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「太陽光のブレーカーが落ちるんですが、入れ直せば動きます」|それは様子見してはいけない合図です——国の事故調査に載っている「前ぶれ」と、漏電・絶縁不良の初動【東北・2026年版】

太陽光のブレーカーが落ちるときの初動|入れ直す前に

先に結論
太陽光のブレーカーが「落ちては入れ直す」を繰り返している状態は、様子見してはいけません。
消費者庁の事故調査には、「ブレーカーが落ちる」と連絡したあとに出火した住宅用太陽光の事例が3件載っています。
断路器を切っても、日射がある限りパネルは発電を止められません。系統を切り離すだけでは足りず、遮光が要ります。
やることは、入れ直さない・運転スイッチと太陽光発電用ブレーカーを切る・施工店に絶縁測定を頼む、の3つです。

「太陽光のブレーカーが落ちるんですが、入れ直せば動くので、そのまま使っています」——このご相談は、めずらしくありません。入れ直せば動くのは事実です。だからこそ、そのまま何か月も過ぎてしまいます。

この記事は、その「入れ直せば動く」を、なぜ様子見してはいけないのかを、国の事故調査とメーカーの取扱説明書で確かめる回です。前回の鳥・小動物がケーブルをかじる話(記事101)で1段落だけ触れた「ブレーカーが落ちるのは前ぶれ」を、1本の記事にしました。

「ブレーカー」は2つあります。どちらが落ちたかで話が変わる

まず、家の分電盤まわりには、太陽光に関係するブレーカーが2つあります。オムロンのパワーコンディショナ(KP40K2-P/KP55K2-P)の取扱説明書は、システム全体図でこう書き分けています。

名前 どこにあるか 何を切るか
主幹漏電ブレーカー 分電盤の中 家全体の電気。漏電を検知して落ちる
太陽光発電用ブレーカー 分電盤の中、または分電盤の付近 パワーコンディショナと分電盤の間(交流側)

このほかに、屋根のパネルとパワーコンディショナの間(直流側)に接続箱の開閉器(断路器)があり、機種によってはパワーコンディショナに内蔵されています。

ご相談で「太陽光のブレーカー」と言われるとき、実際には主幹漏電ブレーカーが落ちていることが少なくありません。家全体が停電するので、印象に残るからです。どちらが落ちたかを、まず確かめてください。分電盤のふたを開けて、レバーが下がっているブレーカーに書かれた名前を読むだけで分かります。

蓄電池1台と壁面に並ぶパワーコンディショナ3台

▲ 当社施工事例:壁面のパワーコンディショナと蓄電池


取扱説明書は「入れてよい」と「ただちに停止」を分けています

メーカーの取扱説明書は、同じ「ブレーカーが落ちた」でも、対応を3段階に分けて書いています。オムロンの取扱説明書「故障かな?と思ったら」の記述をそのまま整理します。

表示・症状 取扱説明書の意味 取扱説明書の対処
e1-0 太陽光発電用ブレーカーが「オフ」になっている(停電時にも出る) 自立運転の必要がなければ、太陽光発電用ブレーカーを「オン」にする
主幹漏電ブレーカーが頻繁に動作する 家電製品、パワーコンディショナ、または太陽電池の漏電か、太陽光発電用ブレーカーの不具合の可能性 運転スイッチを「オフ」にし、太陽光発電用ブレーカーを「オフ」にしたうえで、販売店へ連絡
e2-3 太陽電池に異常が発生している ただちに使用を停止(運転スイッチをオフ)し、販売店へ連絡

京セラのFAQも同じ構造です。エラー表示「E0」は「停電が発生しているか、または太陽光発電用ブレーカが『オフ』になっています」で、ブレーカーがオフなら「オン」にしてください、と書かれています。一方、E8・F4・E0以外のエラーが解消しない場合は「運転スイッチを『オフ』にし、太陽光発電ブレーカを『オフ』にして、販売店へ」です。

つまり、「入れてよい」のは、ブレーカーが何かの拍子にオフになっただけで、入れれば落ちない場合です。停電のあと、点検のあと、家族が触ったあと——1回入れて、その後ずっと落ちなければ、それで終わりです。

「入れてもまた落ちる」「頻繁に落ちる」は、取扱説明書の側で別の行に書かれています。そこには「オンにしてください」とは書いてありません。「オフにして、販売店へ」です。

ブレーカーが落ちたときに見る3点
①どのブレーカーが落ちたか(主幹漏電か、太陽光発電用か)
②パワーコンディショナの表示部に何が出ているか(エラーコードは写真に撮る)
③今月で何回目か、どんなとき(雨の日、朝、日射が強い昼)に落ちるか


国の事故調査には「ブレーカーが落ちる」の前ぶれのあとに出火した事例が3件あります

消費者庁の消費者安全調査委員会が2019年1月に公表した「住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故等」の報告書には、詳しく調べた事例が7件載っています。そのうち、「ブレーカーが落ちる」を前ぶれとして書いてあるものが3件あります。報告書の記述をそのまま引きます。

事例 発生 前ぶれと、その後
事例2 埼玉県・2012年8月 帰宅したらモニターの電源が入っておらず、ブレーカーも落ちていた。室内に焦げ臭いにおいがしたが、屋外を確認しなかった。翌日メーカーに連絡がつき、2日後に見に来てもらったら屋外の配線が燃えていた
事例4 新潟県・2013年6月 事故の3日前に「太陽光ブレーカーが落ちる」と施工業者へ連絡。同日に絶縁測定で2系統目の絶縁不良を確認し、2系統目の接続を切った。屋根上のモジュール外観は目視で異常なし。3日後に出火
事例6 神奈川県・2014年8月(設置から約1年) 事故の前に「ブレーカーが落ちる」と連絡があり、前月と同月に3回点検。7系統中2系統に絶縁不良が確認されたが、応急処置として断路器を断としたままで、事故発生時まで処置されなかった。出火の1か月余り前に漏電遮断器が作動し、事故当日の朝にはパワーコンディショナが直流地絡のエラーを出していた

3件に共通しているのは、「気づいていた」ことと「系統を切っていた」ことです。事例4も事例6も、施工業者が絶縁不良を見つけ、その系統を切り離していました。それでも出火しています。

なぜ切り離しても火が出るのか。報告書はこう書いています。

「製品において、同一ストリング内の2点地絡など断路器を介さない地絡経路が形成された場合には、モジュールに太陽光が当たっている限り発電機能を止めることができず、断路器の操作とは無関係に地絡電流が流れ続けるため、断路器により回路を断つことだけでは十分な処置にならない。この場合、断路器による切り離し操作に加えて、地絡が発生したストリングを遮光する等が適切な処置である。」(報告書 第5章)

事例6の消防機関の記述は、さらにはっきりしています。「異常発生箇所の2次側に設置された遮断器を閉鎖するだけでは火災を防ぐことが出来ない」「不具合発生後に遮光するなど適切な措置がとられなかったことも大きく、これらの措置が適切にとられていれば火災の発生を予防した可能性も少なくない」。


断路器を切っても止まらない理由——「2点地絡」

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。少しだけ仕組みの話をします。

太陽光パネルには、発電を止めるスイッチがありません。日射がある限り、電圧が出続けます。パワーコンディショナの運転を止めても、接続箱の開閉器を切っても、パネルからパワーコンディショナへ電気が流れなくなるだけで、パネル自体は発電しています。事例4の消防機関の記述にも「〈接続箱〉のスイッチを OFF にしても太陽電池モジュールは発電状態にあり〈接続箱〉とモジュール間は通電状態となっている」とあります。

ケーブルの被覆が1か所だけ傷んで、金属の屋根や架台に触れている状態を「1点地絡」と言います。この段階では、パワーコンディショナが地絡を検知して止まるか、漏電ブレーカーが落ちます。「ブレーカーが落ちる」は、この1点目の合図です。

ところが、同じ系統(ストリング)の中で2か所目の傷ができると、パネル→1点目→屋根や架台→2点目→パネル、という開閉器を通らない回路ができます。この回路には日射がある限り電流が流れ続け、傷んだ箇所で発熱や火花(アーク)が起きます。開閉器を切っても、この回路の外側を切っているだけなので、止まりません。止めるには、パネルに光を当てないこと——遮光しかありません。

JEMA・JPEAの保守点検ガイドライン(JM19Z001)も、地絡が見つかった場合の対処をこう定めています。

「多点地絡のような場合には,日射がある限り地絡電流を止めることができず,感電事故の危険性が高まる。(中略)地絡が見つかった場合は,絶縁保護具を装着の上,地絡が起きている直列ストリング上のすべての太陽電池モジュールを遮光し発電を止め,異常部分を解列し,地絡原因を探るとともに地絡モジュールの交換などの回路修復をする必要がある。修復作業が完了するまでは遮光しておくことが望ましい。」(13.4.1.3)

注記には「すべての太陽電池モジュールを遮光しないと,バイパスダイオードを経由して,発電電流が流れてしまうため発電を止めることができない」とあります。1枚だけシートをかけても止まりません。

報告書はもう1点、パワーコンディショナに地絡検知機能が装備されていない製品があったことを挙げ、再発防止策として「地絡検知機能を有する製品を標準とし、既設の製品については適時、機器の更新を進めること」「断路器による切り離し操作に加えて、地絡が発生したストリングを遮光する等、地絡が発生した際の適切な対処方法を整備し、徹底させること」を製造業者に求めています。


東北で「断続的に落ちる」が起きやすい理由

ガイドラインには、地絡の見つけにくさについてこう書かれています。

「地絡条件は,断続的なもの,雨天時だけ発生するものもあり,その発生状況から測定条件を決定する。」(13.4.1)

「雨の日だけ落ちる」「朝だけ落ちる」「晴れると落ちない」は、まさにこの断続的な地絡の出方です。ケーブルの傷が濡れているときだけ屋根と導通し、乾くと戻る。だから「入れ直せば動く」に見えます。

東北では、この「濡れる時間」が長い季節が年に2回あります。

  • 秋の長雨から初雪まで(10〜11月):落ち葉が配線の上にたまり、湿気を抱えます。事例4では、出火時に杉の落ち葉に引火しました
  • 雪解け(3〜4月):屋根の雪がゆっくり溶けて、パネルの下やケーブルの引き回し部分が何日も濡れたままになります。凍結と融解を繰り返した被覆は、ひびが入りやすくなります

これに、記事101で書いた鳥や小動物の噛み跡、記事99で書いた端子の締め付け不良が重なると、「ある日突然」ではなく「秋に何度か落ちて、春に本格的に落ち始める」という出方をします。季節で消える症状は、直ったのではなく、乾いただけと考えてください。

スレート屋根の片面に設置した太陽光パネルの俯瞰

▲ 当社施工事例:スレート屋根に載せた太陽光パネル


落ちたときの初動——やることと、やってはいけないこと

以上を踏まえて、実際にブレーカーが落ちたときの動き方を整理します。

やってはいけないこと

  1. 何度も入れ直す。取扱説明書が「オンにしてください」と書いているのは、オフになっているだけの場合です。落ちる原因が分からないまま入れ直すのは、地絡箇所にもう一度電流を流すことです
  2. 屋根に上る。日射がある限りパネルは発電しています。報告書の事例1には、消防機関の隊員2人が防御活動中に感電と思われる症状を訴えたという記述があります。素人が上ることではありません
  3. 「季節が変わって落ちなくなった」で終わりにする。上に書いたとおり、乾いただけです

やること

  1. パワーコンディショナの運転スイッチを「オフ」にし、太陽光発電用ブレーカーも「オフ」にする(オムロン取扱説明書の「主幹漏電ブレーカが頻繁に動作する」の対処そのまま)。京セラのFAQも同じ順番です
  2. 表示部のエラーコードと、落ちた日時・天気をメモする。エラーコードは写真に撮ってください。「雨の日の午前中に3回」という情報が、絶縁測定の条件を決めます(ガイドライン13.4.1「その発生状況から測定条件を決定する」)
  3. 施工店に「絶縁抵抗の測定」を頼む。ストリングごとに絶縁を測り、どの系統に地絡があるかを絞ります。ガイドラインは、正極・負極それぞれと大地の間の電圧から、地絡箇所がストリングの何枚目あたりかまで推定する手順(13.4.1.1)を載せています
  4. 地絡が見つかったら、「切り離し」だけでなく「遮光したか」を確認する。「その系統は切っておきました」で終わっていたら、事例4・事例6と同じ状態です。修理までの間、その系統のパネル全部に遮光シートがかかっているかを聞いてください
  5. 修理は、切った系統を戻す前に済ませる。ケーブルの傷の修復、モジュールやコネクタの交換が終わってから、遮光を外して復旧します

施工店に電話がつながらない、廃業していた、という場合は、施工店が廃業したときの保証の話(記事103)を先に読んでください。メーカーの窓口は残っています。

なお、主幹漏電ブレーカーは、太陽光と関係のない家電の漏電でも落ちます。エアコンの室外機、洗濯機、給湯器、屋外コンセントなどです。太陽光発電用ブレーカーをオフにしても主幹漏電ブレーカーが落ち続けるなら、原因は太陽光の側ではないかもしれません。この切り分けも、電気工事士に頼む作業です。


見積り・点検のときに聞いておくこと

これから太陽光を付ける方、あるいは10年目の点検を頼む方は、次の3つを聞いておくと、いざというときの動きが変わります。

  1. パワーコンディショナに地絡検知機能があるか。消費者庁の報告書が「標準とすること」を求めた機能です。あれば、1点目の地絡でパワーコンディショナが止まり、エラー履歴が残ります(ガイドライン13.4.1の注記1「パワーコンディショナには地絡検知機能と地絡時の運転履歴を保存するものがある」)
  2. 点検項目に「絶縁抵抗測定」が入っているか。目視だけの点検では、事例4のように「屋根上のモジュール外観は異常なし」で終わります。当社の無償点検の23項目には、直流配線・コネクタと接続箱・パワーコンディショナの確認が入っていますが、絶縁測定は電気工事士が測定器で行う作業です。「測定します」と書いてあるかを見てください
  3. 地絡が見つかったとき、遮光シートを用意しているか。ガイドラインの注記には「99%発電を抑制する太陽光用の遮光シートも市販されている」とあります。持っている施工店は、この記事に書いた性質を分かっている施工店です

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よくある質問

Q1. ブレーカーが落ちたのは1回だけで、入れ直したらそのまま動いています。放っておいてよいですか。

A. 1回だけなら、停電や操作でオフになった可能性が高く、取扱説明書も「オンにしてください」の扱いです。ただし、その日の天気と時刻をメモしておいてください。同じ条件でもう一度落ちたら、それは「頻繁に動作する」の側に入ります。2回目からは入れ直さず、施工店に絶縁測定を頼んでください。

Q2. 施工店に見てもらい、「1系統だけ切っておけば大丈夫」と言われました。

A. 消費者庁の報告書の事例4・事例6は、まさにその状態から出火しています。系統を切っても、日射がある限りその系統のパネルは発電し、2点目の傷ができれば開閉器を通らずに電流が流れます。「切った系統のパネルは遮光してありますか」「修理はいつですか」の2点を、必ず確認してください。ガイドラインは「修復作業が完了するまでは遮光しておくことが望ましい」と書いています。

Q3. 雪が積もっている間は落ちません。雪が遮光の代わりになりますか。

A. 積雪でパネルが完全に覆われている間は発電が止まりますが、雪は動きます。日中に一部が溶けて露出すれば、その部分は発電します。しかも雪解け水でケーブルが濡れるので、地絡の条件はむしろ整います。雪を遮光の代わりにはせず、施工店の遮光シートで対応してください。


まとめ

  • 太陽光に関わるブレーカーは主幹漏電ブレーカー太陽光発電用ブレーカーの2つ。落ちたときは、まずどちらかを確かめる
  • 取扱説明書は「オフになっているだけ(e1-0/E0)→オンにしてよい」と「頻繁に落ちる・太陽電池の異常(e2-3)→オフにして販売店へ」を別の行に書いている。「入れ直せば動く」は前者ではなく後者
  • 消費者庁の事故調査には、「ブレーカーが落ちる」の前ぶれのあとに出火した事例が3件。2件は施工業者が絶縁不良を見つけて系統を切ったあとに出火している
  • 理由は2点地絡。日射がある限りパネルは発電を止められず、開閉器を通らない回路ができると電流が流れ続ける。止めるには系統のパネル全部を遮光する
  • 東北では秋の長雨・落ち葉と、春の雪解けで「濡れているときだけ落ちる」断続的な地絡が起きやすい。季節で消えた症状は直っていない
  • 初動は入れ直さない・運転スイッチと太陽光発電用ブレーカーを切る・絶縁測定を頼む。地絡が見つかったら「切ったか」ではなく「遮光したか」を聞く

「入れ直せば動く」は、直った証拠ではなく、次に落ちるまでの時間です。

※本記事は2026年9月14日時点の公開資料にもとづいています。取扱説明書の記述は機種によって異なります。お手元の機種の取扱説明書と、販売施工店の指示を優先してください。

出典

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監修・執筆:株式会社ファナス 代表取締役 不藤政次|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら

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