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停電した朝、井戸の家は蛇口から水が出ません|井戸ポンプの凍結保護と浄化槽のブロワーも止まる。蓄電池の回路で確かめること【東北・2026年版】

停電で井戸ポンプと浄化槽が止まる|冬の凍結と蓄電池の回路

先に結論

  • 井戸水を電動ポンプでくみ上げている家は、停電すると蛇口から水が出なくなります。
  • 冬は、ポンプが自分で凍結を防ぐ「凍結保護運転」も、電気がないと動きません。
  • 浄化槽のブロワーも止まり、1〜3日続くと放流水の水質が基準を守れなくなります。
  • 蓄電池があるなら、ポンプとブロワーのコンセントが停電時に使える回路に入っているかを確かめてください。

停電した冬の朝、台所の蛇口をひねっても、水が一滴も出ない。

井戸水を使っているお宅では、これが停電のいちばん最初の困りごとになります。水道の家なら停電しても水は出ることが多いのに、井戸の家は、水をくみ上げるポンプが電気で動いているからです。

東北の郊外や山あいには、井戸水と浄化槽で暮らしているお宅が少なくありません。この記事では、停電したときに井戸ポンプと浄化槽で何が止まるのか、冬に何が起きるのか、そして蓄電池がある家は何を確かめておけばいいのかを、メーカーの取扱説明書と県の公式の案内だけで整理します。

停電したときに井戸の家で止まるものの図。①井戸ポンプが止まり蛇口から水が出ない ②ポンプの凍結保護運転(周囲が約3℃で作動)も止まる ③浄化槽のブロワーが止まり1〜3日で放流水の水質が悪化する ④蓄電池がある家は、ポンプとブロワーのコンセントが停電時に使える回路かを確認する

▲図解:停電すると、井戸の家では「水」「凍結防止」「浄化槽」の3つが同時に止まる

井戸ポンプは電気で動くので、停電すると水が止まります

家庭用の井戸ポンプは、モーターで水をくみ上げ、圧力タンクにためて蛇口へ送ります。電源は、単相100Vのものと三相200Vのものがあります。

たとえば日立の浅井戸用ポンプ「WT-P400S」の取扱説明書を見ると、次のように書かれています。

単相100V/モーター定格出力400W/定格消費電力690W
同じ説明書に載る「WT-K750S」は三相200V・定格出力750W・定格消費電力980W

停電すると、モーターは回りません。圧力タンクに残っている分を使い切ったら、蛇口からは水が出なくなります。

水が止まると、困るのは飲み水だけではありません。

  • トイレが流せない(タンクに水が補給されない)
  • 手洗い・食器洗い・風呂が使えない
  • エコキュートや給湯器にも水が入らない

トイレの流し方は、停電すると、ボタンでは流せないトイレがありますで、方式ごとに整理しています。

停電が長引いたあとの水は、すぐ飲まない

同じ取扱説明書には、3〜4日間以上水を使わなかった場合、ポンプの中の水が濁っていることがあるとして、5〜6分間水栓から水を流し、きれいになってから使うよう書かれています。

長い停電のあとは、まず流してから使う。これを覚えておいてください。


冬は、ポンプの「凍結保護運転」も止まります

東北の冬で本当に怖いのは、ここからです。

最近の井戸ポンプには、自分で凍結を防ぐ機能が付いているものがあります。日立 WT-P400S の取扱説明書では、次のように説明されています。

周囲の温度が約3℃になると、自動的にポンプを断続運転させ、ポンプヘッドの凍結を防ぐ
凍結防止の効果は、周囲温度が−5℃ぐらいまでが目安

つまり、この機能はポンプが電気で動くことで働いています。

同じ説明書は、冬に電源プラグを抜いている場合について、凍結保護機能が動作せず、ポンプヘッド部が凍結し破損する恐れがあると注意しています。停電も、ポンプから見れば電気が来ない状態です。

停電した冬の夜は、ポンプの凍結防止も止まっている

  • しかも凍結保護運転が効く目安は「−5℃ぐらいまで」。気象庁の平年値では、盛岡の1月の日最低気温は−5.2℃です
  • 停電の有無にかかわらず、ポンプ小屋の防寒は欠かせません

寒冷地向けの「降水器」という方法もある

日立は、寒冷地に浅井戸ポンプを据え付ける場合の部品として降水器(PD-S形)を用意しています。説明書によると、吸込管・圧力タンク・吐出管の中の水を井戸へ戻し、ポンプの凍結を防ぐ装置です。こちらはヒーターではなく、水を抜いてしまう考え方です。

ただし、同じ説明書には「配管の凍結防止用には市販の水道凍結防止帯をご利用ください」ともあります。凍結防止帯(ヒーター)は電気で動くので、これも停電中は止まります。

凍結防止帯が停電で止まる話は、停電の夜、水道管の凍結防止ヒーターも止まっていますで詳しく書きました。井戸の家は、ポンプと配管の両方で同じことが起きると考えてください。

停電が冷え込む夜に重なりそうなら、水抜き

長い停電が冷え込む夜に重なりそうなときは、ポンプの水抜きを考えます。日立 WT-P400S の取扱説明書にある手順はこうです。

  1. コントローラーのスイッチでポンプを止める
  2. 電源プラグを抜く
  3. 吐き出し側の水栓を1か所開く
  4. ケーシングカバーを外して水を抜く
  5. 水が全部抜けたら、ケーシングカバーを元どおりに止める

水抜きをしたら、次に使うときは「呼び水」が必要です

  • 説明書では、再び使うときは呼び水を入れてから運転するよう書かれています
  • 手順は機種ごとに違います。ご自宅のポンプの取扱説明書で確認してください

ポンプの形式や設置のしかたは家ごとに違います。水抜きや呼び水に自信がないときは、無理をせずポンプを据え付けた販売店・工事店に相談してください。


浄化槽のブロワーも、停電で止まります

井戸のお宅は、下水道ではなく浄化槽のことも多いと思います。浄化槽にも、電気で動くものがあります。

ブロワーが止まると、浄化槽の微生物が弱る

浄化槽は、ブロワー(送風機)で槽の中に空気を送り、微生物に汚れを分解させています。千葉県の案内は、停電中について次のように説明しています(2026年9月24日更新)。

長期停電中はブロワが停止するため、槽内の微生物が酸欠により減少し、浄化槽の汚水処理能力が低下します

岐阜県の案内は、さらに具体的です。

ブロワが停止すると、1日から3日後には放流水質が悪化し、法律で定められた基準(BOD20mg/L)を守れなくなります
一度悪化した水質を基準内に回復するためには6日程度を要します

放流ポンプがある浄化槽は、排水も止まる

千葉県の案内によると、電動の放流ポンプを使う浄化槽では、停電中は処理した水を外へ出すことも止まるため、槽が満水になるおそれがあります。

停電中にやることは、千葉県の案内では次のとおりです。

  • 停電中も使えるが、大量の排水を流すことはなるべく控える
  • 水漏れが発生していないかを確認する

井戸の家はそもそも水が出ないので、大量に流すことは少ないかもしれません。ただし、風呂の残り湯やくみ置きの水でトイレを流すときは、量を控えめにしてください。


復電したら、ポンプと浄化槽を確かめます

電気が戻ったら、次の順番で確かめます。

井戸ポンプ

日立の取扱説明書の「故障かな…と思ったら」では、ポンプが回らないときの点検として次が挙がっています。

  • 電源プラグがコンセントにしっかり差し込まれているか
  • ブレーカー・ヒューズが切れていないか
  • 漏電遮断器が動作していないか
  • 異常表示が出ていないか
  • 水栓や配管から漏水していないか

数分たっても水が上がってこないときは、呼び水が不足していることがあります(説明書では、その場合は再び呼び水をするよう書かれています)。異常表示が出ているときや、凍結で配管が割れた様子があるときは、使うのをやめて販売店に連絡してください。

浄化槽

千葉県の案内では、通電後について次のように書かれています。

  • 電気が戻ったら、ブロワーが動いているかを確かめる(漏電の危険があるので、ゴム手袋などを着ける)
  • ブロワーが動き出してから2〜3日ほど、においが続くことがある
  • 次のときは、早めに保守点検業者へ連絡する:通電後もブロワーが動かない/排水口が詰まって水が流れない/浄化槽のふたがずれている・水漏れしている/においが4日以上続く
  • 復旧後は、3か月以内をめどに保守点検業者の点検を受ける

停電がご自宅だけなのか地域全体なのかで、確かめる場所も変わります。その見分け方は停電したら、まず「うちだけか、地域全体か」を確かめますにまとめています。


蓄電池がある家は、ポンプとブロワーの「回路」を確かめる

ここからが、太陽光・蓄電池をお持ちのお宅に確かめてほしいことです。

特定負荷型なら、その回路に入っているか

蓄電池には、停電時に家じゅうに電気を送る全負荷型と、決めておいた回路だけに送る特定負荷型があります。

特定負荷型の場合、井戸ポンプとブロワーのコンセントが、停電時に使える回路に入っていなければ、蓄電池があっても動きません。

井戸ポンプは、ポンプ小屋や家の外壁など、台所や居間とは別の場所にあることが多い設備です。浄化槽のブロワーも屋外です。工事のときに「冷蔵庫と照明とリビングのコンセント」だけを選んでいると、水と浄化槽は停電時の回路から外れていることがあります。

全負荷型と特定負荷型の違いは、全負荷型と特定負荷型、どっちの蓄電池?で整理しています。

100Vか200Vか、三相かを確かめる

さきほど見たように、井戸ポンプには単相100Vのものも、三相200Vのものもあります。

蓄電池の停電時の出力が、ご自宅のポンプの電源に合っているかは、ポンプの銘板や取扱説明書で電源を確かめたうえで、蓄電池を施工した販売施工店に聞いてください。三相200Vのポンプをお使いのお宅は、特に確認が必要です。

消費電力と、ほかの家電との合計

日立 WT-P400S の定格消費電力は690Wでした。冬の停電では、同じ時間に暖房や冷蔵庫も使います。

蓄電池は、停電時に一度に出せる電力に上限があり、それを超えると保護のために出力を止めます。ポンプが動いた瞬間に、ほかの家電と合わせて上限を超えないかも、販売施工店と一緒に見ておくと安心です。停電時に何を何時間動かせるかの考え方は、カタログの6.5kWhは、実際には5.5kWhですで書いています。

確認するのは3つ

  • ① 井戸ポンプとブロワーのコンセントが、停電時に使える回路に入っているか
  • ② ポンプの電源(単相100V/三相200V)に、蓄電池の停電時の出力が合っているか
  • ③ ポンプを動かしたとき、ほかの家電と合わせて上限を超えないか

発電機を使うなら、屋外で

蓄電池がない家で、発電機でポンプを動かそうと考える方もいます。発電機は必ず屋外で使ってください。屋内や車庫、ポンプ小屋の中で使うと、一酸化炭素中毒のおそれがあります。注意点は雪で家が埋まった日に、暖を取る道具を屋内で使わないでくださいにまとめています。


冬が来る前に、今やっておくこと

停電は前ぶれなく来ます。雪が降る前の今のうちに、次のことをしておくと安心です。

  • 井戸ポンプの取扱説明書を出しておく(型番、電源、水抜き・呼び水の手順のページに付せんを)
  • ポンプ小屋の防寒を確かめる。ただし日立の説明書は、ポンプに毛布や布をかぶせたり、カバーの中に燃えやすいものを入れたりしないよう警告しています(過熱して発火することがあるため)
  • 水のくみ置きをしておく。トイレを流す分も含めて考える
  • 浄化槽の保守点検業者の連絡先を控えておく
  • 蓄電池があるなら、分電盤の停電時に使える回路の一覧で、ポンプとブロワーが入っているかを見る

ご自宅の回路がどうなっているか分からないときは、蓄電池を設置した販売施工店に聞くのがいちばん早いです。当社でお付けしたお宅は、お気軽にお問い合わせください。


よくある質問(FAQ)

停電しても、井戸の水は少しなら出ますか。

圧力タンクに残っている分は出ることがあります。ただし、ポンプが止まっているので補給されません。使い切ったら出なくなると考えて、くみ置きの水を先に使ってください。

井戸ポンプに凍結防止の機能があれば、冬の停電でも大丈夫ですか。

大丈夫とは言えません。日立の取扱説明書では、凍結保護運転は周囲が約3℃になるとポンプを断続運転させるしくみで、効果の目安は−5℃ぐらいまでです。電気がなければ動きません。冷え込む夜に停電が長引きそうなら、取扱説明書の手順で水抜きを考えてください。

停電中、浄化槽のトイレは使ってもいいですか。

千葉県の案内では、停電中も使えるが大量の排水はなるべく控えるよう書かれています。電動の放流ポンプがある浄化槽は、満水になるおそれがあります。地震のあとなど、排水管や浄化槽そのものが壊れている可能性があるときは、使う前に確認してください。


まとめ:井戸の家の停電は「水」から止まる

  • 井戸ポンプは電気で動く。停電すると、蛇口から水が出なくなる
  • 冬は、ポンプの凍結保護運転も止まる。効く目安は−5℃ぐらいまで
  • 浄化槽のブロワーも止まり、1〜3日で放流水の水質が悪化する。回復には6日程度
  • 復電したら、ポンプのブレーカー・漏電遮断器・呼び水と、ブロワーが動いているかを確かめる
  • 蓄電池があるなら、ポンプとブロワーが停電時の回路に入っているか、電源が合っているかを確かめる

停電への備えは、照明や冷蔵庫から考えがちです。井戸と浄化槽のお宅は、まず水から考えてください。

※本記事は2026年10月13日時点の情報です。井戸ポンプの機能・手順は機種によって異なります。ご自宅のポンプの取扱説明書と、浄化槽の保守点検業者・お住まいの自治体の案内をご確認ください。

出典

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監修・執筆:株式会社ファナス 代表取締役 不藤政次|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら

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