施工する側から言うと、蓄電池の容量は「夜の1時間ごとのグラフ」で決めたい|よりそうeねっとの時間別グラフで、冬の夜の使用量を確かめる手順【東北・2026年版】

施工する側から正直に言うと、蓄電池の容量を「1日の使用量の半分くらい」で決めるのは、あまり好きではありません。
目安としては間違っていません。ただ、東北の冬の夜は、ご家庭によって使い方の差がとても大きいからです。暖房を何で取るか。給湯をいつ沸かすか。凍結防止のヒーターが何本あるか。この違いが、そのまま夜の使用量の違いになります。
そして、いまはその「夜の使用量」を、ご自宅の実際の数字で確かめられます。東北電力の会員サイト「よりそうeねっと」の時間別グラフです。
この記事では、時間別グラフで冬の夜の使用量を足し算し、蓄電池の容量と比べる手順をまとめます。
先に結論
蓄電池の容量は、ご自宅の「冬の夜の使用量」の実測で決めるのがいちばん確実です。
よりそうeねっとでは、スマートメーター設置済みなら1時間ごとの使用量を最大で至近1年分さかのぼって見られます。
寒い日の夕方から翌朝までを足した数字と、蓄電池の「実効容量」を比べます。
太陽光がある家でも、夜の時間帯の数字はそのまま使えます。

▲図解:寒い日の夜の使用量を足して、蓄電池の実効容量と比べる
「1日の半分」という目安で決めないほうがいい理由
容量の決め方は、蓄電池は何kWhが正解?東北の冬から逆算する容量の選び方で、次のように書きました。
- すでに太陽光がある家は、売電量から逆算する
- これから太陽光と一緒に入れる家は、夜間の使用量から逆算する
後者では「1日の使用量の4〜6割程度が夜」という目安を使いました。一般的な目安としては今も変わりません。
ただ、4割と6割では、15kWhの家で6kWhと9kWhです。3kWhの差は、蓄電池のサイズで1段階から2段階の差になります。
ここを目安で埋めるか、実測で埋めるか。施工する側としては、実測で埋めたいところです。
東北の冬は、夜の使い方の差が大きい
東北電力のよくあるお問い合わせには、冬の使用量について次のように書かれています。
特に冬場は、電気こたつ・電気カーペット・ハロゲンヒーター・オイルヒーター・暖房便座等、暖房機器で電気のご使用量が多くなる傾向があります。
(東北電力「冬場の電気使用量について」)
同じページには、「水道管やボイラーの凍結防止ヒーター等、スイッチの入り切りが不要な家電製品」も挙げられています。
凍結防止ヒーターは、気温が下がると自動で入ります。つまり寒い夜ほど、ご本人の意識と関係なく使用量が増えます。こうした使い方の差は、目安の割合には出てきません。凍結防止のしくみについては停電の夜、水道管の凍結防止ヒーターも止まっていますにまとめています。
1時間ごとの使用量は、すでに記録されています
東北電力ネットワークは、2024年5月のお知らせで次のように公表しています。
2024年3月末時点において、一部取り替え作業が困難な場所などを除く全てのお客さま(約680万台)に設置いたしました。
(東北電力ネットワーク スマートメーターの設置について)
スマートメーターは、30分ごとの使用量を計る機能を持っています。この記録を、契約者が自分で見られる場所がいくつかあります。
| 見る場所 | 運営 | 見られるもの | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| よりそうeねっと | 東北電力 | 月間グラフ(1日ごと)・時間別グラフ(1時間ごと)、最大で至近1年分 | 東北電力と契約・会員登録(無料)・スマートメーター設置済み |
| 使用量お知らせWEB | 東北電力 | 各月の使用量・料金(最大2年分) | グラフ機能はなし |
| Bルート(HEMS) | 東北電力ネットワーク | 30分ごとのメーター指示数・現時点の電流値など | HEMS機器が必要(申込み・利用は無料、機器は自己負担) |
出典:東北電力「よりそうeねっと」よくあるご質問、東北電力「使用量お知らせWEB」よくあるご質問、東北電力ネットワーク「Bルートサービス」。
いちばん手軽なのは、よりそうeねっとの時間別グラフです。公式FAQの説明は次のとおりです。
時間別グラフ 最大で至近の1年分のデータから、選択した日の1時間ごとのご使用実績グラフを表示します。
(東北電力「よりそうeねっと」よくあるご質問)
「至近の1年分」というのが大事なところです。いまは10月ですが、去年の12月〜今年の2月の、寒かった日のデータがまだ残っています。冬が来るのを待たなくても、去年の冬で確かめられます。
会員登録に必要なもの
よりそうeねっとは、会員登録もサービスの利用も無料です。電気の契約を登録するときに、お客さま番号(17桁の数字)が必要になります。口座振替以外の支払い方法の場合は、ハガキで届く「第2パスワード」を入れて登録が完了します。
ハガキを待つ日数がかかることがあるので、見積もりの相談より前に済ませておくと安心です。
時間別グラフで夜の使用量を足す手順
ここから手順です。見る順番は4つです。
手順1:去年の冬の「寒かった日」を選ぶ
まず月間グラフで、1月か2月の、使用量がいちばん多い日を探します。月間グラフは1日ごとの棒グラフなので、背の高い日がすぐ分かります。
その日が、ご家庭にとっての「冬の夜の上限に近い日」です。容量を考えるときの基準にします。
手順2:夕方から翌朝までを足す
その日の時間別グラフを開き、太陽光が発電しない時間帯の数字を足します。
冬は日が短いので、夕方の早い時間から翌朝まで、と考えてください。グラフの1本1本は「その1時間に使ったkWh」です。たとえば、夕方5時から翌朝7時までの14本を足すと、その夜に使った電気の量になります。
翌朝の分は、翌日の時間別グラフに出ています。日付をまたぐので、2日分のグラフを見ることになります。
手順3:平日と休日、寒い日とふつうの日を比べる
1日だけで決めず、次の3つくらいを並べてください。
- 寒かった平日
- 寒かった休日
- 春か秋の、ふつうの日
在宅の時間によって、夜の山の形が変わります。また、冬と春秋の差が大きいご家庭ほど、「どの季節に合わせるか」の判断が必要になります。冬に合わせると、春秋は容量が余ります。
手順4:蓄電池の「実効容量」と比べる
最後に、足した数字を蓄電池の容量と比べます。
ここで使うのは、カタログの大きい数字(定格容量)ではなく、実際に使える量(実効容量)です。メーカーの仕様表や性能表示ラベルで確認できます。ラベルの見方は施工する側から言うと、容量より先にラベルの3行を見てほしいで解説しています。
計算の例(数字は説明用の仮のものです)
- 寒かった平日の夜(夕方5時〜翌朝7時):合計 9.5kWh
- 春のふつうの日の夜:合計 5.0kWh
- 検討中の蓄電池の実効容量:8.8kWh
この場合、春秋の夜は余裕をもってまかなえ、寒い日の夜は少し足りない、という読み方になります。足りない分は夜明け前に電気を買うことになりますが、それが「失敗」とは限りません。冬の一番寒い日に合わせて大きくすると、それ以外の日は容量が余るからです。
ここは、太陽光の発電量(冬にどれだけ充電できるか)と合わせて決めます。冬の充電の考え方はこの冬、はじめて蓄電池と過ごす方へをご覧ください。
太陽光がある家でも、夜の数字はそのまま使えます
すでに太陽光がある家では、「グラフの数字は家で使った電気と同じなのか」が気になると思います。
スマートメーターは、電力会社から家に流れる電気と、家から電力会社に流れる電気を、別々に計っています。東北電力の公表資料では、次のように説明されています。
順潮流:当社の配電系統からお客さま設備へ流れる電気⇒スマートメーターにより、お客さまの使用した電力量を計量
逆潮流:お客さまの発電設備から当社の配電系統へ流れる電気⇒…当社へ売電する電力量を計量
(東北電力 2016年1月20日公表資料 別紙)
太陽光がある家の昼の数字は、発電した電気を家で使った分が差し引かれた「買った量」です。そのため、昼のグラフは実際に使った量より小さく見えます。
一方で、夜は発電がありません。夜の時間帯の数字は、家で使った電気がほぼそのまま出ていると考えてよい数字です。容量を考えるのに必要なのは夜の数字なので、太陽光がある家でもこの手順は使えます。
あわせて、蓄電池は何kWhが正解?で書いた売電量からの逆算も行ってください。
- 売電量=蓄電池にためられる量の上限
- 夜の使用量=蓄電池から使いたい量
この2つの小さいほうが、ムダの出にくい容量の目安になります。
1時間ごとのグラフで分からないこと
便利な時間別グラフですが、分からないこともあります。
1時間の中の「瞬間の大きさ」は分からない
グラフの数字は、1時間に使った量の合計です。たとえば1時間で1.5kWhなら、平均すると1.5kWです。
ただ、その1時間のうちに、IHとエアコンと電子レンジが重なった数分間があったかもしれません。瞬間の大きさ(kW)は、1時間の合計には出てきません。
蓄電池には、容量(kWh)とは別に、一度に出せる電気の大きさ(kW・kVA)があります。停電時に何を同時に動かすかは、容量とは別に考える必要があります。全負荷型・特定負荷型の選び方は全負荷型と特定負荷型、どっちの蓄電池?にまとめています。
更新は月に1回
時間別グラフは、毎日リアルタイムで増えていくものではありません。東北電力のお知らせでは「検針結果のデータにもとづき、月1回更新」とされ、FAQでは検針日の3営業日後にデータが更新されると案内されています。
今日の夜の使い方をすぐ確かめる用途には向きません。過去の冬を振り返る用途に使ってください。
データの書き出しは「12か月の一覧PDF」
公式FAQで確認できた出力機能は、最大12か月の使用実績と料金の一覧をPDFで出すものです。時間別のデータを家庭向けにファイルで書き出せるという記載は、見つけられませんでした。
時間別グラフは、画面の写真(スクリーンショット)を数日分残しておくのが現実的です。寒い平日・寒い休日・ふつうの日の3日分があれば、相談の場で十分に話ができます。
東北電力以外と契約している場合
よりそうeねっとに登録できるのは、東北電力の料金プランの契約です。ほかの電力会社と契約している場合は、契約先の会員サイトで時間別の使用量が見られるかを確認してください。
30分ごとに細かく見たい場合はBルート
スマートメーターの30分ごとの数字を家の中で受け取るしくみが、東北電力ネットワークのBルートサービスです。
- 申込み・利用は無料。ただし、HEMS機器の購入・設置費用は自己負担
- 2026年5月からWeb申込みができるようになった(Web申込みは本人確認書類が必要)
- 届くデータは、30分ごとのメーター指示数、現時点の指示数や電流値など
- メーター側が保有する履歴は最大44日前までで、申込みの承諾より前の履歴は送れない
過去の冬をさかのぼる用途には、Bルートは向きません。すでにHEMSがある家や、これから蓄電池と一緒にHEMSを入れる家で、導入後の使い方を細かく見るためのものと考えてください。
見積もりの相談で、施工店に渡してほしいもの
施工店として、相談のときにあると助かるものは次の3つです。
- よりそうeねっとの12か月の使用実績と料金の一覧(PDF)
- 冬の寒い日の時間別グラフ(平日と休日。スクリーンショットで十分です)
- すでに太陽光がある家は、12か月分の売電量
1は、2026年11月1日、東北電力の電気料金が変わりますで紹介した「見る場所2:使用量を12か月ぶん並べる」と同じものです。
2があると、「1日の何割」という目安を使わずに済みます。容量の提案の根拠が、ご自宅の数字になります。
逆に言えば、時間別のデータを見ずに容量を決めている見積書は、目安で決めている可能性があります。容量の根拠を聞いてみてください。「お宅の夜の使用量は何kWhなので」と答えられるかどうかが、ひとつの目安になります。
当社が運営するサイト「ソラカルテ」の概算シミュレーターでは、月の電気代から太陽光・蓄電池の効果の目安を出せます。相談前の下調べとして使ってください。
よくある質問(FAQ)
Q1. スマートメーターが付いているか、どうやって分かりますか。
A. 東北電力ネットワークは、一部取り替え作業が困難な場所などを除き、2024年3月末までに管内すべてのお客さまへの設置を終えたと公表しています。よりそうeねっとで月間グラフ・時間別グラフが表示されれば、設置済みです。表示されない場合は、東北電力へお問い合わせください。
Q2. 去年の冬は家族構成が違いました。今年の冬を待ったほうがいいですか。
A. 家族の人数や在宅の時間が大きく変わった場合は、去年の数字はそのまま使えません。その場合は、変わったあとの春秋の数字と、去年の冬と春秋の差を組み合わせて考える方法があります。施工店と一緒に見てください。
Q3. 夜の使用量より大きい蓄電池を勧められました。
A. 停電への備えを重く見る場合や、将来の電気自動車・エコキュートへの切り替えを見込む場合は、大きめを選ぶ理由になります。ただし、冬に太陽光で満タンにできるかどうかも合わせて確認してください。理由を聞き、ご自宅の夜の使用量と並べて納得できるかで判断してください。
まとめ
- 蓄電池の容量は「1日の何割」という目安より、ご自宅の冬の夜の使用量の実測で決めるほうが確実
- 東北電力ネットワーク管内のスマートメーターは2024年3月末までに約680万台の設置を完了
- よりそうeねっとの時間別グラフは、1時間ごと・最大で至近1年分。10月の今でも去年の冬を確かめられる
- 手順は、寒い日を選ぶ→夕方から翌朝までを足す→平日・休日・ふつうの日を比べる→実効容量と比べる
- 太陽光がある家でも、夜の時間帯の数字はそのまま使える。売電量(ためられる量)と夜の使用量(使いたい量)の小さいほうが目安
- 1時間の合計では瞬間の大きさ(kW)は分からない。更新は月1回、出力は12か月の一覧PDF
- 30分ごとのデータはBルート(HEMSが必要・過去の履歴は最大44日)
容量に「正解の数字」はありませんが、「根拠のある数字」はあります。その根拠は、ご自宅のメーターにもう記録されています。
※本記事は2026年10月5日時点で東北電力・東北電力ネットワークが公開している情報にもとづいています。サービスの内容・画面・条件は変更されることがあります。計算の例の数字は説明のための仮のものです。
当社が運営する「ソラカルテ」では、太陽光・蓄電池の見積書をその場で無料AI診断できます。電話番号の登録は不要です。
出典(2026年10月5日確認・すべて公式サイト)
- 東北電力「よりそうeねっと」よくあるご質問(サービスの内容について/会員登録のお手続きについて):https://www3.zf1.tohoku-epco.co.jp/mypage/faq
- 東北電力「よりそうeねっと」サービス紹介:https://www3.zf1.tohoku-epco.co.jp/web_service_info
- 東北電力「よりそうeねっと」のお知らせ(2016年7月11日):https://www.tohoku-epco.co.jp/pastinformation/1192320_821.html
- 東北電力「冬場の電気使用量について」:https://www.tohoku-epco.co.jp/dprivate/inquery/call/usage.html
- 東北電力「使用量お知らせWEB」よくあるご質問:https://www8.zf1.tohoku-epco.co.jp/faq
- 東北電力 2016年1月20日公表資料 別紙(スマートメーターの計量):https://www.tohoku-epco.co.jp/pastnews/normal/__icsFiles/afieldfile/2016/01/20/b1191035.pdf
- 東北電力ネットワーク「スマートメーターの設置について」(2024年5月17日):https://nw.tohoku-epco.co.jp/information/1241989_2390.html
- 東北電力ネットワーク「Bルートサービス」:https://nw.tohoku-epco.co.jp/consignment/request/other/
- 東北電力ネットワーク「Bルートサービス よくあるご質問」:https://nw.tohoku-epco.co.jp/consignment/request/other/pdf/b_root_faq.pdf
- 東北電力ネットワーク「Bルートサービス利用規約」:https://nw.tohoku-epco.co.jp/consignment/request/other/pdf/b_root_01.pdf
監修・執筆:株式会社ファナス 代表取締役 不藤政次|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら
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