太陽光+蓄電池13分で読めます

大雪の停電が3日目に入った夜、蓄電池の残量をどう配るか|「昼に太陽光で充電する」は設定しないと起きません——オムロンは0〜1,500W、ニチコンは強制充電。12月の仙台の日照136時間・山形74時間から配分を決める【東北・2026年版】

停電が続く日の蓄電池|昼に太陽光で充電する設定と残量の配分

先に結論
停電が1日で終わらないとき、蓄電池は「夜に使い、昼に太陽光で充電し直す」運用になります。
ところがこの昼の充電は、機種によっては設定しないと起きません。オムロンKPBP-Aには停電時の充電電力を0W〜1,500Wから選ぶ設定があります。
欲張ると太陽光パワコンが止まります。取扱説明書に「発電電力を上回った場合、ソーラーパワーコンディショナが運転停止します」と書かれています。
12月の日照時間は仙台136.3時間・盛岡103.7時間・山形73.8時間(気象庁の平年値)。雪が載れば発電はゼロです。3日目の配分は、天気を見て決めるしかありません。

雪が音もなく積もる夜に、家の明かりが一度に消えます。

ブレーカーを見に行く必要はありません。蓄電池が入っている家なら、オムロンの取扱説明書のとおり「停電発生後、約5秒後に自動で自立運転に切り替わります」。冷蔵庫が唸りを取り戻し、居間の照明が戻ります。

問題はその翌々日です。停電が3日目に入った夜、残量は何%で、何に使い、朝までもたせるのか。

東北電力ネットワークが公表した2022年12月の新潟県の大雪停電は、12月18日から27日までの9日間、延べ84,950戸に及びました。倒木・倒竹は4,000か所を超え、除雪が難航して設備の被害箇所まで到着することが難しかったと記録されています。冬の停電は、長くなることがあるという前提で設計する必要があります。

この記事は「蓄電池で何時間もつか」の話ではありません(それは家電から逆算する記事(記事68)に書きました)。1日で終わらない停電のときに、残量をどう配るかという話です。

レンガ調の外壁に設置した壁掛けのハイブリッドパワーコンディショナ

▲ 当社施工事例:外壁に設置したハイブリッドパワコン

「昼に太陽光で充電する」は、勝手には起きません

まず、いちばん誤解の多いところから。

停電中、太陽光が発電していれば蓄電池に充電される——とは限りません。

オムロンのハイブリッド蓄電システム(KPBP-A)の取扱説明書には、自立運転の説明としてこう書かれています。

(システム「A」-2 のみ)停電時に太陽光発電から蓄電池へ充電する電力を設定できます

そして設定項目の説明はこうです。

停電時の充電電力の設定のしかた([UP42]テイデンジジュウデン)
システム「A」-2 で、停電時の蓄電池への充電電力を設定します。充電電力は太陽電池の発電電力を使用します。
設定値 ジドウ(初期値)/0W/200W/500W/1000W/1500W
※ システム「A」-2 以外でも設定可能ですが機能しません。

読み取るべきことが3つあります。

1つ目。充電電力を「W」で決める設定がある。0W(=停電中は充電しない)から1,500Wまで、5段階と自動があります。初期値は「ジドウ」です。

2つ目。システムの構成によって、この設定が機能しない。取扱説明書は「システム『A』-2以外でも設定可能ですが機能しません」と書いています。つまり、設定画面には出るのに効かない構成があるということです。ご自宅がどの構成かは、施工店に確認する項目です。

3つ目。給電元そのものを選ぶ設定が別にある。「テイデンジモード」で、停電時に「蓄電池」「太陽電池」「蓄電池または太陽電池」のどれから給電するかを設定します。初期値は自動です。

蓄電池を入れた日に施工店が設定して、それきり誰も触っていない、という家がほとんどです。停電の3日目に初めて画面を開いて探すのは、いちばん避けたい状況です。


欲張ると、太陽光パワコンが止まります

ここが実務でいちばん大事なところです。

同じオムロンの取扱説明書の、停電時の電力供給の表に付いた注記です。

※4. 家庭の電気製品と蓄電池への充電の供給電力の合計が太陽光発電の発電電力を上回った場合、ソーラーパワーコンディショナが運転停止します。ソーラーパワーコンディショナの運転を再開するには、ソーラーパワーコンディショナの取扱説明書をご覧ください。また、停電時充電の設定を小さな値に変更してください。

つまり、「昼のうちにたくさん充電しておこう」と設定を1,500Wにしたまま、家でも電気を使うと、太陽光そのものが止まることがあるのです。しかも復帰には、太陽光パワコン側の操作が要ります。

ニチコンの蓄電システム(ESS-U2X1)の取扱説明書にも、同じ現象への注意があります。

※ 停電時の動作中に太陽光パワーコンディショナに「E0」あるいは「STOP」などの点検コードを表示する場合があります。その場合は、太陽光パワーコンディショナの「取扱説明書」に従って、太陽光発電を再度、自立運転に切り替えてください。

曇りの日ほど危ないというのが実務の感覚です。晴れていれば発電に余裕がありますが、雪雲の下で数百Wしか出ていない日に、家の消費と充電を足すと、簡単に発電量を超えます。

もうひとつ、オムロンの表には切り替え時の注意もあります。

※5. [A] [B] の供給が切り替わる際に一時的に自立運転が停止し、電気製品への電力供給が一時的に中断しますのでご注意ください。

蓄電池からの給電と太陽光からの給電が切り替わる瞬間、電気が途切れます。家庭用の蓄電池は無停電電源装置ではありません。この点は在宅医療機器と停電の記事(記事120)に詳しく書きました。


残量ゼロまで落とすと、復帰に手順が要ります

「使い切ってから充電すればいい」という考え方は、停電中には通用しません。

オムロンの取扱説明書は、停電時の下限をこう決めています。

蓄電池ユニットの過放電防止のため、停電時は規定の蓄電残量である6%になると放電を停止します。その後、蓄電残量が7%以上(システム「A」-2)、16%以上(システム「B」「C」)充電されると、放電を再開します。「SOC カゲン」を10%以下に設定すると、停電時に電気をすぐに使用できない場合があります。

さらに、

蓄電池の電池残量が0%になると、表示部に「C9-1.0」(蓄電残量低下(停電時))が表示され、約30分後にシステムの電源が切れ、待機状態になります。(パワーセーブモード)
システムの電源が切れた場合は、復電後に再起動します。長期に渡ってシステムの電源が切れた場合は、再起動後に日時設定画面が表示されます。

ニチコンはもっと具体的です。残量ゼロになると室内リモコンの画面が真っ暗になり、タッチしても何も表示されません。復帰の手順はこう書かれています。

太陽光発電の自立運転が可能な場合
「停電時の使い方」と同様に、太陽光発電を自立運転に切り替えます。太陽光発電から蓄電システムに電力が供給されると、室内リモコンの電源が入ります。

  1. 太陽光パワーコンディショナの「取扱説明書」に従って、太陽光発電を自立運転に切り替えてください。
  2. 電力が太陽光から供給されると、室内リモコンが操作できるようになります(後略)
  3. 非常時設定を「自動給電設定」または「強制充電設定」にしてください。
    ※「強制充電設定」の間は、非常時兼用コンセントには一切電気が供給されませんが、蓄電池残量がゼロのため、十分な電力が充電できるよう、可能な限り「強制充電設定」を選択してください。

メーカー自身が、「ゼロまで落としたら、いったん家への給電を全部止めて、充電に回せ」と書いているわけです。これが「配分」という言葉の実態です。

ここが3日目の判断です
残量が少ない朝に、電気を使いながらちょっとずつ充電するか。
それとも半日給電を止めて、その日の発電をぜんぶ充電に回して夜に備えるか。
機種によっては、後者を選ぶための設定(強制充電)が用意されています。

なお、ニチコンには逆の落とし穴もあります。「非常時運転モード」が「強制充電設定」のままだと放電できません。取扱説明書の「こんなときは」に「停電時に充放電できない場合:『自動給電切換設定』に設定してください」とあります。充電のために切り替えたら、戻すのを忘れないことです。


12月の東北で、昼にどれだけ充電できるのか

では、その「昼の発電」はどれくらい当てにできるのでしょうか。気象庁の平年値(1991〜2020年)を見ます。

地点 12月の日照時間 1月 2月 12月の全天日射量(日平均)
仙台 136.3時間 149.0時間 154.7時間 7.1 MJ/㎡
盛岡 103.7時間 115.6時間 124.8時間 5.7 MJ/㎡
山形 73.8時間 79.6時間 99.6時間 5.4 MJ/㎡

1日あたりに直すと、12月は仙台4.4時間・盛岡3.3時間・山形2.4時間です。山形は仙台の半分ちょっとしかありません。同じ東北でも、日本海側と太平洋側で条件がまるで違います。

そして、これは平年値であって、大雪の日の値ではありません。停電を起こすような降雪が続いている日は、この平均よりはるかに少なくなります。さらに、パネルに雪が載っていれば発電はゼロです。当社は「雪が載ったら下ろしてください」とは申し上げません(屋根に上る危険のほうが大きいため)。落ちるのを待つことになります。

ですから、「昼に充電できる量」を計算で当てにする設計はしないでください。現実的な考え方はこうです。

  • 仙台平野・福島の中通りのような太平洋側:晴れ間が出る日がある。昼の充電を織り込む価値がある
  • 山形・秋田・新潟のような日本海側:冬の停電では、昼の充電はあてにできない前提で容量と使い方を決める
  • どの地域でも:雪がパネルに載っている間はゼロ

最深積雪の平年値も参考になります。12月の最深積雪は仙台5cm・盛岡15cm・山形17cm。1月は仙台10cm・盛岡17cm・山形21cmです。


3日目の夜に使う電気を、先に決めておく

配分の話に戻ります。オムロンの取扱説明書には、停電時に使う電気の量について、はっきりした推奨が書かれています。

特定負荷用分電盤または特定負荷用コンセントに接続している電気製品の合計消費電力は、2000VA以下(AC100Vで最大20A以下)になるようにしてください。
(中略)停電時により長い時間お使いいただくため、接続する電気製品の合計電力(W)は500W程度に抑えることをお勧めします。

上限は2,000VAだが、長くもたせたいなら500W程度に抑えよ——これがメーカーの推奨です。ニチコンの非常時兼用コンセントも定格2,000VAで、超えると内部の安全装置が働いて給電を停止します。

500Wの中身をどう組むかは、停電の夜の暖房の記事(記事115)で家電ごとに並べました。要点だけ書くと、人を温める家電(電気毛布47W前後)と、部屋を温める家電(セラミックファンヒーター1,150〜1,250W)では、26倍違います。3日目の夜に部屋ごと温めようとすると、その日の残量は一晩で消えます。

また、オムロン・ニチコンとも、途中で電源が切れると困る機器は非常用のコンセントに接続しないよう明記しています(医療機器、デスクトップパソコンなど)。この点は繰り返しになりますが大事なので、在宅医療機器の記事(記事120)を必ずご覧ください。

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冬が来る前に、1回だけやっておくこと

長い停電の最中に取扱説明書を探すのは現実的ではありません。雪が降る前に、次の4つを確認しておいてください。1回で終わります。

  1. 停電時に太陽光から充電できる構成か。できる場合、充電電力の設定値はいくつか(オムロンなら0W/200W/500W/1,000W/1,500W/自動)
  2. 放電の下限(SOC下限・非常時安心設定)が何%に設定されているか。低すぎると停電時にすぐ使えず、高すぎると平常時の経済性が落ちます。設定の考え方は冬の蓄電池の設定の記事(記事113)に書きました
  3. 強制充電に切り替える操作と、戻す操作。リモコンのどの画面かを、家族の誰かがもう1人知っていること
  4. 太陽光パワコンを自立運転に切り替える手順。蓄電池がゼロになったときの復帰は、ここから始まります

いずれも設定を変えるのは施工店に相談してからにしてください。特に停電時充電の設定は、太陽光パワコンの停止に直結します。

基礎ブロックの上に屋外設置した蓄電池1台

▲ 当社施工事例:屋外に設置した蓄電池


よくあるご質問

Q1. 停電中、太陽光で発電した電気は蓄電池に貯まっていますか。

A. 機種と構成と設定によります。オムロンの取扱説明書には「停電時に太陽光発電から蓄電池へ充電する電力を設定できます」とあり、設定できる構成とできない構成があります。ご自宅がどちらかは施工店に確認してください。「太陽光があるから停電でも大丈夫」と一般化はできません。

Q2. 昼のうちにできるだけ充電しておくのが正解ですか。

A. 発電量の範囲内なら正解です。範囲を超えると太陽光パワコンが止まります(オムロンの取扱説明書・注記4)。曇りや雪の日ほど、家の消費との合計が発電量を超えやすくなります。設定を大きくするほど安全、ではありません。

Q3. 蓄電池の残量をゼロにしてしまったら、もう使えませんか。

A. 使えます。ただし手順が要ります。オムロンは残量0%で約30分後に電源が切れて待機状態になり、復電後に再起動します。ニチコンは太陽光発電を自立運転に切り替えてリモコンを立ち上げ、非常時設定をやり直す手順が取扱説明書に書かれています。ゼロにしないほうが手間は少ない、というのが結論です。


まとめ

  • 冬の停電は長くなることがある(2022年12月の新潟は12月18日〜27日・延べ84,950戸
  • 停電中の太陽光からの充電は、自動では起きない機種がある。オムロンKPBP-Aは0W/200W/500W/1,000W/1,500W/自動から設定する
  • 欲張ると太陽光パワコンが止まる。取扱説明書に「発電電力を上回った場合、ソーラーパワーコンディショナが運転停止します」と明記
  • 残量ゼロは復帰に手順が要る。オムロンは0%で約30分後に電源が切れる。ニチコンはリモコンが真っ暗になり、太陽光の自立運転から立ち上げ直す
  • ニチコンは「可能な限り強制充電設定を」と書く。その間は家への給電が止まる。これが配分そのもの
  • 12月の日照時間は仙台136.3時間・盛岡103.7時間・山形73.8時間(気象庁平年値)。日本海側は昼の充電をあてにしない
  • 使う量は上限2,000VA、長くもたせたいなら500W程度(オムロンの推奨)
  • 雪が降る前に充電設定・放電下限・強制充電の操作・太陽光の自立運転手順の4つを1回確認する

停電の3日目に必要なのは、大きな容量よりも「いま何に使い、何に使わないか」を決められることです。決める材料は、取扱説明書と天気予報の2つだけです。どちらも、雪が降る前なら落ち着いて読めます。

※本記事は2026年9月23日時点でメーカーが公開している取扱説明書と、気象庁の平年値(1991〜2020年)にもとづいています。設定項目の名称・設定値・動作は機種と製造時期で異なります。お手元の機種の取扱説明書と施工店で必ずご確認ください。設定の変更は施工店にご相談のうえ行ってください。

出典

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監修・執筆:株式会社ファナス 代表取締役 不藤政次|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら

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