太陽光の売電収入に、税金はかかりますか|所得税・住民税・固定資産税で答えが3つに分かれます【東北・2026年8月17日確認】

先に結論 売電収入に税金は「かかることがある」です。税金の種類ごとに答えが違います。 所得税は、売電収入から経費を引いた所得が20万円を超えたら申告が必要。ただし20万円以下でも住民税の申告は必要です。 固定資産税は、住宅用でも10kW以上で売電していると申告の対象になります。東北は屋根が大きく、10kWを超える家が珍しくありません。
「売電収入って、確定申告しなくていいんですよね」——これは、半分だけ正しい話です。
正しいのは「多くのご家庭で、所得税の確定申告はいらない」という部分。正しくないのは、それを「税金の話は終わり」と受け取ってしまうところです。
税金は1種類ではありません。所得税・住民税・固定資産税・消費税で、それぞれ判定のしかたが違います。所得税がいらない家でも、住民税の申告は必要です。固定資産税にいたっては、屋根の載せ方と容量で結論が変わります。
この記事では、国税庁と市の公式情報で2026年8月17日に確認した内容だけを使って、4つの税金の答えを順番に整理します。金額の計算例も、自分の売電明細で確かめられる形にしました。
この記事で扱う範囲 対象は自宅に載せた住宅用の太陽光です。事業として発電所を運営している場合や、自宅で商売をしている場合は結論が変わります。 個別の判断は、税務署・市町村の資産税課へご確認ください。
売電収入は「雑所得」です
まず所得税から。国税庁は、質疑応答事例のなかで次のように整理しています。
余剰電力の売却収入については、それを事業として行っている場合や、他に事業所得がありその付随業務として行っているような場合には事業所得に該当すると考えられますが、給与所得者が太陽光発電設備を家事用資産として使用し、その余剰電力を売却しているような場合には、雑所得に該当します。 (国税庁「自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入」)
会社にお勤めの方が、自宅の屋根に載せた太陽光の余った電気を売っている——この形なら「雑所得」です。事業所得ではありません。
全量売電でも、扱いは同じです
同じ質疑応答には、注記として次の内容も書かれています。
一定規模以上の設備で全量売電をしている場合でも、給与所得者がそれを行っているなら、事業として行われている場合を除いて雑所得と考えられる、というものです。
「全量売電だから事業所得になる」と考えている方がいますが、所得税では自動的にそうなるわけではありません。
経費として引けるもの
雑所得は「収入 − 必要経費」で計算します。太陽光の場合、いちばん大きい経費は減価償却費です。
国税庁は、太陽光発電設備の耐用年数について次のように説明しています。
- 太陽電池モジュール、パワーコンディショナなどが一体となって発電・送電する自家発電設備なので、一般に「機械及び装置」に分類される
- 耐用年数等に関する省令の別表第二「その他の設備(主として金属製のもの)」に当たり、17年
- 必要経費に入れる減価償却費は、発電量のうち売却した電力量が占める割合を業務用割合として計算する
この最後の一文が大事です。発電した電気を全部経費にできるわけではありません。自分の家で使った分は家事用なので、売った割合だけが経費になります。
計算の順番 ① 設備の取得価額 ÷ 17年 = 1年分の減価償却費 ② ①×(売電量 ÷ 総発電量)= 必要経費に入れられる額 ③ 年間の売電収入 − ② = 雑所得
自家消費が進むほど②は小さくなりますが、そもそも売電収入自体も小さくなります。蓄電池を入れて自家消費を増やしている家ほど、この計算は楽になります。
「20万円」は売電収入の額ではありません
会社員の方がよく聞く「20万円まで申告不要」。これは国税庁の「確定申告が必要な方」に書かれている条件のことです。
給与を1か所から受けていて、その給与の全部が源泉徴収の対象である場合、給与所得・退職所得を除く各種の所得金額の合計額が20万円を超えると、確定申告が必要になります。
ここは読み間違えが起きやすいところです。20万円と比べるのは「所得金額」であって、「売電収入の額」ではありません。
| 比べるもの | 中身 |
|---|---|
| ✕ 売電収入 | 電力会社から振り込まれた金額そのもの |
| ○ 所得金額 | 売電収入 − 必要経費(減価償却費など) |
年間の売電収入が25万円あっても、経費が8万円あれば所得は17万円です。この場合は20万円以下なので、ほかに所得がなければ所得税の確定申告は必要ありません。
副業やほかの雑所得と合算します
もうひとつの読み間違えは、「売電だけで20万円」と考えてしまうことです。
条文は「各種の所得金額の合計額」と書いています。売電の雑所得が12万円でも、ほかに副業の所得が10万円あれば、合計22万円で20万円を超えます。
売電収入の相場感がつかめない方は、まず自分の発電量が地域の標準と比べてどうかを確かめてください。判断のしかたは東北・雪国の太陽光は本当に発電する?にまとめています。
所得税がいらなくても、住民税の申告は必要です
ここが、いちばん見落とされているところです。
仙台市は、公式サイトのFAQで次の趣旨を明示しています。所得税では20万円以下なら確定申告が不要とされているが、個人市県民税にはそのような制度がないため、副収入の額の多少にかかわらず申告が必要である、というものです。
盛岡市も同じ趣旨の説明を公開しています。
つまり、こういうことになります。
よくある状態 売電の雑所得が15万円 → 所得税の確定申告は不要 でも → 住民税(市県民税)の申告は必要
「申告不要」と聞いて何もしなかった場合、住民税の申告漏れになっている可能性があります。心当たりのある方は、お住まいの市町村の市民税担当へご相談ください。
なお、確定申告をした場合は、その内容が市町村へ回るので、住民税の申告を別に出す必要はありません。確定申告をするなら住民税の申告は不要、しないなら住民税の申告が必要、という関係です。
固定資産税は「10kW」で分かれます
3つ目は固定資産税です。ここは所得税とまったく別の考え方をします。
固定資産税の対象になるのは、土地・家屋のほかに「償却資産」——事業のために使っている構築物・機械・器具などです。地方税法383条により、毎年1月1日時点で所有している償却資産を市町村へ申告することになっています。
住宅用の太陽光がこれに当たるのか。福島市は、設置者と発電量で区分した表を公開しています。
| 設置者 | 10kW以上(全量・余剰とも) | 10kW未満(余剰売電) |
|---|---|---|
| 個人(住宅用) | 申告の対象となる | 申告の対象とならない |
| 個人(個人事業主) | 申告の対象となる | 申告の対象となる |
| 法人 | 申告の対象となる | 申告の対象となる |
(出典:福島市「太陽光発電設備の償却資産(固定資産税)申告」)
10kW未満で余剰売電をしている一般家庭は、申告の対象外です。ここまでは多くの方の認識どおりだと思います。

▲ 当社施工事例:屋根の2面に敷き詰めた太陽光パネル
問題は上の行です。個人の住宅用でも、10kW以上で売電していれば申告の対象になります。「住宅用なら固定資産税はかからない」という覚え方は、10kWを境に成り立たなくなります。
屋根の載せ方でも変わります
福島市は、パネルの設置方法による評価の区分も公開しています。
| 設置方法 | パネル・架台の扱い |
|---|---|
| 家屋に一体の建材(屋根材等)として設置 | 家屋として評価(償却資産の申告は不要) |
| 架台に乗せて屋根に設置 | 償却資産 |
| 地上など家屋以外の場所に設置 | 償却資産 |
屋根材一体型は、固定資産税が家屋として課税されるので、償却資産の申告はいりません。ただし「かからない」わけではなく、家屋の評価に含まれるという意味です。
なお、パワーコンディショナ・接続ユニット・表示ユニット・電力量計は、どの設置方法でも償却資産の側に区分されています。
売電をやめたら対象外になります
同じページには、現在申告をしている方が売電を行わなくなった場合は申告の対象外になる、という説明もあります。卒FIT後に全量自家消費へ切り替えた家は、ここに該当する可能性があります。
自治体によって案内が違います ここで紹介したのは福島市が公開している区分です。仙台市など、太陽光専用のページを設けていない自治体もあります。 東北4県だけで162市町村あり、運用や案内のしかたは一律ではありません。10kW以上を載せている方・載せる予定の方は、お住まいの市町村の資産税課(償却資産担当)へ直接ご確認ください。
消費税は、余剰売電ならかかりません
4つ目は消費税です。これは国税庁がはっきり答えを出しています。
会社員が自宅に設置した太陽光の余剰電力の売却について、国税庁は次のように整理しています。
事業者ではない者が生活の用に供するために設置した太陽光発電設備から生じた余剰電力の売却は、課税の対象となりません。 (国税庁「会社員が自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却」)
理由は、消費者が生活用資産(非事業用資産)を譲渡しているだけで、消費税法上の「事業として」の資産の譲渡に当たらないから、というものです。
ただし全量売電は別です
同じ質疑応答の注記には、全量売電について逆の結論が書かれています。
会社員が行う全量売電は、発電した電気を生活の用に供することなく数年間にわたって電力会社に売却するものなので、反復・継続・独立して行う取引に該当し、課税の対象となる、というものです。
所得税では余剰も全量も同じ「雑所得」でしたが、消費税では余剰と全量で結論が反対になります。ここは混ざりやすいので、表にしておきます。
| 所得税 | 消費税 | |
|---|---|---|
| 余剰売電 | 雑所得 | 課税の対象とならない |
| 全量売電(会社員) | 雑所得 | 課税の対象となる |
※課税の対象になっても、基準期間の課税売上高によっては納税義務が免除されます。該当しそうな方は税務署へご確認ください。
東北の家は、10kWを超えやすいです
ここまでの4つのうち、東北の戸建てでいちばん引っかかりやすいのが固定資産税の10kWです。理由は3つあります。
ひとつめは、屋根が大きいこと。都市部の狭小地と違い、東北の戸建ては敷地に余裕があり、切妻・寄棟の大きな屋根を持つ家が多くあります。南面だけで10kWに届く屋根は珍しくありません。
ふたつめは、雪を見込んで多めに載せる考え方があること。冬に積雪で発電が止まる期間があるぶん、年間の発電量を確保しようと容量を大きめに設計することがあります。
みっつめは、母屋以外の屋根です。車庫・作業小屋・納屋の屋根に増設して、合計で10kWを超えるケースがあります。

▲ 当社施工事例:母屋の屋根に設置した太陽光
10kWを超えると、固定資産税の申告のほかにも変わることがあります。FITの区分(余剰か全量か)、保安に関する扱い、電力会社との契約——このあたりはまとめて設計時に決まります。
契約前に「うちは何kWになりますか」と聞いて、10kWの前後どちらなのかを確認してください。9.9kWと10.2kWでは、そのあとの手続きが変わります。
見積書の容量と金額を、先に確かめておく
税金の話は、設備の容量と取得価額が決まらないと計算できません。減価償却費も償却資産の判定も、出発点は同じ「いくらの設備を何kW載せたか」です。
当社が運営する「ソラカルテ」では、屋根の条件から必要な容量と費用の概算を、電話番号の登録なしで確かめられます。10kWの前後どちらになりそうかの見当をつける用途にも使えます。
見積書の金額そのものが妥当かどうかは、その見積書、高いのか安いのかで、国が毎年公表している相場の数字と突き合わせる方法を書いています。
相続・売買で引き継いだ設備は、取得価額から確認します
親から受け継いだ家に太陽光が載っていた、という場合の税金はどうなるか。
考え方は同じで、売電収入は雑所得、経費は減価償却費です。ただし取得価額と、これまでの償却の状況が分からないと計算できません。書類が見つからないことも多いので、まず契約書・領収書・設置時の仕様書を探すところから始めてください。
設備の名義や売電契約の手続きそのものは、太陽光がついた家を相続した・買ったときの手続きにまとめています。相続は届出、売買は認定申請で、やることが別物です。
よくあるご質問
Q1. 売電収入が年間30万円あります。確定申告は必要ですか。
A. 収入ではなく所得で判定します。30万円から必要経費(売電割合で按分した減価償却費など)を引いた額が20万円を超えるかどうかを見てください。超えなければ、ほかに所得がない限り所得税の確定申告は不要です。ただしその場合も住民税の申告は必要です。
Q2. 10kW以上ですが、償却資産の申告をしていませんでした。
A. お住まいの市町村の資産税課へご相談ください。仙台市は、本来申告すべき年度に申告されなかった場合、過去に遡って課税されるほか、不足税額に対する延滞金を徴収されることがある、と案内しています。放置せず、早めにご相談されることをおすすめします。
Q3. 蓄電池にも固定資産税はかかりますか。
A. 今回確認した福島市の公開資料は、太陽光発電システムの区分を示したもので、家庭用蓄電池単体の扱いは明示されていません。確認できていないことを「かかりません」とは書けないので、市町村の資産税課へお問い合わせください。
まとめ
太陽光の売電収入と税金について、2026年8月17日時点で確認できた内容をまとめます。
- 所得税:給与所得者の余剰売電は雑所得。所得(収入−経費)が20万円以下なら確定申告は不要。減価償却は耐用年数17年、売電割合で按分する
- 住民税:所得税の20万円ルールは適用されない。確定申告をしないなら、住民税の申告が必要
- 固定資産税:個人の住宅用でも、10kW以上で売電していれば償却資産の申告の対象。屋根材一体型は家屋として評価される
- 消費税:余剰売電は課税の対象外。全量売電は課税の対象
金額そのものより、自分がどの分類に入るのかを先に確かめるのが近道です。分類さえ決まれば、あとの計算は明細書で追えます。
判断に迷うところは、税務署(所得税・消費税)と市町村の資産税課(固定資産税)が、それぞれ無料で答えてくれます。販売店の説明だけで決めないでください。
出典・確認先(2026年8月17日確認)
- 国税庁「自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入」 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/02/44.htm
- 国税庁「会社員が自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却」 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/02/42.htm
- 国税庁「確定申告が必要な方」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/01/1_06.htm
- 福島市「太陽光発電設備の償却資産(固定資産税)申告」 https://www.city.fukushima.fukushima.jp/soshiki/4/1014/1/1767.html
- 仙台市「償却資産(固定資産税)について」 https://www.city.sendai.jp/sisanze-chose/kurashi/tetsuzuki/zekin/kekaku/tebiki/shisanze.html
- 仙台市「個人市県民税の申告について」 https://www.city.sendai.jp/futsuchoshudaichi/kurashi/tetsuzuki/zekin/kojin/shinkoku.html
※本記事は2026年8月17日時点の情報です。税制・自治体の取扱いは変わることがあります。個別の判断は税務署・市町村へご確認ください。
当社が運営する「ソラカルテ」では、太陽光・蓄電池の見積書をその場で無料AI診断できます。電話番号の登録は不要です。
監修:株式会社ファナス|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら
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