雪・落雷・強風で太陽光や蓄電池が壊れたら、火災保険は使えるのか|東北で確認する5つのポイントと「保険で無料」の勧誘への向き合い方【2026年版】

「屋根から落ちた雪で、雨どいと太陽光のパネルの一部が壊れました。これって保険で直せるものなんでしょうか」
冬が明けたあと、毎年いただくご相談です。もうひとつ多いのが、夏の雷のあとの「モニターが真っ暗になって、発電しなくなりました」というご連絡です。
太陽光や蓄電池は、屋根の上と屋外に置く設備です。ですから、雪・風・雷という東北の自然条件をまともに受けます。そして壊れた原因によって、直すお金の出どころが変わります。メーカー保証で直るのか、施工した会社の責任なのか、それとも火災保険なのか。ここを取り違えると、直せたはずのものを自費で直すことになったり、逆に出るはずのない請求をして時間だけを失ったりします。
この記事では、①火災保険で拾える損害と拾えない損害の線引き、②東北で実際に多い3つのパターン、③太陽光・蓄電池が補償対象に入っているかの確認方法、④請求の手順と3年という期限、⑤「保険金を使えば自己負担0円」という勧誘への向き合い方、を整理します。
なお、私たちは保険の販売はしていません。施工した設備が壊れたお宅にうかがう立場から、現場で何を撮って、どこに連絡すればよいかという実務の部分をお伝えします。

▲ 当社施工事例:屋根の端に離隔をとった太陽光の施工
最初に整理:保険が拾うのは「事故」、拾わないのは「劣化」
火災保険という名前から、火事のときだけの保険だと思っている方が多いのですが、実際は違います。
一般社団法人日本損害保険協会の説明では、火災保険は火災だけでなく、風水災などの自然災害や盗難などによって、建物や家財に生じた損害を補償する保険とされています。台風などの風災、大雪などの雪災、落雷による損害を補償の対象としている商品があります。
つまり、屋根の上の太陽光にとっては、火災よりも風災・雪災・落雷のほうが現実的な出番なのです。
ただし、ここに大原則があります。
保険が補償するのは「偶然の事故」による損害であって、時間とともに進む劣化は対象になりません。
この線引きが、実務ではすべてです。
- 台風で飛んできた瓦が当たってパネルのガラスが割れた → 事故
- 15年使ったパワコンが寿命で止まった → 劣化
- 落雷でパワコンの基板が焼けた → 事故
- 架台の固定ボルトが最初から締まっておらず、数年かけてずれてきた → 施工の問題(保険ではなく、施工した会社との話になります)
現場でよくあるのは、この3つが混ざっているケースです。もともと劣化が進んでいたところに、大雪がとどめを刺した、というような状況ですね。こういうときは、保険会社が委託した損害鑑定人が現地を見て判断します。私たちが施工の当事者であれば、いつ・どういう仕様で工事したかという資料をお出しできますので、遠慮なくお声がけください。
東北の住宅で実際に多い3つのパターン
① 落雷でパワーコンディショナが動かなくなった
夏場にいちばん多いパターンです。
雷は、直接パネルに落ちなくても被害を出します。近くに落ちた雷の影響で電線や通信線に高い電圧が入り込み(誘導雷といいます)、それが屋内の機器を壊すことがあります。パワコン、蓄電池の制御基板、モニター、ルーターあたりが同時にやられているときは、この形が疑われます。
火災保険の基本的な補償には落雷が含まれているのが一般的です。「モニターが映らない」だけで済ませず、電気工事の資格を持つ者に点検してもらってください。 落雷が原因だという診断書や修理見積が、そのまま請求の資料になります。
なお、雷の被害を減らす工事的な対策としては、避雷器(SPD)の設置があります。新設のときにあらかじめ入れておくのが確実です。

▲ 当社施工事例:外壁に設置したパワーコンディショナ
② 雪の重み・落雪で壊れた
東北ならではなのがこれです。パターンは3つに分かれます。
- 積もった雪の重みで架台やパネルが変形した
- 屋根から滑り落ちた雪が、下にある雨どい・カーポート・給湯器・室外機を壊した
- 軒下に落ちた雪が積み上がり、下から押し上げる力でパネルの端を持ち上げた
雪災として扱われる可能性がありますが、注意していただきたいのは、契約によって支払いの条件が違うという点です。火災保険の商品や契約年によっては、風災・雹災・雪災について「損害額が一定の金額以上のときに支払う」という条件(免責金額やフランチャイズ方式)が付いていることがあります。古い契約ほどこの形が多く残っています。
ですから、雪の被害に遭ったら、まず保険証券(または契約内容のお知らせ)を出してきて、風災・雹災・雪災が補償の対象になっているか、支払いの条件はどうなっているかを確認してください。ここが分かるだけで、次の一手が変わります。
積雪そのものへの備え方はソーラーカーポートは東北の雪に耐えられるかや東北・雪国の太陽光は本当に発電するのかに整理してあります。設計の段階で雪の落ちる先を決めておくと、そもそもこの相談自体が起きにくくなります。
③ 強風で飛んできたもの・飛ばされたもの
春先の南風、秋の台風のあとに増えます。飛来物がパネルに当たって割れた、というのが典型です。
このとき大事なのは、割れたパネルをすぐ片付けてしまわないことです。撤去したあとの写真だけでは、何がどう壊れたのかが伝わりません。安全が確保できる範囲で、現状のまま撮影してから作業に入ってください。
地震・噴火・津波が原因のときは、火災保険では出ません
ここは間違えやすいので、はっきり書きます。
日本損害保険協会の説明では、地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする損害(火災・損壊・埋没・流失)は、火災保険では補償されません。備えるには地震保険に加入する必要があり、地震保険は火災保険にセットして加入する仕組みです。保険金額は火災保険の保険金額の30〜50%の範囲内で設定し、建物5,000万円・家財1,000万円が限度とされています。
東北にお住まいであれば、地震のあとに何が起きるかは説明するまでもないと思います。「火災保険に入っているから地震も大丈夫」ではない、という点だけ、ご家族で共有しておいてください。
地震で停電したときに太陽光や蓄電池をどう扱うかは地震で停電したとき、太陽光と蓄電池は使えるのかにまとめています。あわせてご覧ください。
太陽光と蓄電池は「建物」なのか、それとも対象外なのか
さて、いちばん肝心なところです。
火災保険は、建物と家財を分けて契約します。 屋根に固定した太陽光発電設備は、建物に付属する設備として建物の補償対象に含まれる扱いが一般的ですが、これは保険会社と契約内容によって異なります。屋外に据え置いた蓄電池やパワコンについても同じです。
ここで確認していただきたいのが、次の3点です。
- 建物の契約があるか(家財だけの契約になっていないか)
- 風災・雹災・雪災、落雷が補償の対象に入っているか
- 保険金額(建物の評価額)が、太陽光を載せる前の金額のままになっていないか
3つ目が見落とされがちです。太陽光や蓄電池を新しく設置すると、その分だけ建物の価値が増えます。評価額が古いままだと、いざというときに受け取れる金額が実態に足りないという事態が起こり得ます。
後付けしたら、保険会社か代理店に一報を
新築時に一緒に載せた場合は、住宅会社側で織り込まれていることが多いです。問題は後から設置した場合です。
設置が終わったら、保険会社または代理店に「太陽光(または蓄電池)を設置しました」と連絡し、補償の対象に入るか、保険金額の見直しが必要かを確認してください。電話1本で済む話ですが、これをやっていないお宅がかなりあります。
私たちがお引き渡しのときにお渡しする書類には、設置日・機器の型式・工事金額が入っています。そのまま保険会社への連絡に使えますので、捨てずに保管しておいてください。
請求は自分でできます——手順と、3年という期限
「手続きが難しそうだから、専門の業者に頼んだほうがいいのでは」と思われるかもしれません。
国民生活センターははっきりこう述べています。申請サポート会社に頼らずとも、保険金の請求は加入者自身で行えます。
手順はシンプルです。
- 安全を確保する。 割れたパネルには触らない、感電のおそれがある場所には近づかない。屋根には上らない
- 写真を撮る。 全景(家全体と被害箇所の位置関係が分かるもの)と、近景(壊れ方が分かるもの)の両方。日付が記録される設定で撮ると確実です
- 保険会社または代理店に連絡する。 修理の前に連絡します。修理後だと損害の確認ができません
- 修理見積を取る。 施工した会社、または電気工事のできる会社に依頼します
- 保険会社の案内に従って必要書類を出す。 場合によっては損害鑑定人が現地を見に来ます
このうち 3番の「修理の前に連絡する」がいちばん大事です。雨漏りや漏電など、放置すると危険な状態のときは応急処置が先で構いませんが、そのときも処置前の写真を必ず残してください。
期限は3年です
保険法第95条により、保険給付を請求する権利は、行使できるときから3年間行使しないと時効によって消滅します。
裏を返せば、去年の冬の被害でも、まだ請求できる可能性があるということです。「もう終わったこと」と思っていた損害があれば、一度保険会社に確認してみる価値はあります。
ただしこの「3年」は、後で述べる勧誘の常套句にも使われます。「期限が迫っています」と急かされたら、まず自分の保険会社に直接確認する。これを徹底してください。
「保険金で自己負担0円」の勧誘に気をつけてください
ここからは注意喚起です。
「火災保険を使って自己負担なく住宅の修理ができる」「保険金が出るようサポートします」と勧誘してくる事業者に関する相談が、全国で増えています。国民生活センターに寄せられた相談件数は、2010年度の111件から2019年度には2,684件へと約24倍に増えました。契約当事者が60歳以上の割合は2013年度以降7割を超えています。
実際の相談事例として、次のようなものが公表されています。
- 訪問してきた事業者から「3年前の大型台風で損害を受けている部分があるかもしれない。火災保険の請求期限が迫っている。調査費用は無料」と言われ、業務委託契約書に署名した
- 「修理代を上回る保険金が受け取れる。手数料は40%だが損はない」と言われて契約したが、保険会社の査定が見積もり通りとは限らないと気づき、解約を申し出たら断られた
私たちが現場で見かけるのも、だいたいこの形です。台風や大雪のあと、屋根に太陽光が載っている家をねらって「無料で点検します」と回ってくる。太陽光がある家は、屋根に上がる口実を作りやすいということなのだと思います。訪問による点検商法そのものへの向き合い方は太陽光の火災リスクと「点検商法」に注意に詳しく書きました。
覚えておいていただきたい4つ
- 請求は自分でできる。手数料を払って代行してもらう必要は、本来ありません
- 「期限が迫っている」は、まず自分の保険会社に確認する。急かす言葉は、考える時間を奪うためのものです
- うその理由で保険金を請求しない。国民生活センターも「絶対にやめましょう」と明記しています。事業者に勧められて事実と違う申請をすれば、加入者自身が責任を問われます
- 契約してしまっても、あきらめない。訪問販売にあたる契約であれば、法定書面を受け取った日から一定期間はクーリング・オフができる場合があります。判断に迷ったら消費者ホットライン188(いやや)に相談してください。最寄りの消費生活センターにつながります
修理そのものは、その設備を施工した会社か、屋根と電気の両方を扱える会社に直接頼むのがいちばん早くて確実です。間に手数料を取る会社を挟む理由は、基本的にありません。
落雪でご近所に迷惑をかけたときは、別の保険の話になります
最後に、東北で実際にある話をひとつ。
屋根の雪が隣家の車や物置に落ちて壊してしまった、というケースです。これは自分の家の損害ではなく、他人への損害ですから、火災保険の建物の補償ではなく、個人賠償責任保険の領域になります。火災保険や自動車保険、クレジットカードなどに特約として付いていることが多いので、加入状況を一度確認しておくと安心です。
そして、これも保険より前に打つ手があります。太陽光を載せるときに、雪がどこへ落ちるかを設計で決めておくことです。パネルの表面はもとの屋根材より滑りやすくなりますから、雪の落ち方が変わります。落ちる先に隣家の敷地・通路・給湯器・室外機がないか、施工前に必ず確認する。当社が現地調査で必ず見るポイントのひとつです。
よくあるご質問
Q1. 経年劣化なのか事故なのか、素人には判断できません。とりあえず保険会社に連絡してもいいのでしょうか。
A. 連絡して構いません。判断するのは保険会社と損害鑑定人であって、加入者が事前に切り分ける必要はありません。連絡した結果「対象外です」と言われても、それで不利益を受けることはありません。むしろ、判断がつかないまま自費で直してしまい、あとから対象だったと分かるほうが痛手です。ただし、事実と違う説明はしないこと。「いつごろから、どういう状態か」を見たまま伝えてください。
Q2. 保険を使うと、翌年から保険料が上がりますか。
A. 自動車保険とは仕組みが違い、火災保険には等級制度がありません。1回使ったことを理由に、その契約の保険料が個別に上がるという形にはなっていないのが一般的です。ただし、自然災害の増加を受けて、火災保険の料率自体は全国的に見直されてきています。個別の契約でどうなるかは、加入している保険会社にご確認ください。
Q3. メーカー保証があるので、保険は関係ありませんよね。
A. 別物と考えてください。メーカー保証は機器そのものの不具合(製造上の問題や自然故障)を対象にするもので、落雷・風災・雪災といった外からの力による損害は保証の対象外とされているのが一般的です。逆に、寿命による故障は保険では拾えません。「機器のせいならメーカー保証、外からの力なら火災保険、工事のせいなら施工会社」という3つの窓口があると覚えておくと、迷いにくくなります。保証の中身の読み方は蓄電池は何年もつ?「10年保証」と寿命は別物も参考にしてください。
まとめ
- 火災保険は火事だけの保険ではなく、風災・雪災・落雷などの自然災害による損害を補償する商品がある
- 補償されるのは偶然の事故による損害。経年劣化は対象外、施工の問題は施工会社との話になる
- 地震・噴火・津波が原因の損害は火災保険では補償されない。地震保険は火災保険にセットして加入し、保険金額は火災保険金額の30〜50%の範囲内(建物5,000万円・家財1,000万円が限度)
- 太陽光・蓄電池が補償対象に入るかは契約による。後付けしたら保険会社・代理店に一報を入れ、保険金額が古いままになっていないかを確認する
- 請求は加入者自身でできる。修理の前に連絡し、写真を残す。請求権の時効は3年(保険法第95条)
- 「保険金で自己負担0円」の勧誘には乗らない。手数料40%という事例もある。急かされたら自分の保険会社に確認し、迷ったら188へ
保険は、壊れてから調べるものではなく、壊れる前に証券を1回読んでおくものです。太陽光や蓄電池を載せているお宅なら、風災・雹災・雪災と落雷の欄、そして保険金額。この2か所だけでも、今日確認しておく価値があります。
雪の落ち方や設置場所のことで気になる点があれば、施工の立場からお答えできます。お気軽にご相談ください。
出典(2026年8月10日確認)
- 一般社団法人日本損害保険協会「火災保険」https://www.sonpo.or.jp/insurance/kasai/
- 一般社団法人日本損害保険協会「風水雪災等による損害を補償する損害保険」https://www.sonpo.or.jp/insurance/shizen/index.html
- 一般社団法人日本損害保険協会「損害保険Q&A すまいの保険(火災保険・地震保険)」https://soudanguide.sonpo.or.jp/home/about.html
- 独立行政法人国民生活センター「保険金で住宅修理ができると勧誘する事業者に注意!-申請サポートを受ける前に、損害保険会社に連絡を 保険金の請求は、加入者ご自身で!!-」https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20210902_2.html
- 独立行政法人国民生活センター「『保険金を使って自己負担なく住宅修理ができる』と勧誘されてもすぐに契約しないようにしましょう!」https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20201001_1.html
- e-Gov法令検索「保険法(平成二十年法律第五十六号)第95条」https://laws.e-gov.go.jp/law/420AC0000000056
※本記事は2026年8月10日時点の情報です。補償の範囲・支払いの条件は保険会社および個別の契約によって異なります。実際の可否については、ご加入の保険会社または代理店にご確認ください。
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監修:株式会社ファナス|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら
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