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断水したとき、エコキュートのタンクは「非常用の水」になります|取り出す手順と、やってはいけない3つのこと【東北・2026年版】

「地震のあとに断水して、トイレの水に困りました。タンクに何百リットルも入っているのに、出し方が分からなくて」

数年前の地震のあと、実際にいただいた声です。エコキュートをお使いのお宅には、貯湯タンクの中に370リットル前後の水があります。断水したとき、これは相当に大きな備えになります。

ところが、この水の出し方をご存じの方は多くありません。取扱説明書は引き出しの奥、タンクの前面に貼られた注意ラベルも普段は読まないところにあります。断水してから慌てて探すことになるのが実情です。

この記事では、①非常用水として取り出す手順、②やってはいけない3つのこと、③「停電だけ」「断水だけ」「両方」で対応がどう変わるか、④冬の東北で特に気をつけること、⑤復旧のときの順番、を各メーカーの公式情報をもとに整理します。

エコキュートそのものの選び方はエコキュートは寒冷地でどう選ぶか、交換の時期についてはエコキュートの寿命と交換にまとめてあります。

建物のすき間に設置された薄型の貯湯タンクと、奥のヒートポンプユニット

▲ 当社施工事例:薄型タンクのエコキュート

大前提:タンクの水は「生活用水」です

先に、いちばん大事なところをお伝えします。

タンクから取り出した水は、飲み水として当てにしないでください。

ダイキンは公式サイトで「飲料水としてのご使用は避けてください。生活用水としてのみご使用願います」と明記しています。パナソニックも「飲用はおさけください」としており、別のFAQでは「そのままの飲用はお控えください」(使う場合は煮沸が必要)と案内しています。

理由は、長時間タンクに貯まっている間に消毒用の塩素が抜けてしまうためです。水道水が安全なのは塩素が効いているからで、それが抜けた水は飲料水の基準を満たしません。

ですから、位置づけはこうなります。

  • 飲み水……備蓄したペットボトル、給水拠点でもらう水
  • 生活用水(トイレ・手洗い・洗い物・体を拭く)……エコキュートのタンク

仙台市水道局は、人が1日に必要とする水分を約3リットルとして、1週間分の飲料水の備蓄を呼びかけています。飲む分は別に用意する。そのうえで、量を食うトイレや洗いものをタンクの水でまかなう。この役割分担が現実的です。


取り出す手順(メーカー公式の流れ)

機種によって細部は違いますが、流れは各社ほぼ共通しています。ここではダイキンとパナソニックが公表している手順を並べます。必ずご自宅の貯湯ユニット前面の注意ラベルと取扱説明書を優先してください。

準備するもの:バケツ、ホース(非常用水取出用ホースが付属している機種があります)、軍手

  1. 貯湯ユニットの電源(漏電しゃ断機)を「切」にする(パナソニックは電源を切ってから取り出すよう案内しています)
  2. 給水止水栓(給水配管の途中のバルブ)を閉める……断水中に濁った水や泥水が水道管からタンクへ入るのを防ぐためです。ここを飛ばしてはいけません
  3. 点検口を開け、逃し弁のレバーを上げる……タンクに空気が入らないと水は流れ出ません
  4. 非常用取水栓(取出口)にホースを差し込む
  5. 栓を左に回して水(お湯)を出す……ダイキンは「2回転以上は回さない」と注意しています
  6. 止めるときは栓を右に回し、逃し弁のレバーを下げてホースを外す

やけどに注意してください。沸き上げ直後であれば、出てくるのは高温のお湯です。ダイキンも「非常用水として取出す場合は熱いお湯が出ますので、火傷に十分気をつけて作業をお願いします」と明記しています。バケツで受けて、冷めるのを待ってから使ってください。

なお、パナソニックは「非常用取水栓からのみではすべてのお湯(水)を取水することはできず、タンク容量よりも実際に取り出せる量は少なくなります」と説明しています。370Lタンクだから370L使える、ではありません。構造上、取り出せるのは一部です。


やってはいけない3つのこと

① 飲み水としてあてにする

前述のとおりです。「煮沸すれば」という案内もありますが、煮沸には燃料と時間が要ります。停電と同時なら、それすら難しい。飲む水は別に備えてください。

② 給水止水栓を閉めずに放置する

断水した水道管の中は、復旧のときにサビや泥を含んだ濁り水が流れます。止水栓を開けたままだと、それがタンクに入ります。断水と分かった時点で閉める。これが一番実務的なコツです。

③ 水を抜いたあと、自己判断で運転を再開する

タンクの水位が下がった状態で沸き上げ運転をすると、機器を傷めます。ダイキンは「再びご使用になる際の沸き上げ作業については、販売店にご相談ください」と案内しています。パナソニックも、貯湯ユニット前面の注意ラベルと取扱説明書に従い、満水にしてから使用するよう求めています。

焦って復帰させないこと。これが結果的にいちばん早い復旧になります。

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「停電だけ」「断水だけ」「両方」で対応は変わります

ここが混乱しやすいところなので、3つに分けて整理します。

停電だけ(水道は生きている)

タンクにお湯が残っていれば、蛇口やシャワーからお湯は出ます。エコキュートは水道の圧力で押し出す仕組みなので、停電中でも給湯自体は可能です。

ただし、パナソニックは「湯温の調節が出来ないので、お手元で湯温を確かめてお使いください」と注意しています。リモコンが使えないため混合水栓での温度調整が効かず、高温のお湯が出ることがあります。小さなお子さんのいるお宅では特に気をつけてください。

断水だけ(電気は来ている)

蛇口からは出ません。上の手順で、タンクから生活用水として取り出します。給水止水栓を閉めるのを忘れずに。

停電と断水が同時(地震のとき)

どちらの制約も受けます。タンクからの取り出しは可能ですが、明かりの確保が先です。暗い中で高温のお湯を扱うのは危険です。地震のあとの手順全般は地震で停電したとき、太陽光と蓄電池は使えるのかにまとめました。

なお、地震のあとは取り出す前に貯湯ユニットの状態を見てください。傾いている、脚部が浮いている、配管から水が漏れている場合は、無理に作業せず施工業者へ連絡を。


冬の東北で、特に気をつけること

東北の断水は、地震だけではありません。冬の水道管の凍結・破裂でも起きます。しかも、そういう日ほど条件が厳しくなります。

① 作業導線が雪で埋まっている

貯湯ユニットの前面に1メートル近い雪が積もっていると、点検口が開けられません。冬のうちに、貯湯ユニットの前だけは除雪しておく。これは非常時に限らず、点検にも修理にも効きます。

② ホースとバケツが凍る

屋外に出しっぱなしのホースは、氷点下では使いものになりません。非常用水取出用ホースは屋内で保管してください。

③ こぼした湯が凍る

熱いお湯を屋外の通路にこぼすと、溶けたあとに凍って滑ります。バケツで受け、こぼした場所は流すか砂をまいてください。

④ 貯湯ユニットが室内にあるお宅は有利

洗面脱衣室などに薄型の貯湯ユニットを設置している場合、雪も凍結も関係なく作業できます。寒冷地では、設置場所そのものが非常時の使いやすさを左右します。

洗面脱衣室に設置された室内設置型の薄型貯湯ユニットと給湯リモコン

▲ 当社施工事例:室内に設置した貯湯ユニット

⑤ 冬は「お湯が残っているか」の当たり外れが大きい

深夜に沸き上げて日中に使う運用ですと、夕方以降に断水すればタンクは減っています。冬は給湯量が増えるぶん残湯も少なくなりがちです。災害級の寒波や地震の予報が出ているときは、その日の沸き上げを増やしておくのも一つの備えです。


太陽光や蓄電池があると、何か変わりますか

よくいただく質問です。答えは「沸き上げまでは、条件が揃わないと動きません」です。

エコキュートのヒートポンプは200Vで動きます。停電中にこれを動かすには、蓄電池が全負荷型で、かつ200V回路に対応している必要があります。特定負荷型(あらかじめ決めた回路だけ生かす方式)では、通常エコキュートは対象外です。詳しくは蓄電池の全負荷型と特定負荷型をご覧ください。

ただし、沸き上げが動かなくても、タンクに残ったお湯は使えます。「太陽光と蓄電池で照明と冷蔵庫、エコキュートのタンクで生活用水」という組み合わせが、現実的な停電時の姿です。

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よくあるご質問

Q1. タンクのお湯は、何日分の生活用水になりますか?

A. 使い方によりますが、トイレの洗浄と手洗い程度なら1〜2日はしのげる量です。ただし取り出せるのはタンク容量の全量ではなく、残湯量にもよります。「これで何日」と決め打ちせず、最初から節約して使ってください。

Q2. 断水が復旧しました。すぐ元どおりに使えますか?

A. まず蛇口を開けて濁りがないか確認してください。濁り水が出るうちは給水止水栓を閉めたままにします。水が澄んだら止水栓を開け、タンクを満水にしてから運転再開です。沸き上げの手順に不安があれば販売店へご相談ください。

Q3. 普段から何か準備しておくことはありますか?

A. 3つだけです。①非常用取水栓の位置を一度確認しておく(貯湯ユニット前面の注意ラベルを写真に撮ってスマホに入れておくと確実です)、②ホースとバケツを屋内に置いておく③飲み水は別に備蓄する。この3つで、当日の動きがまったく変わります。


まとめ

  • エコキュートの貯湯タンクの水は、断水時の生活用水として使える。飲用にはあてにしない(メーカー公式は飲用を避けるよう案内)
  • 手順は、電源を切る→給水止水栓を閉める→逃し弁レバーを上げる→非常用取水栓にホース→栓を左に回す。高温のお湯が出るのでやけどに注意
  • 止水栓を閉めるのは、復旧時の濁り水がタンクに入るのを防ぐため。断水と分かった時点で閉める
  • 停電だけなら蛇口からお湯は出る(温度調整は効かない)。断水ならタンクから取り出す。同時なら明かりの確保が先
  • 水を抜いたあとの沸き上げ再開は自己判断でやらない。満水にしてから、不安があれば販売店へ
  • 冬の東北は、貯湯ユニット前の除雪・ホースの屋内保管・こぼした湯の凍結まで想定しておく

災害のとき、設備が「何をしてくれるか」を知っているかどうかで、その日の負担はずいぶん変わります。取水栓の位置を一度確認しておく。今日できるのは、それだけで十分です。

出典(2026年8月11日確認)

※本記事は2026年8月11日時点の情報です。操作手順・注意事項は機種によって異なります。実際の操作は、必ずご自宅の貯湯ユニットの注意ラベルと取扱説明書に従ってください。

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監修:株式会社ファナス|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら

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