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蓄電池の火事は、機器より「ねじ1本」で起きることが多いんです|国の事故調査に載っている「締め付け不足」と、見積り前に聞く工事管理・引き渡し後に見る3つのサイン【東北・2026年版】

蓄電池の火災は端子の締め付け不良が多い|工事で防ぐ方法

先に結論
太陽光・蓄電池の火災は、機器そのものより「工事」で起きることが多いです。
国の事故調査では、太陽光発電装置の事故原因の約4割が施工不良で、主な原因の欄に「ねじの締め付け不足」が載っています。
当社が見てきた範囲でも、蓄電池からの出火の主因は電線の締め付け不良です。
防ぐ手は、見積り前に「締め付けをどう管理しているか」を聞くことと、引き渡し後に端子まわりを見る点検を入れることです。

2019年、国の機関が「施工、工事等の不良に伴う事故事例」という資料を公表しました。製品評価技術基盤機構(NITE)が、2014年度から2018年度に受け付けた事故のうち、工事の不良が原因に関わるものを品目別に集計したものです。

その中に「太陽光・熱装置」の欄があります。5年間で23件、うち火災が20件。そして主な事故原因として並んでいるのが、「雨水の浸入」「ねじの締め付け不足」「出力ケーブルの架台挟み込み」の3つでした。

製品の欠陥ではなく、ねじです。 この記事では、なぜねじ1本で火が出るのか、メーカーは工事店に何を求めているのか、そして東北で蓄電池を入れる方が契約前と引き渡し後にできることを、公式資料と当社の現場の経験から書きます。

国の事故調査には「締め付け不足」が原因として載っています

まず、公式に確認できることを並べます。

NITE「施工、工事等の不良に伴う事故事例」(2019年)

  • 2014〜2018年度に工事の不良が関わった事故の上位5品目は、ガス給湯器53件・ガスふろがま41件・エアコン37件・石油ふろがま26件・太陽光・熱装置23件
  • 太陽光・熱装置の23件のうち火災は20件
  • 太陽光・熱装置の主要な事故原因は「雨水の浸入」「ねじの締め付け不足」「出力ケーブルの架台挟み込み」
  • 「太陽光発電装置の事故原因の約4割が施工不良による事故」と明記

消費者庁 消費者安全調査委員会「住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故等」(2019年1月)

  • 2008年3月〜2017年11月に事故情報データバンクへ登録された火災・発火・発煙等は127件
  • 発火箇所がケーブルとされた10件のうち6件は施工不良(ケーブルの挟み込み、不適切な中間接続・延長接続)が原因と推定
  • 施工不良以外にも「コネクタの緩みによる発熱」が原因の事例が2件
  • 所有者アンケートでは、保守点検を全体の約7割が実施していない

どちらも太陽光発電システムの調査で、蓄電池だけを対象にした同じ規模の公的調査はまだありません。ただ、蓄電池の工事で電線をつなぐ場所は、太陽光と同じ「ねじで締める端子」です。同じ原因が同じように起きます。

当社が見てきた範囲でも、蓄電池から出火した事例の主因は電線の締め付け不良です。
メーカーの責任で機器を交換したケースは一部で、大半は電気工事の側に原因がありました。
東北でも実際に起きています。件数は書きませんが、机上の話ではありません。

これは特定のメーカーを責める話ではありません。どのメーカーの機器でも、締め付けが弱ければ同じことが起きます。 うちも含めて、電気工事はここで差が出ます。


ねじ1本で火が出る仕組み

蓄電池の工事では、パワーコンディショナ・蓄電池ユニット・専用分電盤・切替盤の端子に、太い電線を何本もねじで留めます。

電気は、電線と端子が面で触れている部分を通ります。締め付けが弱いと、この触れている面積が足りません。すると、その一点だけ電気が通りにくくなり、電気が流れるたびにそこが熱を持ちます

  • 最初は、ほんの少し温かい程度です
  • 熱で金属がわずかに伸び縮みして、ねじはさらに緩みます
  • 緩むほど面積が減り、熱が増えます
  • 何年か通電を繰り返すうちに、端子が変色し、被覆が傷み、そこから火が出ます

法律側にもこの原理が書かれています。電気設備に関する技術基準を定める省令の第7条は、電線の接続について「接続部分において電線の電気抵抗を増加させないように接続する」ことを求めています。締め付け不足は、まさに接続部分で抵抗を増やす行為です。

入居直後には症状が出ません。
引き渡しのときの動作確認では、電気は普通に流れます。
見た目でも分かりません。カバーの中にある端子を、外して見ないと分からない場所です。
だから「工事のときにどう締めたか」と「あとで誰が見るか」の2つでしか防げません。


メーカーの工事説明書は「トルク」を数字で決めています

「ちゃんと締める」は感覚の話ではありません。メーカーは工事説明書で、端子ねじの締め付けトルク(回す力)を数字で指定しています。

たとえばニチコンの蓄電システム ESS-U2L1 の工事説明書には、次の表が載っています。

端子ねじのサイズ 推奨締付トルク範囲
M4 1.2〜1.8 N・m
M5 2.0〜2.5 N・m
M6 4.0〜5.0 N・m
M8 5.5〜7.5 N・m

同じ説明書には、施工後の点検項目として「端子台接続端子のネジに、ゆるみがないことを確認してください(トルクドライバーを用いて増し締めを行い、既定のトルクで締め付けられているか確認してください)」とあります。あわせて「ネジが斜めに入って、締め付けが不完全になっていないか」「ケーブルの被覆が端子台に噛み込んでいないか」「より線や単線をそのまま端子台へ固定していないか」も点検項目です。

つまり、メーカー自身が「工事の最後にトルクドライバーで確認する」ことを手順に入れているわけです。これは一例で、他社の工事説明書にも同じ趣旨の指定があります。この手順を現場で本当にやっているかどうかが、施工店の差になります。

トルク値は機種ごとに違います。
上の表は ESS-U2L1 の値で、他の機種にそのまま当てはめてはいけません。
読者の方が覚える必要はなく、「機種の工事説明書どおりのトルクで締め、増し締めで確認したか」を施工店に聞ければ十分です。

なお、この工事説明書には「電気設備技術基準・内線規程に従い、第一種または第二種電気工事士が作業してください」とも書かれています。蓄電池の配線は、資格を持った電気工事士の仕事です。 見積りに「電気工事」の行があるなら、誰がその作業をするのかまで聞いてかまいません。

外壁に取り付けたパワーコンディショナ2台と屋外の切替盤、施工中の脚立

▲ 当社施工事例:パワコンと切替盤の配線工事中(端子はカバーの中にあります)


保証の条件も「誰が工事したか」で決まります

締め付け不良は火災の話だけではありません。メーカー保証が付くかどうかにも直結します。

当社の商談ツールで、主要メーカーの蓄電池の保証規定(メーカー公式のカタログ・保証書・FAQ)を整理していますが、ほぼ全社に共通する条件が「メーカーが認定した施工ID保有者・登録施工店による施工」です。

  • 長州産業:施工認定店による施工+保証書発行手続き
  • シャープ:「当社所定の工事研修修了者(電気工事施工者ID保有者)による当社指定方法での施工」+引渡し日から1ヶ月以内の申込み
  • パナソニック:登録施工店もしくはPCS登録取扱店による設置工事+別途申請
  • 京セラ:「京セラ所定の施工研修修了者による京セラ指定工法での施工」+引き渡し後1年以内の申込み
  • カナディアン・ソーラー:施工認定IDを持った施工者の施工+アプリでの設置登録
  • ハンファジャパン・DMM:施工ID保有者/認定登録施工店による施工+設置後の保証申請

メーカーは、工事の質を「誰が施工したか」で担保しています。 裏を返せば、認定を受けていない業者が工事をすると、機器が正常でも保証が付かないことがあります。

申請の期限にも注意です。
シャープは引渡し日から1ヶ月、京セラは1年以内に申込みがないと機器保証が1年に短縮されます。
施工店が申請を忘れると、締め付けに問題がなくても保証を失います。
「保証書はいつ、誰から届くか」を契約時に確認してください。

保証の一覧そのものは、メーカーごとに条件が細かく違います。設置場所の但し書きの記事で書いたように、仕様欄と保証書の両方を開くのが確実です。


見積り前に、施工店へ聞く3つのこと

ここからが、読者の方が契約前にできることです。難しい質問ではありません。

① 「端子の締め付けは、どう管理していますか」

答えとして聞きたいのは次のどれかです。

  • 機種の工事説明書に書かれたトルク値で、トルクドライバー(トルクレンチ)を使って締めている
  • 締めたあとに増し締めで確認する手順がある
  • 一人が締めて、別の一人が確認する(二人確認)
  • 端子の写真を撮って、工事の記録として残している

「経験があるので大丈夫です」だけでは、手順の話になっていません。道具と手順で答えてくれる会社を選んでください。

② 「配線は電気工事士が行いますか。メーカーの施工IDを持っていますか」

前の章のとおり、資格と施工IDは火災の話と保証の話の両方に効きます。当社は全メーカーを取り扱えますが、機種ごとにメーカーの施工研修を受けた担当者が配線するのが原則です。

③ 「引き渡し後の点検で、端子まわりを見ますか」

定期点検のメニューに「端子の増し締め・変色の確認」が入っているかどうかです。外から見るだけの点検では、この章の話は何も分かりません。 点検の考え方は維持費と定期点検の記事にまとめています。

🔗 無料相談・お見積りはこちら(株式会社ファナス)

すでに他社の見積りが手元にある場合は、株式会社ファナスが運営するサイト「ソラカルテ」の見積書AI診断に送っていただくと、工事項目の内訳がどう書かれているかを確認する手がかりになります。工事の質そのものは書面から読み切れませんが、「電気工事一式」しか書かれていない見積りと、項目が分かれている見積りとでは、聞くべきことが変わります。


引き渡し後に見る、3つのサイン

締め付け不良は、すぐには出ません。数年たってから、次のような形で現れます。気づいたら、その時点で施工店に連絡してください。

  1. 焦げたにおい:パワコン・蓄電池・分電盤の近くで、ビニールが焼けるような、甘いような焦げ臭さ。屋外機器でも、近づくと分かることがあります
  2. 変色:端子カバーの周りや電線の被覆が、茶色や黒っぽく変わっている。カバーを開けなくても、機器の外側に熱でこげた跡が出ることがあります
  3. うなるような音:機器の運転音とは別に、ジー、ブーンという音が端子のあたりから続く。接触が不安定なときに出ることがあります

これに加えて、理由の分からないエラー停止が繰り返される場合も、端子を見てもらう合図です。

自分でカバーを開けないでください。
蓄電池もパワコンも、カバーの中は感電と短絡の危険があります。
端子を見る作業は、電気工事士が電源を落として行う作業です。
読者の方がすることは「気づいたら連絡する」までです。

濃茶の金属サイディングの外壁に横並びで取り付けたパワーコンディショナ3台

▲ 当社施工事例:外壁のパワコン3台(点検ではこの端子まわりを見ます)


東北で、この話が重くなる理由

締め付け不良は全国で起きますが、東北ではいくつかの条件が重なります。

冬に電気が多く流れます。 東北の冬は暖房と給湯で電気の使用量が増え、蓄電池も毎日フルに充放電します。端子に流れる電流が大きく、時間も長いほど、緩んだ端子は熱を持ちます。夏に問題のなかった端子が、冬に症状を出すことがあります。

温度差が大きいです。 屋外の機器は、夏の40℃近くから冬の−10℃以下まで、年間で50℃以上の温度差にさらされます。金属は温度で伸び縮みするので、もともと弱い締め付けは、季節をまたぐたびに少しずつ緩みます

雪の季節は、機器に近づけません。 屋外の蓄電池やパワコンが雪に埋もれる時期は、においも変色も気づきにくくなります。秋のうちに一度、端子まわりを見てもらうのが現実的な対策です。冬支度の全体は雪が降る前にやることの記事にまとめています。

もう一つ、当社が屋内設置をおすすめしていない理由も、ここにつながります。工事の不良はどの現場でも起こりえます。 その結果が機器の周りで収まるか、建物と家財に及ぶかは、どこに置いたかで決まります。締め付けの管理と、置き場所の設計は、セットで考える話です。


よくあるご質問

Q1. 締め付け不良で火が出た場合、メーカー保証で直りますか。

A. 一般に、メーカー保証は機器の瑕疵(機器そのものの欠陥)が対象で、工事の不良は施工店の責任範囲です。だから施工店の施工保証と、どの保証が何を対象にしているかを契約時に確認しておく必要があります。火災の損害そのものは火災保険の話になります。整理は火災保険が使えるケースの記事をご覧ください。

Q2. 引き渡しのときに「トルクで確認しました」と言われました。それ以上できることはありますか。

A. 端子の写真を工事記録として渡してもらえるか聞いてみてください。写真があれば、数年後の点検で同じ端子を同じ角度で撮って比べることができ、変色の進み方が分かります。記録を残す会社は、手順として締め付けを管理している会社です。

Q3. 既に設置してから何年もたっています。今から何をすればいいですか。

A. まず、施工店に「端子の増し締めと変色の確認」を含む点検を依頼してください。施工店と連絡が取れない場合は、メーカーの相談窓口か、そのメーカーの施工IDを持つ別の施工店に相談できます。上の3つのサインのどれかが出ているなら、点検を待たずに連絡してください。


まとめ

  • 国の事故調査(NITE 2019年)では、太陽光・熱装置の工事不良による事故23件のうち火災が20件。主な原因に「ねじの締め付け不足」が載っています。太陽光発電装置の事故原因の約4割が施工不良です
  • 消費者庁の調査でも、ケーブルからの発火10件のうち6件が施工不良、ほかにコネクタの緩みが2件。所有者の約7割が保守点検をしていません
  • 当社が見てきた範囲でも、蓄電池からの出火の主因は電線の締め付け不良です。東北でも実際に起きています。特定のメーカーの問題ではなく、工事の質の話です
  • 締め付けが弱いと接触面積が足りず、電気が流れるたびに一点が発熱します。入居直後には出ず、見た目でも分かりません
  • メーカーの工事説明書はトルク値を数字で指定し、トルクドライバーでの増し締め確認を手順に入れています(ニチコン ESS-U2L1 では M5 2.0〜2.5 N・m など)。配線は電気工事士の作業です
  • メーカー保証の条件は、ほぼ全社「施工ID保有者・認定施工店による施工」。申請期限(シャープ1ヶ月・京セラ1年)を落とすと保証が消えます
  • 見積り前に聞くのは3つ。締め付けの管理方法/電気工事士と施工IDの有無/引き渡し後に端子を見る点検があるか
  • 引き渡し後は焦げたにおい・変色・うなる音の3つのサイン。気づいたらカバーを開けず、施工店に連絡してください

蓄電池は10年、15年と使う機器です。その間ずっと電気が流れ続けるのは、ねじで留めた端子です。 機種選びに使う時間の何分の一かを、工事の質を聞くことに使ってください。

※本記事は2026年9月11日時点の情報です。公的調査の数値は公表時点のもので、工事説明書のトルク値は該当機種に限った例です。実際の施工・点検は各メーカーの最新の工事説明書と、電気工事士による現地判断をご確認ください。

出典

施工会社がつくった、見積書のセカンドオピニオン。(ソラカルテ)

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監修・執筆:株式会社ファナス 代表取締役 不藤政次|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら

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