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太陽光の見積書に載っていない「電力会社への費用」|東北電力ネットワークの工事費負担金と、2026年度の申込期日【東北・2026年版】

「見積は全部込みだと聞いていたのに、電力会社から別の請求書が届きました」

年に何度かいただくご相談です。金額は数千円で済むこともあれば、建柱を伴って十数万円になることもあります。そして厄介なのは、この費用が発生するかどうかは、契約した時点では誰にも確定できないという点です。電力会社が現地の配電線を調べて技術検討をしないと、金額が出ないからです。

この費用を「工事費負担金」といいます。太陽光を電力会社の配電線につなぐ(系統連系する)ために、電力側の設備工事が必要になった場合に、お客さまが負担するお金です。

もうひとつ、東北の方に今日お伝えしたい期日があります。2026年度のFIT認定を取るための、東北電力ネットワークへの低圧系統連系の申込期日は2026年10月16日(金)です。今日は8月9日ですから、あと2か月あまりです。

この記事では、①工事費負担金の実際の単価、②負担金がゼロになる条件、③申込から連系までの手続きの流れ、④2026年度の期日と売電単価を、すべて公式資料をもとに整理します。

瓦屋根に設置した太陽光パネル。右手に電柱と電線が写る山あいの住宅

▲ 当社施工事例:瓦屋根の太陽光と、右手の電柱

「工事費負担金」とは何にかかるお金か

まず前提を整えます。

屋根に載せたパネルで作った電気のうち、家で使いきれなかったぶんは配電線に流れ出ていきます。これが売電です。つまり、あなたの家の設備を、電力会社の送配電網に電気的に接続する必要がある。この接続を系統連系と呼びます。

東北エリアで送配電を担っているのは、東北電力ネットワーク株式会社です。小売の「東北電力」とは別会社で、系統連系の窓口はネットワーク側になります。

系統連系にあたって、電力側の設備(引込線・低圧線・変圧器・電柱など)に工事が必要になることがあります。その工事の費用のうち、お客さまに負担していただくぶんが工事費負担金です。

なぜ見積書に載らないのか

悪意があって隠しているケースは、私たちの経験ではほとんどありません。技術検討の前だと金額が出せない、というのが実態です。

同じ5kWの太陽光でも、家の前の電柱から引込線を分岐するだけで済む家と、電柱を1本建てないと届かない家では、金額がまるで違います。そして、どちらになるかは電力会社が図面と現地を照らして判断します。

ですから、見積の段階で確認すべきなのは金額そのものではなく、「工事費負担金は見積に含まれているのか、別途なのか」「別途なら、いくらまでを想定しているのか」という扱いの部分です。ここを口頭で済ませず、書面に残してもらってください。業者選びの目線は太陽光・蓄電池の見積の見方にも整理してあります。


東北電力ネットワークの工事費負担金の単価

ここが本題です。

東北電力は、低圧系統連系の工事費負担金について、工事規模に応じた発電出力(kW)単位の単価を設定して公表しています。2019年9月24日に設定されたもので、2026年8月9日時点でも同社の「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」のページに掲載されている、現行の案内です。

単価は次のとおりです(金額は税込。「余剰配線」は特例需要場所の適用なし、「全量配線」は適用ありの場合)。

工事規模 余剰配線 全量配線
① 引込線分岐工事以下 2,310円/口 2,310円/口
② 引込線以下 2,530円/kW 3,960円/kW
③ 低圧線以下 6,160円/kW 10,780円/kW
④ 変圧器以下 7,040円/kW 11,220円/kW
⑤ 高圧線以下 13,310円/kW 23,210円/kW
⑥ 建柱工事あり 47,300円/本 154,000円/本

建柱工事がある場合は、上記の建柱単価×本数に、②〜⑤で算定した金額を加えた額になります。

公式資料には算定例も示されています。

  • 発電出力5kW(全量配線)で引込線工事を要する場合 → 3,960円×5kW=19,800円
  • 発電出力30kW(全量配線)で変圧器新設+低圧線新設+引込線工事を要する場合 → 11,220円×30kW=336,600円

見落とされがちな注記が3つあります

単価表そのものより、実は注記のほうが重要です。

注記1:発電出力の端数は切り捨て

工事費負担金の算定に用いる発電出力は、小数点以下第1位を切り捨てた値とされています。4.9kWなら4kWとして計算されます。

注記2:地中電線路や大規模工事は個別積算

地中電線路の工事が必要な場合や、表の工事規模を超える大規模工事になる場合は、従来どおり個別積算になります。単価表の金額が上限ではない、ということです。

注記3:岩盤掘削は別途加算

建柱工事にともなって岩盤掘削の特殊工事が必要になった場合、その費用は個別積算で算定され、上表の単価から算定した工事費に別途加算されます。山沿いや傾斜地のお宅では、頭の片隅に置いておいてください。

また、系統連系にともなって受電用計量器を取り付ける場合、その費用は別途申し受けるとされています。


住宅用では、負担金がゼロになることがあります

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい点です。

先ほどの公式資料には、こう書かれています。

余剰配線で,発電出力が需給契約の契約電力以下となる場合は,工事費負担金を申し受けないことといたします。

かみ砕きます。

  • 余剰配線とは、家で使った残りを売る方式のことです。そして10kW未満の太陽光発電設備は、余剰配線しか選べません(公式資料に明記されています)
  • 需給契約の契約電力とは、その家の電気の契約容量のことです

つまり、一般的な住宅用の太陽光で、発電出力がその家の契約電力以下に収まっていれば、工事費負担金は発生しない、という整理になります。

多くのご家庭がここに当てはまります。「太陽光をつけると必ず電力会社から追加請求が来る」というのは誤解です。

では、どういう家で発生するのか

逆に、注意が必要なのはこういうケースです。

  • 契約電力が小さいお宅に、大きめの太陽光を載せる場合。契約容量との関係で条件を外れることがあります
  • 引込線の容量が足りない、電柱からの距離があるなど、電力側の設備工事が必要になる場合
  • 建柱が必要な立地。敷地が広い、道路から離れている、隣地を経由するといった条件で発生します。東北の郊外・農村部では珍しくありません
  • 10kW以上の設備を載せる場合

心当たりのある方は、契約前に「うちは負担金が出る可能性がありますか」と一言確認してください。業者が電力会社に事前相談することは可能です。

スレート屋根の片面いっぱいに設置した太陽光パネルを上から見た様子

▲ 当社施工事例:スレート屋根への太陽光設置


申込から売電開始までの手続きの流れ

東北電力ネットワークが公表している「再生可能エネルギー発電設備のお手続きのご案内《低圧系統連系編》」に沿って、流れを整理します。5段階です。

(1)系統連系および電力受給契約の申込

必要書類は「再生可能エネルギー発電設備低圧系統連系・電力売電申込書」「技術様式」「電気使用申込書等」です。窓口はネットワークサービスセンター(系統連系2)になります。

ここに重要な注記があります。「系統連系申込みの受付日は、必要書類を当社が不備なく受付した日といたします」——書類に不足や不備があると受付されません。つまり、期日ぎりぎりに出して不備があれば、その年度に間に合わないということです。

また、「お申込みをもって、系統連系および電力受給を保証するものではありません」とも明記されています。

(2)お客さまによるFIT認定の申請

固定価格買取制度の買取価格・買取期間の適用を受けるには、経済産業大臣の認定が必要です。「再生可能エネルギー電子申請」(fit-portal.go.jp)を通じて手続きします。

住宅用の場合、実務上は施工業者やJPEA代行申請センター(JP-AC)が代行することが多い部分です。ただし認定を受けるのは設置者本人です。名義や手続きの主体を勘違いしたまま進めると、後々の売却・相続で困ります。この論点は太陽光の相続・名義変更にまとめました。

(3)技術検討結果のお知らせと、工事費負担金の請求

電力会社が技術検討・工事設計・工事費負担金の算出を行い、「太陽光発電の系統連系技術検討結果のお知らせ」が発行されます。工事費負担金が発生する場合、ここで請求書が同封されます。

この段階で成立するのが「接続契約」です。公式資料は接続契約を「系統連系承諾と工事費負担金支払いを内容とする契約」と定義しています。つまり、負担金を払って初めて接続契約が完成する、という構造です。

期日までに工事費負担金を支払わない場合、接続契約は解除されることがあります。 ほかにも、認定の効力が失われた場合、出力抑制のための機器設置や費用負担に応じない場合、系統連系予定日を過ぎても連系や営業運転を開始しない場合などが、解除事由として挙げられています。

(4)系統連系開始にともなう連絡

連系を始めるにあたって、現地確認が行われる場合があります。「発電設備の系統連系開始について」および「認定通知書(控)」は、連系開始予定日の1週間前までにFAX等で提出する必要があります。

申し込んだ設備の内容と、実際に設置した配線や設備に相違がある場合、連系を開始できない、あるいは再度申し込みが必要になることがあると明記されています。工事中に「パネルを1枚減らした」「型番を変えた」といった変更が出たら、必ず申告してください。

(5)受給の開始

電力受給契約確認書が発行され、売電が始まります。電気の購入料金は、原則として検針日の属する月の翌月末日までに、指定口座へ振り込まれます。

なお、発電量の計量にはスマートメーターの双方向計量機能(1台で買った電力量と売った電力量の両方を計量できる機能)が使われます。


2026年度に間に合わせるための期日

ここが今日の実務的な結論です。

東北電力ネットワークは、2026年度のFIT認定取得にともなう低圧系統連系の申込期日を、次のとおり公表しています。

電源種別 同社への申込期日 国のFIT認定申請期限日
太陽光(10kW未満) 2026年10月16日(金) 2027年1月5日(火)
太陽光(10kW以上)・風力・水力・地熱 2026年10月2日(金) 2026年12月11日(金)
バイオマス 2026年9月18日(金) 2026年11月27日(金)

住宅用(10kW未満)なら10月16日です。前述のとおり、受付日は「不備なく受付した日」なので、書類の準備を含めて逆算する必要があります。

買取価格は「認定を取得した年度」で決まります

なぜ年度の期日が重要なのか。公式資料のQ&Aにこう書かれています。

平成29年度以降,新制度のもとでは,認定を取得した年度の購入価格が適用されます。

工事をした年度でも、連系した年度でもなく、認定を取得した年度です。ここを取り違えると、想定していた単価と違う結果になります。

参考までに、経済産業省の調達価格等算定委員会が示した2026年度の住宅用(10kW未満)の調達価格は次のとおりです。

  • 24円/kWh(運転開始から4年目まで)
  • 8.3円/kWh(5〜10年目)
  • 調達期間は10年間

前半を厚くして初期投資の回収を早める形になっています。2025年度の15円/kWhと比べると設計思想が変わっており、前半4年でどれだけ売電するかが効いてくる構造です(なお同資料の注記により、この2026年度の価格・期間は2025年度下半期にも適用されています)。屋根の割り付けを詰める意味は、以前より大きくなっています(狭い屋根の割り付け)。

なお、10kW以上の屋根設置は2026年度で19円/kWh(〜5年)、8.3円/kWh(6〜20年)とされています。

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東北だから知っておきたい、もうひとつの前提

工事費負担金の話とあわせて、東北エリア固有の事情も押さえておいてください。

東北電力ネットワークは、太陽光発電設備について平成26年(2014年)12月22日に、経済産業大臣から固定価格買取制度にもとづく指定電気事業者の指定を受けています。系統連系が確定している設備容量が接続可能量(30日等出力制御枠)をすでに超えているためです。

これにより、無補償の出力制御が求められる仕組みになっています。ただし、住宅用が実際にどう扱われるかは別の論点で、そこは東北の出力制御に切り分けて整理しました。「東北は出力制御が厳しいらしい」と聞いて不安になっている方は、そちらをご覧ください。

また、後から蓄電池を足す場合には、FIT事業計画の変更手続きという別の宿題が発生します(蓄電池の後付けとFIT変更手続き)。パワコンを交換する場合も同様です(卒FITとパワコン交換)。

共通しているのは、「工事が終われば完了」ではないという点です。 電力会社と国、二つの手続きが必ずセットでついてきます。


よくあるご質問

Q1. 工事費負担金は、いくらくらいを見ておけばいいですか。

A. 一律の目安はお出しできません。住宅用の余剰配線で、発電出力が契約電力以下に収まる一般的なケースでは負担金が発生しない旨が公式資料に明記されています。一方、建柱が必要になると、東北電力の単価表では余剰配線で1本47,300円(税込)から、そこに引込線等の工事費が加算されます。発生するかどうかは技術検討を待つしかないので、契約前に「別途になる可能性がある費用」として書面で確認してください。

Q2. 10月16日を過ぎたら、太陽光はつけられないのですか。

A. いいえ。設置そのものはいつでもできます。10月16日は、2026年度のFIT認定を取るために東北電力ネットワークへ低圧系統連系を申し込む期日です。この期日は年度ごとに設定されます。売電の単価は認定を取得した年度で決まるため、2026年度の単価(24円/kWh〈〜4年〉+8.3円/kWh〈5〜10年〉)を狙うなら、この期日が効いてくる、という関係です。

Q3. 見積に「系統連系費用一式」とだけ書かれています。これで足りますか。

A. その一行が何を指しているのかを確認してください。申請の代行手数料なのか、電力会社への工事費負担金なのか、その両方なのかで意味がまったく違います。工事費負担金は電力会社が技術検討をしてから確定する費用なので、契約時点で確定額を書ける性質のものではありません。だからこそ「含む/別途」の扱いだけは、書面で明確にしておく必要があります。


まとめ

  • 太陽光の見積に載らない費用として、電力会社への工事費負担金があります
  • 東北電力の単価は公表されています(引込線以下=余剰配線2,530円/kW、建柱=余剰配線47,300円/本 ほか。すべて税込)
  • 余剰配線で発電出力が需給契約の契約電力以下なら、工事費負担金は申し受けない旨が公式資料に明記されています。多くの住宅用はここに当てはまります
  • 発生しやすいのは、建柱が必要な立地・引込条件が厳しい家・10kW以上の設備です
  • 手続きは5段階。接続契約は「系統連系承諾+工事費負担金支払い」で成立します
  • 2026年度のFIT認定に伴う低圧系統連系の申込期日は、太陽光10kW未満で2026年10月16日(金)。受付日は「不備なく受付した日」です
  • 買取価格は認定を取得した年度で決まります。2026年度の住宅用は24円/kWh(〜4年)+8.3円/kWh(5〜10年)、10年間

工事費負担金は、恐れる必要のある費用ではありません。恐れるべきなのは、あとから知ることです。契約前に扱いを確認しておけば、それで終わる話です。

※本記事は2026年8月9日時点の情報です。単価・期日・買取価格は改定される場合があります。お申し込み前に、東北電力ネットワークおよび資源エネルギー庁の公式サイトで最新の内容をご確認ください。

出典(すべて公式サイト)

  • 東北電力「再生可能エネルギー発電設備等の低圧系統連系に係る工事費負担金単価の設定について(令和元年9月)」 https://nw.tohoku-epco.co.jp/consignment/renew/pdf/sai_20190924.pdf
  • 東北電力ネットワーク「再生可能エネルギー発電設備のお手続きのご案内《低圧系統連系編》」 https://nw.tohoku-epco.co.jp/consignment/renew/pdf/015.pdf
  • 東北電力ネットワーク「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」 https://nw.tohoku-epco.co.jp/consignment/renew/
  • 経済産業省 調達価格等算定委員会「令和8年度以降(2026年度以降)の調達価格等について」 https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/114_b01_00.pdf
  • 資源エネルギー庁「固定価格買取制度 再生可能エネルギー電子申請」 https://www.fit-portal.go.jp/

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監修:株式会社ファナス|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら

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