太陽光発電14分で読めます

「北向きの屋根だから無理」と断られた方へ|方位で変わる発電量と、東北で北面・東西面を判断する3つの条件【2026年版】

「うちは北向きの屋根なので、太陽光は無理だと言われました」

このご相談を、年に何度もいただきます。数年前に一度断られて、そのまま諦めていた——という方が本当に多い。

結論から申し上げると、技術的には、いま北面にも設置できます。パネルの出力が上がり、反射を抑えた「防眩(ぼうげん)タイプ」の製品も選べるようになりました。実際、「北面もつけましょう」と提案する会社は増えています。

ただし、そこで話を終わらせるわけにはいきません。東北には、全国共通の説明では拾いきれない条件が2つあります。冬の太陽の低さと、雪です。そして、北面設置を後押ししている補助金の話は、多くの場合そのまま東北には当てはまりません。

この記事では、屋根の方位で発電量がどう変わるのかを公的なデータの見方から整理し、そのうえで東北で北面・東西面を判断するときに何を確認すればよいのかをまとめます。

スレート屋根の2面いっぱいに設置された黒い太陽光パネルを上から見た様子

▲ 当社施工事例:屋根2面に設置した太陽光

「昔はダメ、今は大丈夫」——何が変わったのか

以前、北面設置が避けられていた理由は主に2つでした。①発電量が落ちること ②反射光で近隣とトラブルになること。この2つのうち、②は製品側の進化でかなり事情が変わりました。

防眩(低反射)パネルという選択肢

表面のガラスに加工を施し、光沢を抑えたパネルが各社から出ています。マットな質感で、光をぎらつかせずに受け止める設計です。

これが「公的にも意味のある機能」として扱われている例が、東京都の制度です。東京都は、都市特有の条件に対応する製品を「優れた機能性を有する太陽光発電システム(機能性PV)」として認定しており、防眩型もその類型に含まれています。認定された製品には、住宅向けの補助事業で1kWあたりの上乗せ補助が用意されています(令和8年度は最大10万円/kWへ増額される予定と公表されています)。

つまり、防眩パネルは「メーカーがそう言っているだけ」の付加機能ではなく、自治体が政策として後押しする水準まで来ている、ということです。

ただし、その補助金は東北にはありません

ここが重要です。「北面でもつけたほうが得」という説明の多くは、東京都のように高額な補助金が出る前提で語られています。1kWあたり数万円〜十万円規模の上乗せがあるなら、発電量が落ちる面に載せても回収が成り立つからです。

東北4県(宮城・山形・岩手・福島)の自治体補助金を全市町村分調べた結果は 東北4県の補助金まとめ|宮城・山形・岩手・福島の162市町村 にまとめていますが、東京都のような防眩パネルへの上乗せ制度は確認できていません。東北で北面を検討するときは、この前提の違いを踏まえてください。


方位で発電量はどれだけ変わるのか——「一般値」を鵜呑みにしない

インターネット上には「北面は南面の6割」「東西面は85%」といった数字が並んでいます。当社はこの手の一般値を、お客様への説明には使いません。屋根の勾配と地域が変わると、答えが大きく動くからです。

公式に確認できる方法がある

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は「日射量データベース閲覧システム」を公開しています。国内の多数の地点について、方位角別・傾斜角別の日射量を表示できるもので、年間・月間の発電量推定に使えるように設計されています。

ここで大事なのは、このデータベースが地点ごとに値を持っていることです。仙台と青森と福島では、同じ「北面・勾配5寸」でも答えが違います。同じ市内でも、標高や日照条件で変わります。

見積りで出させるべき5つの条件

北面や東西面を含むプランを提案されたら、シミュレーションの前提条件を必ず書面で確認してください。

  1. どの地点のデータを使ったか(最寄りの観測地点名)
  2. 方位角(真南を0度として何度ずれているか)
  3. 傾斜角(屋根勾配。「5寸=約27度」のように寸と角度の対応も)
  4. 設置容量(面ごとのkW。合計だけでなく面別に)
  5. 損失係数(温度損失、パワコン変換損失、配線損失などをまとめてどう見込んだか)

そして、面ごとの年間発電量を月別で出してもらってください。合計値だけを見ると、後で説明する「季節のズレ」が見えません。

「北面は◯割です」としか言わない見積りは、計算していないか、計算結果を見せたくないかのどちらかです。


東北で北面が不利になる決定的な理由——冬の太陽が低い

ここからが、東北の話です。

冬至の南中高度は、東北では30度を切る

太陽が真南に来たときの高さ(南中高度)は、緯度から計算できます。冬至の南中高度は「90度 − その土地の緯度 − 23.4度」です。東北の主要都市で計算すると、次のようになります。

都市(おおよその緯度) 冬至の南中高度 夏至の南中高度
福島市(約37.8度) 約28.8度 約75.6度
仙台市(約38.3度) 約28.3度 約75.1度
山形市(約38.3度) 約28.3度 約75.1度
盛岡市(約39.7度) 約26.9度 約73.7度
秋田市(約39.7度) 約26.9度 約73.7度
青森市(約40.8度) 約25.8度 約74.6度

(参考:東京は約35.7度の緯度で、冬至の南中高度は約30.9度)

冬至の正午でさえ、東北では太陽が地平線から26〜29度の高さにしか上がりません。青森では26度を切ります。

これが北面に何を起こすか

太陽が低いということは、南側から浅い角度で光が来るということです。屋根に勾配がついていれば、その光は南面には当たっても、北面には届きません。北面が受け取れるのは、空全体から降ってくる散乱光だけになります。

逆に夏は、太陽が75度近くまで上がります。ほぼ真上です。この角度なら、北面にも十分な光が当たります。

つまり北面は「夏型」の設置面です。夏はそこそこ発電し、冬はほとんど発電しない。

東北にとって、これは相性が悪い

問題は、東北の家がいちばん電気を使うのがだということです。暖房と給湯で消費が跳ね上がる季節に、北面の発電はほぼ止まります。そして発電が伸びる夏は、南面もフル稼働している時期です。

太陽光の経済性は「発電した電気を、どれだけ自宅で使えるか」で決まります。夏に余剰を積み増しても、売電単価が下がった今の条件では回収が伸びにくい。この構造は 東北・雪国の太陽光は本当に発電する?日照・積雪から見る発電量 でも詳しく書いています。

同じ「北面設置」でも、東京と東北では意味が違う——という点は、押さえておいてください。


もうひとつの壁:北面は雪が残る

東北特有の問題がもう一つあります。

北面は日射が少ない面です。ということは、載った雪が融けにくい面でもあります。南面が昼過ぎに融けて滑り落ちても、北面には雪が残り続けます。

これは3つの意味を持ちます。

  • 発電しない期間が長くなる。積雪期間中、北面はほぼゼロです
  • 荷重は変わらない。発電しなくても、雪と設備の重さは屋根にかかり続けます。積雪荷重の検討は南面と同じ厳しさで必要です
  • 融けたときに一気に動く。残っていた雪がまとまって滑ると、下端の金具や雪止め、その下にあるもの(下屋、カーポート、給湯機、隣地)に力がかかります

雪止めの列や落雪の行き先を含めた割り付けの考え方は 「うちの屋根は狭いから無理」と言われた方へ|太陽光の割り付けと、屋根の端を30cm空ける理由 にまとめています。北面を検討する場合、この確認は南面以上に重要になります。

🔗 無料相談・お見積りはこちら(株式会社ファナス)


反射光は「防眩だから大丈夫」で済ませない

防眩パネルは反射を大きく抑えますが、ゼロにはなりません。そして反射光の問題は、パネルの性能だけでなく、周囲に何があるかで決まります。

環境省のガイドラインは、住宅の屋根にも使える

環境省の「太陽光発電の環境配慮ガイドライン」(令和2年3月)は、本来は事業用太陽光を対象とした資料です。ただしこのガイドラインには、10kW未満の施設や、建築物の屋根・壁面・屋上に設置する施設においても、反射光について自主的に検討する際に、本ガイドラインの検討方法や対策を参考にできると明記されています。住宅にも使ってよい、と国が言っているわけです。

このガイドラインが示す、反射光の影響を検討すべきケースは次の3つです。

  1. 設置場所の北側に高い建物がある
  2. 斜面地へのパネル設置で、南側に近接して住宅等がある
  3. 東側または西側が大きく拓けている土地に設置する

そして解説では、①について「冬季は南から低く入る太陽光が北側の高い方向に反射するため、設置場所の北側に高い建物がある場合、反射光が建物内に射し込む可能性があります」と説明されています。

先ほど計算したとおり、東北の冬至の南中高度は26〜29度です。冬の低い太陽こそが、反射光をいちばん遠くへ飛ばします。東北の市街地で北面設置を検討するなら、この確認は避けて通れません。

具体的に何を頼めばいいか

同ガイドラインは、影響が懸念される場合の確認方法として「販売・施工店等に依頼するなどして、反射光のシミュレーションを行う」ことを挙げ、その中身を次のように定義しています。

立地場所の緯度経度、パネルの方位角、傾斜角から、夏至、冬至、春・秋分について、反射光の反射角と方位を計算し、パネルと保全対象の位置関係から、反射光が住宅等に届くおおむねの時間を推定

つまり、「夏至・冬至・春分秋分の3シーズンで、どこへ何時ごろ反射するか」を出してもらう、ということです。この依頼のしかたを知っているだけで、話がずいぶん具体的になります。

隣家が近い、北側に2階建て・3階建てがある、道路を挟んで正面に窓がある——こうした条件の家では、設置前に確認しておく価値があります。


東西向きの屋根は、実は不利とは限らない

スレート屋根の片面のみに設置された太陽光パネル

▲ 当社施工事例:屋根の片面に設置した例

北面ばかり話しましたが、ご相談で多いもう一つのパターンが「うちは東西向きだから半端だと言われた」というものです。

東西面は、南面より1日の発電量は落ちます。ただし、発電の出方が違います。

  • 東面は朝から発電が立ち上がる
  • 西面は夕方まで発電が続く

南面は正午前後にピークが集中しますが、東西面に振ると、発電が朝と夕方に広がります。そして家庭の電気の使い方は、朝と夕方に山があります。発電カーブが生活のカーブに近づくということは、自家消費率が上がりやすいということです。

売電単価が高かった時代は「合計kWhをいかに多くするか」が正解でしたが、いまは「いかに買う電気を減らすか」が経済性を決めます。この観点では、東西面の評価は昔より上がっています。

さらに、東西の両面に載せられる屋根であれば、片流れの南面だけの家より合計容量を大きくできることもあります。載る量そのものが増えれば、自治体補助金の対象kWを満たしやすくなる場合もあります(補助の上限kWは自治体ごとに異なります。詳しくは前掲の東北4県まとめをご覧ください)。

エコキュートの沸き上げ時間を昼にずらす、蓄電池と組み合わせるといった運用と組み合わせると、東西面の弱点はさらに埋められます。運用の考え方は 夏の電気代は「設定」で変わる|太陽光・蓄電池を持つ家の運用術 をご覧ください。


東北で北面を判断するときの3つの条件

ここまでを、判断できる形にまとめます。北面設置を検討していいのは、次の3つがすべて確認できたときです。

条件1:補助金の上限kWに、まだ余裕があるか

自治体補助金の多くは「1kWあたり◯万円、上限◯kWまで」という形です。南面だけで上限に届いてしまうなら、北面に足しても補助は増えません。逆に、南面だけでは上限に届かない家は、北面を足すことで補助対象のkWを埋められる可能性があります。

ここは自治体ごとに条件がまったく違うので、必ずお住まいの市町村の要項で確認してください。

条件2:冬の発電をゼロと見ても、回収が成り立つか

前述のとおり、東北の北面は冬ほとんど発電しません。「冬の発電を計算に入れずに」回収年数を出してみてください。それでも成立するなら、冬の分はおまけになります。逆に、冬の発電を織り込まないと成立しない計画なら、その計画は北面に向いていません。

条件3:反射光と落雪の行き先が確認済みか

環境省ガイドラインの3つのチェック項目に当てはまるなら、反射光のシミュレーションを依頼してください。あわせて、北面に残った雪がどこへ落ちるのかを図面で確認してください。この2つは、設置後には直せません。


よくある質問(FAQ)

Q1. 数年前に「北面は不可」と断られました。今なら載せられますか?

A. 製品面では可能になっているケースが多いです。断られた理由が「反射光」であれば、防眩タイプのパネルで解決できる可能性があります。ただし、断られた理由が構造や屋根材、雪の条件だった場合は、パネルが変わっても事情は同じです。まずは「なぜ断られたのか」を確認してください。当時0円ソーラー・PPAで検討されていた場合は、事業者側の採算の都合で北面を扱わなかった可能性もあります(PPA・リースの仕組みは 「初期費用0円ソーラー」は東北で得か? をご覧ください)。

Q2. 「北面は南面の6〜7割は発電する」と説明されました。信じていいですか?

A. その数字がどこから来たのかを確認してください。屋根勾配・地域・方位角で結果は変わりますし、年間合計が6〜7割でも、冬だけを見ればはるかに小さくなります。東北では冬至の南中高度が26〜29度しかなく、冬の北面には直達光がほとんど当たりません。年間合計ではなく、月別のグラフを出してもらってください。それを見れば、夏と冬でどれだけ違うかが一目で分かります。

Q3. 東西向きの屋根です。南面がないと補助金は不利になりますか?

A. 方位を条件にしている自治体補助金は、当社が調べた東北4県の範囲では確認していません。多くは「設置容量(kW)」や「機器の要件」で決まります。ただし、発電量を要件にしている制度や、シミュレーション提出を求める制度では、方位が結果に影響することがあります。お住まいの市町村の要項で、交付要件が容量なのか発電量なのかを確認してください。判断に迷う場合はご相談いただければ、要項を一緒に確認します。


まとめ:北面は「できる」と「向いている」が別

  • 防眩(低反射)パネルの登場で、反射光を理由に北面を諦める必要は薄れた。東京都は防眩型を「機能性PV」として認定し補助を上乗せしている
  • ただしその上乗せ補助は東北にはない。「北面でも得」という説明は、多くが高額補助のある地域を前提にしている
  • 発電量の一般値(「北面は6割」等)は使わない。NEDOの日射量データベースで地点・方位角・傾斜角を指定した数字を出してもらう
  • 東北の冬至の南中高度は26〜29度。冬の北面には直達光がほとんど当たらない。北面は「夏型」の設置面
  • 東北は冬に電気を使う地域。発電と需要のズレが、南面より大きくなる
  • 北面は雪が融けにくい。発電しない期間が長く、荷重はかかり、融けたときに一気に動く
  • 反射光は環境省ガイドラインの3チェック(北側に高い建物/斜面地で南側に住宅/東西が拓けている)で確認。夏至・冬至・春秋分の反射シミュレーションを依頼する
  • 東西面はむしろ見直されている。朝夕に発電が広がり、自家消費率を上げやすい

「北面だから無理」も、「北面でも大丈夫」も、どちらもご自宅の答えではありません。屋根の勾配、周囲の建物、冬の使い方、お住まいの市町村の補助制度——この4つが揃ってはじめて判断できます。

当社は宮城・福島・山形・岩手・秋田・青森・新潟の各市町村で、屋根の方位と雪の条件を踏まえた設計・施工を行っています。「他社に断られた」「北面を勧められたが本当か知りたい」といったご相談だけでもかまいません。面別・月別のシミュレーションをお出しして、正直にお答えします。

出典(2026年8月7日確認)

※本記事は2026年8月7日時点で公開されている公的資料にもとづいています。南中高度は各都市のおおよその緯度から算出した概算値です。東京都の補助制度は東京都内が対象であり、東北各県では利用できません。実際の発電量は屋根の形状・勾配・周囲の日影・積雪条件によって変わるため、設置の可否と発電量は現地調査とシミュレーションにもとづいて施工店にご確認ください。

その見積書、本当に妥当ですか?|総額・値引き・ローン金利を無料でAI診断(ソラカルテ)

当社が運営する「ソラカルテ」では、太陽光・蓄電池の見積書をその場で無料AI診断できます。電話番号の登録は不要です。

監修:株式会社ファナス|宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県の各市町村で太陽光発電・蓄電池・V2H・エコキュートを施工販売。無料相談はこちら

他社のお見積りでも、ご相談をお受けしています

宮城県・福島県・山形県・岩手県・秋田県・青森県・新潟県で自社施工。設計・申請・施工・アフターまで自社で対応します。
しつこい営業はしません。お電話(022-796-70189:00〜20:00)・フォーム・LINEからどうぞ。

お気軽にどうぞLINEで無料相談