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屋根の上で、何かが配線をかじっています|太陽光のケーブルを守る鳥・小動物対策と、秋に見ておく3か所【東北・2026年版】

太陽光のケーブルを鳥・小動物から守る秋の点検3か所

先に結論
太陽光の火災原因のひとつに「小動物がケーブルをかじった」があり、国の調査報告書に実例(新潟県)が載っています。
前ぶれは「太陽光のブレーカーが落ちる」でした。見た目に異常がなくても、施工店に連絡してください。
鳥の糞・ケーブルの噛みつきによる故障は、メーカー保証の対象外です(長州産業・エクソルの規定で確認)。
東北では、雪で屋根が見えなくなる前の秋が、点検のいちばんよい時期です。

夜、天井のほうで、カリカリと小さな音がする。朝になって屋根を見上げても、パネルはいつもどおり並んでいる。

こういうご相談を、秋にいただくことがあります。屋根の上のパネルは動きませんが、パネルと屋根のあいだの空間は、鳥や小動物にとって「雨風をしのげて、昼はほんのり暖かい場所」です。そこにケーブルが通っています。

この記事は、太陽光のケーブルが鳥・小動物からどんな被害を受けるのか、それがどう火災につながるのかを、消費者庁の調査報告書と国のガイドライン、メーカーの公式資料だけで整理したものです。最後に、東北で雪が来る前の秋に見ておく3か所をまとめます。

国の報告書に載っている「小動物がかじった」火災

消費者庁の消費者安全調査委員会は、2019年1月28日に「住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故等」の調査報告書を公表しています。この報告書に、小動物が原因と推定された火災が1件載っています。

事例4(新潟県・2013年6月発生)
設置は2010年、使用約3年、屋根置き型。
近隣の住民が屋根からの煙と火に気づき、居住者に連絡した。
ケーブルに波型の連続した傷があり、「モモンガ等の小型哺乳類がケーブルを噛んだ」と消防機関は推察している。

出火に至った流れは、報告書の中で製造業者がこう説明しています。

  1. 小動物がケーブルを噛み、被覆が破れた
  2. 2系統目の接続はOFFになっていたが、太陽電池パネルは発電状態にあった
  3. ケーブルが集まる電線保護管の近くで、プラス側とマイナス側が短絡し、アーク(火花)が飛びやすい状態になった
  4. パネルの下にたまっていた杉の落ち葉に引火し、火種になった
  5. 落ち葉が燃えて延長ケーブルの発火点(400℃)に達し、ケーブルからモジュールへ燃え広がった

報告書は、この事故について「3つの事象がすべて重ならないと発生しない」「モジュール直下に可燃物が存在しなければ延焼に至る可能性は極めて低い」という製造業者の判断も併記しています。かじられただけでは燃えず、そこに落ち葉があって、はじめて火になった、ということです。

さらに、報告書のなかでNITE(製品評価技術基盤機構)は「当該事故の他にも小動物の被害でケーブルを損傷したケースがあった」と述べています。火災に至ったのは1件でも、かじられた例はそれだけではない、と読める記述です。

太陽光の火災原因の全体像(施工不良・コネクタの緩み)は、蓄電池の火事は「ねじ1本」で起きる記事で同じ報告書を引いています。
この記事は、その中の「小動物」の部分だけを掘り下げています。


前ぶれは「太陽光のブレーカーが落ちる」でした

この事例で、いちばん覚えておいてほしいのは出火の3日前の出来事です。

報告書によると、所有者は事故の3日前に施工業者へ「太陽光ブレーカーが落ちる」と連絡しています。施工業者は同日に配線を確認し、絶縁測定で2系統目の絶縁不良を見つけて、その系統の接続を切りました。屋根の上のモジュールも目視しましたが、特に異常は確認されなかったとされています。

つまり、

  • 症状(ブレーカーが落ちる)は出ていた
  • 測定で絶縁不良まで分かっていた
  • でも、屋根の上を見ても分からなかった
  • 系統を切っても、パネルは日が当たれば発電し続けていた

という状態で、3日後に火が出ました。

「ブレーカーが落ちる」は、見た目に異常がなくても放置しないでください。
接続箱のスイッチを切っても、太陽光パネルは日中は発電しています(報告書の消防機関の記述)。
自分で屋根に上がって確かめるのは危険です。施工店に連絡し、原因の特定まで頼んでください。

太陽光パネルは「電源を切る」ができない設備です。報告書も、同じストリング内の2点で地絡が起きると「断路するだけではその発電機能を止めることができない」と説明しています。復旧は電気工事士の仕事で、ご家庭でできるのは「連絡すること」です。


ガイドラインは「巣」「小動物の侵入」を点検項目にしています

日本電機工業会(JEMA)と太陽光発電協会(JPEA)が公開している「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」(JM19Z001・2019年12月)には、住宅の屋根置きシステム向けの定期点検要領例(附属書B)があり、鳥・小動物に関する項目がはっきり入っています。

点検箇所 点検項目(要旨) 周期の例
太陽電池アレイ・周辺の状況 影、鳥などの巣、樹木、電柱などが安全・性能に著しい影響を与えていない 1年目○/日常は任意/定期は1回/4年
接続箱(パワコン内蔵型を含む)・外箱の内部 じんあい、雨水、虫類、小動物の侵入がない 同上
接続箱・配電、電線管 配線引込口にすき間などが生じていない(小動物の侵入防止)、結束バンドの破損・外れがない 同上

本文のほうにも、次のような記述があります。

  • 「太陽電池アレイの下に動物又は虫類の侵入の有無検査」は、「例えば春の巣作りのように、動物によっては季節的である場合がある」(表1)
  • パワコンの内外部は「水分、げっ歯類(ネズミ、ムササビ等)、小動物、昆虫、ほこりの侵入の兆候がないか確認する」
  • 「侵入口があるかどうか確認し、あった場合にはこれを塞ぎ、既に入っているごみは取り除くこと」(11.2.2.4)
  • 配線は「配線引込口にすき間などが生じていないこと、小動物などの侵入の痕跡がないことを確認する」(11.2.5)

「ムササビ」「巣作り」という言葉が、国レベルの技術資料にそのまま出てきます。鳥や小動物は、太陽光の点検ではめずらしい話ではなく、最初から想定されている項目です。

金属屋根に太陽光パネルを施工中。屋根端部の離隔と固定金具が見える

▲ 当社施工事例:パネルの縁と屋根のすき間。落ち葉や巣はここにたまります


メーカーの施工説明書と保証規定は、こう書いています

施工説明書:「小動物が侵入しないようにシールする」

パナソニックのパワーコンディショナ(VBPC255GM2)の施工説明書には、小動物についてこう書かれています。

  • 「引込部は雨水が浸入したり小動物が侵入したりしないようにパテなどで隙間を確実にシールしてください」
  • 「確実に固定しないと水の浸入や小動物の侵入などにより、感電、火災、故障の原因になります」
  • 「配線は雨や紫外線などによる劣化、人や小動物などによる外傷を受けないようにしてください」

つまり、配線の引込口をパテで埋める、カバーを確実に固定する、ケーブルをむき出しにしない、という施工時の作業が、小動物対策の第一段階です。ここが省かれていると、点検以前の問題になります。

消費者庁の報告書でも、製造業者6社への調査で「小動物によるケーブルへの噛害対策を準備しているか」という問いに、3社が「はい」、3社が「いいえ」と答えています(2018年時点)。報告書は再発防止策として「製造業者において、小動物による噛害に対して防止策を準備し、設置環境を踏まえ、必要に応じて施工すること」を挙げました。対策部材があるかどうかはメーカーで違い、使うかどうかは設置環境で決める、という整理です。

保証規定:鳥の糞・かじりは「保証しない事項」

ここは、契約前に知っておいていただきたい点です。

メーカー 保証規定の記載(公式)
長州産業(住宅用保証規定 SK-250801) 保証しない事項に「害獣被害(鳥糞、ケーブルの噛みつき)、虫の侵入に起因する故障及び損傷等
エクソル(製品・出力保証) 免責に「鳥糞、ねずみ食い、虫食いなどの動物や虫に起因する場合
エネテラス(EIBS7・蓄電池) 「動物や昆虫等による外来事故に起因する故障や損傷は有償での対応

メーカー保証は「製造上の不具合」を見る制度なので、外から来た動物の被害は対象外、というのは自然な整理です。ただ、これは「かじられたケーブルの交換費用は、原則お客様の負担」を意味します。他のメーカーも同じ趣旨の免責を置いていることが多いので、お手元の保証書の「保証しない事項」を一度見ておいてください。

保証の一般的な構造(施工店が出す書類・申請期限)は施工保証の記事にまとめています。
動物被害は「メーカー保証でも施工保証でも拾われにくい」領域で、だからこそ予防と早期発見が費用面でも効きます。


東北で「秋」に見る理由

東北で秋に点検をおすすめするのには、3つの理由があります。

1つ目は、落ち葉です。 新潟の事例で火種になったのは、パネルの下にたまった杉の落ち葉でした。東北の山あいの住宅は杉林に近いお宅が多く、秋から初冬にかけて屋根に落ち葉がたまります。かじられたケーブルがあっても、燃えるものが無ければ火にならないので、落ち葉を残さないこと自体が対策になります。

2つ目は、雪です。 屋根に雪が載ると、パネルの下も、屋根の状態も、春まで見えなくなります。冬のあいだに巣が広がっても、雪の下で気づけません。雪が来る前に一度見ておくのが、東北での点検の順番です。落雪の話は落雪と雪止めの記事にあります。

3つ目は、動物の季節性です。 ガイドラインは「春の巣作りのように、動物によっては季節的である場合がある」としています。春に作られた巣は、秋には空いていることが多く、取り除きやすい時期でもあります。


秋に見ておく3か所

ご家庭で見られるのは地上からの範囲です。屋根には上がらないでください。双眼鏡か、スマートフォンのズームで十分です。

1. パネルと屋根のすき間(軒側から)

  • 軒側から見上げて、パネルの下に枯れ葉・枝・巣の材料が詰まっていないか
  • 鳥が出入りしているのを見かけないか(同じ場所に何度も止まる、朝夕に出入りする)
  • パネルの縁に糞が線状に付いていないか(止まり木にされているサイン)

ガイドラインの鳥対策には「鳥が営巣可能なパネル間の隙間を減らす」「防鳥ネットを使用し、モジュールの下の領域をアレイの周囲の屋根まで完全に密閉する」「営巣シーズンのタイミングに合わせて巣の除去を行う」が挙げられています。防鳥ネットや部材の取付は、屋根の上の作業なので施工店に依頼してください。ご自身で網をかけると、ケーブルを踏んだり、パネルを傷めたりする恐れがあります。

2. パワコン・接続箱の配線引込口

  • 配線が入る穴のまわりのパテ・シールに割れ・脱落がないか
  • カバーがきちんと閉まっているか(ねじの脱落、すき間)
  • 箱の下や周囲に糞・かじりかす・巣材が落ちていないか
  • 屋外の結束バンドが切れて、ケーブルが垂れていないか

ガイドラインの「配線引込口にすき間などが生じていない(小動物の侵入防止)」「結束バンドの破損、外れがない」に当たる項目です。ここは地上の高さにあることが多く、ご家庭でいちばん見やすい場所です。箱のふたを開けるのは電気工事士の仕事なので、外から見えるところだけで結構です。

3. 屋根から下りてくるケーブル

  • 外壁を下りる電線保護管(PF管)が外れていないか
  • 保護管の途中でケーブルがむき出しになっていないか
  • 保護管の端にかじった跡・毛・糞がないか

新潟の事例では、ケーブルが集まる電線保護管の近くで短絡しました。ケーブルが束になる場所は、被覆が破れたときにプラスとマイナスが触れやすい場所でもあります。

レンガ調の外壁に取り付けた壁掛けのハイブリッドパワーコンディショナ

▲ 当社施工事例:外壁のパワコン。配線の引込口を地上から見られます

異常が「ある」と分かったときにやることは、ひとつだけです。
施工店に写真を送って、点検に来てもらってください。
ブレーカーが落ちる症状があれば、その旨も伝えてください(原因の特定が早くなります)。


見積り・点検のときに聞くこと

これから太陽光を付ける方は、見積りの段階で次の3つを聞いておくと、あとが楽です。

  1. 配線の引込口はどう処理しますか(パテ・シールの有無。施工説明書どおりか)
  2. 鳥・小動物の対策部材はありますか。うちの立地(杉林・河川・田畑が近い等)だと必要ですか
  3. 定期点検で「巣」「小動物の侵入痕」は項目に入っていますか

3つ目は、ガイドラインの附属書Bにそのまま項目があるので、点検票にその欄があるかで判断できます。当社の定期点検(当社からご購入いただいたお客様向け)の項目にも、「落葉・鳥害」「直流配線・コネクタ」「接続箱・パワーコンディショナ」が入っています。

見積書を受け取ったあと、金額の妥当性を先に確かめたい方は、当社が運営するサイト「ソラカルテ」の見積書AI診断をお使いください。施工会社がつくった診断なので、部材や工事項目の抜けも一緒に見られます。

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よくある質問

Q1. 鳥の巣を見つけました。自分で取ってもいいですか。

A. 屋根の上の作業になるので、おすすめしません。転落の危険に加えて、ケーブルを踏んで傷めることがあります。また、鳥の種類によっては卵やひなのいる巣を勝手に取り除けない場合があります(鳥獣保護管理法)。施工店か、鳥害対策の業者に相談してください。

Q2. ケーブルがかじられていた場合、修理は無料ですか。

A. 多くのメーカーの保証規定で、動物や虫による故障・損傷は保証しない事項になっています(長州産業・エクソル・エネテラスの公式規定で確認)。原則としてお客様のご負担になります。火災保険の対象になるかは契約内容によりますので、保険会社にご確認ください。

Q3. 太陽光のブレーカーが落ちましたが、入れ直したら動いています。様子を見てもいいですか。

A. 様子見はおすすめしません。国の報告書の事例では、ブレーカーが落ちる症状の3日後に出火しています。見た目に異常が無くても絶縁不良が起きていることがあります。施工店に「ブレーカーが落ちた」と伝え、絶縁測定を含む点検を依頼してください。


まとめ

  • 消費者庁の調査報告書に、小動物がかじったケーブルが短絡し、パネルの下の落ち葉に着火した住宅火災(新潟県・2013年)が載っている。NITEは「他にも小動物の被害でケーブルを損傷したケースがあった」と述べている
  • 前ぶれは「太陽光のブレーカーが落ちる」。系統を切っても、パネルは日中は発電し続ける。屋根には上がらず、施工店に連絡する
  • 国のガイドライン(JM19Z001)は、鳥などの巣・小動物の侵入・配線引込口のすき間を住宅用の点検項目にしている。「春の巣作り」のように季節性がある
  • メーカーの施工説明書は引込口をパテでシールするよう求め、保証規定は鳥の糞・ケーブルの噛みつきを保証しない事項にしている
  • 東北では落ち葉がたまり、雪で屋根が見えなくなる前の秋に、①パネルと屋根のすき間 ②パワコン・接続箱の引込口 ③屋根から下りるケーブル、の3か所を地上から見ておく

音がしたら、まず写真。写真を撮ったら、施工店へ。屋根の上は、任せてください。

※本記事は2026年9月12日時点の情報です。引用した報告書・ガイドライン・施工説明書・保証規定はそれぞれの公表時点のもので、改訂されることがあります。ご自宅の機器については、お手元の保証書と販売施工店にご確認ください。

出典

施工会社がつくった、見積書のセカンドオピニオン。(ソラカルテ)

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監修・執筆:株式会社ファナス 代表取締役 不藤政次|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら

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