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太陽光の「影」は屋根の何%が隠れるかでは決まりません|東北の冬は影が1.9倍のびる理由と、契約前に確認する3つのこと【2026年版】

先に結論 影は「屋根の何%が隠れるか」ではなく「どのかたまりが隠れるか」で効きます。1枚にかかった影が、そのパネルの属する回路ごと落とすことがあります。 仙台の冬至の南中高度は約28度。高さ1mのものが、真南に約1.9mの影をつくります(当社計算)。 東北は緯度が高いぶん、東京より影が長くなります。現地調査は、冬の朝夕を想定してもらってください。

仙台で、高さ3mの物置がつくる影の長さは、夏至の正午で約0.8m、冬至の正午で約5.6mです。同じ物置、同じ場所で、7倍ちがいます。

太陽光の打ち合わせで「屋根の一部に影がかかりますが、面積としては数%なので影響は小さいです」と説明されることがあります。この説明は、2か所で実態とずれています

ひとつは、影の損失が面積の割合どおりには出ないこと。もうひとつは、その「数%」がいつの季節・いつの時刻の話なのかが示されていないことです。

この記事では、影がどう効くのかという仕組みと、東北の冬に影が長くなる理由、そして契約前に確認しておくことを整理します。数字は自分でも確かめられる形で書きました。

影は「屋根の何%が隠れるか」では効きません

太陽光パネルは、小さな発電素子(セル)を直列につないで1枚のパネルにしています。さらにそのパネルを何枚も直列につないで、パワーコンディショナ(パワコン)へ送っています。この直列のつながりを「ストリング」と呼びます。

直列回路の電流は、いちばん弱いところに合わせられます。ホースを途中で踏むと、その先の水量が落ちるのと同じです。日が当たっているセルがどれだけ元気でも、影になったセルが電流のボトルネックになります。

そのため、太陽光発電協会(JPEA)も、落ち葉のような不透明なものが貼りついた場合には、その影の面積から想像するより大きく発電量が落ちると説明しています。「面積の割合=損失の割合」ではありません。

バイパスダイオードは損失をゼロにする部品ではありません

いまのパネルには、影になった部分を電流が迂回できるように「バイパスダイオード」が入っています。これは、影のかかったセルが発熱して傷む現象(ホットスポット)を防ぐための部品です。

大事なのは、この部品が働くと、迂回されたかたまりの発電はそのぶん止まるということです。パネル1枚はふつう2〜3個のかたまりに分かれています。つまり、セル1枚分の影で、パネルの3分の1が落ちるということが起こります。

  • 影の面積が小さくても、かたまり単位で落ちる
  • どのパネルが同じストリングに入っているかで、波及の広さが変わる
  • だから「屋根の◯%」という言い方では、影響の大きさを表せない

確認するときの言葉 「屋根の何%に影がかかりますか」ではなく、 「その影は、どのストリングのどのパネルにかかりますか」と聞いてください。 設計をしている会社なら、図面で答えられます。


東北の冬は、影が1.9倍にのびます

影の長さは、太陽の高さで決まります。太陽が低いほど、影は長くのびます。

太陽がいちばん高くなるのは、真南に来たとき(南中)です。この高さは緯度で決まり、冬至の南中高度=90度 − その土地の緯度 − 23.4度で計算できます(考え方は国立天文台 暦計算室の解説によります)。

仙台は北緯38.3度ですから、冬至の南中高度は 90 − 38.3 − 23.4 = 約28.3度。このとき、高さ1mのものがつくる影は 約1.9m になります。

東北6県と東京を並べると

都市 緯度(北緯) 冬至の南中高度 影の長さ(高さ1mあたり)
青森市 40.8度 約25.7度 約2.1m
秋田市 39.7度 約26.8度 約2.0m
盛岡市 39.7度 約26.9度 約2.0m
仙台市 38.3度 約28.3度 約1.9m
山形市 38.2度 約28.3度 約1.9m
福島市 37.8度 約28.8度 約1.8m
(参考)東京都心 35.7度 約30.9度 約1.7m

※緯度から当社が計算した目安です。地形や周囲の建物は考慮していません。

青森と東京では、同じ高さのものがつくる影が約1.2倍ちがいます。東北で「関東の感覚」で影を見積もると、冬の影を短く読みすぎることになります。

さらに効くのは、朝夕です

南中高度は、その日でいちばん太陽が高い瞬間の話です。朝と夕方は、これよりずっと低くなります。

  • 太陽高度15度のとき … 影は高さの約3.7倍
  • 太陽高度10度のとき … 影は高さの約5.7倍

冬の朝9時ごろ、東北の太陽はまだこのあたりの高さにいます。冬の午前中に、隣家の影が屋根の下側を舐めていく——これが、東北でいちばん多い影の出方です。

そして冬は、発電量そのものが少ない季節です。少ない発電量から、さらに削られます。雪国の発電量の考え方は雪国の太陽光は本当に発電するのかにまとめています。

山あいの住宅の瓦屋根に設置された太陽光パネル。冬の朝の低い日差し

▲ 当社施工事例:瓦屋根の太陽光パネル(冬の朝)


影をつくるのは、隣の家だけではありません

現地調査で見落とされやすいものを挙げます。自分の家の一部が影をつくるケースが、意外と多いです。

建物まわり

  • ドーマー(屋根から飛び出した小屋根)、天窓の立ち上がり
  • 煙突・薪ストーブの煙突
  • 屋根に載る換気棟・換気フード
  • アンテナ、避雷針
  • 2階の壁(下屋にパネルを載せる場合)

敷地まわり

  • 電柱と電線(電線の影は細いですが、動きます)
  • 樹木——いま2mでも、10年で5mを超えるものがあります
  • 隣家、隣の物置、カーポート
  • 雪止め金具(本体は小さいですが、パネルのすぐ手前にあると効きます)

東北で特に見てほしいもの

  • 屋根から落ちた雪の山。北面や日陰側は春まで残ります。パネルの下端が埋まると、その列が丸ごと止まります
  • 雪囲い・冬用の風除室。冬だけ立つ構造物は、夏の現地調査では存在しません

樹木は、契約時点の高さで判断してはいけないものの代表です。20年使う設備に対して、木は20年ぶん伸びます。伐採や剪定の可否を、設置前に家族で決めておくほうが確実です。

隣に何が建つかは、契約前に調べられます

「いま影がないから大丈夫」は、南側が空き地・平屋・駐車場のときに危ない考え方です。ここは推測しなくても、公的なルールで上限が決まっています

調べるのは次の3つです。市役所・町村役場の都市計画担当窓口で確認できます。

  1. 用途地域——南側の土地が何の用途地域かで、建てられる建物の種類と規模が変わります
  2. 建ぺい率・容積率、高さの制限——「絶対高さの制限」がかかる用途地域では、上限が明確です
  3. 北側斜線制限・日影規制——建築基準法にもとづく制限で、南側に建つ建物が北側の敷地にどこまで影を落としてよいかの枠組みです(建築基準法第56条・第56条の2)

ここで分かるのは「最悪でもこの高さまで」という上限です。上限の高さで建物が建ったと仮定して、さきほどの影の長さをあてはめれば、冬の正午にどこまで影が届くかが計算できます。

注意 日影規制は「近隣の日当たり全般を守る制度」であって、太陽光発電の発電量を守る制度ではありません。 隣に合法的な建物が建って発電量が落ちても、それを理由に相手に補償を求められるとは限りません。 だからこそ、建つ前に自分で織り込んでおくしかありません。

南側が農地や資材置き場のときも同じです。将来の転用を止める手立てはないので、上限で考えておくのが安全です。


契約前に確認する3つのこと

ここまでを、打ち合わせで使える形にまとめます。

① シミュレーションに影の損失が入っているか

見積書に添えられる発電量シミュレーションには、影の損失を入れているものと、入れていないものがあります。入っていなければ、その数字は「周りに何もない更地の屋根」の値です。

聞き方はシンプルです。

  • 「このシミュレーションは、影の損失を何%で見込んでいますか
  • 「その影は、どの月・どの時刻を想定していますか」

答えが返ってこない、あるいは「影は考慮していません」であれば、その数字は上限値だと理解したうえで判断してください。数字の出どころが分からない見積書の見方は、その見積書、高いのか安いのかで相場の考え方とあわせて整理しています。

当社が運営する「ソラカルテ」の見積書AI診断でも、発電量の前提が書かれているかどうかは確認の対象にしています。手元の見積書を、営業の訪問なしで確かめたいときに使ってください。

② 現地調査を、いつの季節で見ているか

夏に現地調査をして、そのまま契約するケースは多いです。ですが影が最大になるのは冬です。

  • 現地調査の日に、冬至の太陽の高さで検討したか
  • 朝と夕方の影も見たか(南中だけで判断していないか)
  • 落雪の置き場をどこに想定しているか

冬に調査できない時期でも、太陽高度から計算はできます。「計算しましたか」と聞けば十分です。

③ 影を避けられないなら、割り付けと回路をどうするか

影がゼロにならない屋根はあります。そのときに設計で何をしたかを聞いてください。次の章の内容が、そのまま質問になります。

屋根が狭い場合の割り付けの考え方は「うちの屋根は狭いから無理」と言われた方へに、方位ごとの発電量は「北向きの屋根だから無理」と断られた方へにまとめています。

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影があっても打てる手はあります

「影があるから太陽光は無理」と決める前に、設計側でできることを知っておいてください。

1. 影のかかるパネルを、同じストリングにまとめない

影の影響はストリング単位で波及します。影が出るパネルを別のストリングに寄せ、健全なストリングを守るのが基本です。逆に、影のパネルを健全なパネルと混ぜると、そのストリング全体が引きずられます

2. パワコンの入力(MPPT)を分けて使う

パワコンには、複数の入力回路をそれぞれ独立して制御できるものがあります。屋根の面や影の出方でグループを分けられれば、片方の不調がもう片方に及びません。

3. パネル単位で制御する機器を使う

パワーオプティマイザやマイクロインバータのように、パネル1枚ごとに制御する構成もあります。影の影響を局所化できる一方、機器点数が増えるため費用と保守の考え方が変わります。採用の可否は、影の大きさと屋根の条件しだいです。

4. そもそも、影のかかる位置に置かない

いちばん確実な方法です。枚数が2枚減っても、冬の午前中に丸ごと止まる列を作らないほうが、20年で見れば有利なことがあります。

判断の順番 ① 影の出る場所にパネルを置かない → ② 置くなら回路を分ける → ③ それでも足りなければ機器で対処 この順番が守られていれば、設計として筋が通っています。


「発電しない」が影のせいか確かめるには

すでに設置済みで、発電量が落ちたと感じている場合の切り分けです。影が原因なら、症状に決まった特徴があります。

  • 時刻が決まっている(毎日、同じ時間帯に落ちる)
  • 季節で変わる(冬に強く出て、夏は出ない、または逆)
  • 特定のストリングだけが落ちる

反対に、一日中まんべんなく落ちている急にゼロになったという場合は、影ではなく機器側を疑います。パワコンの表示での切り分けは「太陽光が止まっている」と思ったらに手順を書きました。

そして、前年比だけで「劣化した」と判断しないでください。日照時間は年ごとに大きく振れます。比べ方は「去年より発電していない気がする」と思ったらにまとめています。

金属屋根に設置された太陽光パネル。夏の晴天

▲ 当社施工事例:金属屋根に設置した太陽光パネル


よくあるご質問

Q1. 南側の家との距離が10mあります。影は届きますか。

A. 南側の建物の高さで決まります。仙台であれば、冬至の正午で「高さ×約1.9」が影の長さの目安です。高さ6mの2階建てなら約11.4mとなり、10m先の敷地には届く計算になります。ただし実際に効くのは「屋根のどこに、何時にかかるか」です。屋根面はふつう地面より高い位置にあるので、地面に届いていても屋根には届かないこともあります。平面図と立面図を使って検討してもらってください。

Q2. 影がかかる時間は短いのですが、それでも避けるべきですか。

A. 「短い」の中身によります。冬の午前中に2時間、屋根の下側1列が止まる、という出方であれば、冬の発電量に対しては小さくない損失です。一方、夏の夕方に電線の細い影が数十分動いていく程度なら、優先度は下がります。季節・時間帯・かかるパネルの位置の3点をそろえて比べてください。

Q3. 木を切りたくありません。太陽光はあきらめるしかないですか。

A. あきらめる前に、木の影がかかる範囲を外して割り付けられないかを検討してください。屋根の上側だけに寄せる、影の出る列を別のストリングにする、といった設計で成立することがあります。それでも枚数が確保できない場合は、枚数を減らして自家消費に寄せるという選択もあります。売電よりも「買う電気を減らす」ほうに軸足を置けば、小さめの容量でも意味は出ます。


まとめ

  • 影の損失は面積の割合どおりには出ません。バイパスダイオードはかたまり単位で迂回するため、小さな影がパネルの3分の1を止めることがあります
  • 仙台の冬至の南中高度は約28.3度で、高さ1mのものが約1.9mの影をつくります。青森は約2.1m、東京は約1.7m。東北は影が長い
  • 朝夕は太陽高度が10〜15度まで下がり、影は高さの3.7〜5.7倍にのびます。冬の午前中がいちばん危ない
  • 影をつくるのは隣家だけではありません。ドーマー・煙突・換気棟・雪止め・落雪の山・冬だけ立つ雪囲いまで見ます
  • 南側に将来何が建つかは、用途地域・高さの制限・北側斜線・日影規制で上限が分かります。建つ前に織り込むしかありません
  • 契約前に聞くのは3つ。①シミュレーションに影の損失が入っているか ②現地調査を冬の条件で見たか ③避けられない影を割り付けと回路でどう処理したか
  • 影があっても、割り付け・ストリング分け・MPPT分割・パネル単位の制御で対処できる場合があります

影は、あとから消せない条件です。ですが、契約前なら計算できる条件でもあります。屋根の図面と、南側に建ちうる建物の高さ。この2つがあれば、冬の影はその場で引けます。

※本記事は2026年8月16日時点の情報です。太陽高度は緯度から計算した目安であり、実際の日照は地形・気象条件によって変わります。建築の制限は自治体ごとに定めが異なるため、必ず該当自治体の窓口でご確認ください。

出典

その見積書、本当に妥当ですか?(ソラカルテ)

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監修:株式会社ファナス|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら

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