補助金が使えるかどうかは、契約書と着工日の順番で決まります|給湯省エネ2026事業で「対象外」になる5つの条件【東北・2026年版】

2026年9月26日午前0時の時点で、給湯省エネ2026事業の予算に対する補助金申請額の割合は46%です。撤去加算のほうは23%。まだ半分ほど残っています。
ところが、この半分に手が届かない家が毎年あります。予算が尽きたからではありません。手続きの順番が、公式の要件とずれていたからです。
この記事では、補助額の話ではなく「どういうときに対象外になるか」だけを、公式サイトの記載から5つに絞って整理します。補助額と撤去加算の使い方そのものは、電気蓄熱暖房機の撤去加算の記事にまとめています。
先に結論
対象外を決めるのは、機種よりも先に「契約と着工の順番」です。
公式の対象期間は「契約期間=着工日以前」「着工期間=2025年11月28日以降」と定められています。
給湯器を自分で買って取り付けだけ頼む工事(施主支給・材工分離)は、はじめから補助の対象になりません。
東北は雪で工期が動くぶん、この順番がいちばん崩れやすい地域です。
対象外になる条件① 工事請負契約より先に工事を始めている
給湯省エネ2026事業の公式サイトには、対象期間が2行だけ書かれています。
契約期間:着工日以前
着工期間:2025年11月28日以降
短い2行ですが、意味は重いです。契約は着工日より前になければならない、ということです。工事が先に始まって、あとから契約書の日付を入れる——という進め方は成り立ちません。公式にも「着工時期に疑義がある場合、追加調査等の対象になることがあります」と添えられています。
ここでつまずきやすいのが、着工日の定義が申請区分ごとに違うことです。
| 設置する住宅 | 着工日とされるもの |
|---|---|
| 新築注文住宅 | 建築着工日 |
| 新築分譲住宅 | 住宅の引渡日 |
| 既存住宅(リフォーム) | 給湯器(1台目)の設置開始日 |
| 既存住宅(購入) | 住宅の引渡日 |
いま使っている給湯器を入れ替えるリフォームの場合、着工日は工事全体の着手日ではなく「給湯器(1台目)の設置開始日」です。つまり、契約書の日付が給湯器を据え始めた日より後になっていれば、そこで対象から外れます。
なお、新築注文住宅を複数の事業者に分けて発注する場合は、「補助対象製品(1台目)の設置を含む工事請負契約の建築着工日」が着工日になります。

▲ 当社施工事例:狭い通路に設置したエコキュート(薄型の貯湯タンク)
対象外になる条件② 給湯器を自分で買って、取り付けだけ頼んでいる
公式の補助対象の注記に、はっきりこう書かれています。
工事発注者が給湯器を購入し、その取り付けを施工業者に依頼する工事(いわゆる施主支給や材工分離による工事)も補助対象となりません。
機器を安く買って、工事だけ頼む——見積もりを比べていると、一度は考える組み方です。ですが、この事業ではその形が補助の外に置かれています。機器代を数万円安く買えても、7万円からの補助を丸ごと失うことになります。
同じ注記のなかで、買取再販事業者も対象外とされています。また、既存住宅を買う場合については「未使用の対象機器が設置されている既存住宅を購入しても、機器の交換に該当しないため、補助対象となりません」と明記されています。新築同然の家を買って、そこに新しい給湯器が付いていても、それは交換ではないという考え方です。
逆に、売主が給湯器の交換をすることを条件に中古住宅を買う場合は、購入者が補助対象者になります。ただし不動産売買契約やその特約で確認できる必要があるとされています。口約束では足りません。
対象外になる条件③ 登録を受けていない事業者と契約している
この補助金は、住んでいる人が自分で申請するものではありません。あらかじめ「給湯省エネ事業者」として登録を受けた事業者が、共同事業者(=設置する方)と一緒に手続きをします。
| 申請区分 | 契約 | 手続きをする登録事業者 |
|---|---|---|
| 新築注文住宅 | 工事請負契約 | 建築事業者(工事請負業者) |
| 新築分譲住宅 | 不動産売買契約 | 販売事業者 |
| 既存住宅(リフォーム) | 工事請負契約 | 施工業者(工事請負業者) |
| 既存住宅(購入) | 不動産売買契約 | 販売事業者 |
| リース利用 | リース契約 | リース事業者 |
事業者登録の受付は2026年3月10日から始まっています。契約しようとしている会社が登録済みかどうかは、契約前に聞いて構いません。むしろ聞かれる側からすると、当たり前の質問です。
もうひとつ、見落とされやすい注記があります。公式には「経済産業省が複数の事業者に対して行った指名停止等(2025年12月2日付)に伴う措置により、措置対象の事業者と契約しても、補助対象とならない場合があります」とあります。登録の有無だけでなく、この措置の対象かどうかも公式ページで確認できます。
対象外になる条件④ 機種が性能要件を満たしていない
エコキュートなら何でも対象、ではありません。公式の性能要件は次のとおりです。
省エネ法上のトップランナー制度において、2025年度目標基準値以上の性能を備えた「エコキュート」であり、インターネットに接続可能な機種で、翌日の天気予報や日射量予報に連動することで、昼間の時間帯に沸き上げをシフトする機能を有するものであること、または、おひさまエコキュート。
読み飛ばしやすいのですが、効率の数字だけでは足りません。「インターネットに接続できること」と「翌日の予報に連動して昼に沸き上げをずらす機能があること」が、同じ文のなかで要件になっています。一部の機種は、台所リモコンや無線LANアダプターという追加部品を付けることで要件を満たします。
ここで東北の話になります。2025年度の目標基準値は、地域の仕様で分かれています。
| 区分(貯湯容量・仕様) | 2025年度目標基準値 |
|---|---|
| 少人数 一般地 / 寒冷地 | 3.0 / 2.7 |
| 標準・320L未満 一般地 / 寒冷地 | 3.1 / 2.7 |
| 標準・320L以上550L未満 一般地 / 寒冷地 | 3.5 / 2.9 |
| 標準・550L以上 一般地 / 寒冷地 | 3.2 / 2.7 |
| 多缶 一般地 / 寒冷地 | 3.0 / 2.7 |
寒冷地の基準値は一般地より低く設定されています。寒い場所ではお湯を作るのに余計な力が要るので、そのぶん基準がゆるやかになっている、という考え方です。「寒冷地仕様だから性能が足りない」わけではありません。ただし、どの区分に入るかは貯湯容量で変わりますので、見積書の型式が実際にどの区分の基準を満たしているかは、登録事業者に確かめてください。
性能加算のほうは、基準値+0.2以上の性能値が条件です(寒冷地の基準値を含みます)。エコキュートの霜取り運転など、冬のエコキュートの動き方は霜取り運転と沸き上げの記事にまとめています。

▲ 当社施工事例:隣家が近い敷地へのエコキュート設置
対象外になる条件⑤ 撤去加算のほうで条件を外している
東北では、古い電気蓄熱暖房機や電気温水器を外しながらエコキュートに替える工事がよくあります。この撤去加算は、本体の補助とは別の条件で動きます。外れやすい点は4つです。
- 2025年11月28日以降に撤去したものに限る(リフォーム工事で、高効率給湯器の設置に伴って外すもの)
- 高効率給湯器の設置の交付申請時に、あわせて申請する必要がある。あとから追加で出すことはできない
- エコキュートの撤去は加算の対象にならない。古いエコキュートを新しいエコキュートに替える工事では付きません
- みらいエコ住宅2026事業で高効率給湯器の補助を受ける場合、撤去による加算は受けられない
4つ目は、新築や大規模リフォームで国の別の事業を併用するときに効いてきます。国の制度と自治体の制度をどの順番で出すかは、国と市の補助金を併用するときの3手順にまとめています。
なお公式には、撤去加算について「予算額36億円を目途に実施し、予算額に達し次第、終了を予定しています」とあります。本体の予算とは別枠で先に締まる可能性がある、ということです。
もう一点、東北の家では無視できない注意書きがあります。公式に「電気蓄熱暖房機等の撤去により、ご契約の電気料金メニューが変更となる可能性があります」と書かれています。深夜電力のプランで長く使ってきた家ほど、撤去後の料金の形が変わります。ここは電力会社に直接確認するところです。
もうひとつの必須要件:J-クレジット制度への参加表明
5つの条件のほかに、満たさないと補助対象にならないと明記された要件がもうひとつあります。
本事業では、高効率給湯器を導入する共同事業者が個人である場合、本事業の申請時に、共同事業実施規約上において、J-クレジット制度に参加することへの意思を表明していただきます。参加意思を表明しない場合は、補助対象となりません。
J-クレジット制度は、省エネ設備の導入で減ったCO2を国がクレジットとして認証する制度です。給湯省エネ2026事業では、入会先として次の2つが用意されています。
- ①事務局が指定するJ-クレジット事業実施団体(J-グリーン・リンケージ倶楽部)。入会手続きは事務局が行う
- ②地方公共団体・民間団体等が管理するプログラム。自分で加入手続きを行い、プログラム名を申告する
入会後は、無作為に選ばれた方に年1回のモニタリング(削減量等の計測)への協力依頼が届きます。費用負担は発生しないと明記されています。手続き上のハードルというより、「申請書のチェック欄を外したまま出すと落ちる」たぐいの要件だと考えてください。
当社が運営する「ソラカルテ」では、国と自治体の補助金を地域ごとに検索できます。給湯省エネのような国の制度と、お住まいの市町村の制度を並べて見るときにお使いください。
東北で順番が崩れるのは、雪の前に急ぐときです
ここまでの5つは、どれも「あとから直せない」種類の条件です。契約日を書き換えることはできませんし、外してしまった蓄熱暖房機を戻すこともできません。
東北でこの順番が崩れやすいのは、決まって雪の前に急ぐときです。11月に入って「今年中に間に合わせたい」となり、現場が先に動く。古い電気温水器を先に外してしまう。機器だけ先に買ってしまう。どれも、善意で急いだ結果です。
交付申請の期間は「申請受付開始~予算上限に達するまで(遅くとも2026年12月31日まで)」、予約は「遅くとも2026年11月16日まで」とされています。締切は予算上限に応じて公表される、とも書かれています。暦の上の期限より先に、予算のほうが締まる可能性があるという書き方です。
だからこそ、急ぐときほど順番のほうを守ってください。契約書に日付を入れる → 着工する。この2手だけ守れば、5つのうち2つは自動的にクリアできます。
10月に締まる他の制度とあわせて日付を並べたものは、10月に締まる補助金のカレンダーにまとめてあります。灯油ボイラーからの切り替えを考えている方は、灯油とエコキュートの年間費用の比較もあわせてご覧ください。
補助金が事業者を通して戻ってくる形も、確認しておくと安心です。公式では、還元方法は「①補助事業に係る契約代金に充当する方法」「②現金で支払う方法」のいずれかを、あらかじめ両者で合意するとされています。②の場合、登録事業者は補助金の交付から遅くとも2ヵ月以内に還元を完了することが必要です。
よくある質問
Q1. 見積書をもらってから契約するまでの間に、工事を始めてしまいました。もう対象外ですか。
A. 公式の対象期間は「契約期間=着工日以前」です。リフォームの着工日は「給湯器(1台目)の設置開始日」と定義されていますので、その日より前に契約が成立していたかどうかが分かれ目になります。判断に迷う場合は、自己判断せず、契約している登録事業者から事務局に確認してもらってください。公式にも、着工時期に疑義がある場合は追加調査等の対象になることがあると書かれています。
Q2. 去年の給湯省エネ2025事業で補助を受けました。今年もう1台替えるときは使えますか。
A. 公式の補助対象には「給湯省エネ2025事業において補助金の交付を受けた事業を除きます」とあります。前年の事業で補助を受けたその事業は対象から外れる、という書き方ですので、別の住宅・別の事業に当たるかどうかを含めて、登録事業者から事務局に確認するのが確実です。
Q3. インターネット環境がない家でも、エコキュートの補助は受けられますか。
A. 性能要件には「インターネットに接続可能な機種で、翌日の天気予報や日射量予報に連動することで、昼間の時間帯に沸き上げをシフトする機能を有するもの」と書かれています。要件は機種側の機能についてのものですが、機能を使うためのネット環境をどう用意するかは設置の相談事になります。おひさまエコキュートは、この要件とは別枠で対象とされています。具体的な型式ごとの扱いは、補助対象製品の登録一覧と登録事業者にご確認ください。
まとめ
給湯省エネ2026事業で対象外になるのは、次の5つです。
- ①工事請負契約より先に着工している(契約期間=着工日以前/着工期間=2025年11月28日以降。リフォームの着工日は給湯器1台目の設置開始日)
- ②施主支給・材工分離(機器を自分で買い、取り付けだけ依頼する工事)。買取再販事業者も対象外
- ③登録を受けていない事業者との契約(給湯省エネ事業者の登録が前提。指名停止等の措置対象にも注意)
- ④性能要件を満たさない機種(2025年度目標基準値以上+インターネット接続と昼シフト機能、またはおひさまエコキュート)
- ⑤撤去加算の条件外し(2025年11月28日以降の撤去・同時申請・エコキュートの撤去は対象外・みらいエコ住宅2026で給湯器の補助を受ける場合は加算なし)
そして、これらとは別にJ-クレジット制度への参加表明が要件です。表明しなければ補助対象になりません。
補助金の話になると、つい「いくらもらえるか」から入ってしまいます。ですが、落ちる理由のほとんどは金額の側ではなく、紙の日付の順番にあります。契約書を先に交わす。それから工事を始める。東北の冬は待ってくれませんが、この2手だけは、雪より先に済ませておいてください。
※本記事は2026年9月26日時点で、給湯省エネ2026事業(経済産業省)およびみらいエコ住宅2026事業(国土交通省)が公開している情報にもとづいています。予算の充当率は毎日更新され、締切は予算上限に応じて公表されます。申請の可否・機種ごとの要件・個別の契約内容については、登録事業者および事業の公式サイト・コールセンターにご確認ください。
出典
- 給湯省エネ2026事業「事業概要」(対象期間=契約期間は着工日以前・着工期間は2025年11月28日以降、着工日の定義、施主支給と材工分離は補助対象外、買取再販事業者は対象外、給湯省エネ2025事業で補助を受けた事業を除く、申請区分と登録事業者、撤去加算の条件、補助金の還元方法、交付申請期間は遅くとも2026年12月31日まで・予約は2026年11月16日まで) https://kyutou-shoene2026.meti.go.jp/about/
- 給湯省エネ2026事業「対象機器の詳細【エコキュート】」(性能要件=2025年度目標基準値以上かつインターネット接続・昼間への沸き上げシフト機能、またはおひさまエコキュート。2025年度目標の区分と基準値、性能加算要件は基準値+0.2以上) https://kyutou-shoene2026.meti.go.jp/materials/ecocute.html
- 給湯省エネ2026事業「J-クレジット制度への参加表明について」(参加意思を表明しない場合は補助対象とならない、入会先の①②、年1回のモニタリング・費用負担なし) https://kyutou-shoene2026.meti.go.jp/about-j-credit/
- 給湯省エネ2026事業 公式トップ(2026年9月26日午前0時時点の予算に対する補助金申請額の割合=全体46%・撤去加算23%) https://kyutou-shoene2026.meti.go.jp/
- みらいエコ住宅2026事業 公式(2026年9月26日午前0時時点でGX志向型60%・長期優良住宅/ZEH水準33%・リフォーム7%、注文住宅のZEH水準住宅の第2期交付申請は2026年5月13日〜9月30日) https://mirai-eco2026.mlit.go.jp/
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監修・執筆:株式会社ファナス 代表取締役 不藤政次|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら
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