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先に結論を書きます。太陽光の家で火事になったら、119番で「屋根に太陽光があります」と伝えてください|消防庁の資料が書いている「外から発電を止められない」という性質と、住む人ができる4つのこと【東北・2026年版】

太陽光の家の火事|119番で伝えることと、してはいけないこと

先に結論
太陽光発電システムは、外から発電を遮断できません。消防庁の資料は「火災の初期から残火確認等に至るまで、感電事故の可能性がある」と書いています。
だから119番で最初に伝えるのは「屋根に太陽光があります」「パワコンは◯◯にあります」の2つです。
住む人がやることは4つだけ。①設備の場所を伝える ②屋根に上らない ③鎮火後もパネルと配線に触らない ④水に浸かった機器を放置しない。
東北では、津波で浸水したパワコンが2週間後・2か月後に出火した例が公的な資料に3件載っています。

先に結論を書きます。太陽光が載った家で火事になったら、119番通報で「屋根に太陽光発電があります」と必ず伝えてください。

これは消防隊の活動の安全に直接かかわる情報です。消防庁と消防研究センターが公表している資料を読むと、その理由がはっきり書かれています。太陽光発電は、電力会社に連絡しても、ブレーカーを落としても、止まらないからです。

この記事は、消防隊向けの資料を住む人の側から読み直したものです。専門的な消火の手順ではなく、「自分の家で火が出たとき、通報する人・避難する人が知っておくべきこと」に絞って書きます。

スレート屋根の2面に敷き詰めた太陽光パネルの俯瞰

▲ 当社施工事例:スレート屋根に敷き詰めた太陽光パネル

消防庁の資料は「外から発電を遮断できない」と書いています

平成25年3月26日付で、消防庁消防・救急課と消防庁消防研究センターが各都道府県の消防防災主管課あてに出した事務連絡があります。「太陽光発電システムを設置した一般住宅の火災における消防活動上の留意点等について」という文書です。

その別紙の冒頭は、こうです。

・太陽光発電システムは、太陽電池により光エネルギーを電気エネルギーに変換しているため外部から発電を遮断できないことから、火災の初期から残火確認等に至るまで、感電事故の可能性がある。
・棒状での放水は、水を伝わって感電する可能性がある。
・太陽光発電システムの配線が切断されて建物に触れている場合、建物の断熱材や金属の柱、梁を伝い感電する可能性がある。
夜間であっても、炎の光等によって発電が継続しており、感電の可能性がある。
・見た目の破壊が進んでいる太陽電池モジュールにあっても光が当たると発電するため、感電の可能性がある。

消防研究センターの技術資料83号「太陽光発電システム火災と消防活動における安全対策」(平成26年3月)は、さらにはっきり書いています。

光を遮らない限り、一部のモジュールを除いて破壊等の他の手段で発電を停止させることは難しく、火災の初期から鎮火後まで、感電の可能性がある。これは、従来の送電線からの電源回路遮断と異なり、電力会社を現場に要請したとしても防ぐことが難しいという点で特徴的である。

ふつうの住宅火災では、電力会社が来て電気を止めれば、建物の中の電気は消えます。太陽光がある家はそうなりません。発電しているのは屋根の上の板そのものなので、止める方法は「光を当てないこと」しかないのです。

しかも技術資料83号の実験では、同じ明るさなら、太陽光や水銀灯よりも火炎の光を受けたときのほうが、パネルの出力電圧が高くなったと報告されています。夜中の火災でも、燃えている炎の光でパネルは発電し続けます。


住む人がやることは4つです

ここからが本題です。消防隊向けの資料から、住む人の側の行動として意味があるものを抜き出すと、4つになります。

① 119番で「屋根に太陽光があります」と伝える

到着した消防隊が最初にやるのは、太陽光発電システムの設置状況の確認です。技術資料83号の第12章は「消火活動開始前の留意事項」の1つ目に「太陽光発電システムの設置状況の確認」を、2つ目に「個人装備の選択」を挙げています。感電を前提に、絶縁性の高い手袋を選ぶかどうかが変わるからです。

通報のときに伝えると役に立つのは、次の3点です。

  • 屋根に太陽光発電がある(屋根一体型か、後付けのパネルか、分かれば)
  • パワーコンディショナの場所(屋外の壁、玄関横、車庫の中、室内など)
  • 蓄電池があるか、あればその場所

とくに屋根材一体型は重要です。技術資料83号は「屋根材一体型のモジュールの場合、普通の屋根と見分けがつけづらい場合があるので、屋根材を注意深く観察し、破壊対象がモジュールで有るか否かを確認する必要がある」と書いています。見ただけでは分からないものを、住んでいる人は知っています。

② 屋根に上らない・パネルに水をかけない

当社が繰り返しお伝えしていることですが、火災のときはとくに徹底してください。

技術資料83号は、棒状注水(勢いのある直線的な放水)は水を伝わって感電する可能性があるとして、噴霧注水を基本にするよう書いています。プロの装備でもそうなのですから、家庭用のホースで屋根のパネルに水をかけるのは危険です。

もうひとつが落下です。

火災の熱によりモジュールが高温になった場合には、モジュール表面の強化ガラスの圧縮応力が解放され、フロートガラスに変化している場合がある。この場合、モジュールのガラスが割れた時に細片とはならず、大きな破片や鋭利な破片が落下してくる可能性がある

事務連絡の別紙には「20㎝前後の大きな破片となる」と具体的に書かれています。強化ガラスは割れると粒状になる、という常識が通用しなくなるということです。屋根の真下は、鎮火後も安全な場所ではありません。

③ 鎮火後も、パネルと切れた配線に触らない

火が消えたあとが、むしろ危ない時間帯です。技術資料83号には、消防隊員が実際に感電した事例が2件載っています。

1件目は、消火の水が浸み込んだ断熱材に触れて感電した例です。屋根一体型のパネルが載った2階建て住宅で、残火確認のために梯子に上った隊員が、片手を梯子に、もう一方の手で断熱材に触れた瞬間に電撃を感じました。

2件目は、屋根裏で金属の柱に片手を置き、もう一方の手でパネルの裏面を押したときに「バーンという電撃を感じた」という例です。同じ火災で、屋根の上でパネルを剥がそうとしたときにも「ビリビリと手に感じた」と記録されています。

どちらも、防火手袋を含む通常の装備を着けた消防隊員の話です。濡れた手袋は乾いた手袋より格段に絶縁性が落ちると技術資料83号は書いています。火事のあとの現場で、住む人が素手や軍手でパネルや垂れ下がった配線に触れるのは、これより危険な行為です。

事務連絡は「取り外した太陽電池モジュールは感電や発火を防ぐために、太陽電池モジュール表面を遮光するか裏返しに置くようにする」とも書いています。外れて落ちたパネルも、表を上にして置いてあれば発電しています。

④ 水に浸かった機器を、そのままにしない

ここが東北でいちばん効く話です。

技術資料83号の火災事例には、東北地方の3件がすべて東日本大震災の事例として載っています。

事例 何が起きたか
東北(1) 3階建て住宅の1階車庫内のパワーコンディショナが津波で浸水。翌日の午前中、日射のある天気のときに内部配線から出火。住民は避難所にいて無人だった。発見時、パワコン内はまだ湿っていた
東北(2) 2階建て住宅の外壁のパワーコンディショナが津波で浸水。配線に付いた海水で絶縁が劣化し、微小電流が流れ続けて発熱し、約2か月後に出火したとみられる
東北(3) 2階建て住宅1階外壁のパワーコンディショナ(接続箱機能内蔵)が津波で浸水。配線が筐体から脱落して短絡し被覆が焼損。約2週間後に焼損が発見された。建物周辺は停電中だった

3件に共通しているのは、「浸水した」→「人が居なくなった」→「後日、日が差して出火した」という流れです。東北(3)は周辺が停電中でも起きています。系統が止まっていても、パネルに光が当たれば発電するからです。

東北で怖いのは津波だけではありません。近年は台風や線状降水帯による浸水も各地で起きています。床上浸水・床下浸水のあと、屋外のパワコンや蓄電池が水に浸かった家は、見た目が無事でも必ず施工店に連絡してください。乾いたように見えても、端子の腐食や絶縁の劣化は進みます。

ブレーカーを切っても太陽電池側の回路は残ります。太陽光発電用ブレーカーや接続箱の開閉器の扱いは機種で違うので、自己判断で操作せず、施工店の指示を受けてください。ブレーカーまわりの初動はブレーカーが落ちるときの記事(記事105)にまとめています。


「ブルーシートで覆う」は有効ですが、住む人の仕事ではありません

技術資料83号は、発電を止める方法として遮光の実験も行っています。結果は具体的です。

ブルーシートでモジュールを覆う場合、無遮光のモジュールに比べ、ブルーシート1枚で覆った場合には87%、ブルーシート2枚で覆った場合には94%の出力電圧の低減効果が得られ、全面が発泡したポリエステル防火シートでは84%の出力低減効果が得られた。

使われたのは市販の#3000(3.6m×5.4mで3,000g)の青いポリエチレンシート、厚さ0.26mmです。特別なものではありません。

ただし同じ節で、次の注意も書かれています。

ブルーシートを利用する場合には、火災に起因する熱により軟化、溶融、収縮する可能性があり、十分に遮光効果が得られない可能性がある。
さらに、モジュールが屋根や屋上に設置されている場合には、高所の作業となり危険であるとともに、PVの損傷状況によっては感電の危険性がある。直接的に生死にかかわるほどの感電ではなかったとしても、感電の衝撃等により転落の恐れがあることから注意が必要である。

つまり「ブルーシートをかければ発電が止まる」は事実ですが、それを火事の現場の屋根の上でやるのは、装備と訓練のある人の仕事です。住む人が真似する話ではありません。

なお、パネルを壊せば止まる、とも限りません。技術資料83号の破壊実験では、CIS系のモジュールは1か所貫通すると発電が停止しましたが、単結晶・多結晶シリコンのモジュールは数か所を破壊しても発電が続いたと報告されています。さらに、発電状態のモジュールを破壊したとき、破壊箇所にアーク放電とみられる強い光が出て、モジュールの樹脂部材が燃えた事例もあったと書かれています。

住宅用で主流なのは単結晶・多結晶です。割れば止まる、は成り立たないと考えてください。

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煙にも注意が要ります

もうひとつ、技術資料83号が挙げているのが燃焼生成ガスです。

その結果、ポリフッ化ビニルが用いられているモジュールの燃焼生成ガスに、フッ化水素や四フッ化ケイ素といった有害なハロゲン化合物が含まれている場合があった。PVに含まれる可燃性物質の量は限られているが、これらのガスは健康被害をもたらす可能性がある

パネルの裏面保護材(バックシート)には、PVF(ポリフッ化ビニル)やPTFE、PETといった樹脂が使われています。燃えたときに何が出るかは、パネルの素材によって変わります。

住む人の側の行動としては単純で、煙が出ている家に戻らない風下に立たない避難したら距離を取る、これだけです。「大事なものを取りに一度だけ」が、いちばん危ない判断になります。


出火する前の話——原因の多くは設備の側にあります

ここまでは「火が出たあと」の話でした。最後に、出る前の話を少しだけ足します。

技術資料83号の火災事例には、太陽光そのものから出火した例も載っています。

  • 屋根に後付けしたパネル1枚(80cm×60cmほど)が焼損した事例。パネルの裏の隙間に余剰配線がまとめて押し込まれ、鳥の巣(枯れ葉や枝)もあった。配線には溶融痕が認められた
  • 工場の屋根で、施工中に休日をはさんだ事例。ストリングごとに+端子と−端子を一緒にビニルテープで巻いて屋根に放置したところ、雨の水がテープ内に浸み込んで絶縁が悪くなり、晴れて発電が始まったところで両極間の絶縁不良から出火した

どちらも工事と、その後の状態の話です。パネルやパワコンという「機器」が悪いという話ではありません。当社が蓄電池の記事で書いたことと同じ構造です(締め付け不良と火災の記事(記事99))。

そして、鳥の巣や小動物の巣は点検で見つかります。秋の点検で見るところは小動物とケーブルの記事(記事101)に、点検で何を測るかは定期点検の記事(記事109)に書きました。「火が出てから何をするか」より、「巣を作らせない・配線をぶら下げない」ほうが、はるかに費用対効果が高いのは言うまでもありません。

金属屋根で太陽光パネルを施工中の様子(屋根の上から)

▲ 当社施工事例:金属屋根への太陽光パネル施工


よくあるご質問

Q1. 太陽光があると、火事のときに消火が遅れるのでしょうか。

A. 消防庁の資料は「遅れる」とは書いていません。書かれているのは、感電と落下に備えた手順が加わるということです。だからこそ、通報の時点で設備があることを伝えることに意味があります。情報が早く届くほど、消防隊は装備と手順を先に整えられます。

Q2. 夜なら発電していないので、安全ではないのですか。

A. いいえ。事務連絡は「夜間であっても、炎の光等によって発電が継続しており、感電の可能性がある」と明記しています。技術資料83号の実験では、同じ照度なら火炎の光のほうが太陽光や水銀灯より出力電圧が高くなったと報告されています。夜の火災でも、発電している前提で考えてください。

Q3. 火災保険は使えますか。

A. 原因と契約内容によります。雪・落雷・強風による損壊と火災では扱いが違い、地震・噴火・津波が原因のときは火災保険では出ません(地震保険の範囲です)。詳しくは火災保険の記事(記事46)をご覧ください。「保険で無料になります」という勧誘には注意してください。


まとめ

  • 太陽光発電は外から発電を遮断できない。電力会社を呼んでも止まらない(消防庁の事務連絡・技術資料83号)
  • だから119番で「屋根に太陽光があります」「パワコンは◯◯にあります」を伝える。屋根一体型は見ただけでは分からない
  • 屋根に上らない・パネルに水をかけない。棒状の放水は水を伝って感電しうる。ガラスは20㎝前後の大きな破片で落ちてくることがある
  • 鎮火後も触らない。濡れた断熱材や金属の柱を介して感電した消防隊員の事例が2件記録されている
  • 水に浸かった機器を放置しない。東北の3事例は津波で浸水したパワコンが翌日・2週間後・2か月後に出火した。停電中でも起きる
  • ブルーシートは1枚で87%・2枚で94%発電を抑えられるが、屋根上の作業は住む人の仕事ではない
  • 単結晶・多結晶のパネルは数か所壊しても発電が続く。割れば止まる、は成り立たない
  • 出火した例の多くは配線の処理や巣が絡む。点検で見つかるものが多い

火事は起きないに越したことはありません。ですが、太陽光が載った家には、載っていない家とは違う性質が1つあります。光がある限り、屋根の上で電気が作られ続けるということです。その1点だけ覚えておいていただければ、通報のときも、避難したあとも、判断を間違えずに済みます。

※本記事は2026年9月23日時点で公表されている消防庁・消防研究センターの資料にもとづいています。引用した文言は原文からの引用です。消防活動の手順そのものは消防機関が判断するもので、この記事は住む人の行動の参考として書いています。実際の火災では、消防隊の指示に従ってください。

出典

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監修・執筆:株式会社ファナス 代表取締役 不藤政次|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら

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