太陽光パネルの「出力保証25年」は、発電量の保証ではありません|保証しているのは25℃・1,000W/㎡で測ったパネル1枚の出力——階段型・リニア型・「%」の基準がメーカーで違う話と、請求のときに起きること【東北・2026年版】

先に結論
出力保証は「家の発電量」ではなく、基準状態(セル温度25℃・日射1,000W/㎡)で測った「パネル1枚の最大出力」を保証しています。
型は2つ。10年81%・25年72%のように段で下がる「階段型」と、1年目99%から毎年0.4%前後ずつ下がる「リニア型」です。
同じ「81%」「90%」でも、公称最大出力を基準にする社と、その90%(出力下限値)を基準にする社があり、%だけで横並びにはできません。
請求にはメーカーでの測定が必要で、発電できなかった分の損失は補償されません。東北で「雪の冬に発電が減った」は、出力保証の対象になりません。
太陽光パネルの「出力保証25年」は、25年間、発電量が保証される——これは正しくありません。
見積書や保証書に「出力保証25年」「30年」と書かれていると、多くの方が「発電量が落ちたらメーカーが何とかしてくれる」と受け取ります。ですが、各社の保証規定を原文で読むと、保証しているのは「基準状態でメーカーが測ったパネル1枚の最大出力」であって、屋根の上で実際に発電した電気の量ではありません。
当社は施工店として、2026年9月に住宅用パネル各社の保証規定・カタログ・保証ページを原文で読み直しました。この記事はその結果を、「何を保証しているのか」「型は何種類あるのか」「%の基準はそろっているのか」「請求すると何が起きるのか」の4つに分けてお伝えします。メーカーの優劣を付ける記事ではありません。どの社も、規定に書いてあることを書いてあるとおりに読めば、筋の通った制度です。
保証されるのは「基準状態で測ったパネルの出力」です
まず、保証の対象が何かを規定の文言で確認します。
京セラのトリプル保証規定(保証書からの抜粋・2025年5月版)は、出力保証をこう定義しています。
対象機器の太陽電池の出力については、最大出力が基準状態における当社の測定(※2)(ただし、外的要因による不具合(太陽電池モジュールのガラス割れ・経年劣化による部材の変質・変形など)がある場合は除く)において公称最大出力の90%に対してお引渡しから10年目までは10%以上低下した場合、また、11年目から20年目までは20%以上低下、21年目から25年目までは25%以上低下した場合、①無償修理、②良品または同等品との交換、③再取得価額による金銭補償のいずれかを当社の判断にて行います。
※2「基準状態における当社の測定」とは下記を表します。・太陽電池セル温度:25℃及び、照明条件:AM1.5、1000W/㎡
長州産業の住宅用保証規定(SK-250801)も同じ構造です。
保証開始日から10年間に JIS C 61215-2 に示された測定方法にて太陽電池モジュールを測定し、測定結果が公称最大出力に対して、81%未満となった場合。11年目から保証期間終了までの間に(中略)72%未満となった場合。
パナソニックの保証ページも「太陽電池モジュールの出力がJIS C 8918の7.1(性能)に示された公称最大出力に対して、10年で81%未満、または25年で72%未満となった場合」としています。
3社に共通しているのは、測るのはメーカーで、測る条件はセル温度25℃・日射1,000W/㎡という規格上の基準状態で、比べる相手はカタログの公称最大出力だということです。ご自宅のモニターに出る「今日の発電量」や「今月の売電」は、どこにも出てきません。
屋根の上のパネルは、夏はセル温度が25℃をはるかに超え、冬は雪で覆われ、朝夕は日射が1,000W/㎡に届きません。発電量が下がる理由の大半は、この「基準状態からのずれ」です。出力保証は、そのずれを保証していません。当社の発電量が去年より少ないときの確かめ方の記事(記事57)で「前年比で判断してはいけない」と書いたのは、この理由からです。

▲ 当社施工事例:戸建ての屋根に設置した太陽光パネル
型は2つ——「階段型」と「リニア型」
保証の年数と%の下がり方には、大きく2つの型があります。
階段型は、期間を2〜3段に分けて、それぞれの段で下限を決める型です。
| メーカー | 保証期間 | 段ごとの下限(公称最大出力に対して) | 出典 |
|---|---|---|---|
| 長州産業(Gシリーズ・Bシリーズ・ほっとパネル) | 25年 | 10年間:81%未満で対象/11年目〜25年目:72%未満で対象 | 住宅用保証規定 SK-250801 |
| パナソニック | 25年 | 10年で81%未満、または25年で72%未満 | 保証ページ |
| 京セラ(トリプル保証・有償) | 25年 | 10年目まで81%/11〜20年目 72%/21〜25年目 67.5%(公称最大出力の90%に対し10・20・25%低下) | トリプル保証規定 |
| シャープ(対象パワコンとの組み合わせ) | 25年 | 10年 90%/11〜15年 85%/16〜25年 80%(公称最大出力の90%を基準) | 長期保証ページ |
リニア型は、1年目の下限を決め、そこから毎年一定の割合で下限が下がっていく型です。
| メーカー | 保証期間 | 下がり方 | 出典 |
|---|---|---|---|
| ハンファジャパン Re.RISE-NBC | 30年 | 初年度99%→25年目90.6%→30年目88.9% | 保証ページ |
| ハンファジャパン Re.RISE-G3 | 25年 | 初年度98.5%→25年目88.9% | 同上 |
| ハンファジャパン Re.RISE S | 25年 | 初年度98%→25年目84.8% | 同上 |
| カナディアンソーラー TOPHiKu6(CS6.2) | 30年 | 1年目:ラベル表示出力の99%を下回らない/2〜30年目:年次の低下が0.4%を上回らない | 住宅用カタログ2025年1月版 |
| エクソル XLN108G-460X/XLN108-455X | 35年/30年 | 「公称最大出力下限値」を基準に、当社が定めた経年出力値を下回った場合 | 製品・出力保証ページ |
| 長州産業 Nシリーズ(N型TOPCon) | 30年 | 1年目99%から毎年0.375%ずつ下がり25年目に90%、26〜30年目は90%で一定 | Nシリーズ390Wカタログ(2026年5月版) |
同じ長州産業でも、GシリーズとNシリーズで型が違います。保証規定SK-250801には階段型(81%/72%)しか書かれておらず、Nシリーズの30年リニアは製品カタログ側にあります。規定PDFだけを読むとNシリーズの30年を見落とします。見積書に「Nシリーズ」とあれば、カタログの年別の表で確認してください。
どちらの型が良い・悪いという話ではありません。階段型は「10年目に81%」という分かりやすい線があり、リニア型は年ごとの下限が細かく決まっているので途中の年でも判定しやすい。読み方が違うだけです。
同じ「%」でも、基準がそろっていません
ここが、見積書を横に並べたときにいちばん間違えやすいところです。
長州産業の規定には、81%の由来が注記されています。
[81%:JIS C 8918 の 6.1 に示された出力下限値(公称最大出力の 90%)の 90%]
[72%:JIS C 8918 の 6.1 に示された出力下限値(公称最大出力の 90%)の 80%]
つまり長州産業とパナソニックの「81%」は、公称最大出力を100として81です。一方、シャープの「90%/85%/80%」は、保証ページに「公称最大出力の90%を基準とした出力保証値です」と明記されています。公称最大出力を100とすると、90%×90%=81、85%×90%=76.5、80%×90%=72になります。
京セラも「公称最大出力の90%に対して10%以上低下」という書き方なので、公称最大出力を100とすれば90×0.9=81です。
| 書かれている数字 | 基準 | 公称最大出力を100としたときの値 |
|---|---|---|
| 長州産業・パナソニック「81%」 | 公称最大出力 | 81 |
| シャープ「90%」 | 公称最大出力の90% | 81 |
| 京セラ「90%に対して10%低下」 | 公称最大出力の90% | 81 |
| カナディアンソーラー「99%」 | ラベル表示出力(公称最大出力の公差範囲内の最小許容値) | 公差の下限×0.99 |
| エクソル | 公称最大出力下限値 | 下限値×経年出力値 |
「シャープは90%、長州は81%だからシャープのほうが手厚い」という読み方は、基準を見落としています。10年目の線はどちらも公称最大出力の81です。逆に、リニア型の「99%」も、公称最大出力そのものではなく「公差の最小許容値」や「出力下限値」を基準にしている社があります。
見積書を比べるときは、%の数字を写す前に、「何を100とした%か」を保証書か規定で確認してください。これは当社が運営するサイト「ソラカルテ」の見積書AI診断でも、メーカーが違う2社の見積もりを並べたときに必ずお伝えしている点です。

▲ 当社施工事例:金属屋根への太陽光パネル施工
請求すると何が起きるか——測定・非故障判定・発電損失
「出力が下がった気がする」と思ったとき、保証の請求で何が起きるかも規定に書かれています。
1. 測るのはメーカーで、条件は基準状態。上に引いたとおり、京セラは「基準状態における当社の測定」、長州産業は「JIS C 61215-2に示された測定方法」、エクソルは「不具合判定には、当社での出力測定が必要になります」としています。屋根に付いたままモニターの数字で判定することはありません。パネルを外して測ることになる場合があり、その段取りは施工店が担います。
2. 故障でなかったときの費用。シャープの保証ページには「※1 非故障時の判定は有償です」とあります。「調べてもらったら保証値の範囲内だった」というとき、判定の費用が発生する社があります。
3. 発電できなかった分は補償されない。長州産業の規定は、保証期間内でも顧客負担になる費用として「修理、交換、表記の機器の故障に起因して発生したお客様の損失に係る費用(電気代、水道代、発電損失など)」を挙げています。京セラも「補償しない損害」に「得られなかった売電による利益、電気代、発電データ等」を明記しています。出力保証で戻ってくるのはパネルであって、その間に売れなかった電気ではありません。
4. 外的要因は対象外。京セラは「ガラス割れ・経年劣化による部材の変質・変形など」を出力保証の判定から除いています。長州産業の規定は、天災(火災・風水害・地震・落雷・台風・噴火・津波)や飛来物、害獣被害を保証しない事項に置いています。雪の重みや落雪で起きた破損は、出力保証ではなく火災保険や自然災害補償の領域です。雪や落雷で壊れたときの火災保険の記事(記事46)にまとめています。
5. 保証書は再発行されない。長州産業の規定は「この保証書は再発行いたしません」とし、保証書の提示が無い場合を保証対象外に置いています。施工店が廃業したときに何が残るかは施工店が廃業したときの記事(記事103)に書きました。
東北で「出力保証」に期待してはいけないこと、期待してよいこと
東北の読者に向けて、はっきり書いておきます。
期待してはいけないこと。冬に雪が屋根に載って発電が止まる、11月から2月の発電量が夏の半分になる、北向きの面が思ったより発電しない。これらは基準状態からのずれであって、パネルの出力低下ではありません。出力保証の対象ではありません。「去年の1月より少ない」も同じで、日射量は年によって12%ほど動きます(当社がパワコン交換の判断の記事(記事111)で気象庁の仙台の年別日射量を確認した範囲で、2014〜2025年に12.5〜14.0MJ/㎡)。
期待してよいこと。基準状態で測った出力が、規定の線を割ったとき。これは25年(社によって30年・35年)にわたってメーカーが引き受けます。逆に言えば、パネルは20年以上使う前提で保証が設計されています。国が想定する住宅用のパワコン交換が「20年に1回」であることと合わせると(記事111)、パネルは出力保証の期間、パワコンは10〜15年の機器保証と交換という2層で考えるのが、東北の家の維持の設計です。
もう1つ、東北で効くこと。低温そのものはパネルの出力を下げません。結晶シリコンのパネルは温度が下がると出力が上がる性質があり(夏の熱と出力低下の記事(記事51))、基準状態の25℃より冷えた冬の晴天は、パネルにとって条件の良い日です。雪さえ載っていなければ、東北の冬は出力保証の観点では不利ではありません。
見積もりの段階で確認する4つ
出力保証について、契約前に施工店へ聞くべきことは4つです。
- 保証の型と年数。階段型か、リニア型か。同じメーカーでもシリーズで違う(長州産業のGシリーズとNシリーズ)
- %の基準。公称最大出力を100とした%か、その90%(出力下限値)を基準にした%か、公差の最小許容値か
- 保証の申請を誰がいつするか。京セラのトリプル保証は「完成引渡日までにお申込み」「引渡し後の追加申込みはできません」と規定にあり、ハンファは「設置後、保証申請が必須」としています。申請を施工店が行う社が多く、申請されていなければ保証は始まりません
- 保証書の保管。再発行されない社があります。引き渡しのとき、保証書の原本と申請の控えを受け取ってください
見積書を2社以上お持ちなら、当社が運営するサイト「ソラカルテ」の見積書AI診断で、メーカー・型番・容量とあわせて保証の記載の有無を先に確認できます。
よくあるご質問
Q1. 出力保証が25年あれば、25年間は発電量の心配をしなくてよいですか?
A. いいえ。出力保証が見ているのは、基準状態(セル温度25℃・日射1,000W/㎡)でメーカーが測ったパネルの最大出力です。雪・気温・日射量・方位・影・汚れによる発電量の変化は対象になりません。発電量が気になるときは、まず記事57の設備利用率の確かめ方で、パネル以外の要因を切り分けてください。
Q2. 「出力保証30年・初年度99%」と「出力保証25年・10年81%」は、どちらが手厚いのですか?
A. 型と基準が違うので、%と年数だけでは比べられません。リニア型の99%は「公差の最小許容値」や「出力下限値」を基準にしている社があり、階段型の81%は「公称最大出力」を基準にしています。同じ年の下限を、同じ基準に直して並べてはじめて比較になります。当社は優劣を付けませんが、比べるなら「何を100とした%か」をそろえてからです。
Q3. 出力が下がったと思ったら、まず何をすればよいですか?
A. 施工店に連絡してください。判定はメーカーの測定で行うため、施工店が窓口になります。連絡の前に、モニターの系統別の発電量(記事57)と、パワコンの表示(記事53)を控えておくと切り分けが早くなります。非故障判定が有償の社もあるので、「パネルの問題か、それ以外か」を先に見るのが順番です。
まとめ
- 出力保証は基準状態(25℃・1,000W/㎡)でメーカーが測ったパネルの最大出力を保証する。家の発電量は対象外
- 型は階段型(長州G/B・パナソニック:10年81%・25年72%、京セラ:25年67.5%まで、シャープ:90/85/80%)とリニア型(ハンファ・カナディアンソーラー・エクソル・長州Nシリーズ)
- %の基準がそろっていない。シャープの90%は「公称最大出力の90%」が基準で、公称最大出力を100とすれば81。リニア型の99%も公差の最小許容値や出力下限値が基準の社がある
- 請求はメーカーの測定で判定し、非故障判定は有償の社があり、発電損失は補償されない
- 東北の雪・冬の発電減は出力保証の対象外。低温そのものはパネルに不利ではない
- 契約前に確認するのは型と年数・%の基準・申請の担当と期限・保証書の保管の4つ
「出力保証25年」は、パネルの品質をメーカーが25年引き受けるという約束です。発電量の約束ではありません。その線引きを分かったうえで読むと、保証書はずっと役に立つ書類になります。
※本記事は2026年9月21日時点で各社が公開している保証規定・カタログ・保証ページにもとづいています。引用した文言・数値は、長州産業、シャープ、京セラ、パナソニック、エクソル、ハンファジャパン、カナディアンソーラー・ジャパンの公式ページ・PDFから引用しました。保証の適用条件(施工認定店による施工、申請の期限、対象機器の組み合わせ)は社ごと・時期ごとに異なります。お手元の保証書と施工店で必ずご確認ください。
出典
- 長州産業「住宅用 保証規定 SK-250801」(出力保証の判定・81%/72%の注記・保証しない事項・留意事項) https://cic-solar.jp/wp-content/uploads/jutaku_hosyokitei_SK-250801.pdf
- 長州産業「Nシリーズ 390W カタログ(2026年5月)」(モジュール出力30年保証の年別表) https://cic-solar.jp/catalog/b390w_260518/book/pdf/b390w_all.pdf
- シャープ「安心の長期保証」(25年間モジュール出力値を保証・公称最大出力の90%を基準・非故障時の判定は有償) https://jp.sharp/sunvista/warranty/
- 京セラ「住宅用ソーラー発電 トリプル保証 規定(保証書より抜粋・2025年5月版)」(基準状態における当社の測定・補償しない損害) https://www.kyocera.co.jp/solar/support/download/uploads/terms_triple_warranty_residential_of_solar.pdf
- パナソニック「太陽光発電システム 保証について」(JIS C 8918の公称最大出力に対して10年で81%未満・25年で72%未満) https://sumai.panasonic.jp/solar/reason02/warranty.html
- エクソル「太陽電池モジュール製品・出力保証」(公称最大出力下限値を基準・当社での出力測定) https://www.xsol.co.jp/product/warranty/term/
- ハンファジャパン「保証について」(Re.RISE各シリーズの初年度・25年目・30年目の出力値) https://www.q-cells.jp/service-support/warranty/
- カナディアンソーラー・ジャパン「住宅用カタログ 2025年1月版」(30年間モジュール出力保証・1年目99%・年次0.4%) https://csisolar.co.jp/wp-content/uploads/2024/12/CSJ_ResidentialCatalog_2025-1-Re_HP-1.pdf
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監修・執筆:株式会社ファナス 代表取締役 不藤政次|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら
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