太陽光の火災リスクと「点検商法」に注意|東北で自宅を守る安全対策と正しい点検のしかた【2026年版】

「屋根の上の太陽光パネルなんて、外に置いてあるものだから、そんなに危ないことはないでしょう」——そう思っている方は少なくありません。ですが実際には、太陽光発電設備が原因の事故は、国の機関に毎年報告されており、その中には発火・火災に至った事例も含まれます。
とはいえ、過度に怖がる必要はありません。なぜ事故が起きるのか、その仕組みさえ知っておけば、確実に対策できるからです。むしろ怖いのは、仕組みを知らずに放置してしまうことと、最近急増している「点検商法」という別のトラブルに巻き込まれてしまうことです。
この記事では、太陽光発電の火災リスクの実態を公式データで確認したうえで、屋根に登らず、誰でも安全にできる対策と、悪質な点検商法の見分け方を、東北・雪国の戸建てを前提に、施工店の立場から解説します。すでに設置して数年経っている方も、これから検討する方も、大切なご家族と住まいを守るために、ぜひ最後までご覧ください。
太陽光の火災は「珍しくない」——公式データで見る実態
まず、感情論ではなく公式データで実態を確認しましょう。
製品の事故情報を扱う国の機関であるNITE(製品評価技術基盤機構)によると、2014年度から2023年度までの10年間に、太陽光発電設備の事故は約200件報告されています。そして、設備別の内訳は次のようになっています。
- パワーコンディショナ(パワコン):約70%
- 太陽電池モジュール(パネル本体):約20%未満
- その他の設備:約10%
つまり、事故のもっとも多い発生源はパワコンだということです。しかもこの事故件数は、年々増える傾向にあると指摘されています。理由は明快で、2012年に始まったFIT(固定価格買取制度)で一気に普及した設備が、10年以上を経て、まさに今、劣化してきているからです。言い換えれば、設置から年数が経った設備ほど、今がもっともリスクの高いタイミングにあるということです。
東北でも、FIT初期に設置した家庭は数多くあります。「もう10年以上動いているが、一度も点検したことがない」という設備は、決して他人事ではありません。

▲ 当社施工事例:壁面のパワーコンディショナ(事故の設備別で最多)
火災が起きる仕組み①:パワコンからの出火(設備別で最多)
設備別でもっとも事故が多いのがパワコンです。パワコンは、太陽光パネルがつくる直流の電気を、家庭で使える交流に変換する、システムの心臓部です。常に電気が通り、熱を持つ機器であるため、内部の部品が経年で劣化すると、発熱・出火の原因になり得ます。
対策はシンプルです。パワコンには寿命があり、目安は10〜15年とされています。この時期を過ぎたら、故障を待たずに交換を検討するのが基本の備えになります。発電量が落ちてきた、エラー表示が出るようになった、といったサインがあれば、早めに点検・交換を相談しましょう。
なお、卒FIT(FITの買取期間終了)のタイミングは、ちょうどパワコンの交換時期とも重なりやすい時期です。買取価格が下がったからと慌てて蓄電池を勧められる場面もありますが、まずはパワコンの状態と交換の要否を冷静に確認することが先決です(→卒FITで蓄電池を勧められたら|買う前に確認する3つの数字とパワコン交換のタイミング)。
火災が起きる仕組み②:パネル・ケーブル側のトラブル
件数としてはパワコンより少ないものの、パネルやケーブル側のトラブルにも注意が必要です。パネルは屋根の上にあり、その真下は屋根の下地(木材)です。パネル側で発熱・発火が起きると、屋根の内部の木材に燃え移るおそれがあるため、住まいへの影響という点では軽視できません。パネル側の主なトラブルを2つ紹介します。
小動物によるケーブルの損傷
屋根の上の配線を、ネズミなどの小動物がかじってしまうことがあります。ケーブルを保護している被覆が傷つくと、電気が漏れやすい状態になります。太陽光パネルは日が当たっている限り発電を続けるため、漏れた電気が屋根の金属部分などに流れると、火花が発生することがあります。その火花が、屋根に溜まった落ち葉などに燃え移る——というのが、実際に起きているパターンの一つです。
このタイプは、発電量が急に落ちる・エラーが出るといった予兆が出やすいのが特徴です。つまり、異常に気づいた時点で対応すれば防げるケースでもあります。
ホットスポット(部分的な異常発熱)
太陽光パネルは、1枚の中に「セル」という小さな発電部分がたくさん連なってできています。ここに落ち葉・鳥のフン・積雪などで一部だけ影ができると、その部分は発電できなくなります。ところが他の部分は電気を流そうとするため、影で通れなくなった箇所に電気が集中し、そこだけが異常に発熱します。これをホットスポットと呼びます。
ホットスポットは、100℃以上になることもあるとされ、パネル内部の劣化や、最悪の場合は発火のリスクにつながります。やっかいなのは、見た目では分からないことです。表面はきれいに見えても、内部でダメージが進んでいることがあります。「落ち葉1枚くらい大丈夫」と放置してしまうと、気づかないうちにリスクが積み重なる——ここが怖いところです。
東北・雪国でリスクが高まる理由
太陽光の火災・トラブルリスクは、寒冷地の条件でさらに高まりやすい側面があります。
1. 落ち葉が屋根に溜まりやすい環境 山や林が近い立地、庭木の多いお宅では、秋に大量の落ち葉が屋根やパネルの隙間に溜まります。これが影(ホットスポットの原因)にも、燃え移る燃料にもなります。東北の里山に近い戸建てでは、特に意識したいポイントです。
2. 冬は点検も掃除もしづらい 屋根に雪が積もる時期は、屋根の状態を確認することも、溜まった落ち葉を除去することもできません。異常に気づきにくい期間が長いぶん、冬に入る前の秋のうちに一度点検・清掃をしておく意味は大きいです。
3. 積雪・落雪による物理的な損傷 まとまった雪の重みや落雪で、パネルの表面ガラスやフレーム、ケーブルが物理的に傷つくことがあります。傷ついた配線は、前述の漏電・火花のリスクにつながります。
4. 冬の発電量低下が「雪のせい」か「異常」か分かりにくい 冬は雪でパネルが覆われ、そもそも発電量が下がります。そのため、本当の異常による低下を見逃しやすいのです。だからこそ、後述する「前年の同じ時期との比較」が、寒冷地では特に有効な見分け方になります。
そして、忘れてはいけないのが設備の年数です。東北でもFIT初期(2012〜2014年ごろ)に設置した家庭は多く、そうした設備はまさに今、パワコンの寿命・パネルやケーブルの経年劣化が重なる時期に入っています。
自分でできる安全対策——「屋根に登らない」が大原則
「では、どうすればいいの?」——結論から言うと、対策はシンプルです。次の3つを意識してください。
① 発電量とエラー表示を定期的にチェックする
専門的な知識は要りません。モニターの発電量が、いつもや前年の同じ時期と比べて極端に落ちていないか、パワコンにエラーが出ていないかを見るだけで十分です。特に発電量は、前月や前年同月の数値と比べるだけで、異常に気づけるケースが非常に多くあります。実際の火災事例でも、「前日にモニターの異常に気づいていた」というケースがあるほどです。「少しおかしいな」と思ったら、放置せず専門業者に相談してください。
② 落ち葉・鳥のフンなどの原因を放置しない——ただし屋根には登らない
ここで、専門家として強くお伝えしたいことがあります。ご自身で屋根に登って確認・掃除をするのは、転落の危険があるため絶対にやめてください。特に東北では、屋根に霜や凍結、残雪があると、晴れた日でも滑落の危険が高まります。
ご自身でできるのは、あくまで庭や道路など、地上から安全に見える範囲での目視チェックまでです。「最近、庭に落ち葉が増えたな」「屋根の端によく鳥が止まっているな」といった環境の変化に気づくことが第一歩です。パネルに影ができているのを見つけても、ご自身では絶対に触らず、専門業者に点検・清掃を依頼してください。
③ 信頼できる業者に任せる
太陽光のトラブルは、最初の施工や設計の甘さが原因になることも少なくありません。配線の取り回しが雑だったり、パネルの裏にゴミが溜まりやすい設計だったりすると、数年後に大きなトラブルにつながります。業者を選ぶときは、施工実績がきちんと公開されているか、どんな基準で工事をしているかを明確に説明できるかを確認しましょう。誰が施工するかよりも、会社としてどのレベルで品質管理しているかのほうが、はるかに重要です。
屋根に登らない点検方法として、近年はドローンを使った点検が広がっています。屋根全体を鮮明に撮影でき、足場も不要で、お客様もリモコンの画面で屋根の状態をリアルタイムに一緒に確認できるのが利点です。屋根と太陽光をセットで考える視点は、こちらの記事もご覧ください(→太陽光を載せる前に屋根はどうする?屋根リフォームと太陽光の順番)。
「点検商法」に要注意——急増する訪問トラブル
安全対策と並んで、いま強く注意していただきたいのが「点検商法」です。
「太陽光パネルの点検が義務化されました」などと言って突然訪問し、無料点検を口実に、その場で高額な工事や洗浄の契約を迫る——こうした悪質な勧誘に関する相談が、全国で急増しています。
国民生活センターが2025年6月4日に公表した資料によると、太陽光発電システムの点検商法に関する相談件数は、次のように推移しています。
- 2017年度:57件
- 2022年度:154件
- 2023年度:304件
- 2024年度:613件(前年度の約2倍)
わずか数年で相談が激増しているのが分かります。相談者は40歳以上の層に多いとされ、注意が必要です。
ここで、はっきりさせておくべき事実があります。国民生活センターは、「消費者庁や国の公的機関が、事業者に点検を依頼することはない」と明言しています。つまり、「点検が義務化された」「行政から来た」といった触れ込みは、それ自体が疑うべきサインだということです。
突然訪ねてきた業者に不安を煽られても、その場で契約してはいけません。「屋根に登って確認します」と言われても、知らない業者を屋根に上げること自体がリスクです(わざと屋根を壊し、破損写真を見せて契約を迫る手口も報告されています)。必ず一度冷静になり、ご家族や、もともと付き合いのある信頼できる業者に相談してください。前述のドローン点検のように、屋根に登らず、施主も一緒に画面で確認できる方法を選べば、こうした被害は避けられます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 設置してから一度も点検していません。すぐ点検すべきですか?
A. 設置から年数が経っているほどリスクは上がります。特にFIT初期(2012〜2014年ごろ)に設置した設備は、パワコンの寿命やパネル・ケーブルの経年劣化が重なる時期です。まずはモニターの発電量を前年同月と比べ、エラー表示がないかを確認してください。そのうえで、屋根に登らない点検(ドローン点検など)を一度依頼しておくと安心です。東北では、雪が積もる前の秋がおすすめの時期です。
Q2. 「点検が義務化された」と言われました。本当ですか?
A. その言い回しは、点検商法でよく使われる手口です。国民生活センターは「消費者庁や国の公的機関が事業者に点検を依頼することはない」と明言しています。その場で契約せず、必ず一度断って、信頼できる業者やご家族に相談してください。知らない業者を屋根に上げるのも避けましょう。
Q3. 冬に発電量が下がりました。故障でしょうか?
A. 冬は雪でパネルが覆われ、発電量が下がるのは自然なことです。ただし「雪のせい」と決めつけず、前年の同じ時期(同じ冬)と比べて極端に落ちていないかを確認してください。前年同月比で大きく下がっている、エラーが出ている、といった場合は、雪以外の異常の可能性があるため、専門業者に相談することをおすすめします。
まとめ:仕組みを知れば、太陽光は怖くない
- 太陽光発電設備の事故は10年で約200件報告されており、設備別ではパワコンが約7割(NITE)
- FIT初期の設備が経年劣化する今が、もっともリスクの高いタイミング。パワコンは10〜15年で交換を検討
- パネル側は小動物によるケーブル損傷と落ち葉・積雪によるホットスポットに注意
- 東北では落ち葉・冬の点検しづらさ・積雪損傷・発電量低下の見分けにくさでリスクが高まりやすい
- 自分でできるのは発電量とエラーのチェックと地上からの目視まで。屋根には絶対に登らない
- 「点検が義務化された」は点検商法の常套句。相談は2024年度613件と急増。公的機関が点検を依頼することはない
- 屋根に登らないドローン点検なら、施主も一緒に画面で確認でき、点検商法の被害も避けやすい
当社は東北で太陽光の施工から長期のアフターフォローまで一貫して対応しています。「設置後、一度も点検していない」「勧誘があったが本物か不安」——そんな段階でのご相談も歓迎です。
出典(2026年7月23日確認)
- 独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)「製品安全情報マガジン Vol.473『太陽光発電設備の事故』」(2025年3月25日):https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/mailmagazin/2024fy/vol473_250325.html
- 独立行政法人 国民生活センター「太陽光発電システムの点検商法が急増!」(2025年6月4日公表):https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20250604_1.html
※本記事は2026年7月23日時点の公表情報をもとにしています。事故件数・相談件数は集計時点のものです。ホットスポットの温度やパワコンの寿命は一般的な目安であり、製品・設置環境によって異なります。点検の要否や設備の状態は、必ず信頼できる施工店にご確認ください。
当社が運営する「ソラカルテ」では、太陽光・蓄電池の見積書をその場で無料AI診断できます。電話番号の登録は不要です。
監修:株式会社ファナス|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら
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