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雷が鳴ってきたら、太陽光と蓄電池のある家は何をする?|落雷のあとに確認する手順と、東北の「夏と冬で違う雷」【2026年版】

「夕立で雷が鳴ったあと、パワコンの画面にエラーが出ていまして。触っていいものでしょうか」

夏になると、こういうお電話が増えます。多いのは「雷が鳴っている最中に何をすればいいのか分からない」というご相談と、「鳴り終わったあとに何を確認すればいいのか分からない」というご相談の2つです。

太陽光や蓄電池を入れると、家の中に屋外から電線が引き込まれている機器が一つ増えます。屋根の上のパネル、外壁のパワーコンディショナ(以下パワコン)、そのそばの蓄電池。これらは家電よりも外側にあり、雷の影響を受けやすい位置にあります。

一方で、「雷が落ちたら太陽光は必ず壊れる」というのも正確ではありません。多くの場合、壊れるのはパネルそのものではなくパワコンや通信機器です。そして、その多くは事前の備えで軽くできます。

この記事では、①雷が鳴っている最中にやること・やってはいけないこと、②雷の電気が家に入ってくる3つの経路、③東北の雷は夏と冬で別物であること、④落ちたあとに確認する手順、⑤壊れたかどうかの見分け方、⑥今からできる備え、を公式データをもとに整理します。

レンガ調の外壁に設置された壁掛け型のパワーコンディショナと整然と配管された配線

▲ 当社施工事例:外壁のパワーコンディショナ

まず結論:鳴っている最中にやることは3つだけです

雷鳴が聞こえたら、太陽光や蓄電池のあるお宅でやることは次の3つです。これ以上のことは、むしろやらないほうがいいというのが実務の答えです。

1. 屋外に出ない。屋根やパワコンの様子を見に行かない

気象庁は「雷鳴が聞こえるなど雷雲が近づく様子があるときは、落雷が差し迫っています」としています。屋根に上がるのは論外ですし、外壁のパワコンを見に行くのも避けてください。心配なのは分かりますが、雷が鳴っている間に見て分かることは何もありません。

2. 電気器具・天井・壁から1m以上離れる

意外に知られていませんが、気象庁は屋内の安全について「木造建築の内部も基本的に安全ですが、全ての電気器具、天井・壁から1m以上離れれば更に安全」としています。雷の電気は電線や配管を伝って屋内にも入ってくるためです。パワコンのモニターや蓄電池のリモコンに張り付いて様子を見る、というのはこの逆をやっていることになります。

3. 使っていない家電のプラグを抜く(余裕があれば)

パソコン、テレビ、ルーターなど、コンセントから雷サージが入って壊れやすい機器はプラグを抜いておくと安全です。ただしこれは家電の話で、太陽光や蓄電池のブレーカーを慌てて操作する必要はありません。分電盤や機器のブレーカーを雷雲の下で操作しに行くくらいなら、離れて待つほうが安全です。

そして、いつ動いていいかの目安も気象庁が示しています。「雷の活動が止み、20分以上経過してから」です。ゴロゴロが遠のいてすぐ屋根を見に出る、というのは早すぎます。


雷の電気は、3つの経路から入ってきます

「うちの屋根に落ちたわけではないのに、なぜパワコンが壊れるのか」というご質問をよくいただきます。雷の被害は、直撃だけではないからです。

経路1:直撃雷

家やアンテナ、屋根の上のパネルに直接落ちるケースです。発生頻度は低いのですが、当たると被害は大きく、パネルの焼損や火災につながることがあります。住宅で直撃を受ける確率そのものは高くありません。

経路2:誘導雷(近くに落ちた雷が電線に飛び移る)

住宅で圧倒的に多いのがこちらです。近くの電柱や樹木、地面に落ちた雷の電磁的な影響で、電線・通信線・アース線に高い電圧が一瞬だけ発生します。これが屋内に入り、機器の基板を壊します。

太陽光のある家では、この経路が普通の家より1つ多くなります。屋根の上のパネルからパワコンへ向かう直流ケーブルです。屋根一面に広がったパネルとケーブルは、それ自体が電磁誘導を受けやすい形をしています。

経路3:通信線・アンテナ経由

これも見落とされがちです。太陽光や蓄電池には、発電量を送るための通信ユニットやWi-Fiルーターがつながっています。テレビアンテナの同軸ケーブル、LANケーブル、電話線から入った雷サージが、ルーター経由でモニターや計測ユニットを壊す、というパターンが実際にあります。

「発電はしているのにモニターだけ真っ暗」「アプリに数値が上がってこない」という症状のとき、疑うのはこの経路です。

屋内の壁に並んだパワーコンディショナ3台と、床に設置された蓄電池ユニット

▲ 当社施工事例:屋内設置のパワコンと蓄電池


東北の雷は、夏と冬で別物です

ここが東北にお住まいの方に一番お伝えしたいところです。同じ東北でも、太平洋側と日本海側では雷の季節がまったく違います。

気象庁の平年値(1991〜2020年の30年平均)で、仙台と秋田の雷日数を月別に並べると、はっきり分かれます。

仙台の雷日数 秋田の雷日数
1月 0.2 3.4
2月 0.1 2.7
3月 0.4 2.2
4月 1.5 1.7
5月 2.7 1.7
6月 4.0 1.8
7月 5.4 1.6
8月 2.6 2.5
9月 1.5 2.0
10月 0.7 4.2
11月 0.5 5.6
12月 0.3 4.8
年間 20.0 34.3

(出典:気象庁「平年値(年・月ごとの値)」1991〜2020年)

仙台は7月の5.4日をピークに、6〜7月に集中します。典型的な夏の雷です。ところが秋田は11月の5.6日が最多で、10月から1月にかけて多い。年間日数そのものも秋田のほうが1.7倍多く、しかも冬に偏っています。

これは日本海側で発生する「冬季雷」と呼ばれる現象で、気象庁も年間の雷日数について「日本海側の地方では冬に多くなっています」としています。日本海の暖かい海面と、シベリアからの寒気がぶつかって雷雲ができるためです。

実務上、何が変わるか。

  • 太平洋側(宮城・岩手沿岸・福島浜通り):雷対策は6〜8月に意識すればよい。梅雨明け前後の夕立が本番
  • 日本海側(秋田・山形庄内・青森西部)雪と雷が同時に来る。11〜12月に「雪が降っているのに雷が鳴る」状況になり、雪対策と雷対策を同じ時期に考える必要がある

日本海側のお客様に「雷対策は夏の話ですよね」と言われることがありますが、データを見ると逆です。雪囲いや融雪の準備をする11月が、そのまま雷の最盛期にあたります。


落ちたあと、その日のうちに確認する手順

雷が遠のいて20分以上たったら、次の順番で確認します。順番が大事です。

① 家全体のブレーカーの状態を見る

まず分電盤です。主幹ブレーカーや漏電ブレーカーが落ちていないか。落ちていた場合、太陽光や蓄電池が原因とは限りません。エアコンや給湯器など別の機器の可能性もあります。

漏電ブレーカーが落ちていて、上げてもすぐ落ちる場合はそこで止めてください。何度も上げ下げしないこと。どこかで漏電している状態なので、施工店か電気工事店に連絡します。

② パワコンの表示を見る(触らない)

外壁や屋内のパワコンに、エラーコードやランプの異常表示が出ていないか。このとき、写真を撮っておいてください。エラーコードは復旧すると消えることがあり、あとで販売店に説明するときに残っていると話が早いです。

多くのパワコンは、系統側の電圧異常や自身の保護動作で一時的に停止しても、条件が戻れば自動復帰します。エラーが出ていても、しばらく見ていると勝手に運転を再開することがあります。まずは待つ。

③ 蓄電池の運転状態とリモコンの表示

蓄電池は、停電を検知して自動的に自立運転に切り替わっている場合があります。停電が復旧しているのに自立運転のままになっていないか、リモコンの表示で確認します。残量が想定より減っていることもありますが、これは異常ではなく「停電中に使った」だけのことが多いです。

④ 発電量が戻っているか(翌日の昼に確認)

これがいちばん確実な健全性チェックです。翌日の日中、晴れているのに発電量がゼロ、あるいは前年同月と比べて明らかに低い場合は、どこかが壊れています。

製品評価技術基盤機構(NITE)も、太陽光発電設備の事故を防ぐ日常の確認として「毎月の発電量を前年同月と比較する」ことを消費者に呼びかけています。この習慣があると、雷のあとの判断が一段速くなります。

⑤ 焦げ臭い・異音がするなら、その場で使用をやめる

これだけは例外です。焦げたにおい、パチパチという音、機器の変色があれば、ブレーカーを切って施工店に連絡してください。太陽光の火災リスクと、その後の点検の考え方は太陽光の火災リスクと「点検商法」に注意にまとめています。


「雷で壊れた」を疑うときの、見分け方

雷のあとに調子が悪いとき、原因が本当に雷なのかは意外と切り分けが要ります。よくある3つのパターンを挙げます。

パターンA:モニターだけ映らない、アプリに数値が来ない

発電も売電も動いているのに、表示系だけ死んでいるケース。前述の通信線経由の雷サージが疑われます。壊れているのは計測ユニットやルーターで、発電そのものには影響していないことが多いです。慌てて全体を交換する話ではありません。

パターンB:パワコンが完全に無反応

ランプも点かない、表示も出ない。パワコン本体の基板が壊れている可能性があります。この場合は発電が止まっているため、売電収入や自家消費に直接効いてきます。修理か交換かは施工店の判断になりますが、パワコンの寿命は一般に10〜15年とされており、設置から10年以上たっている機種なら交換の検討に入ります。パワコン交換の考え方は卒FITで蓄電池を勧められたらでも触れています。

パターンC:発電量がなんとなく落ちた

パネルの一部の回路(ストリング)だけが停止していると、全体としては発電しているのに20〜30%落ちる、という出方をします。素人目には気づきにくく、前年同月比を見ていないと分かりません。これも雷のあとに起きうる症状です。

なお、NITEが2014〜2023年の10年間に受け付けた太陽光発電設備の事故約200件を分析した結果では、パワコンが約70%、パネルが約20%を占めています。ただしこの統計の主な原因はトラッキング現象(ほこりや湿気による基板の短絡)であって、落雷そのものではありません。「雷でどれだけ壊れているか」の公的な統計は存在しないというのが正直なところです。だからこそ、自宅の発電量という手元のデータが判断材料になります。

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今からできる備え:4つ

1. SPD(避雷器)が入っているか確認する

SPD(サージ防護デバイス)は、瞬間的な過電圧をアースに逃がして機器を守る部品です。JIS C 5381シリーズで規定された製品規格があり、分電盤に取り付けるタイプと、機器のそばに付けるタイプがあります。

住宅用のパワコンには、はじめから入力側にサージ保護素子が内蔵されている機種が多くあります。ただし内蔵されているからといって万全ではありません。内蔵品は自機を守るためのもので、家全体の分電盤を守るものではないからです。

確認したいのは次の2点です。

  • 自宅のパワコンにサージ保護が内蔵されているか(取扱説明書の仕様欄に記載があります)
  • 分電盤にSPDが入っているか(多くの住宅では入っていません)

分電盤用のSPDは後付けできます。設置には電気工事が必要で、アースがしっかり取れていることが前提です。ここは施工店に見てもらってください。

2. アースの状態を点検してもらう

SPDも保護素子も、逃がす先であるアースが効いていなければ働きません。太陽光の架台やパワコンのアースは施工時に取ってありますが、10年、15年と経つと接続部が腐食していることがあります。定期点検のときに「アースの導通も見てほしい」と一言添えるだけで違います。

点検の周期については、NITEが設置1年後、以降4年ごとを目安として示しています。維持費や点検の実際は太陽光は「つけてから」いくらかかる?にまとめました。

3. 通信系にも雷ガードを入れる

見落としがちなのがここです。ルーター、計測ユニット、テレビの同軸ケーブル。電源側だけ守ってもLAN側から入ってきます。市販の雷ガードタップには通信線の保護端子が付いたものがあり、費用も知れています。

4. 火災保険の補償範囲を確認しておく

落雷は、多くの火災保険で「落雷」として補償対象に含まれています。太陽光や蓄電池が建物として契約に含まれているか、それとも対象外かは契約によって違うので、雷のシーズンに入る前に一度確認しておくと安心です。請求の手順や3年の時効については雪・落雷・強風で太陽光や蓄電池が壊れたら、火災保険は使えるのかで詳しく整理しています。

なお、雷のあとに「保険で無料で直せます」と訪ねてくる業者には注意が必要です。この点も上の記事で触れています。


停電を伴ったときは、雷と停電を分けて考える

雷で停電した場合、話が2つに分かれます。

送電線側のトラブルによる停電なら、家の設備は壊れていません。蓄電池が自立運転に切り替わり、復電すれば自動で戻ります。冬の東北で暖房と給湯を止めないための考え方は冬の停電にどう備える?に、地震で停電したときの手順は地震で停電したとき、太陽光と蓄電池は使えるのかにまとめてあります。

自宅の機器が壊れて止まっている場合は、復電しても発電が戻りません。この違いは、近所の家に明かりが点いているかどうかで、だいたい判断できます。

もう一つ、雷とは直接関係しませんが混同されやすいものとして「電圧上昇抑制」があります。電気事業法施行規則第38条では、標準電圧100Vの供給電圧を101Vの上下6V(95〜107V)に維持するよう定められています。この上限に近づくと、パワコンは電気を押し出せなくなり出力を絞ります。「雷のあとから発電量が落ちた気がする」というご相談が、実は季節的な電圧上昇抑制だった、ということもあります。系統側の出力制御との違いは「東北は出力制御が厳しい」と言われたらをご覧ください。


東北の現場で、実際に多いご相談3つ

「夕立のあと、蓄電池の残量が減っていた」

これは故障ではないことがほとんどです。一瞬の停電(瞬時電圧低下)を検知して自立運転に切り替わり、その間に家の電気をまかなった結果です。むしろ正常に働いています。

「冬に雷が鳴ったが、雪でパネルが見えない」

日本海側で毎年あります。雪が積もっていると屋根の様子は確認できません。この場合は無理に見に行かず、融雪後の発電量で判断します。雪が乗っている間は発電量が落ちるのが当たり前なので、比較するのは前年の同じ時期です。雪と発電量の関係は東北・雪国の太陽光は本当に発電する?で扱っています。

「近所に落ちたらしいが、何も異常がない」

それが普通です。誘導雷を受けても、機器が耐えて何も起きないほうが多い。念のため翌日の発電量だけ見て、問題なければそれで終わりにしてください。不安だからと有料点検を頼む前に、まずは数字を見ることをおすすめします。


よくあるご質問

Q1. 雷が鳴っているとき、太陽光のブレーカーを切ったほうがいいですか。

A. 積極的にはおすすめしません。理由は2つあります。まず、雷サージは開いたブレーカーの隙間を飛び越えることがあり、切ったから安全とは言い切れません。もう一つは、雷雲の下で分電盤やパワコンのある場所へ移動すること自体にリスクがあるためです。気象庁も屋内では電気器具から1m以上離れることをすすめています。雷が鳴り始める前に落ち着いて操作できるならよいのですが、鳴ってから慌てて行くのは避けてください。

Q2. 蓄電池は雷に弱いのですか。

A. 蓄電池セルそのものより、パワコンや制御基板が先に影響を受けます。蓄電池システムのパワコンは太陽光と一体になっている機種(ハイブリッド型)も多く、その場合は太陽光側の被害がそのまま蓄電池側にも及びます。逆に言えば、パワコンを守る対策がそのまま蓄電池を守る対策になります。蓄電池の寒冷地での選び方は蓄電池は冬に弱い?にまとめています。

Q3. 雷が多い地域だと、太陽光はやめたほうがいいですか。

A. そこまでの話ではありません。秋田や庄内のように年間30日以上雷がある地域でも、太陽光は普通に運用されています。判断が変わるのは「対策のかけ方」であって、設置の可否ではありません。分電盤へのSPD追加、通信系の保護、アースの点検といった対策は、いずれも設備全体の金額から見れば小さなものです。雷が多い地域だからこそ、見積り段階で「雷対策はどうなっていますか」と聞いておく価値があります。業者選びと見積りの見方は「一番安い見積り」で選ぶと損をする?を参考にしてください。


まとめ

  • 鳴っている最中にやることは3つ:屋外に出ない、電気器具・壁から1m以上離れる、余裕があれば家電のプラグを抜く。太陽光や蓄電池のブレーカーを慌てて操作しに行かない
  • 動いていいのは雷が止んで20分以上たってから(気象庁)
  • 雷サージの経路は直撃・誘導・通信線の3つ。住宅で多いのは誘導雷で、太陽光のある家は屋根の直流ケーブルという経路が1つ増える
  • 東北の雷は太平洋側と日本海側で季節が逆。仙台は年20.0日で7月がピーク、秋田は年34.3日で11月がピーク。日本海側は雪囲いの時期がそのまま雷の最盛期
  • 落ちたあとは①ブレーカー ②パワコン表示を写真に ③蓄電池の運転状態 ④翌日の発電量の順で確認する。焦げ臭い・異音があるときだけ、その場で使用をやめる
  • 備えは分電盤のSPD・アースの点検・通信系の雷ガード・火災保険の確認の4つ。いずれも設備全体から見れば小さな費用

雷は、来る前にできることが多い災害です。夏の入り口、あるいは日本海側なら秋の入り口に、一度確認しておいてください。

「うちの設備はどうなっているか分からない」という方は、施工した会社に取扱説明書の仕様欄を一緒に見てもらうところから始めるのが確実です。当社でも、他社施工のお宅の確認をお受けしています。

※本記事は2026年8月12日時点の情報です。制度・規格・製品仕様は変更されることがあります。

出典

施工会社がつくった、見積書のセカンドオピニオン。(ソラカルテ)

当社が運営する「ソラカルテ」では、太陽光・蓄電池の見積書をその場で無料AI診断できます。電話番号の登録は不要です。

監修:株式会社ファナス|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら

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