太陽光を載せた家で、天井にシミが出た方へ|雨漏りの責任は誰にあるのか、連絡の順番と集める4つの書類【東北・2026年版】

先に結論 責任の分かれ目は「いつ載せたか」です。新築時なら品確法で引渡しから10年、あとから載せたのなら民法の契約不適合責任になります。 民法のほうには「不適合を知った時から1年以内に通知」という期限があります。連絡が遅れること自体が不利になります。 まず出すのは工事完了報告書と施工中の写真。国の基準は、この記録を施工店が作って引き渡すことを求めています。 屋根には上らないでください。濡れた屋根の上は、雨漏りより先に人が落ちます。
太陽光が載っている家で、天井や壁にシミが出た方へ。
「パネルのせいでしょうか」と、まずここを気にされます。当然だと思います。ただ、先に決めるべきは原因ではなく、順番です。誰に、何を持って、いつまでに連絡するか。ここを外すと、原因が太陽光だと分かったあとでも直してもらえないことがあります。
国土交通大臣の指定を受けた相談窓口である住まいるダイヤル(住宅リフォーム・紛争処理支援センター)の集計では、2024年度のリフォームに関する電話相談のうち、戸建住宅で不具合として挙がったものの16.6%が「雨漏り」(3,314件中549件)でした。中古住宅など既存住宅の相談にいたっては、戸建住宅で28.4%と第1位です。部位はどちらも「屋根、外壁」。めずらしい話ではありません。
この記事では、感情の話を抜きにして、連絡する順番・集める書類・聞くべき質問を並べます。

▲ 当社施工事例:屋根に固定した金具まわり
濡れた屋根には上らないでください
最初に、してはいけないことです。
- 屋根に上らない。 雨に濡れた屋根材は乾いているときとは別物です。太陽光パネルの上はさらに滑ります
- パネルや配線に触らない。 太陽光は日が当たっている限り発電しています。雨で濡れた状態での接触は危険です
- 自分でコーキングを打たない。 あとから原因を調べるとき、手を入れた箇所は「どちらが先か」が分からなくなります
やっておくとよいのは、次の3つだけです。
- 写真を撮る(シミの位置・大きさ・日付が分かる形で。雨のたびに撮ると広がり方が残ります)
- バケツと養生(家財を移す。落ちる水の量をメモしておく)
- いつ・どんな天気で出たかを書き留める(強い南風の日だけ出る、雪解けの時期だけ出る、といった条件が原因の切り分けに直結します)
雨漏りは、降っている最中より、止まってしばらくしてから落ちてくることがあります。天気とのズレも記録しておいてください。
「太陽光のせい」と決めつけないほうがいい理由
太陽光を載せた家の雨漏りには、大きく3つの可能性があります。
- 太陽光の工事が原因:支持金具の貫通部の止水不良、下葺き材(ルーフィング)の損傷、屋根の上を歩いたことによる屋根材の割れ、外壁を貫通させた配線まわりの処理
- もともと屋根が傷んでいた:築年数が進んだ屋根材の劣化や、下葺き材の耐用年数切れ。工事の前から進んでいたもの
- 屋根とは別の経路:外壁のひび、サッシまわり、換気口、そして冬型の結露
3つ目が意外に多いところです。とくに東北では、冬にだけ出るシミがあります。小屋裏で結露した水が落ちてくる場合と、屋根の雪が日中に溶けて軒先で凍り、行き場を失った水が屋根材の下へ回り込む場合です。どちらも「雨漏り」と同じ見え方をしますが、直し方はまったく違います。
だからこそ、原因の判定は自分でせず、記録だけを揃えて渡す。これがいちばん早い道です。
なお、屋根の劣化そのものが疑わしいときは、太陽光を載せる前に屋根はどうする?屋根リフォームと太陽光の順番もあわせてご覧ください。
責任の分かれ目は「いつ載せたか」
ここが本題です。新築のときに載せた家と、あとから載せた家では、根拠になる法律が変わります。
新築時に載せた家:引渡しから10年
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)の第94条は、住宅を新築する建設工事の請負契約について、引き渡した時から10年間、次の部分の瑕疵(かし)について請負人が担保責任を負うと定めています。
- 構造耐力上主要な部分
- 雨水の浸入を防止する部分
この「雨水の浸入を防止する部分」が何を指すかは、施行令の第5条第2項に書かれています。
一 住宅の屋根若しくは外壁又はこれらの開口部に設ける戸、わくその他の建具 二 雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち、当該住宅の屋根若しくは外壁の内部又は屋内にある部分
屋根がそのまま入っています。 そして品確法第94条第2項は、「これに反する特約で注文者に不利なものは、無効とする」と定めています。契約書に短い保証期間が書いてあっても、この10年は削れません。
つまり、新築時に太陽光まで含めて建てた家で、屋根から雨水が入っているのなら、まず新築の元請け(住宅会社・工務店)に申し出るのが筋です。太陽光の下請け業者を探して直接掛け合う必要はありません。
なお品確法でいう「新築住宅」は、まだ人が住んだことがなく、建設工事の完了から1年を経過していないもの、と第2条第2項で定義されています。10年の起算点は引渡しです。
あとから載せた家:民法の「知った時から1年」
既存の家に後付けした工事は、品確法の10年の話ではなく、民法の請負契約における契約不適合責任になります。ここに重要な期限があります。
民法第637条第1項 (略)注文者がその不適合を知った時から一年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
起算点は「工事のとき」ではなく「知った時」です。シミに気づいてから1年、と読んでください。
第2項には例外があり、引渡しの時点で請負人がその不適合を知っていた場合や、重大な過失で知らなかった場合には、この1年の制限は適用されません。とはいえ、それを主張する側が立証することになります。気づいたら早く出す、が正解です。
さらに、権利そのものにも民法第166条の消滅時効(権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年)がかかります。「そのうち言おう」は、いちばん損をします。
連絡する順番は、この4つです
順番を守ってください。順番を飛ばすと、話が戻ってきます。
- 工事をした施工店(後付けなら太陽光の施工店、新築時なら住宅会社の元請け)
- 電話で伝えたあと、同じ内容をメールか書面でもう一度送る。日付の記録になります
- リフォーム瑕疵保険(かし保険)に入っているか確認する
- 保険に入っている工事なら、施工中や完了後に第三者検査員(建築士)の現場検査が入っています。事業者が倒産している場合でも、補修費用等の保険金を発注者が直接請求できる仕組みです
- 機器メーカー(保証書に施工が絡む条項があるか)
- 火災保険(自然災害が引き金の場合のみ)
4番目については注意が必要です。火災保険は自然災害による損害を対象とするもので、経年劣化や施工不良は対象外です。「保険で無料になります」という勧誘への向き合い方は雪・落雷・強風で太陽光や蓄電池が壊れたら、火災保険は使えるのかにまとめています。
手元に集める4つの書類
連絡の前に、この4つを探してください。ある・ないが分かるだけでも話が進みます。
| 書類 | どこにあるか | 何が分かるか |
|---|---|---|
| 工事完了報告書・施工写真 | 引渡し時に施工店から受領 | 支持金具をどこに留めたか、止水処理をしたか |
| 保証書 | 機器の書類一式に同梱 | 施工に起因する雨漏りが対象かどうか |
| 契約書・見積書 | 契約時の控え | 工事の範囲と、保証年数の約束 |
| かし保険の付保証明書 | 保険に入っていれば交付される | 保険法人へ直接請求できるか |
1番目が最重要です。国が定めた太陽光の設計・施工基準(既存住宅売買及びリフォーム工事における瑕疵担保責任保険施工・検査基準)は、記録の扱いをこう定めています。
- 事前調査・施工経過・事後調査の記録は、写真等を用いて各段階の屋根構造の状況が明確に判断できるものであること
- 工事完了時の報告は、口頭ではなく書面で行うこととし、必要な保守点検等に関する説明を含むことが望ましい
- 記録類は施工者が作成し、確実に発注者等に引き渡されること
つまり、あるのが当たり前の書類です。「無い」と言われたら、それ自体がひとつの答えになります。
2番目の保証書は、条項を読んでください。たとえば当社が取り扱う長州産業の保証規定(K-02)では、同社が認定する施工認定店が標準架台を用いたにもかかわらず架台の施工によって不具合が生じた場合(設置部からの雨漏りを含む)が保証内容に含まれ、機器の修理・交換に加えて「原因施工部分とその周辺部分の修繕」を行うと明記されています。
一方で、施工認定店等以外の者による設置工事や、標準架台以外の架台による工事に起因するもの(設置部からの雨漏りを含む)、モジュールの設置に起因しない雨漏りは保証対象外です。
条件はメーカーごとに違います。ここで確かめてほしいのは金額ではなく、「誰が」「どの部材で」施工したかが保証の入口になっている、という構造のほうです。
施工店に聞く、5つの質問
原因の調査に立ち会うとき、この5つを聞いてください。すべて、国の設計・施工基準に書かれている項目です。専門知識は要りません。書かれていることを、そのまま尋ねるだけです。
- 支持金具は、垂木か母屋に留まっていますか。 基準は「屋根の主要な構造を構成する垂木、母屋等に支持部材を取付け」と定めています。野地板への直付けは、十分な取付け強度を確保できることが確認できた場合に限られます
- 貫通部の止水は、どう処理しましたか。 基準は、接着面の清掃およびプライマー処理等を行ったうえでパッキンやシーリング材等を用いること、としています。ただ上から打っただけでは基準を満たしません
- 下葺き材を傷めていませんか。 「ねじの打ち損じ等により下葺き材に損傷を与えた場合は、必ず当該箇所および周辺と防水層が一体となるように修復を行うこと」とあります
- 外壁の貫通部は、屋外側に下り勾配ですか。 ケーブルを下向きにわん曲させる、管端をエントランスキャップにする、といった具体的な措置が並んでいます
- 事前調査で、屋根の劣化は確認しましたか。 基準は、着工前に雨漏りの有無と屋根材の劣化状況を確認し、著しい劣化があれば補修を計画に含めることを求めています
なお、これらは施工店を責めるための質問ではありません。原因を絞るための質問です。1と3が問題なければ、原因は屋根の外にある可能性が高くなります。
見積書を出されたとき、その復旧工事の金額が妥当なのか判断しにくいことがあります。当社が運営する「ソラカルテ」では、太陽光・蓄電池に関する見積書をその場で無料のAI判定にかけられます。電話番号の登録は不要です。
東北の屋根で、もうひとつ確認したいこと
ここからは、雪国に固有の話です。
国の設計・施工基準には、対象としない屋根が明記されています。その理由まで書かれているのですが、東北に住む方にとって見過ごせないのは次の一文です。
木造および S 造の陸屋根についても、北海道などの多雪地域などでは広く普及した屋根ではあるが、太陽電池モジュール設置にかかる検討が十分ではないため、本基準の対象外としている。
雪国で普及している屋根の一部が、この基準の枠の外にあるということです。金属瓦(施工方法が未確立)、天然スレート、ALCパネルによる陸屋根も同じく対象外とされています。
これは「載せてはいけない」という意味ではありません。ただし、基準の枠外である以上、リフォーム瑕疵保険に入れないケースがある、という現実的な影響が出ます。ご自宅の屋根がこれに当たるなら、契約の前に「かし保険に入れる屋根ですか」と一言確認しておく価値があります。
もうひとつ。基準の解説は、計画を立てる際に積雪荷重や風圧力といった地域特性を考慮した設計諸条件との整合を確認することを求めています。東北の家では、これは書類上の話ではありません。冬に雪が動けば、金具にも、その周りの止水処理にも力がかかります。落雪と雪止めの考え方は屋根から落ちる雪をどこで止めるかにまとめました。
それでも折り合わないときの相談先
施工店と話がつかないときは、公的な窓口があります。
住まいるダイヤル(公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター)
- 国土交通大臣の指定を受けた住宅専門の相談窓口。建築士の資格を持つ相談員が対応します
- 電話 0570-016-100(PHSや一部のIP電話は 03-3556-5147)
- 受付は10時〜12時、13時〜17時(土日祝・年末年始を除く)
かし保険が付いている工事なら、弁護士・建築士による専門家相談(原則無料)や、指定住宅紛争処理機関による紛争処理の対象になります。2022年10月から対象が拡大し、リフォーム瑕疵保険付きの工事も含まれるようになりました。紛争処理の申請料は1万円(一部の保険付き住宅は1万4千円)です。
契約や勧誘のトラブルが絡むときは、消費者ホットライン 188 もあわせて使えます。訪問販売で契約した経緯があるなら訪問販売で太陽光を契約してしまったらもご覧ください。
そして、雨漏りをきっかけに「無料点検します」という訪問が増えることがあります。応じる必要はありません。理由は太陽光の火災リスクと点検商法に書いたとおりです。
よくある質問
Q1. 施工した会社がもう無いのですが、どうすればいいですか。
A. まず、かし保険の付保証明書を探してください。リフォーム瑕疵保険が付いている工事であれば、事業者が倒産等の場合は発注者が保険法人へ直接請求できる仕組みになっています。付保証明が見つからない場合は、住まいるダイヤルへご相談ください。新築時に載せた家で、引渡しから10年以内なら、太陽光の下請けではなく新築の元請けが窓口になります。
Q2. メーカーの保証書があるので、メーカーに言えばいいですか。
A. 保証書の条項を先に読んでください。メーカー保証の中心は機器(モジュール・パワコン等)で、屋根の雨漏りが対象になるかは条件付きです。長州産業の例では、認定施工店が標準架台で施工した場合の設置部からの雨漏りは保証内容に含まれますが、認定店以外による工事や標準架台以外の架台による工事は対象外とされています。まずは施工店、と覚えておいてください。
Q3. 工事から5年経っています。もう手遅れですか。
A. 手遅れとは限りません。民法第637条の1年は「不適合を知った時から」の1年です。シミに気づいたのが最近なら、そこから1年です。ただし民法第166条の消滅時効(知った時から5年、行使できる時から10年)は別に進みます。新築時に載せた家であれば、品確法により引渡しから10年です。いずれにしても、気づいた日付を記録して、すぐ通知することが最善です。
まとめ:原因を突き止める前に、順番と書類を揃える
- 屋根には上らない。写真・水量・天気の記録だけ取る
- 責任の根拠は「いつ載せたか」で分かれる。新築時=品確法で引渡しから10年(屋根は「雨水の浸入を防止する部分」に含まれる/短くする特約は無効)
- 後付け=民法の契約不適合責任。「知った時から1年以内に通知」が最大の期限
- 連絡は①施工店 ②かし保険 ③メーカー ④火災保険の順。火災保険は経年劣化・施工不良には使えない
- 集める書類は工事完了報告書・施工写真/保証書/契約書/かし保険の付保証明の4点。国の基準は、記録を施工者が作って引き渡すことを求めている
- 立会いでは垂木・母屋への固定/貫通部の止水/下葺き材/外壁貫通部/事前調査の5点を聞く
- 東北では、木造・S造の陸屋根や金属瓦は国の設計・施工基準の対象外。かし保険に入れるかを契約前に確認する
- 折り合わなければ住まいるダイヤル 0570-016-100。かし保険付きなら専門家相談(原則無料)と紛争処理が使える
雨漏りは、放っておくと下地から傷みます。早く言うほど、直す範囲は小さくて済みます。 どこに言えばいいか分からない、という段階でも構いません。当社にご相談いただければ、まず切り分けからお手伝いします。

▲ 当社施工事例:屋根面に並ぶ固定金具
出典・確認先(2026年8月21日確認)
- 住宅の品質確保の促進等に関する法律 第2条・第94条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000081
- 住宅の品質確保の促進等に関する法律施行令 第5条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/412CO0000000064
- 民法 第637条・第166条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- 国土交通省「住宅用太陽電池モジュール設置工事に係る設計・施工基準について」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutaku-kentiku.files/kashitanpocorner/jigyousya/operation_module.html
- 国土交通省「リフォーム瑕疵保険 太陽光発電パネル設置に係る設計・施工基準の解説」(住宅瑕疵担保責任保険[現場検査]講習テキスト) https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutaku-kentiku.files/kashitanpocorner/dl_files/2shyou-2.pdf
- 国土交通省「リフォームの瑕疵保険」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutaku-kentiku.files/kashitanpocorner/consumer/reform_insurance.html
- 公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅相談統計年報2025」(2024年度集計) https://www.chord.or.jp/assets/NP2025_web..pdf
- 住まいるダイヤル「電話相談サービスのご案内」 https://www.chord.or.jp/consult_tel/index.html
- 住まいるダイヤル「専門家相談と紛争処理の対象が拡大」 https://www.chord.or.jp/expand/
- 長州産業株式会社「保証規定(K-02)」 https://cic-solar.jp/wp-content/uploads/hosyokitei_K-02.pdf
※本記事は2026年8月21日時点の情報です。法令の適用や責任の所在は、個別の契約内容と事実関係によって判断されます。本記事は一般的な整理であり、法的助言ではありません。具体的な事案については、住まいるダイヤルや弁護士等の専門家にご相談ください。保証の条件はメーカー・機種・契約時期によって異なりますので、必ずお手元の保証書をご確認ください。
当社が運営する「ソラカルテ」では、太陽光・蓄電池の見積書をその場で無料AI診断できます。電話番号の登録は不要です。
監修・執筆:株式会社ファナス 代表取締役 不藤政次|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら
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