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「壊れたから買い替える」が、補助金といちばん相性が悪いんです|新設と「更新(入替)」で変わる要件を、国と東北の制度で確かめる【2026年版】

補助金は新設と入替で要件が変わる|東北で確認する順番

先に結論
補助金は「新しく付ける」と「壊れたものを入れ替える」で要件が変わります。
国の給湯省エネ2026事業は入替も対象ですが、エコキュートからエコキュートの入替に撤去の加算は付きません。
自治体側は逆で、山形市は「エコキュートからエコキュートの更新は対象にならないことが多い」と書いています。
東北の冬に壊れてから探しはじめると、交付決定を待つ時間がいちばんの壁になります。

「補助金って、新しく付けるときのものですよね」——そう思われている方が多いのですが、正しくありません。国の制度はむしろ入替が主戦場です。

では入替のほうが有利かというと、これも違います。自治体の制度は逆で、入替が対象から外れやすい。同じ「エコキュートを1台つける」工事なのに、国では通って市では通らない、ということが実際に起こります。

2026年9月10日、国の給湯省エネ2026事業と、東北の自治体の要件を読み直しました。新設と更新(入替)で、どこがどう変わるのかを並べます。

制度の中では「新設」と「更新」は別ものです

まず言葉を分けます。この記事では次の3つを区別します。

  1. 新設——いま無いものを、新しく付ける(エコキュートの無い家にエコキュートを付ける)
  2. 更新(入替)——いま在るものを、同じ役割のものに替える(古いエコキュートを新しいエコキュートに替える)
  3. 増設・追加——すでに在るものに、足す(太陽光の載った家に蓄電池だけ足す)

工事としては似ていても、制度はこの3つをはっきり分けて書いています。しかも分け方が制度ごとに違うので、「去年、隣の家がもらえたから」は通用しません。

相談でいちばん多いのは2番の入替です。
給湯器は壊れてから相談が来ます。
つまり急いでいる状態で、いちばん要件の細かい類型に当たるということです。


国の給湯省エネ2026事業は、入替を前提に作られています

国の給湯省エネ2026事業は、対象機器の導入方法を4つ挙げています。そのうち2つが既存住宅向けで、④は「既存給湯器から対象機器への交換設置を条件とする既存住宅(戸建または共同住宅等)を、購入する方法」とはっきり書かれています。リフォーム時の設置(③)も当然に対象です。

補助額は次のとおりです(2026年9月10日確認)。

設置する給湯器 基本額 性能加算額 補助上限
ヒートポンプ給湯機(エコキュート) 7万円/台 3万円/台 戸建住宅:いずれか2台まで
ハイブリッド給湯機 10万円/台 2万円/台 同上
家庭用燃料電池(エネファーム) 17万円/台 加算なし 同上

ここまでは新設でも入替でも同じです。差が出るのは、この先の「撤去加算」です。

工事の内容 加算額 補助上限
電気蓄熱暖房機の撤去 4万円/台 2台まで
電気温水器の撤去 2万円/台 基本額で補助を受ける台数まで

そして、注記にこう書かれています。

「エコキュートの撤去は加算対象となりませんので、ご注意ください。」
(給湯省エネ2026事業「対象要件の詳細【購入・工事タイプ】」)

つまりエコキュートからエコキュートへの入替は、撤去の加算が付きません。加算が付くのは、蓄熱暖房機や電気温水器といった古い電気の熱源から乗り換えるときです。東北では冬に電気蓄熱暖房機を使っているお宅がまだあり、この4万円は実際に効きます。

もうひとつ、入替のときだけ効く条件があります。補助の対象にならない機器の一覧に、「従前より省エネ性能が下がる機器」が挙げられています。壊れた機器と同等以下のものに替える工事は、国の制度では通りません。


自治体側は逆で、更新(入替)が外れやすくなっています

同じ工事を自治体の制度で見ると、扱いが反対になります。山形市の省エネ高効率設備導入事業費補助金(令和8年度第2弾・2026年9月1日〜9月18日受付)は、申請の考え方をこう説明しています。

  • 「新規で設置する場合は、環境省から示されている想定機器の数値との比較になります。」
  • 「更新(入替)で設置する場合は、現在設置されている機器の数値との比較になります。」

比較の相手が違う、というだけの話に見えますが、結果はまるで違います。新規なら「標準的な機器」と比べればよいのに対し、更新はいま家に付いている機器が相手です。すでにエコキュートが付いているお宅では、新しいエコキュートに替えても削減量が小さくなります。だから市は続けてこう書いています。

「ただし、エコキュートからエコキュートの更新は対象にならないことが多いのでご注意ください。」
(山形市・高効率給湯機器の説明)

これは山形市が厳しいという話ではありません。CO2の削減量で補助を出す設計だと、構造的にこうなるということです。同じ考え方の制度は東北のほかの自治体にもあります。

あわせて、山形市は申請の書類にこう求めています。

「既存設備の品番及び性能を確認することができる製品ラベルの写真やカタログ等の写し」

更新(入替)で申請するなら、いま付いている機器のラベルの写真が要るということです。壊れて撤去したあとでは撮れません。ここは後で触れます。


新築と既築で、別々の枠が用意されている自治体もあります

もうひとつの分かれ方が「新築か既築か」です。同じ制度の中で枠が分かれていて、片方だけ先に閉じることがあります。

盛岡市の住宅用太陽光発電システム等設置費補助金(令和8年度)は、2026年9月10日時点でこうなっています(ページ更新日は令和8年8月13日)。

区分 状況
新築区分 予算額に達したため終了
HEMS 予算額に達したため終了
既築区分 先着順で受付中(受付期間は令和9年1月29日まで)

「盛岡市の補助金は終わりましたか」と聞くと、答えは半分だけ正しくなります。聞くべきは「どの区分が残っていますか」です。この考え方は補助金の申込みの方式をまとめた記事でも書きました。

金額そのものが分かれている自治体もあります。山形県中山町の住宅用太陽光発電システム設置補助金は、太陽電池の出力1kWあたり25,000円で、上限が「12万円(新築設置にあっては、6万円)のいずれか低い額」既築のほうが上限が2倍です(ページ更新日2026年6月3日)。


「足すだけ」も、新設とは別に条件が付きます

3番目の類型、増設・追加です。ここも制度によって扱いが割れます。

  • 盛岡市のHEMS——「補助対象となる太陽光発電システムと連携し、同時に設置するもののみ補助対象」。太陽光が先に載っている家に、あとからHEMSだけを足すのは対象外です
  • 中山町の蓄電池——「太陽光発電設備と併せて設置するか、既設である太陽光発電設備に設置するもの」。あとから足す形も対象に入っています
  • 山形県朝日町の太陽光——「新規に設置又は増設するもの」。増設の場合は「既設のシステムと合わせた合計値が15キロワット未満であること」と、合算での上限が書かれています(ページ更新日2026年4月2日)
  • 福島県富岡町——「新規設置した方」または「過去に設置し、現在も使用している方」。すでに設置済みの設備まで対象に含む珍しい形です(ページ更新日2026年5月8日)

「蓄電池だけ後から足す」は東北でも多いご相談ですが、同時設置に限る自治体と、既設への追加を認める自治体が混在しています。制度名だけで判断せず、要件の一文を読んでください。

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入替でいちばん効くのは、順番の違いです

金額よりも実務に効くのが、契約と交付決定の順番です。ここが国と自治体で正反対になっています。

国(給湯省エネ2026事業) 自治体(山形市・盛岡市の例)
申請の時期 工事の完了後に交付申請 工事の前に申請し、交付決定を待つ
契約・着工の縛り 工事請負契約より前に着工したら対象外 交付決定の日より前に購入・発注(契約を含む)したら対象外
待ち時間 事後なので工事は止まらない 盛岡市は交付決定まで受付日から概ね3週間

給湯器が壊れてお湯が出ない状態で、3週間待てるご家庭はほとんどありません。自治体の補助金が入替に向かないと言われる本当の理由は、要件よりもこの順番です。

しかも山形市は先着順ではなく抽選で、第2弾の申請額は予算27,148,000円に対して18,700,000円(2026年9月9日時点・約69%)。抽選の結果が出るまでは契約もできません。


壊れる前に、やっておけることが3つあります

ここまでを、いま何ができるかに置き換えます。

屋外に設置されたエコキュートの貯湯タンクとヒートポンプユニット

▲ 当社施工事例:屋外に設置したエコキュート

  1. いま付いている機器のラベルを、1枚撮っておく 更新(入替)で申請するときに求められるのは「既存設備の品番及び性能を確認することができる製品ラベルの写真やカタログ等の写し」です。貯湯タンクの側面や、室外機の側面に貼られています。壊れてからでは間に合いません
  2. 自分の市町村の「窓の日付」と「区分」を確認しておく 受付期間、新築か既築か、先着か抽選か。東北4県の一覧は県別の記事にまとめています
  3. 国の制度と自治体の制度、どちらを使うかを先に決めておく 国は「地方公共団体の補助制度については、国費が充当されているものを除き、併用可能」としていますが、自治体の側が「国や他自治体から他の補助金の交付を受けていない(受ける予定がない)者」と要件に書いている場合があります(山形市がこれです)。併用の可否は自治体側の要件で決まると考えてください

急ぐときは、補助金を待たないほうが正解のこともあります

最後に、これは正直に書いておきます。

冬に給湯器が止まったときは、補助金を待たずに直す判断が正しい場面があります。 東北の1月に数週間お湯が出ない生活は、数万円の補助金と釣り合いません。凍結で壊れたのであれば、凍結対策の記事に書いた応急の手当てで一時的にしのげることもありますが、機器そのものが寿命なら交換が先です。

そのうえで、間に合う条件はこうです。

  • 国の給湯省エネ2026事業は事後申請なので、急ぎの工事でも間に合う可能性があります。ただし契約より前に着工しないこと。ここだけは守ってください
  • 自治体の補助金は交付決定を待つ必要があるので、壊れてからでは基本的に間に合いません。壊れる前に動いた方だけが使えます

「まだ動くけれど、10年を超えた」という段階での相談がいちばん選択肢が広くなります。機器の寿命の目安はエコキュートの交換時期の記事にまとめています。


よくあるご質問

Q1. エコキュートからエコキュートへの入替でも、国の7万円はもらえますか。

A. 対象機器として登録された製品で、性能要件を満たし、給湯省エネ事業者と契約するなど事業の要件を満たせば基本額の対象になります。もらえないのは撤去の加算のほうで、事業のページには「エコキュートの撤去は加算対象となりません」と明記されています。なお「従前より省エネ性能が下がる機器」は対象外です。

Q2. 国と市の両方から、同じエコキュートで補助を受けられますか。

A. 国は「地方公共団体の補助制度については、国費が充当されているものを除き、併用可能」としています。ただし自治体の側で禁じている場合があり、山形市は対象者の要件に「国や他自治体から他の補助金の交付を受けていない(受ける予定がない)者」と書いています。自治体の要件を先に読んでください。

Q3. 太陽光が載っている家に、蓄電池だけ足したいのですが対象になりますか。

A. 自治体によって割れます。「太陽光と同時に設置するもののみ」とする自治体もあれば、「既設である太陽光発電設備に設置するもの」を明示的に対象に含める自治体もあります(山形県中山町がこれです)。制度名ではなく、対象設備の一文を読んで判断してください。


まとめ

  • 補助金は新設・更新(入替)・増設を別ものとして扱います。工事が同じでも要件が違います
  • 国の給湯省エネ2026事業は入替が前提。エコキュート7万円+性能加算3万円は入替でも対象ですが、エコキュートの撤去に加算は付きません
  • 加算が付くのは電気蓄熱暖房機の撤去4万円/台(2台まで)と電気温水器の撤去2万円/台。東北の蓄熱暖房機からの乗り換えはここが効きます
  • 自治体側は更新(入替)が外れやすい。山形市は「エコキュートからエコキュートの更新は対象にならないことが多い」と明記しています
  • 新築区分と既築区分は別々に閉じます。盛岡市は新築区分とHEMSが予算到達で終了し、既築区分だけが先着で継続しています
  • いちばん効くのは順番。国は事後申請、自治体は交付決定の前に契約したら対象外。壊れてからでは自治体側は間に合いません
  • いま付いている機器のラベル写真を1枚撮っておく。更新で申請するときに求められる書類です
  • 冬に給湯器が止まったら、補助金を待たない判断が正解のこともあります。金額と生活を天秤にかけてください

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※本記事は2026年9月10日時点の情報です。補助金の予算・受付状況・要件は日々変わります。申請の前に、必ず各制度の公式ページと販売施工店にご確認ください。

出典

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監修・執筆:株式会社ファナス 代表取締役 不藤政次|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら

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