オール電化約15分で読めます

「停電のとき、IHは使えますか」と聞かれたら|IHの消費電力(1口3kW・全体5.8kW)と、蓄電池の自立出力で本当に動く範囲【東北・2026年版】

停電時にIHは使える?蓄電池の自立出力で動く範囲

「オール電化にしたら、停電のときにごはんが作れなくなりませんか」

蓄電池のご相談で、よくいただく質問です。とくに冬の停電を経験された方ほど、この心配を口にされます。

答えは「蓄電池の構成しだいで、使えます。ただし全部の口を同時には使えません」です。今日(2026年9月30日)時点でメーカーが公表している数字から、どの構成なら、どこまで動くのかを整理します。

先に結論
蓄電池がなければ、停電中にIHで加熱することはできません。
IHは全体で4.0〜5.8kW、1口だけでも最大3.0〜3.2kWを使います。
蓄電池だけで動く夜の自立出力は、構成により2.0〜5.0kVAです。
停電の夜は「200Vが出る全負荷型で、1口を中火まで」が現実的な線です。

停電すると、IHは止まり、自動では戻りません

まず前提です。パナソニックはIHクッキングヒーターの停電時の動作について、公式ページでこう説明しています。

停電中に、加熱することはできません。
停電前に主電源が入っていた場合、停電すると主電源が切れます。復電後、自動的に電源は入りません。

タイマー調理やグリルの自動調理の途中で停電した場合も、加熱は止まり、復電後も自動では再開しません。調理の途中で停電したら、復電後にもう一度電源を入れ直すと覚えておいてください。

IHは電気そのもので鍋を温める機器です。ガスのように「火だけは点く」ということはありません。停電中に使えるかどうかは、家に電気を送る別の電源(蓄電池・V2Hなど)があるかで決まります。


IHの「5.8kW」は、1口3kWの口をいくつも持つ合計です

では、IHはどれくらいの電気を使うのか。各社の現行品の公表仕様を並べます。

メーカー・型番 定格(全体) 1口の最大火力など 全体を下げる設定
パナソニック Bシリーズ(2026年11月発売予定品) 単相200V・5.8kW 左右IH 3.0kW/中央IH 1.5kW/グリル2,200W 4.8kWに切り換え可能
三菱電機 CS-A20・CS-A8 単相200V・5.7kW (左右IH 3.0kWは同社の他機種の表記) ピークカット3段階(5,700W・4,800W・4,000W)
三菱電機 CS-G217DR 単相200V・4.0kW(20A) - なし
日立 3口ビルトイン(上位機種) 単相200V・5.8kW 左右IH 最大3.2kW 4.8kW・4.0kWに切替可

出典:パナソニック、三菱電機、日立グローバルライフソリューションズ 各社公式の製品仕様(2026年9月30日確認)。IH本体の定格と火力の表

ポイントは2つです。

  • 1口だけでも、最大火力は3.0〜3.2kWあります。電気ケトル(1,000W台)の2〜3倍です
  • 複数の口を同時に使うと、IHは全体の上限(5.8kWなど)を超えないように、自動で火力を絞ります。パナソニックの注記には「総消費電力量を超えないようにするため、IHヒーターの火力を自動的に制御します」とあります

つまりIHは「全部の口を同時に強火にしても5.8kW以内に収める」ように作られた機器です。停電のときに気にするのは、全体の5.8kWではなく、実際に使う口の火力です。

キッチンに設置した3口のIHクッキングヒーター

▲ 当社施工事例:3口のIHクッキングヒーター


蓄電池が停電時に出せる電力は、夜と昼で違います

次に、蓄電池の側です。停電のときに家へ出せる電力の上限を「自立出力」といいます。単位はkVAで、容量(kWh)とは別の数字です。考え方は全負荷型と特定負荷型のちがいに書きました。

IHに関係するところだけ、各社の公表値を並べます。

メーカー・製品 太陽光が発電している昼 蓄電池だけで動く夜 200V機器
ニチコン トライブリッド ESS-T3 5.9kVA(片相3.0kVA) 4.0kVA(増設ありは5.0kVA)/片相2.0kVA 全負荷200Vを標準装備
パナソニック 創蓄連携システムS+ - 2.0kVA(ユニット1台) 蓄電池ユニット2台+200Vトランスで最大4kVA・200V機器可
パナソニック 創蓄連携システムT 最大5.5kVA - 100/200V標準搭載(単相3線式に設置した場合)
オムロン マルチ蓄電プラットフォーム 4.0kVA(トランスユニット接続時) 「PV側の発電量が十分でない場合、最大2.5kVA」 全負荷型は200V家電可

出典:ニチコン「ESS-T3」製品ページ・Q&A・取扱説明書、パナソニック「創蓄連携システムS+」「創蓄連携システムT」、オムロン ソーシアルソリューションズ「マルチ蓄電プラットフォーム」製品ページ・カタログ(2026年9月30日確認)。蓄電池の自立出力の表

見てほしいのは、「蓄電池だけで動く夜」の列です。

停電は夜にも来ますし、冬の東北は昼でも雪で太陽光がほとんど発電しない日があります。IHを使えるかどうかは、昼の大きい数字ではなく、夜の数字で考えるのが安全です。

パナソニックは、創蓄連携システムS+の説明で「IHクッキングヒーターをバックアップする場合の推奨自立出力は4kVAです」と明記しています。2kVAの構成では、IHのバックアップは想定されていないと読んでください。


使う電力が上限を超えると、家ごと止まります

自立出力を超えるとどうなるか。3社とも同じ趣旨のことを書いています。

停電時、同時に仕様可能な電力は合計4kVAまで。IH専用回路も含め、バックアップ回路のご使用機器全体の消費電力が自立出力より大きい場合は運転を停止します。

(パナソニック「創蓄連携システムS+」の注記。原文ママ)

ニチコンの取扱説明書も「蓄電システムが供給できる電力以上の家電製品が接続された場合は、家電製品への給電を停止します」、シャープも「運転開始時に大きな電流が流れる機器を使用した場合、保護機能が働き、システムの運転が停止する場合があります」としています。

ここが大事なところです。止まるのはIHだけではありません。停電中に暖房・照明・冷蔵庫をまかなっている回路ごと、給電が止まります。冬の夜にこれが起きると、暖房まで一緒に落ちます。

ニチコンの取扱説明書は、停電時の家電の使い方として「AC100V, 200V 機器合わせて、消費電力 3500W を目安に」と書いています。蓄電池だけのときの定格は「片相 2.0kVA / 両相合計 4.0kVA」です。IHの1口3.0kWを強火で使うと、それだけで目安の大半を使い切る計算になります。

⚠ 停電中にIHの強火と暖房を同時に使うと、蓄電池ごと止まるおそれがあります。
「IHを使うあいだは、ほかの大きな家電を止める」を家族の決まりにしておいてください。


契約前に確かめたい3つのこと

「停電のときもIHを使いたい」なら、蓄電池を選ぶ段階で次の3つを確認します。

1. 停電時に200Vを出せるか(全負荷型か)

ビルトインのIHはどれも単相200Vです。特定負荷型は、停電時に100Vの決まったコンセントだけに給電するのが一般的で、IHは動きません。オムロンも、200Vの家電を停電時に使えるのは全負荷型だと説明しています。

2. 夜の自立出力が何kVAか

カタログの大きい数字(5.5kVA・5.9kVAなど)は、太陽光が十分に発電しているときの値であることが多いです。「蓄電池だけのとき」の数字を、型番で確認してください。

3. IHの回路が停電時の給電範囲に入っているか

パナソニックは、電力切替ユニットの定格容量によっては「IHクッキングヒータ専用の電力切替ユニットが必要な場合があります」と注記しています。分電盤のどこにIHがつながっているかで、工事の中身が変わるということです。分電盤と契約アンペアの話は蓄電池と契約アンペア・分電盤にまとめました。

見積書にこの3つが書かれているかどうかは、当社が運営するソラカルテの見積書AI診断で、型番から確かめることもできます。

🔗 無料相談・お見積りはこちら(株式会社ファナス)


停電の夜のIHは「1口を中火まで」で考えます

ここからは、全負荷型で200Vが出る蓄電池がある家の、停電の夜の使い方です。

IHの側で、全体の上限を下げておく

IHには全体の消費電力を下げる設定がある機種が多いです(日立の「節電モード」で4.8kW・4.0kW、三菱電機のピークカットで4,800W・4,000W、パナソニックは4.8kWへの切り換え)。ただ、いちばん下げても4.0kWです。蓄電池だけの夜の自立出力(2.0〜5.0kVA)に確実に収める設定ではありません。

また、蓄電池の停電運転に合わせて1口の火力を制限する専用のモードは、当社が確認した範囲ではIHメーカーの公表資料に見当たりませんでした。結局は、使う人が火力を選ぶことになります。

1口だけ、中火まで

  • 使う口は1つにする。グリル(2,200W)は使わない
  • 強火(3.0kW)を避け、中火以下で時間をかけて加熱する
  • 煮込み・湯わかしは、ふたをして熱を逃がさない

オムロンのカタログは、停電時の家電の目安として「IH調理器 200V 1000W 30分 0.5kWh」を挙げています。1kWで30分使えば0.5kWh。容量の小さい蓄電池でも、夕食の支度ひと回しなら現実的な量です。

東北の冬は、容量のほうが先に足りなくなる

停電の夜は、暖房・照明・冷蔵庫にも電気を回します。暖房家電の消費電力と、蓄電池で何時間もつかは停電の夜の暖房と家電の消費電力で計算しています。長い停電では、調理は電気ケトルや電子レンジで短時間に済ませ、IHの長時間の煮込みは避けるほうが、暖房に電気を残せます。停電中の電力の配分の考え方は停電中の電力の配分と充電をご覧ください。

屋外の基礎ブロックの上に設置した蓄電池2台とパワーコンディショナ

▲ 当社施工事例:屋外に設置した蓄電池とパワコン


カセットこんろを使うなら、3つだけ守ってください

蓄電池がない家、または自立出力が足りない家では、カセットこんろが停電時の調理の手段になります。ただし東北の冬には注意点があります。

1. 寒いと点かない

イワタニカートリッジガスのFAQは、カセットボンベについてこう答えています。

10℃を下回ると気化しにくくなり、5℃以下になると、ほとんど気化しなくなるためお使いいただくことはできません。

暖房の止まった冬の台所では、これが起こりえます。ボンベは使う直前まで、家の中でいちばん暖かい場所に置いておいてください。

2. 2台並べない・IHの上に置かない

消費者庁は「カセットこんろを2台以上並べたり、大きな調理器具をのせて使用しないでください。熱がこもりカセットボンベが過熱されて破裂するおそれがあります」と注意を呼びかけています。NITE(製品評価技術基盤機構)も、事故を防ぐポイントとして「カセットこんろを2台以上並べて使用しない」を挙げ、IH調理器の上にカセットこんろを置く使い方を危険な例として示しています。IHの天板は平らで置きやすいのですが、IHの上では使わないでください。

3. 換気を忘れない

燃焼する道具を屋内で使うときの一酸化炭素の危険は、停電の夜の燃焼器具と一酸化炭素に詳しく書きました。窓が凍りついて開けにくい冬ほど、換気の手順を決めておいてください。


復電したら、まず電源とスイッチを確かめます

停電が明けたときの注意も1つ。消費者庁は、ヒーターを内蔵した電熱器具について「停電復旧時における意図しない作動による火災を防ぐため、停電時には電源プラグをコンセントから抜きましょう」としています。

IHは、先に書いたとおり復電しても自動では電源が入らない仕様です(パナソニック)。ただ、停電中に電気こんろや電気ストーブを使っていた場合は、スイッチが入ったままになっていないかを先に確認してください。天板の上に鍋や布巾が載ったままの復電は、IHでも避けたい状況です。


よくあるご質問

Q1. 太陽光だけ(蓄電池なし)でも、停電のときにIHは使えますか。

A. 使えません。太陽光のパワーコンディショナの自立運転は、専用の100Vコンセントに給電する仕組みが一般的で、200VのIHにはつながっていません。容量も天候しだいで安定しないので、調理に使う前提にはしないでください。

Q2. 卓上の100V・IHなら、特定負荷型の蓄電池でも使えますか。

A. 100Vのコンセントに給電される構成なら、動く可能性はあります。たとえばパナソニックの卓上IH(KZ-PH34)は消費電力が最大1,400Wで、「1000Wセーブ」で最大1,000Wに切り替えられます。ただし特定負荷型の自立出力は2.0kVA前後が多く、ほかの家電と合わせて上限を超えないかは必ず確認してください。

Q3. 停電のときにIHを使いたいのですが、どのくらいの蓄電池を選べばいいですか。

A. 目安は、停電時に200Vが出せる全負荷型で、蓄電池だけで動く夜の自立出力が4kVA程度以上です。パナソニックも「IHクッキングヒーターをバックアップする場合の推奨自立出力は4kVA」としています。そのうえで、冬の停電で暖房に何を使うか、何時間もたせたいかで容量を決めます。当社では、IHの型番と分電盤を拝見してから構成をご提案しています。


まとめ:IHは「1口を中火まで」、決めるのは夜の自立出力

  • 停電中、蓄電池などの電源がなければIHで加熱はできない。復電後も自動では電源が入らない
  • IHは全体で4.0〜5.8kW。1口だけでも最大3.0〜3.2kW
  • 蓄電池の自立出力は、蓄電池だけで動く夜は2.0〜5.0kVA。昼の大きい数字で考えない
  • 上限を超えると、IHだけでなく家の給電ごと止まる
  • 選ぶときは「200Vを出せる全負荷型か」「夜の自立出力」「IHの回路が給電範囲に入っているか」の3つ
  • 停電の夜は1口を中火まで、グリルは使わない。長い停電では暖房に電気を残す
  • カセットこんろは10℃を下回ると気化しにくい。2台並べない・IHの上に置かない・換気する

「IHは停電に弱い」とよく言われます。半分は本当で、半分は構成しだいです。停電の夜に何を作るかまで決めてから蓄電池を選ぶと、構成の迷いが減ります。

当社では、ご自宅のIHの型番と分電盤を確認したうえで、停電の夜にどこまで使えるかを具体的にお伝えしています。「うちのIHは停電のとき使えるのか」という確認だけでも、お気軽にご相談ください。

※本記事は2026年9月30日時点で、パナソニック株式会社・三菱電機株式会社・日立グローバルライフソリューションズ株式会社・ニチコン株式会社・オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社・シャープ株式会社・イワタニカートリッジガス株式会社・消費者庁・独立行政法人製品評価技術基盤機構が公開している情報にもとづいています。自立出力や停電時に使える機器は、機種・構成・設置条件により異なります。ご自宅の設備については、必ず型番を確認のうえ販売施工店およびメーカーにご確認ください。

出典

その見積書、本当に妥当ですか?(ソラカルテ)

当社が運営する「ソラカルテ」では、太陽光・蓄電池の見積書をその場で無料AI診断できます。電話番号の登録は不要です。

監修・執筆:株式会社ファナス 代表取締役 不藤政次|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら

この記事を読んで、気になったことはありませんか?

AIふどうくんが記事を手がかりに、疑問を一緒に整理します。

他社のお見積りでも、ご相談をお受けしています

宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県で自社施工。設計・申請・施工・アフターまで自社で対応します。
しつこい営業はしません。お電話(022-796-7018/9:00〜20:00)・フォーム・LINEからどうぞ。

お気軽にどうぞLINEで無料相談