「今日中なら値引きします」で契約してしまったら|太陽光・蓄電池のクーリング・オフで、屋根の穴まで元に戻せます【東北・2026年版】

「昨日、屋根を無料で点検しますと言われて上がってもらったんです。そうしたら『このままだと雨漏りします』と言われて、太陽光と蓄電池で630万円の契約書にサインしてしまって……。もう工事の日程まで決まっているんですが、やめられますか」
先週、仙台市内のお客様からこういうお電話をいただきました。結論から申し上げます。やめられます。しかも、多くの方が思っているより条件は消費者側に有利です。
ただし、日数の数え方を間違えると間に合いません。そして「もう工事が始まってしまった」「屋根に穴が開いてしまった」というケースこそ、法律がいちばん手厚く守ってくれる場面なのに、そこを知らずに諦めてしまう方がとても多いのです。
この記事では、太陽光・蓄電池の訪問販売で契約してしまったときに何ができるのかを、特定商取引法の条文と消費者庁の公式情報にもとづいて整理します。2026年8月14日時点の情報です。

▲ 当社施工事例:屋根への太陽光設置工事
まず日付を数えてください。8日間の起算日は「契約日」ではありません
クーリング・オフは「契約した日から8日」だと思われがちですが、これは正確ではありません。
特定商取引法第9条第1項は、「法律で決められた書面を受け取った日から起算して8日」と定めています(消費者庁「特定商取引法ガイド」訪問販売)。起算日は契約書面(または申込書面)を受け取った日です。
これが実務上とても大きい理由は、次の一点にあります。
書面に不備があれば、8日間はまだ始まっていません
法定書面に何を書かなければならないかは、法第4条・第5条で決まっています。消費者庁が挙げている記載事項は次のとおりです。
- 商品(権利、役務)の種類
- 販売価格(役務の対価)
- 代金の支払時期、方法
- 商品の引渡時期
- 契約の申込みの撤回(契約の解除)に関する事項
- 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号、法人にあっては代表者の氏名
- 契約の申込み又は締結を担当した者の氏名
- 契約の申込み又は締結の年月日
- 商品名及び商品の商標又は製造業者名/商品の型式/商品の数量
- 契約不適合責任・契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
- そのほか特約があるときは、その内容
さらに消費者庁は、書面をよく読むべきことを赤枠の中に赤字で記載すること、クーリング・オフの事項も赤枠の中に赤字で記載すること、字と数字の大きさは8ポイント以上であることを求めています。
つまり、「メーカー名も型式も書いていない一枚紙」「クーリング・オフの説明が黒字で小さく入っているだけ」といった書面では、正しく記載された書面を受け取ったことにならず、8日間のカウントが始まっていない可能性があります。消費者庁のパンフレットも「書面に不備がある場合、正しく記載された書面を受け取ったとはいえません」と明記しています。
手元の書面を捨てないでください。日付が過ぎていると思っても、書面の中身次第で状況は変わります。
「太陽光の型式が空欄」は、東北の現場で実際によく見ます
当社がセカンドオピニオンでお預かりする契約書で目立つのは、パネルとパワコンの型式が空欄、あるいは「太陽光発電システム一式」としか書かれていないものです。積雪地では同じメーカーでも架台の仕様が変わりますから、型式が特定できない契約書は、そもそも何が載るのか確定していないということでもあります。
見積書の読み方は太陽光・蓄電池は「一番安い見積り」で選ぶと損をする?とその見積書、高いのか安いのかもあわせてご覧ください。
通知は「出した時点」で効力が出ます
ここが二つめの重要な点です。特定商取引法第9条第2項は、こう定めています。
申込みの撤回等は、当該申込みの撤回等に係る書面又は電磁的記録による通知を発した時に、その効力を生ずる。
発した時点です。相手に届いた時点ではありません。8日目にポストへ投函すれば、業者が読むのが10日目でも有効です。「電話したら『もう受け付けられない』と言われた」というご相談をよく受けますが、電話で断られたかどうかは関係ありません。書面または電磁的記録で出してください。
出し方は3通り
① 郵送(もっとも確実) 消費者庁は「特定記録郵便、書留、内容証明郵便等で行うことが薦められます」としています。ハガキで構いません。出す前に両面をスマートフォンで撮影し、郵便局の控えと一緒に保管してください。
② 電子メール 2022年6月から、クーリング・オフの通知は電磁的記録でも可能になりました。消費者庁のQ&Aは、電子メールのほか、USBメモリ等の記録媒体、事業者が自社サイトに設けるクーリング・オフ専用フォーム、FAXを挙げています。送信済みメールを保存しておいてください。
③ 事業者のクーリング・オフ専用フォーム 使った場合は画面のスクリーンショットを残すことが望ましいと消費者庁が明記しています。
文面はこれだけで足ります
難しい書き方は要りません。次の要素が入っていれば十分です。
- 契約年月日
- 商品名(太陽光発電システム、蓄電池システム など)
- 契約金額
- 販売会社名・担当者名
- 「上記契約を解除します」の一文
- 通知日
- 住所・氏名
クレジットやローンを組んだ場合は、同じ内容を信販会社にも送ってください。販売会社にだけ出して、引き落としが止まらず慌てる方がいらっしゃいます。
屋根に穴が開いていても、無償で元に戻してもらえます
「もう工事が始まってしまった」「架台のボルトで屋根に穴が開いた」——ここで諦める方が本当に多いのですが、法律はまさにこの場面のために条文を用意しています。
特定商取引法第9条第7項です。
当該役務提供契約又は当該特定権利に係る役務の提供に伴い申込者等の土地又は建物その他の工作物の現状が変更されたときは、当該役務提供事業者又は当該特定権利の販売業者に対し、その原状回復に必要な措置を無償で講ずることを請求することができる。
無償で、です。屋根の穴の補修も、外壁の配管跡も、費用は事業者持ちで元に戻すよう請求できます。同じ条文の他の項も、消費者側にはっきり有利です。
| 条項 | 内容 |
|---|---|
| 第9条第3項 | 事業者は損害賠償・違約金の支払を請求できない |
| 第9条第4項 | 商品の引取り・返還に要する費用は販売業者の負担 |
| 第9条第5項 | 商品を使用済み・工事(役務)が提供済みでも、その対価を請求できない |
| 第9条第6項 | 受領済みの金銭は速やかに返還しなければならない |
| 第9条第7項 | 土地・建物その他の工作物の原状回復を無償で請求できる |
| 第9条第8項 | これらに反する特約で消費者に不利なものは無効 |
最後の第8項が効きます。契約書の裏面に「工事着手後の解約は実費を申し受けます」と書いてあっても、その特約自体が無効です。
東北では「穴を開けたかどうか」の確認を必ずしてください
金属屋根の縦ハゼ工法のようにボルトを打たない納まりもありますが、スレート屋根では支持金具を屋根材に貫通させて固定するのが一般的です。積雪地は雪の荷重と滑雪を受けるぶん固定点も増えます。穴が開いた状態で放置されれば、そこから雨が入ります。
原状回復を請求するときは、口頭ではなく書面に「屋根の防水を含む原状回復」と明記し、工事前後の写真を必ず残してください。

▲ 当社施工事例:パネル端部の固定金具
なお、クーリング・オフが適用されない場合もあります。消費者庁は、使うと商品価値がほとんどなくなる消耗品を使ってしまった場合と、現金取引で総額3,000円未満の場合を挙げています。太陽光・蓄電池の契約でこれに当たることはまずありません。
8日を過ぎていても、まだ手はあります
日数が過ぎたからといって、そこで終わりではありません。使える可能性のある制度が3つあります。
① クーリング・オフ妨害があった場合は、期間が延びます
法第9条第1項のただし書きは、事業者がクーリング・オフに関する事項について事実と違うことを告げた、あるいは威迫して困惑させたことによって消費者が期間内に手続をしなかった場合、事業者が改めてクーリング・オフができる旨を記載した書面を交付した日から起算して8日、と定めています。
「うちはクーリング・オフ対象外です」「工事に入ったらもう解約できません」と言われて信じてしまった場合が、これに当たり得ます。消費者庁も「上記期間を経過していても、消費者はクーリング・オフをすることができます」と明記しています。
② 嘘をつかれた・都合の悪いことを隠された場合は「取消し」
法第9条の3は、勧誘の際に不実のことを告げられて誤認した場合、または故意に事実を告げられず、その事実が存在しないと誤認した場合に、契約の意思表示を取り消せると定めています。
行使できる期間は同条第4項に明記されています。追認をすることができる時から1年間、そして契約締結の時から5年です。
太陽光の勧誘で問題になりやすいのは、たとえば次のような説明です。
- 実際には受付が終わっている補助金を「使えます」と言われた
- 発電量の見込みを、根拠を示さずに大幅に高く伝えられた
- ローン金利や総支払額の説明を省かれた
補助金については、制度が実際に動いているかどうかで判断が変わります。国の蓄電池向け補助金の現状は国の蓄電池補助金(DR補助金)は2026年5月29日に終わりましたにまとめています。
③ 必要量を著しく超える契約は1年間解除できます
法第9条の2の過量販売です。通常必要とされる量を著しく超える契約は、契約締結後1年間、撤回・解除ができます(特別の事情があった場合は例外)。屋根に載る容量を超えたパネル枚数や、明らかに不相応な蓄電池容量を重ねて契約させられた場合に検討する余地があります。
蓄電池の適正な容量の考え方は蓄電池は何kWhが正解?で解説しています。
迷ったら188です
判断に迷ったら、消費者ホットライン「188」に電話してください。最寄りの消費生活センターにつながります。当社のような施工会社に相談していただくのも歓迎ですが、契約の解除そのものは消費生活センターが本来の窓口です。順番としては、まず188、次に技術的な内容のセカンドオピニオン、という流れが確実です。
今いちばん多い入り口は「無料点検」です
国民生活センターがPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)で集計している相談件数を見ると、この数年の傾向がはっきり出ています(2026年7月31日更新時点)。
| 相談の種類 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
|---|---|---|---|
| 点検商法 | 12,550件 | 19,249件 | 19,696件 |
| 訪問販売によるリフォーム工事 | 11,879件 | 9,839件 | 5,544件 |
「訪問販売によるリフォーム工事」が減る一方で、「点検商法」は2年で約1.6倍になっています。正面から「リフォームしませんか」と来るのではなく、点検を入り口にする形へ移っているということです。
東北で当社がご相談を受けるのも、次のような入り口がほとんどです。
- 雪解け後の4〜5月「冬の雪で金具がずれていないか無料で見ます」
- 台風・強風のあと「近くで作業しているのでついでに見ます」
- 冬の前の10〜11月「このままだと雪で危ないですよ」
いずれも、その日のうちに屋根に上げて、その日のうちに契約書を出すという流れが共通しています。点検商法の見分け方そのものは太陽光の火災リスクと「点検商法」に注意に詳しくまとめました。
念のため申し添えますが、訪問して営業すること自体は違法ではありません。当社も現場の近くでお声がけをいただくことがあります。問題は手口であって、訪問という形式ではないということは、フェアに書いておきたいと思います。
契約する前に踏めるブレーキが、法律に3つあります
いちばん良いのは、そもそも契約しないことです。特定商取引法は、契約に至る前の段階でも事業者に義務を課しています。
① 勧誘の前に名乗る義務(法第3条)
事業者は勧誘に先立って、事業者の氏名(名称)/契約の締結について勧誘をする目的であること/販売しようとする商品の種類を告げなければなりません。「点検に来ただけです」と言って上がり、そこから契約の話を始めるのは、この義務との関係で問題になり得ます。
② 「契約しません」と一度言えば、再勧誘は禁止(法第3条の2)
消費者が契約締結の意思がないことを示したときは、その訪問時にそのまま勧誘を続けることも、その後改めて勧誘することも禁止されています。あいまいに濁すのではなく、「契約はしません」とはっきり一度言うことに意味があります。
③ 禁止行為(法第6条)
不実告知、故意の事実不告知、威迫して困惑させること、勧誘目的を告げずに誘い込んで公衆の出入りしない場所で勧誘すること——これらは禁止されています。違反した事業者は業務改善の指示や業務停止命令などの行政処分の対象になります。
実務としては、「その場で決めない」だけで足ります
法律論より確実なのは、その日に判断しないことです。「今日中なら値引きします」という条件は、翌日に消えるものではまずありません。本当に消えるのであれば、それは今日決めるべき理由ではなく、今日決めさせたい理由です。
一度持ち帰って冷静に見比べるとき、当社が運営する「ソラカルテ」の見積書AI診断をお使いいただけます。手元の見積書をその場で無料診断でき、電話番号の登録は不要です。営業の電話が増えることを心配せずに、金額の目安だけ先に知ることができます。0円ソーラーやリース契約を勧められている場合は、「初期費用0円ソーラー」は東北で得か?もあわせてご確認ください。
よくあるご質問
Q1. クーリング・オフしたら、業者から損害賠償を請求されませんか?
A. 請求できません。特定商取引法第9条第3項が「その申込みの撤回等に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない」と定めています。契約書に違約金の定めがあっても、第9条第8項により、消費者に不利な特約は無効です。
Q2. 頭金をすでに払ってしまいました。返ってきますか?
A. 返ってきます。消費者庁は「既に頭金等の対価を支払っている場合には、速やかにその金額を返してもらう」としています。ローンを組んでいる場合は、販売会社と信販会社の両方に通知を出してください。
Q3. 自分から「見積りに来てください」と呼んだ会社との契約でも、クーリング・オフできますか?
A. ここは個別の判断が必要な部分です。特定商取引法には適用除外の規定(第26条)があり、営業のための契約などが除かれています。ご自身から来訪を求めた場合の扱いは契約の経緯によって変わりますので、自己判断せず消費者ホットライン188にご相談ください。当社としても、この点を断定的にご案内することは避けています。
まとめ
- クーリング・オフの8日間は、契約日ではなく法定書面を受け取った日から起算する。書面に記載事項の不備があれば、そもそもカウントが始まっていない可能性がある
- 通知は発した時点で効力が生じる(法第9条第2項)。郵送のほか、電子メールやクーリング・オフ専用フォームなど電磁的記録でも可能
- 工事が始まっていても対価の支払は不要で、屋根などの原状回復は無償で請求できる(法第9条第7項)。これに反する特約は無効
- 8日を過ぎても、クーリング・オフ妨害があれば期間は延び、不実告知・故意の事実不告知があれば追認できる時から1年・契約締結から5年は取消しを主張できる
- 点検商法の相談は2023年度12,550件から2025年度19,696件へ増加。迷ったら消費者ホットライン188へ。判断を急がされたら、それは今日決めない理由になる
※本記事は2026年8月14日時点の情報です。制度の運用は変わることがありますので、実際の手続にあたっては消費生活センターにご確認ください。
出典
- 消費者庁「特定商取引法ガイド」訪問販売 https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/doortodoorsales/
- 消費者庁「特定商取引法における電磁的記録によるクーリング・オフに関するQ&A」 https://www.no-trouble.caa.go.jp/qa/coolingoff.html
- 特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)第9条・第9条の2・第9条の3(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057
- 国民生活センター「訪問販売によるリフォーム工事・点検商法」(2026年7月31日更新) https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/reformtenken.html
- 国民生活センター「突然訪問されて太陽光発電設備と家庭用蓄電池を契約した」 https://www.kokusen.go.jp/t_box/data/t_box-faq_qa2021_06.html
当社が運営する「ソラカルテ」では、太陽光・蓄電池の見積書をその場で無料AI診断できます。電話番号の登録は不要です。
監修:株式会社ファナス|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら
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