの検討規定があり、国は「幅広い廃棄に関係する者を対象とした義務付けを検討する」としています。いまの時点で「将来こうなります」と言える段階ではないので、外す費用は自分で用意する前提で考えてください。
Q2. 自分で屋根からパネルを外して、市の粗大ごみに出せますか。
A. すすめられません。まず屋根に上がる作業そのものが危険で、パネルは光が当たっている間は発電しています。配線を外す作業は電気工事士の資格が関わる範囲に入ります(電気工事士法と施工資格の記事(記事126))。区分についても、環境省のガイドラインは「解体・撤去工事等の事業活動を伴わず一般家庭から排出される場合は一般廃棄物に該当する場合があるため、市町村に確認すること」としており、受け入れるかどうかは市町村ごとに違います。先に市町村の清掃部門へ確認してください。
Q3. 10年で外すことになったら、パネルはリユースに回せますか。
A. 可能性はあります。環境省のリーフレットも「使用済みの太陽光パネルには、リユース可能なものがあります」として、リユースをリサイクルより先に検討するよう書いています。ただし、使えるかどうかの判断には測定が必要です。出力の低下が保証の範囲かどうかという話は出力保証の読み方の記事(記事121)に、点検で何を測るかは定期点検の測定項目の記事(記事109)にまとめました。外す前の点検記録が残っていると、リユースの相談がしやすくなります。
まとめ
- 太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律(令和8年法律第33号)は2026年5月29日成立・6月5日公布。施行は公布から1年6か月以内で政令で定める日
- 対象は「事業用太陽電池」=収益事業で使用されている(いた)もの。多量の廃棄をする者に計画の事前届出義務が課され、「多量」の線は政令待ち
- 住宅の屋根は届出義務の外。ただし附則に検討規定があり、幅広い廃棄に関係する者への義務付けは今後の検討事項
- 廃棄等費用積立制度の対象は10kW以上のFIT・FIP事業。住宅用の多くは対象外で、外す費用は所有者が用意する側
- 屋根から外したパネルは産業廃棄物(排出事業者は解体・撤去業者)。品目は金属くず・ガラスくず等・廃プラスチック類の混合物で、埋立は管理型最終処分場
- 委託契約書とマニフェストに「太陽電池モジュールであること」を明記。メーカー名・型式の記載が望ましい
- 所有者の役割は情報を渡すこと——処理方法等と有害物質の情報。JPEAのガイドラインの表示基準は鉛・カドミウム・ヒ素・セレンの0.1wt%
- 外す作業は発電している前提。受光面を下にして遮光、絶縁手袋、ケーブル端末の絶縁。割れたパネルは水濡れで含有物質が流出するおそれがあるので放置しない
- 12月の降雪合計は仙台9cm・盛岡44cm・山形66cm・青森143cm(平年値)。年内に屋根の工事を納めるなら、逆算の起点は県ごとに違う
載せるときに20年後の話をする会社は、あまりいません。ですが、外す日にいちばん効くのは、載せた日にもらった紙です。保証書と図面と型式が残っている家は、20年後の選択肢が多くなります。東北の屋根は、そのあいだ毎年雪を受けます。書類の置き場所を決めておくだけでも、後の判断が軽くなります。
※本記事は2026年9月25日時点で、経済産業省・環境省・電力広域的運営推進機関・太陽光発電協会・気象庁が公開している情報にもとづいています。太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律は施行前で、対象となる規模の要件(政令)は公表されていません。廃棄物の区分・受け入れ条件は市町村や設備の状況によって異なります。ご自宅の設備については施工店およびお住まいの市町村にご確認ください。
出典
- 経済産業省「『太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律案』が閣議決定されました」(2026年4月3日/環境省同時発表。年間最大50万t程度、事業用太陽電池の定義、多量事業用太陽電池廃棄実施計画の事前届出と原則30日、認定制度による廃棄物処理法の許可不要の特例、製造・輸入・販売業者の措置、附則の検討規定) https://www.meti.go.jp/press/2026/04/20260403002/20260403002.html
- 環境省「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律の概要」(令和8年法律第33号。施行期日は公布から1年6か月以内で政令で定める日、FIT/FIPの事業用太陽光発電設備〈10kW以上〉への廃棄等費用積立制度の注記、段階的な規制強化の考え方) https://www.env.go.jp/recycle/recycling/renewable/page_00345.html
- 環境省「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第三版)」(産業廃棄物・一般廃棄物の区分、排出事業者、品目と許可、管理型最終処分場、リユース・リサイクル・埋立処分の優先順位) https://www.env.go.jp/page_00817.html
- 環境省「太陽光発電設備をリユース、リサイクル、処分する際の留意点について(所有者用)」(所有者が伝達する情報、マニフェストへの明記、感電・怪我・水漏れ・立入の防止、災害後の連絡) https://www.env.go.jp/content/900535845.pdf
- 電力広域的運営推進機関「積立金関連 制度概要」(対象は10kW以上のすべての太陽光発電のFIT・FIP認定事業、原則として源泉徴収的な外部積立て) https://www.occto.or.jp/various/saiene/funding.html
- 太陽光発電協会「使用済太陽電池モジュールの適正処理に資する情報提供のガイドライン(第1版)」(鉛・カドミウム・ヒ素・セレン、表示基準0.1wt%、自主的なガイドライン) https://www.jpea.gr.jp/wp-content/themes/jpea/pdf/t171211.pdf
- 太陽光発電協会「情報提供しているとの連絡が当協会宛てにあった企業一覧」 http://www.jpea.gr.jp/document/handout/company_list.html
- 気象庁「過去の気象データ検索 平年値(月ごとの値)」仙台・盛岡・山形・青森(統計期間1991〜2020年。降雪の深さ合計・雪日数) https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php
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監修・執筆:株式会社ファナス 代表取締役 不藤政次|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら
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AIふどうくんが記事を手がかりに、疑問を一緒に整理します。
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