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「東北は出力制御が厳しい」と言われたら|住宅用が当面対象外である理由と、10kWを超えた瞬間に変わる話【2026年版】

「東北は出力制御が多い地域だから、売電をあてにすると危ないですよ」

こう言われて不安になった、というご相談が増えています。そして多くの場合、その話は「だから蓄電池を入れて自家消費にしましょう」という提案とセットになっています。

前半は、事実です。東北電力エリアは、全国でも再生可能エネルギーの出力制御が多いエリアです。2026年度に入ってからも、ほぼ連日のように制御指示が出ています。

ですが、後半には大事な前提が抜けています。一般的なご家庭の太陽光(10kW未満)は、国の整理として「当面の間、出力制御の実施対象外」です。東北であっても、今日つけた住宅用の太陽光が、来月から止められるという話ではありません。

一方で、10kWを超えた瞬間に、扱いはまったく別物になります。東北で屋根が広いお宅、ソーラーカーポートを併設するお宅は、この境界線をまたぐことがあります。

この記事では、出力制御とは何かを整理したうえで、東北の実績データ、そして「10kWの壁」が何を意味するのかを、公式資料をもとにまとめます。

金属屋根に設置された太陽光パネルを上から見た施工事例

▲ 当社施工事例:金属屋根への太陽光パネル設置

出力制御とは、「電気が余るから発電を止めてください」という指示

電気は、使う量(需要)と発電する量(供給)を、常に一致させておく必要があります。このバランスが崩れると周波数が乱れ、最悪の場合は大規模停電につながります。

太陽光や風力は天候で発電量が大きく変動しますから、通常は火力発電の出力を上下させてバランスを取ります。それでも供給が需要を上回りそうなときに、最後の手段として行われるのが再エネの出力制御です。

止める順番は法令で決まっている

「なぜ太陽光ばかり止めるのか」と思われるかもしれませんが、止める順番は優先給電ルールとして、FIT法施行規則と広域機関の指針であらかじめ定められています。東北電力ネットワークが公表している順番は、おおむね次のとおりです。

  1. 火力発電の出力抑制、揚水発電所のくみ上げ運転
  2. 地域間連系線を使って他エリアへ送電する
  3. バイオマス発電の出力制御
  4. 太陽光・風力の出力制御 ← ここ
  5. 原子力・水力・地熱(長期固定電源)の抑制

つまり、太陽光が止まるのは「できることを全部やった後」です。東北電力ネットワークの資料でも、火力の抑制・揚水運転・連系線での他エリア送電を行ってもなお供給が需要を上回る場合に、再エネ出力制御が必要になると説明されています。

曇りの日でも起きる

「今日は曇っていたのに制御された」という声もあります。東北6県と新潟県のエリアでは、太陽光に加えて風力発電の接続量が大きく増えています。曇天でも風が吹けば発電量は積み上がりますから、天気が悪くても供給過多になることはあります。

また、電力需要が落ちる春・秋・大型連休は、連日にわたって制御が実施されることがあります。


東北エリアの出力制御は、実際どれくらい起きているのか

ここは数字で見ておきましょう。東北電力ネットワークは、制御指示の実績を公表しています。

2026年度は、7月上旬までに62日

同社が公表している「再エネ出力制御指示に関する報告」(東北エリア本土、2026年7月9日現在)によると、2026年度の太陽光・風力の出力制御日数は62日に達しています。6月下旬からは、ほぼ毎日のように前日指示が出ている状況です。

制御される時間帯は、報告書を見るかぎり 7時台〜16時台が中心で、余剰電力が最大になるのは正午前後です。太陽が高く上がる時間に、そのまま制御がかかっている形です。

2026年度の見通しは「制御率4.02%」

国の次世代電力系統ワーキンググループに東北電力ネットワークが提出した資料(2025年12月24日公表)では、2026年度の出力制御見通しが次のように試算されています。

区分 2025年度見込み 2026年度見込み
全設備の出力制御率 2.96%(約5.2億kWh) 4.02%(約7.5億kWh)
うち太陽光 3.65% 4.72%
無制限・無補償ルール適用分 2.57% 3.92%

制御量は前年度からおよそ1.4倍に増える見通しです。ただしこれは一定の仮定を置いた試算であり、実際の天候・気温・需要・電源の稼働状況で結果は変わる、と同社も注記しています。

なお同じ資料では、エリア全体をオンライン制御化できた場合、2026年度の制御率は4.02%→3.86%に下がると試算されています。オンライン化は制御量そのものを減らす効果がある、ということです。

住宅の外壁に設置されたパワーコンディショナ2台と屋外の切替盤

▲ 当社施工事例:外壁のパワーコンディショナ


住宅用(10kW未満)は、当面の間、実施対象外です

ここが本題です。

資源エネルギー庁の解説ページ「なるほど!グリッド」には、はっきりこう書かれています。10kW未満の設備は当面の間、出力制御の実施対象外である、と。

ただし例外があります。複数太陽光発電設備設置事業(いわゆる「屋根貸し」)に該当する場合は、1件が10kW未満であっても、オンライン代理制御による出力制御の実施対象になります。ご自宅の屋根を事業者に貸す形の契約をされている方は、ここが違います。

東北電力ネットワークの区分表では「優先的な扱い」

東北電力ネットワークが公表しているFAQには、太陽光発電の出力制御対象区分の表が載っています。10kW未満の欄を接続契約の受付日順に追うと、次のようになっています。

接続契約申込の受付日 10kW未満の扱い
2014年9月30日まで(旧ルール) 出力制御対象外
2014年10月1日〜2015年1月25日 出力制御対象外
2015年1月26日〜2015年3月31日 出力制御対象外
2015年4月1日以降 無制限の対象となるが、10kW以上の出力制御後に行う(優先的な扱い

つまり2015年4月1日以降にお申し込みされた住宅用は、制度の枠組みとしては無制限・無補償ルールの中にいるけれども、実際に制御するのは10kW以上をすべて制御した後、という位置づけです。そして国の整理では、その10kW未満は当面の間、実施対象外とされています。

正直に申し上げると

「未来永劫、絶対に制御されません」とは書けません。制度上の枠には入っており、「当面の間」という条件付きの整理だからです。

ですが、2026年8月時点で、東北で一般家庭の太陽光が出力制御によって止められている、という事実はありません。「東北は出力制御が厳しいから住宅用も危ない」という説明は、事業用の話を住宅用に持ち込んだものです。


「10kWの壁」——ここを超えると話が変わる

住宅用と言っても、屋根が広ければ10kWを超えることがあります。東北では珍しくありません。加えて、屋根とソーラーカーポートを合算して10kWを超えるケースもあります。

10kW以上になると、2015年4月1日以降の接続契約は無制限・無補償ルールの対象です。ここで実務的に効いてくるのは、次の3点です。

1. 出力制御機能付PCSと通信環境が必要になる

無制限・無補償ルールが適用される設備は、自動制御が前提です。出力制御機能付のパワーコンディショナ(PCS)や制御装置、情報伝送装置、そして常時つながるインターネット環境が必要になります。

そして東北電力ネットワークのFAQには、「出力制御機能付PCS等の導入費用は発電者さまのご負担となります」と明記されています。設備費用にこの分が乗ることを、見積り段階で確認してください。

2. 制御されても補償はない

FIT法に基づき契約した太陽光は、施行規則に基づく無補償の範囲で出力制御に協力する義務があります。止められた分の売電収入は、戻ってきません。

無制限・無補償ルールが適用される発電者に対しては、一律のパーセント制御(1%刻み)が実施されます。全部止めるのではなく、出力の上限を一定割合まで絞る方式です。数日連続で制御が入る可能性もある、と同社は説明しています。

3. 収支計算の前提が変わる

2026年度の見通しでは、無制限・無補償ルール適用分の制御率は3.92%(太陽光は4.39%)と試算されています。10kW以上で計画するなら、年間発電量の数%が売電にならない前提で採算を見ておく必要があります。

「10kW以上にすると単価が変わってお得です」という提案を受けたら、この制御分と、PCS・通信環境の追加費用を差し引いた数字を出してもらってください。東北の発電量そのものの見方は 東北・雪国の太陽光は本当に発電する?日照・積雪から見る発電量 に、カーポート併設で容量が増えるケースは ソーラーカーポートは東北の雪に耐えられるか にまとめています。


「出力制御が来るから蓄電池」は、東北で正しい説明か

冒頭の営業トークに戻ります。

住宅用が当面の実施対象外である以上、「出力制御対策として蓄電池が必要」という説明は、10kW未満のお宅に対しては筋が通りません。もしその理由だけで蓄電池を勧められているなら、根拠を聞いてみてください。

誤解のないように申し添えますが、当社は蓄電池をお勧めしないと言っているのではありません。蓄電池を入れる理由は、別のところにきちんとあります。

  • 買う電気を減らす(自家消費を増やす)
  • 冬の停電に備える
  • 卒FIT後、安くなった売電単価で売るより自宅で使う

こうした理由なら、数字で説明できます。実際、電気代を下げる目的での考え方は 電気代がまた上がる2026年、東北で「買う電気」を減らす自家消費の始め方 に、卒FIT後の判断は 卒FITで蓄電池を勧められたら|買う前に確認する3つの数字 に書いています。

理由が正確でない提案は、金額も正確でないことが多い、というのが当社の経験則です。見積りの見方については 太陽光・蓄電池は「一番安い見積り」で選ぶと損をする? もあわせてご覧ください。

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出力制御の情報は、自分で確認できます

事業用で10kW以上を運用される方向けに、確認先を整理しておきます。

  • 見通しの確認:東北電力ネットワークは、出力制御の可能性がある場合、原則として実施の3日前からホームページ「東北6県・新潟エリアでんき予報」の「再生可能エネルギー出力制御の見通し」で公表しています
  • メール通知:同社サイトの登録フォームから、情報更新時のメール配信を申し込めます
  • 実績の確認:同じページで、適用ルールごとの「制御回数実績」が公表されています

オフライン(手動)制御の対象になっている場合は、原則として前日17時頃までに自動電話とメールで指令が届き、当日は自分で発電機を停止する操作が必要です。オンライン(自動)制御なら、当日の対応は原則不要です。


よくあるご質問

Q1. 東北で今から太陽光をつけると、売電できない日があるということですか。

A. 10kW未満の住宅用であれば、そういうことにはなりません。資源エネルギー庁の整理で、10kW未満は当面の間、出力制御の実施対象外とされています。屋根貸し(複数太陽光発電設備設置事業)に該当する場合と、10kW以上で計画する場合は対象になります。

Q2. 出力制御されている間、家の電気はどうなりますか。

A. 出力制御は、電力系統全体の需給バランスを保つために発電側を調整する仕組みです。ご家庭が電力会社から電気を買って使うことには影響しません。停電するわけでもありません。

Q3. 東北の出力制御は今後もっと増えますか。

A. 東北電力ネットワークの試算では、2026年度の制御率は前年度見込みより上がる見通しです。ただしこれは仮定を置いた試算で、天候・需要・電源の稼働状況によって結果は変わると同社も注記しています。将来の数値をお約束できる立場にはありませんので、10kW以上を計画される場合は、最新の公表資料をご確認のうえで採算をご検討ください。


まとめ

  • 東北電力エリアの出力制御は、実際に多い。2026年度は7月9日時点で62日実施されている
  • ただし10kW未満の住宅用は、国の整理で当面の間、実施対象外。東北でも一般家庭の太陽光が止められている事実はない
  • 例外は屋根貸し(複数太陽光発電設備設置事業)。10kW未満でも対象になる
  • 10kW以上にすると扱いが変わる。無制限・無補償ルールの対象となり、出力制御機能付PCSと通信環境の費用は自己負担、制御された分の補償はない
  • 2026年度の制御率見通しは全設備で4.02%。10kW以上で計画するなら、この分を織り込んだ収支で判断する
  • 「出力制御が来るから蓄電池」は、10kW未満のお宅に対しては理由になっていない。蓄電池は別の理由で選ぶもの

東北は風力の導入が進んでいる分、全国的に見ても出力制御の話題が出やすい地域です。だからこそ、事業用の話と住宅用の話を混ぜないことが、正しい判断の第一歩になります。屋根の広いお宅で10kWを超えそうな場合は、その前後で条件が変わりますので、設計段階からご相談ください。

※本記事は2026年8月7日時点の情報です。出力制御の実績・見通しは随時更新されますので、最新の数値は下記の公式サイトでご確認ください。

出典(すべて公式サイト)

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監修:株式会社ファナス|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら

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